8月1日(日)


 とてもじゃないけど、さすがに起きられない。
 眠い、眠い。
 無理に起きることはないので、ずっと寝る。

 午後12時。代官山の「HISAMA(ひさま)」にひさしぶりに行
く。
 「懐かしいけど新しい代官山コロッケ御膳」1000円を食べ
る。
 このお昼のコロッケは実はグルメ・バカ娘にとっては食べるの
は初めて。さすがにお昼は学校行ってるからね。
 ジャガイモがぷりぷりして美味しいという評価。
 このお店、接客もいいし、味もいいし、なかなかいいお店なの
だがどうも登場回数が少ない。何かが足りないのだろいうけど、
それが何なのかがわからない。
 たぶんここでしか味わえない一品だろうなあ。

 それが証拠にお店を出たとたん、グルメ・バカ娘が「おにぎり!
 おにぎり!」「おにぎり! おにぎり!」というるさくなる。
 このお店の向かい側に、最近けっこう登場するおにぎりの専門
店「ベリー・グッドマン」があるからだ。
 夜ご飯用に買って行こうというグルメ・バカ娘のリクエストだ。
 グルメ・バカ娘は、八丁みそ味と、スーパーなすみそ味をチョ
イス。やっぱり料理というものは、こういうちょっと際物(きわ
もの)っぽくて、美味しい食べ物が無いといかんのだろうなあ。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の職業に、やっぱり「くの一忍
者」を入れたほうがいいようだなあ。
 
 午後1時。私だけ渋谷パルコの前のクイック・マッサージ「タ
ントン・マッサージ」に行く。
 2日間電車と車に乗りっぱなしだっただけに、腰が痛くなって
しまったようだ。無理するとすぐ身体に出るなあ。

 午後2時。ちょっと渋谷を散歩して帰宅。神戸屋キッチンでパ
ンを買うことは忘れない。マツモトキヨシにも寄る。ほかのお店
とまったくお客さんの量が違うところがすごい!

 このあといつもはこの日記を書いている時間のことは明らかに
したくなかったんだけど、さすがにきょうも含めた3日間の大長
編を書くとなると、さすがの私でも時間がかかる。
 なんと途中ご飯を食べて、グルメ・バカ娘が私の誕生日に買っ
て来れなかったからと、買ってきた不二家のケーキを食べた以外
は、ぶっ通しで日記を書く。
 気がついたら、午前1時を過ぎていた。
 ひさしぶりに10時間ぶっ通しで原稿書きか。
 昔の無茶な仕事っぷりに戻ってしまう。自重せねば。

 


8月2日(月)


 午後12時。近所の「カフェ・エミリオ・ロバ」で食事。

 食後、「イノベーター」で机を買う。
 私の仕事部屋を改造するのだ。
 仕事部屋といっても、私の部屋の押入を改造してつかっているだ
け。けっこう使い勝手がいいので、本格的な机を入れてもっと使い
やすくしようと思っている。

 午後2時。帰宅。
 嫁とグルメ・バカ娘が、私の部屋の押入の大きな扉を外す作業。
 例によって、私は役立たずなので、脇で見ているだけ。
 そのうち寝てしまう。
 また寝冷えして、風邪がぶり返してしまった。情けない。

 午後3時。『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 旅行中にメモったアイデアを清書して行く。
 こんなにたくさん書いてるのに、なんでいつまでたってもこのゲ
ームの仕様書が完成しないんだろう?
 珍しくめげて来る。
 仕事でめげたことなんて一度もなかったのに。

 午後7時。広尾の中華料理屋さん「アンテ・シノワーズ」へ行く。
 前回私が京都に行っていたとき、グルメの師匠・すぎやまこうい
ち先生ご夫妻が、娘とグルメ・バカ娘を誘っていただいたお店だ。
 私はもともと中華料理がそんなに好きではない。
 グルメ・バカ娘によると、このお店は和風っぽいから私にも合う
はずだという。
 なるほど、出てくる料理は和風っぽい。
 しかも私にとって、出てくる料理が滅法美味しかったり、苦手だ
ったり、大忙しだ。
 5打数3本塁打、3三振ってな感じ。
 とくに、はまぐりのスープ、牛フィレと揚げ湯葉の梅肉ソース和
え、もやしと黄ニラの焼きそばは絶品。

 食後、このお店の道をそのまま進むと、あのオウムで話題になっ
た青山道場があるというので、通って帰ることに。
 あれだけTVで何度も見ていたのに、もうけっこうビルの形を忘
れてしまっている自分に驚く。忘れちゃいけないよね、彼らの悪行
を。
 たぶんこれだろうという交差点のビルを確認。
 もう4年立つのに、ビルは空っぽだ。
 持ち主が一番の被害者だ。いかにも青山にありがちな瀟洒なビル
だけに、なんだかもったいない。 

 何だか道がわからないまま、散歩する。
 けっこう歩く。
 気がついたら、西麻布の交差点に出てしまった。
 どういう道を通って来たのだろう。位置関係がよくわからない。
家に帰ったら地図で確認してみよう。

 午後9時。西麻布の喫茶店「TeTeS」で休む。夜の散歩もなかな
か疲れる。

 午後9時30分。帰宅。
 鍼灸師の弓削くんが来る。いつものように2時間びっちり身体を
メンテナンスしてもらう。ふくらはぎの裏が張っている。けっこう
歩いたんだな、やっぱり。

 


8月3日(火)


 午前11時30分。赤阪TBS会館前、宮崎料理の「でんでんで
ん」へ行く。
 私と嫁は、冷汁定食。グルメ・バカ娘はチキン南蛮定食。
 いずれも今年の『桃太郎電鉄』の宮崎の物件に登場する美味しい
料理。とくに冷汁定食は、宮崎の家庭料理で、味噌を溶かして、キ
ュウリなどが入った、ぶっかけ飯。
 夏の暑いときは、冷たいのでさっぱりして美味しい。
 店内が、女性客だらけなのが、ちょっとびっくり。
 男の飲み屋さんって感じなのになあ。
 午後12時30分。赤阪一ツ木通り入口の「風月堂」で、コーヒ ーを飲む。コーヒーを頼んだだけなのに、お煎餅と、和菓子まで付 いてくる。 「三分坂」という和菓子がまた美味しい。  コーヒーもまあまあの味だから、これはお得。  このお店はブックマークだ!  午後1時。風月堂の前の英国式足裏健康法の店「クイーンズウェ イ」に行ってみる。  よく「リフレクソロジー」とか「天然ハーブでどうたらこうたら …」といったよく町で見かけるあの緑色のやたら多いお店だ。  知らずに否定するのはうよく無いことなので、とにかく1回はや ってみよう。  25分のコース。こういうお店ってすぐメンバーズカードを作ら されるのがイヤだなあ! バーコードみたいに全世界共通のカード をそろそろ作ってくれないかなあ? マッサージのお店だけでも、 5枚ぐらいカード持ってる。  まずはアロマオイルの入ったお湯に足を浸す。  これは京都の「ナチュラル・ボディ」とおなじだ。  ズボンを脱がなくてもいいので楽。  よくTVのバリ島特集なんかにある、女性がひざまづいて足をマ ッサージしてくれるあれだ。  何だかんだいっても、やっぱり気持ちいい。  おなじ列の人が、いびきをかいている。わかるなあ。  こりゃいいな。  どんどんマッサージ評論家ができそうな体質になって行ってしま いそうだ。  午後2時。帰宅。たしかに足が軽い。  すっきりした気分で『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作 り。気のせいか、きょうは仕事の進み具合がいい。  途中、VR─1の荒堀明弘くんも電話をくれて「やっぱり職業の 数を減らして、ひとつひとつを充実させましょう!」と言ってくれ た。ミニゲームのほうも、アイデアだけのやつを荒堀明弘くんのほ うで、進めてくれるそうだ。うれしい援軍だ!    午後6時。ご飯を食べに行こうと、2階に上がると、ソファーで グルメ・バカ娘が寝ている。何でも英語の教科書を開いて、10秒 も立たないうちに寝てしまったそうだ。  どうもこいつは本当に食うこと以外には、向いていないようだ。  しかも起こしても起きない。  置いて行ってくれという。  もはや食っちゃ寝娘と改名しないといけない。  食うことと寝ることが50%ずつで、100%なだけのようであ る。とほほ。  午後7時。グルメ・バカ娘がいないから、豪華なところに行って やろうと思って、考えるけどどこも浮かばない。  いつもどこでもいっしょに行ってるから、1回ぐらい行けなくて も、あいつはビクともしない。  そうだ。南青山の「キハチ」で、オマール海老フェアをやってい るんだった。海老はグルメ・バカ娘がそれほど好きでは無いので、 いないことは好都合だ。  南青山の「キハチ」に行く。  メニューを見たら、もうオマール海老フェアは終わっていた。  代わりに、あわびフェアだ!  おっと、これはもっと好都合!  実は今、あわびが美味しい季節で、あわびといえば、東京西麻布 の「分とく山(わけとくやま)」! このお店に先週からずっと 電話をかけているけど、いつも満席。さっきも電話したくらい食べ たかった。  しかも「分とく山」の自慢料理、あわびの海藻焼きがメニューに あるではないか! 「キハチ」なら善戦してくれるのでは?  コース料理を頼まず、単品で攻めることに。  ナスと豚肉のしゃぶしゃぶサラダ。  これはこの店のけっこう自慢料理で、安定感がある。  桃とヨーグルトのスープ。  あいかわらず、デザートみたいな前菜だ。上品な味。  あわびの海藻焼き。水あわびのイタリアン・スープ仕立て。  あわびを焼いて、岩海苔といっしょに食べる。  十分「分とく山」に匹敵する味だ! よしよし!  デザートは、嫁が完熟桃のグリエ。私がスイカとココナッツのジ ュレ。  完熟桃のグリエは、桃をまるごと1個、カラメルで焼き上げた豪 快な味。こりゃ、すごいや!  う〜ん、満腹、満腹! コース料理だと、あと1、2品多くて、 これが太る理由なので、腹八分目でなく、腹九分目でアップできる ので、非常に満足。  そして何より接客態度が申し分ない。  一番目立って働く人が、コント赤信号の小宮くんに似ている。別 に意味は無い。  午後8時30分。少し風が出ているので、歩いて帰ることに。ち ょっと遠いような気もするが。  根津美術館から表参道へ。国道246沿いに歩くと、善光寺で盆 踊り大会をやっている。地元の子どもたちがたくさんいて、きょう ばかりはとてもおしゃれな青山通りに見えない。  青山3丁目を左折した頃には、汗びっしょり。  涼しいかと思ったが、やっぱり夏の盛り。 「ルナ・アンジェロ」でコーヒーを飲んで帰る。オープンカフェだ から、汗が引かなかった。あぢ〜。  まあ、夏だから汗はいっぱいかいとかないとね。  午後9時30分。帰宅。歩いた、歩いた。  もう少し仕事してから寝よう。  きょうも忘れず『踊る!さんま御殿』を見ないと。最近いつも録 画したビデオを見ながら、寝てしまう。予めスリープ90分をかけ とくから安心して寝てしまうんだろうなあ。
 


8月4日(水)


 午前11時30分。原宿、表参道の「バラサデキリリンコ」に行
く。怪獣ブースカの専門店だ。
 この店で、女の子が「あたし、広末嫌い〜」とかいってるので、
振り向いたら、髪型が広末涼子にそっくりな、ブス。あれだけマネ
といて嫌いって、すごい感性しとるなあ。

 午後12時。原宿のサンドイッチハウス「バンブー」で食事。
 海老とアスパラのサンドイッチに、コーヒー、パンプキンの冷ス
ープ、ゴボウのサラダ、スイカジュース。
 スイカジュースが美味しいかどうかわからないから、グルメ・バ
カ娘に、スイカジュースをひとつ頼んで半分こしようという提案を
却下される。仕方ないので、スイカジュースを2つ頼む。
 その後、グルメ・バカ娘はスイカジュースがまずいらしく、全然
飲まない。だから言っただろーがー!
 過去に、スイカジュースで美味しい物に出会ったことが無いのだ。
一度でいいから、美味しいスイカジュースを飲んでみたい!

 食後、グルメ・バカ娘と原宿キディランド。おもちゃの最新状況
をチェック! あんまりこれは覚えておかなきゃという品物が無い。
何も買わずに外に出る。
 表参道は、セミの大合唱!
 みーん、みんみんみんみん! みーん、みんみんみんみん!
 機械で流していると勘違いするくらいの鳴きっぷり。
 もちろん、暑い。あぢ〜。

 午後2時。グルメ・バカ娘と必死になって、自宅に戻る。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。初めて2日続けて、
原稿書きの調子がいい。いよいよ開き直って、キワモノにひた走れ
るようになってきた。
 最初からキワモノで行ければいいんだけど、ウルトラマンのスペ
シウム光線みたいなもんで、すぐに出ない。苦しんで苦しんで、苦
しみ抜いて初めて、ごほうびとして「狂気」を与えてくれる。
 作家業というものは、そういうものだと思う。
 つくづく因果な商売を選択してしまったものだと思う。
 
 午後6時。渋谷オーチャードホール。「ドラゴンクエスト伝説」
神奈川フィルハーモニー管弦楽オーケストラ。指揮はすぎやまこう
いち先生。コンサートマスターに、先日コンサートを見させていた
だいたバイオリンの朝枝信彦さん。
 本当に先日の朝枝信彦さんのバイオリンの音色にはしびれたので、
またこうして聴けるのかと思うと、得した気分。

 今さらながら、すぎやまこういち先生の曲は、俗っぽい言い方を
すると、値段の高そうな曲だなあ。
 グルメ・バカ娘に言わせると、頭のよさそうな曲だそうだ。
 ストリングスの音色が本当に心地よい。
『桃太郎電鉄』でもこういうコンサートをやれたらいいんだけど、
格調がなあ。

 アンコールでは、『ドラゴンクエスト7』の曲のなかから、『王
宮のホルン』を初演奏する大サービス。
 ホルンの音色も大好きなのだ、私は。
 ビートルズの『ペニー・レイン』の間奏がそうだし、ザ・フーと
いうバンドがロックなのに、ベースの人がたまにホルンを吹く。ク
ニ河内とザ・ハプニングス・フォーという私が一番好きだったグル
ープサウンズもまた、ホルンをフィーチュアした曲が多かった。
 私は作詞家になったときも、よく作曲家にリクエストで、ホルン
入れてねと頼むくらい、ホルンが好きだ。

 こりゃまた一段と『ドラゴンクエスト7』の発売が楽しみになっ
てきた。

 午後8時30分。麻布十番の「紅虎餃子房(べにとらぎょうざぼ
う)」で食事。
 鉄鍋餃子に、水餃子がきょうは美味しかったなあ。
 焼きそばの麺が、妙にカップヌードル風で、美味しかったのが、
不思議。

 午後9時30分。帰宅。
 おんや!? 横浜ベイスターズが6連勝!
 いったいどういう風の吹き回しなんだろう、今ごろ。
 佐々木様も手術で、完全に勝ちパターンが崩れたのに。
 まあ、これで今年最下位はまぬがれそうなんで、まったく固定の
打線を組み替えて、どんどん新人を起用してくれないかなあ。

 さあて、もうひと仕事!
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書を作るぞ!  

 


8月5日(木)


 最近ずっと東京の空がきれいな青空だ。
 まるでもうお盆が来てしまったかのようだ。
 当然暑い。とても遠出する気にならない。

 午後12時。赤阪「津つ井」で食事。
「津つ井」の看板「にっぽんの洋食」という言葉が非常に、このお
店には似合っている。
 看板には無いが、「正しい洋食」の異名を取る「EDOYA(えど
や)」と並んで、ニックネームとお店の内容が合っている思う。

 まず家族全員で、ポタージュの冷スープを注文する。
 シャンペングラスのような器で出てくる。
 もう見るからに涼しそう。  これが暑い夏に、美味しいこと、美味しいこと!  家族全員「おいしい!」と叫んだあと、黙ってもくもくとスープ にスプーンを動かし続けたぐらいだ。  スープのあとの私は、伝統の味、オムライスをひさしぶりに。  ほんのり甘い玉子に、ケチャップが別皿で加減できるところがと っても親切。量が多いので残すつもりが、けっきょく食べてしまっ た。  グルメ・バカ娘は例によって、ふとどきにも真っ昼間から、特上 ステーキ丼。  嫁が、夏季限定の「サラダランチ」にチャレンジする。
 チャーハンの上に、マヨネーズ和えのサラダが乗った、大胆な料 理だ。美味しいのだけれど、どこまで行っても、学校給食の範疇を どうしても越えることができないように思う。  2000円という金額もちょっとつらい。  私はひとくちぐらいしか嫁からもらわなかったので、よくわから ないのだが、グルメ・バカ娘が嫁のお皿から、盗み食いをしなかっ たのだから、それほどでも無いのだろう。  まずまずい料理が出ることの無い「津つ井」だけに、私たちの評 価は厳しいのかもしれない。  午後12時30分。「津つ井」の並びの「カフェ・ブラン」でコ ーヒー。あとは本屋に寄るといういつものコース。  午後1時30分。帰宅。  さっそく『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。  かなり波に乗って来た!  ぶっ通しで、原稿書き。どういうわけか、ここぞという場所の原 稿を書くときは、息を止めてキーボードを叩いている。  能狂言が、息を止めたまま踊ると聞いたことがあるけど、それと おなじなのかな?  午後4時30分。宮路一昭くんが来る。  昨日、一昨日と、土居ちゃん(土居孝幸)とふたりで、大阪のハ ドソンまで、新作『桃太郎電鉄』の打ち合わせに行ってもらった。   その報告。まあ、報告だけではわからないのだが、だいぶ今回の 新作『桃太郎電鉄』に対する私の不満は減りそうではある。 『桃太郎電鉄7』が売れたからといって、まったくおなじ物を作っ て、新作でございでは、お客さんは黙ってはいない。むしろ売れた あとこそ、進歩していないと、お客さんは何を言い出すかわからな いものだ。     午後6時30分。自宅で、冷麺を食べる。  いつもながら岩のりが入って、女川の笹かまぼこも入った豪勢な やつだ。  午後7時30分。再び『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書 作り。どんどん内容が変わって行く。もちろんいい方向へ変わって 行くからいことなんだけど、あれだけ長時間書いたシステムや、長 時間書いた原稿を惜しげもなく捨てるのは、つらいものがある。  でも陶芸家だって、気に入らないものは、ガシャンガシャンと惜 しげもなく割ってしまうのだ。  ガキの頃は、何てもったいないことをするのだろうと思って、T Vで陶芸家の様を見ていたけど、最近ようやくその気持ちがわかる ようになってきた。  陶芸家がダメを出すのでは無い。目の肥えたお客さんの目がダメ を出すのだと思う。  私もすでに頭の中で『さくま式人生ゲーム2(仮)』を何千回プ レイしたかわからない。プレイしたつもりで改良して行くと、ダメ な箇所は捨てて行くしかないのだ。  結果はひとつしかでない。  おもしろいか、おもしろくないか。  しかもお客さんはその理由をいうことができない。  結果を態度で示すだけだ。  もうひとがんばりしよっと! いつもこれだ!  横浜ベイスターズもがんばっている。7連勝だ!  7連勝って、数字、美しい響きだなあ。  佐々木様抜きで、連勝を続ける横浜ベイスターズ・ナインに声援 を送りたいものだ。
 


8月6日(金)


 午後12時。8月4日付けの『ほんのチョイ係』で、あんくるク
ンがうなぎの「野田岩(のだいわ)」に行かれては?という言葉を
思い出して、麻布桜田通り、天然うなぎの「野田岩(のだいわ)」
に行く。
 昨日が二の丑という土用の丑だったようだ。
 といっても年がら年中、丑の日みたいな家族には、食べたいとき
が、丑の日だ。
 しかも、朝からグルメ・バカ娘が友だちに家に遊びにでかけた。
しめしめ。鬼の居ぬ間に美味しいものを食ってやる。

 というわけで、白焼き定食と、蒲焼き定食。
 ウナギ屋さん業界の横綱だけあって、蒲焼きの照りの色艶が違う。
松崎しげるサンがオイルを塗ったような照り。ちょっと美味しそう
なたとえじゃなかったかな。
 白焼きは、わさび醤油で食べる。いいねえ、この味。
 しまった。蒲焼きのほうに、ちょっと山椒をかけ過ぎてしまった。
 私は山椒が苦手なんだよ〜。京都の料理は山椒がかかっているこ
とが多いので、修行中なんだけど、ちょっと連打、連打だよ〜。
 グルメ・バカ娘の呪いのような気がする。
 あいつがいないと、そのお店が臨時休業だったり、味が悪かった
りするからなあ。

 午後1時30分。帰宅。家の並びの喫茶店「らぴす」さんでココ
アを飲む。ここのホット・ココアが美味しいといっていたのが、グ
ルメ・バカ娘。どうしてもどのお店でもどの飲み物、食べ物が美味
しいかをいチェックして暗記しているのが、不思議だ。
 英語の教科書を読んで、10秒以内で眠れるくせに。

 午後2時。イラストレーターの高内優向さんが来る。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』のイラストの打ち合わせ。同時に
『月刊デジタルさくまにあ』での4コマ漫画連載についても打ち合
わせ。まだまだキャラを練り込んでいる段階なので、登場はもうち
ょっと先になりそう。

 午後3時。ニュートン・サテライト・ジャパンの平根さん、こね
こねランドの竜田聡浩(たつた・あきひろ)さんが来る。
 竜田聡浩(たつた・あきひろ)さんは、粘土細工アーティストっ
て言ったらいいのかな、年度で造形を作る人。
 うれしいことに、私のことを『月刊アウト』の頃から知っていて
くれて、わざわざ粘土で、月刊アウト時代のさくまあきらヴァージ
ョン、ジャンプ放送局時代のさくまあきらヴァージョンの2タイプ
作って来てくれた。
 あまりにもかわいいので、ここに掲載する。
 粘土っていうと、昔の粘土のイメージしか無いんだけど、いまの 粘土は軽くて、しかもふわふわしている。カラフルだし。  かなり粘土のイメージが変わる。  午後3時30分。読売広告の岩崎誠が来る。  実はきょうのこのメンバーは、ある極秘プロジェクトで、高内優 向さんがデザインするキャラに対して、私と岩崎誠がああだこうだ 言って、ひとつのオリジナル・キャラを作ろうという企みなのだ。  それを竜田聡浩(たつた・あきひろ)が、粘土でデザインする。  きょうも高内優向さんが描いて来たイラストのキャラをその場で、 私達としゃべりながら、わずか30分程度で、造形にしてしまう。  その緻密さ、かわいらしさを、デジカメでみんなに伝えたいんだ けど、まだこれは極秘プロジェクトなので、紹介できないのが、と 〜〜〜〜〜っても、残念。  午後5時。××××××事務所の×××××サン(本人の希望に より削除)が来る。  ×××××サン(本人の希望により削除)はフィギュアの大ファ ンなので、岩崎誠を紹介する。合わせて、×××××サン(本人の 希望により削除)で、『月刊デジタルさくまにあ』で何か連載しな い?という話。    全員でいろいろ業界話。  こういう異業種の人たちが集まっての会話はやっぱり楽しい。    午後7時30分。岩崎誠、私、嫁、グルメ・バカ娘、××××× サン(本人の希望により削除)、高内優向さんで、銀座の讃岐うど ん屋さん「さか田」に行く。 なんのことはない、岩崎誠の会社がこの近くなのだ。一度会社に戻 らないといけないというから、みんなで「さか田」に行く口実がで きたとわざわざここまで来てしまったのだ。  本当は、きょう岩崎誠と、神宮球場へ阪神対ヤクルト戦を見に行 く予定になっていた。  ところが、岩崎誠は、大の阪神ファンなんだけど、どうもこの神 宮球場でのヤクルト戦が鬼門で、去年からよくうちのシーズン・シ ートをあげるのだけれど、ことごとく負ける。  しかも現在8連敗中。  もうこうなると、きょうとても岩崎誠は、阪神戦を見に行けなく なってしまうのだ。自分が疫病神になるのがイヤだから。  わかるなあ。去年までの横浜ベイスターズのファンにこういう人 がたくさんいたから。プロスペックの江口貴博くんもそうだったし、 放送作家の清正まなつサンもそうだったし、漫画家の細野不二彦く んの奥さん・環さんもそうだったから。  というわけで、けっきょくこうして「さか田」で讃岐うどんを食 べている。きょう初めて、夜限定の釜揚げうどんを食べる。これま た美味しい!  本当にこのお店の食べ物は何でも美味しいなあ。  外の看板が庶民的なデザインなのがいけないと岩崎誠がいう。  言えている。書道家が「讃岐うどん・さか田」とだけ格好良く書 いたら、本格的な讃岐うどんの店として、銀座にあるお店として、 グレードが上がったと思うのだ。  いいんだ、とにかくみんなでこの「さか田」をブームにしよう! 『ほんのチョイ係』のほうへ、「さか田へ行った!」というおたよ り(メール)をどんどんちょうだいな!  食後、「さか田」の近所の喫茶店で、いろいろ業界話。  最近まわりの人間の立場を無視した行動を取る業界人が多すぎる という話になる。  ちゃんと仕事をする人たちにとって動きやすい業界であってほし いものだ。  芸能界っていうのは、しきたりのうるさい業界だけど、やっぱり 義理人情が尊ばれるだけに、正しい業界である。  午後10時。帰宅。  明日『サクラ大戦歌謡ショウ』に行く予定。アリtoキリギリスの 単独ライブは8日に行く予定に変更になった。  もう知ってる人も多いと思うけど、アリtoキリギリスの石井正則 くんが婚約した。昨日ホリプロさんのほうからTBSの牧さんに連 絡があって、わざわざ牧さんが「明日発表します」と私に報告して くれた。  何て事はないと思うかもしれないけれど、いっしょに仕事してい る人間が発表があってから知ったということがないための配慮なの だ。  こういう配慮ができる人たちと仕事ができる私はとっても幸せ者 である。 『ニュースステーション』の野球速報を見たら、阪神が負けていた。 とうとう9連敗だ。  岩崎誠の顔を思い出した…。明日神宮で勝ち試合を見てね。
 


8月7日(土)


 午前11時30分。西新宿の丸い建物の「ロイヤルホスト」へ行
く。夏はやっぱりロイヤルホストのカレー・フェアだ!
 これを食べないとどうも本格的な夏が来た気がしない。
 マドラス風海老と帆立のカレー。

 午後1時。新宿厚生年金大ホール。
『サクラ大戦歌謡ショウ3・帝国歌劇団・第3回花組特別講演/紅
蜥蜴(べにとかげ)』を見る。ふうっ。長い題名だ。
 おなじみ横山智佐ちゃんが出演してるし、私の大学の後輩である
広井王子くんが総合プロデューサーだから見ないわけにはいかない。
 うちの娘がまた『サクラ大戦』のこの舞台が大好きなので、3年
連続の観賞である。

 しかもこの『歌謡ショウ』は、本当によく出来ている。
 私が若い頃に多くのベテラン芸能人たちが「浅草の演劇の火を消
すな!」という運動を起こしたのだが、やっぱり消えて行った。
 でもどっこい浅草の火は、ここで小さな灯火から、少しずつ大き
な火となり始めているように思えるのだ。
 ステージから振り付けから、私の知っている浅草演劇の匂いがふ
んぷんとしている。なつかしい。
 やっぱり古典芸能が再生されるときは、新しいハードで復活する
もんなんだろうなあ。

 それにしても今回の公演でまたしても、ひと手間の魅力をたくさ
ん見させられてしまった。
 まず開演前に、前説が入るのだ。
 舞台に出ない役者の卵さんではない。歴然とした劇中に出る役者
さんが前説をやる。
 きょうは帝国歌劇団の歌の振り付けをみんなで練習をやった。
 そして途中の休憩時間。通常の15分ぐらいあるんだけど、後半
の5〜6分前から、出演者たちが休憩ショータイムというものをや
る。前からこの休憩時間の時間のつぶし方というのは、けっこう手
持ちぶさたなものがあっただけに、コロンブスの卵である。
 さらに公演の最後も、ベテラン田中真弓さんが「これですべて終
了です」というアナウンスが入る。アナウンスのあともギャグ入り
のセリフでね。
 アンコールの連続で本当の最後のタイミングがわからないという
ことはよくある。
 まだまだこういうひと手間の穴というものはどこかに潜んでいる
もんなんだと痛感する。

 それにしても、この公演のファンの統一感というものは恐ろしい
ものがある。拍手、手拍子の入れ方が絶妙なのだ。
 ひとつの様式美にまでなっている。
 3年かかって、お客さんも育っている。 

 午後4時。公演終了。楽屋を訪ねる。
 疲れも見せず横山智佐ちゃんは、来客に挨拶している。まだこれ
からもう1回最後の公演があるというのに。
 久々に広井王子くんと、じっくりしゃべる。
 
 とそこへ、ショッカーO野くんが楽屋を訪ねて来た。  おや、こんなところで会うなんて。そうか、そうか、ショッカー O野くんの知り合いの声優さんがたくさん出演してるもんなあ。富 沢美智恵さんとか。
 午後5時。帰宅。最古のさくまにあ・戸田圭祐と合流。  戸田圭祐は明日33回目の誕生日で、明日原口一也とか、なかむ ら治彦くん、汐崎隼さんたちと会うために、やって来たそうな。  誕生日を祝ってもらうために、わざわざ上京するとは変なやつで ある。  その前に、うちに泊めてあげる代わりに、私の部屋の模様替えを 手伝わせることになっている。  まず私の部屋の押入れを改造した仕事スペースに、机を組み立て て入れる作業から。  戸田圭祐は10数年前大学生だった頃から、うちの引っ越しの手 伝いばっかりやらせているので、手慣れたもんである。  後年、日本通運に入社したのは、やはり宿命なのかもしれない。  午後6時30分。このところずっとグルメ・バカ娘が青山「穂積」 に行きたいと言っていたので、穂積に行こうとしたら、グルメ・バ カ娘は、鳩森神社の盆踊りに行くそうな。 「きょうは穂積に行くんだよ!」と言っても、盆踊りのほうに行く という。ふ〜む。青山「穂積」よりも、盆踊りのほうがランクが上 かあ。やっとふつうの子どもらしい感性を見せてくれる子どもにホ ッとする親であった。  どうやら、浴衣を着て行けるのも、盆踊りのほうがかなりポイン トが高いようである。  そのわりには、浴衣を着ながら、♪走れ〜、高速の〜、帝国歌劇 団〜を歌っている。  しかもあとで嫁に聞いたのだが、浴衣を着たら、何度も裾をはだ けて、梅ッシュのCMの「ちらっ!」を連発していたそうである。  どうもやってることがお笑いである。  午後7時。青山「穂積」へ、嫁と私と、戸田圭祐。  本来、「穂積」に行くときはいつも、グルメの師匠・すぎやまこ ういち先生ご夫妻に一声かけてから行くことになっている。  ところが戸田圭祐が「ま、ま、まってください! それはカンベ ンしてください! もしそんなことになったら、せっかくの穂積の 味がまったくわからなくなってしまいますがな!」  戸田圭祐の緊張症は、芸術的なまでであるから了承する。  けっこうアニメ・マニアである戸田圭祐は、すぎやまこういち先 生というと『イデオン』の作曲家として恐れ多いのだそうだ。  というわけであれだけ日記に登場するお店だけに、戸田圭祐、青 山「穂積」に入ったとたん、緊張して顔が強ばる。  戸田圭祐とおない年の板前さん、樋口くんに対しても緊張してい る。お約束でちょっと戸田圭祐をからかう。 「戸田圭祐! おまえが今座った席は、先日、すぎやまこういち先 生が座った席だ!」 「うわわわわわ………」  はははははは。あわてて腰を浮かせている。    きょうは夏っぽいメニューの連続で、はもそうめんとか、湯葉と か冬瓜といった涼しげな料理が続く。  戸田圭祐の美味しい料理を食べたときの「ふむ、ふむ、ふむ…」 「美味しいんですがあいかわらず説明が下手なんでうまく言えませ ん」が始まった。  もう十分それでどのぐらい美味しいかわかっている。  午後9時。ルナ・アンジェロでコーヒーを飲む。  午後9時30分。ゲーム部屋から、47都道府県の観光パンフレ ットを自宅まで運ぶ作業。  この観光パンフレットはずっと『桃太郎電鉄』を作るために、毎 年東京ドームで開催される「ふるさとフェア」に行って、いつも会 場から宅配便していた膨大な量のパンフレットなのである。  ほかにも地方に取材に行っては、集めて来たパンフレットがたく さん。  冊数にして、100冊。重さにして50kg以上。  4畳半の部屋の半分が埋まる。  それを今回捨てる。  かなり断腸の思いだ。  もはや場所を取り過ぎるのと、いまこの手の資料は、インターネ ットで、最新の解説付きで自由に見ることができるから、この膨大 なパンフレットの山は、学者さんの書斎のように、堆(うずたか) く積み上げて、写真撮影のときの威圧感にするぐらいしか用がない。  というわけで、今回捨てる。  ものすごい量なのだが、戸田圭祐、必死に台車で何度も往復して 運ぶ。疲れたらやめていいよと言ったのだが「まだまだ穂積分働い ておりません…」「とてもまだ穂積になっておりまへん…」とぶつ ぶつ言いながら、運んでいる。  相当「穂積」は、衝撃的だったようである。  合わせて、入らなくなった本も、自宅の玄関に積み上げる。  日曜日あたりから、自宅の駐車場で、「どうぞご自由に持って行 ってください」セールをやる予定。  売るわけじゃないから、セールって言葉は変だな。  ヒマな人はどうぞ。けっこういい本あるよ。いつも近所の人が取 りに来て妙にハケがいいので、お早めに。  1000冊近く出るはず。  しかしインターネットのせいで、もう要らなくなる本って、本当 に多いなあ。  インターネットの普及が、出版界の終焉をどんどん促進している ことが、こんなところでもわかる。  午後11時。私は右手1本で、本棚から本を降ろすだけの作業し かしていなかったのに、へばる。  連合反応で、動かない左腕がびりびり痛い。  人間の神経というものは、不思議に出来ているものだ。  横浜ベイスターズがとうとう8連勝。しかも首位中日相手に。  どうしたんだろ〜。今年は優勝を期待していないから、ここまで やれれば上出来、上出来。  一応大学の後輩である川村投手が完封勝利。  それより、神宮球場で、野村監督が退場になりながら、阪神が連 敗をストップさせた。  はたして読売広告の岩崎誠は、神宮球場初勝利を達成できたので あろうか? 勝っただけに行けなかったように思えるのは気のせ い?  まあ、いろんな夏がある。  明日はアリtoキリギリスの単独ライブに行く。
 


8月8日(日)


 午前10時。最古のさくまにあ・戸田圭祐が来る。
 昨日の続きで、荷物をゲーム部屋に運ぶ作業をやらせる。
 まだ昨日の青山「穂積」をごちそうになったことを恐縮している
ようで、よく働く。
 午前11時。放送作家の福本岳史くんが来る。  食事をしながら、仕事の打ち合わせをしようということになって、 でかける。  戸田圭祐はそのまま、新宿へ。  午後12時。恵比寿フカヒレの店「筑紫楼(ちくしろう)」に行 く。このお店は前から福本岳史くんをいつか連れて行くねと約束し ていたお店。  料理はもうお約束で、カニ肉とフカヒレのスープそばに、グルメ・ バカ娘が杏仁豆腐ランキング1位に、押し続けるシンプルな杏仁豆 腐。この2点セットだ!  とにかくミカンもサクランボ入っていない、乳白色1色しかない 杏仁豆腐だけに、デジカメしても、その美味しさをどうにも伝える ことができない。  きょうそのことを福本岳史くんがわかってくれた。 「食べる瞬間までは、弾力があるのに、口に入れるとスルッと入っ て行く。これって表現できないっすよね」。  その通りなのだ。一度食べてみてとしかいいようが無い。  食後、恵比寿駅のパーラーで、福本岳史くんと『さくま式人生ゲ ーム2(仮)』の打ち合わせ。  福本岳史くんにも相当メッセージを書く仕事に携わってもらって いるのだけれど、ここまで書いても書いても終わらないような規模 のゲームとは思ってもみなかったようだ。  もっともっと苦しんでもらうことに。  午後2時。西新宿、新宿スペース107へ行く。  きょうは、アリtoキリギリス単独ライブVOL.3『素晴らしいライ ブ』〜優秀な小男と平凡なやせ男〜の最終公演。  福本岳史くんい聞いたんだけど、実は昨日の夜のライブに、あの 堀井雄二くんが来たそうだ。  ひょっとして私の日記を見て、昨日の夜にしたんだったら、ゴメ 〜ン! 昼にサクラ大戦歌謡ショウ、夜にアリtoキリギリスのライ ブというのは、さすがに身体が疲れるだろうと思って、きょうのお 昼に変えてもらったんだよ〜。ゴメンね〜。  ステージど真ん中の真っ正面の席で見る。  ライブは、古畑任三郎のパロディから始まって、スクリーンによ るイントロから始まるのがよかった。  ビデオ・ライブのようで、いかにも今日的な趣向だ。    あいかわらず背広姿の石井正則くんのとぼけた味はいいし、ハイ テンション石塚義之くんの絶好調ぶりはきょうのライブでも健在! 「何言ってるんすか〜!」「わからない人だな〜!」「なんとかし てくださいよ〜!」という、お得意の言葉を髪振り乱して、割れた 声で叫んでいた。  ホリプロの若手芸人さんたちをつかったお芝居もおもしろくて、 最近のアリtoキリギリスの芸は、垢抜けて来ているなあという気が する。  しっかりとしたしゃべりをやろうとしているのが伝わってくるし、 順調、順調。急に降ってわいたような石井正則くんの結婚も、ファ ンなのみんなには好意的に取られているようだし、よかった、よか った。  ちょっと安定感がありすぎるのが、難点なぐらいだった。
 午後4時。TBSの牧さん、テレコムサウンの田中さん、ハドソ ンの武田くん、福本岳史くんたちといっしょに、楽屋を訪問。
 TBSラジオの『有限会社 桃太郎商店』のなかだけで最近盛り 上がってるガーター刑事、こと河野靖さんを紹介してもらう。  河野靖さんは、今回の単独ライブの演出家であった。  何だかガーター刑事という話題から聞いていただけに妙におもし ろい。  午後4時30分。新宿西口、談話室「滝沢」で、福本岳史くん、 嫁、グルメ・バカ娘の4人でお茶を飲んで、いろいろ今後のお仕事 の方向性など話し合う。 よく考えたら、最近本当に横浜ベイスターズの中継ぎ陣のように、 いろんな仕事で福本岳史くんを多用してるなあ。  まあ、まだ若いから大丈夫だろう。  午後5時。さすがにこんな時間から夕食を食べる気になれないの で、京王デパートの地下で、お総菜を買って帰る。 「代官山・延楽(えんらく)」というところのを買ってみたんだけ ど、かなり美味しい。     午後6時30分。自宅で食事。  ちょっとだけ覗いてみようと思って、テレビ神奈川をスイッチ・ オン! あれよ、あれよ! 見ているそばから、マシンガン打線炸 裂! 1回の裏に、早くも6点。  5回を終了した時点で、12対2。  まるで去年の勝ちっぷりを再現しているみたいだ。  うきうき気分で『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。 しまった。気分がいいから、また新しいアイデアが出た。でも仕様 書を書き直さないといけない。う〜ん。ひと手間多く! 労を惜し むな! わかっちゃいるけど、勇気がいる!  このまま横浜ベイスターズが9連勝を達成したら、書き直すぞ!  ありゃ。16対4か何かで勝ってしまった。むむむ。
 


8月9日(月)


 朝から録画しておいた『知ってるつもり』を見る。
 司馬遼太郎さんの回だ。
「資料を読み尽くして、読み尽くして、その資料を読み尽くしたあ
とに、出てくる透明なひとしずく。それを書くんだ」という言葉は、
たぶんそうしていたんだろうなあとは想像はしてたけど、こうして
TVの特集になって言霊として提示されると、あらためて姿勢を正
したい気分にさせられる言葉だ。

 午後12時。渋谷の松濤にあるフランス料理屋「さくら」に行く。
前にも一度行ったことがあるんだけど、右翼さんの車がとなりのビ
ルの前にずっと停車して、スピーカーびんびんでがなり通したので、
ちっとも料理を堪能できなかった。
 以来ずっと行っていなかった。
 
 コース料理が出るたびに、そうだ、接客のいいお店だったという
ことを少しずつ思い出して来た。
 いわしの南蛮漬けの前菜とか、アボガドの冷スープとか、ちょっ
と変わったものを出してくる。
 フランス料理を和風で楽しむというコンセプトらしい。
 けっこう私は気に入った。

 午後2時。渋谷のクイック・マッサージ「タントン・マッサージ」
へ行く。キーボードの叩きすぎで、右手の肘から下が、猛烈に痛い。
ワープロの入力ミスばかりするので、マッサージしてもらうことに。
 うおおおっ。びりびり来る。効いてる、効いてる。
 でも痛い。びりびり! びりびり!
 ふうっ。なんとかリカバー。

 午後3時。帰宅。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 次から次へと浮かぶアイデアを、清書する時間が無いのが悔しい。
 一度書いた原稿ももっと推敲したい。

 午後6時。青山の餃子屋さん「宇明家(うめいや)」。
 急にグルメ・バカ娘が、一口餃子が食べたいと言い出した。
 前にもこのお店には行ったことがあるんだけど、そのお店は骨董
通りの中の方にあって、とにかくものすごい行列のお店だった。
 地下のお店というだけでもイヤだったのに、階段のところで30
分以上待たされた。やっと入ったと思ったら、圧迫感のある高いカ
ウンターの席に案内され、隣りの席の人とぎゅうぎゅうづめ。
 もう餃子を味わうどころではなく、あれからずっと行っていなか
った。

 きょう行ったほうのお店は、国道246沿いのほうのお店。
 ビルの2Fにあるのだけれど、こっちのほうが開放感たっぷりの
大きなガラスが国道に面していて、気持ちがいい。
 まったく待たないで、席にもつけた。
 掘りごたつ風になっているので、足も楽。
 おなじ系列なのに、ずいぶん雰囲気が違うものだ。

 いずれも一口餃子で、スタンダード、ニンニク入り、キムチ入り
を注文する。
 京都の一口餃子「泉門天(せんもんてん)」のより、少し大きい。
主食として、お腹がふくれる感じはこっちのほうが高い。
 何だかぱくぱくあっというまに食べてしまった。
 おそらく「牛タンのねぎし」レベルで、この先何回も日記に登場
するお店になると思う。けっこうお勧め。

 午後7時。帰宅。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。 
 またしてもエネルギッシュに、キーボードを叩きすぎて、右腕が
痛くなってくる。
 また明日もタントン・マッサージに行くかな。
 きょうはちょっと夜中まで働くぞ。調子がいいのだ、このところ
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作りは。やっぱり横浜ベ
イスターズ効果かなあ。

 


8月10日(火)


 朝から絶好調!
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
『さくまあきら・バラエティ・ブック(仮)』の完全年表作り。
 いずれも絶好調!
 完全年表のほうは、ほぼ完成!
 
 午前11時。夏休みのグルメ・バカ娘は本当に起きない。
 寝起きも悪い。きょうも、あまりにも起きないので、置いて行く
ことに。するとがたがた音がして、むっくり起きて来た。ぶす〜〜
〜っとした顔でついて来る。

 午後12時。雨が降ったり、やんだり。
 青山のご飯の美味しいお店「田んぼ」に行く。
 冷やしとろろご膳、1200円。
 秋田県由利産のあきたこまちをつかったご飯だそうだ。
 ご飯で、由利(ゆり)産。
 グルメ・バカ娘とおなじ名前である。やはり食い物の神様が付い
ているのか? グルメ・バカ娘には。
 一度この由利という場所を訪れてみたいものだ。
 どこにあるのだろう。さすがの私も知らない。

 午後1時。原宿ラ・フォーレ前の交差点。ジョナサンのビル3F。
 歌手のさだまさしサンのグッズ・ショップ「A WEEK」に行
く。インターネットでこの場所を知った。まさかこんな近所にある
とは思ってもみなかった。
 建物が古くて、ちょっというか、思い切り地味。
 けっきょくCDを1枚買っただけ。
 実は私はさだまさしサンの大ファンだったりする。
 グレープ時代からの今日までのレコード、CDを全部持っていた
りする。
 さだまさしサンについて語ると長いよ。
 好きでない人も多いと思うので、さだまさしサンの話題を振って
くれた方にだけ、延々お話する。

 午後1時30分。原宿から渋谷に向かう明治通りをちょこっと脇
に入ったところのカフェ・レストラン「オブレロ」でコーヒー。
 チャイニーズ・レストランみたいな外装だったので、一度入って
みたかった。
 予想外に、ティラミスが美味しくて、もりもり食べてしまって、
お腹がふくれる。そのふくれたお腹を、グルメ・バカ娘がずっと人
差し指で突つきまくる。やめろっての! 本当にくるしいんだから。
お腹がホンジャマカの石塚英彦さんになってるんだから。
 
 余談だが、いまホンジャマカの石塚英彦さんが、何をやってもお
もしろい。いまいちパッとしない『ど〜なってるの!?』の画面の
隅で、延々ギャグを密かにやっている。これがおもしろい!

 午後2時30分。帰宅。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 いい調子だぞ。書いても書いても終わらない原稿が、ようやく進
み始めた。まだ帰省ラッシュの渋滞道路がちょっと進み始めた程度
だけどね。

 すぎやまこういち先生ご夫妻から電話。
 定期検診ででかけた病院に、あの野村沙知代こと、サッチーが現
れたそうである。
 しかも青山「穂積」を予約しようとしているらしい。ぎょっ!
 よく町でみかけた芸能人を通報する番組があるけど、きょうの通
報者がすぎやまこういち先生ご夫妻とは、まあ、ゴージャス。

 外で雨が降ったり、やんだりしている。
 どうも天気が安定しない。
 天気が気になる。
 実はきょうは、神宮外苑の花火大会なのだ。

 しかも、原宿に越して来てから、3年目。この花火大会を一度球
場で見ようと思っていて、先日チケット売り場に行ったら、これが
売り切れ。
 仕方ない、例年通り、家の近所をよろよろ移動しながら、絶好の
ポイントでも探すかと思っていたら、一昨日の晩、なんと!
 浅草キッドの水道橋博士から電話が入って、神宮球場の花火大会
のチケットが手に入ったので、ごいっしょしませんかというではな
いか! 何たる偶然! 何たる幸せ! 何たる渡りに船!

 彼らとは仕事で何回か会っているのだが、1度少年サンデーの仕
事で来てくれたときに、うちが神宮球場に近いことを覚えていてく
れたんだろうなあ。
 この気配り、律儀さには、いつもいつも本当に頭が下がる。
 TVなどで見るイメージと違って、浅草キッドの2人は、とても
礼儀正しい好青年なのだ。
 こういう人たちでないと、厳しい芸能界を生き抜いて行けないの
だろうなあ。
 
 午後5時30分。せっかくのお誘いだから、晴れてほしいのに、
外は雨。とりあえず家を出る。
 青山「穂積」で用意しておいてもらった、穴子寿司を取りに行く。
お店の人たちが、雨を心配してくれる。まったくいつも一流の人た
ち、一流のお店に囲まれていると、幸せな人生だねえ。

 午後6時前。少し空が明るくなって来た。秩父宮ラグビー場の上
に、大きな虹がふたつ。山手線の内回り、外回りのように、二重に
なって、虹が架かっている。こういう虹を見たのは初めて。

 神宮球場に着くころには、少しずつ雨が上がって来た。
 席は、バックネット裏の特等席。
 むちゃくちゃいい席だ。
 雨が上がって、少し風も出てきて、最高の天気だ。
 球場ではすでに、三遊亭楽太郎さんのトークが始まっていて、S
POONとかいうグループの歌が始まる。彼らの新曲が『花火』。
出来すぎてるぞ〜。

 午後6時すぎ。電撃ネットワークのライブが始まるころに、浅草
キッドの2人が到着。『未来ナース』の収録のあとこっちに向かっ
て来たのだ。
 玉袋筋太郎くんの奥さんと子どもも合流。
 この玉袋筋太郎くんの子ども、6歳、男の子がかわいくて、かわ
いくて。しかも人なつっこい。 奥さんはモデルさんにようにきれ
いな方。子どもはもちろん、奥さん似。
 またまたいきなりお弁当をいただいてしまう。
 青山「穂積」の穴子寿司に、さらにお弁当。
 贅沢三昧モードに突入である。
 午後6時30分。加山雄三さんのライブ。なんと私が大好きな元・ ベンチャーズのノーキー・エドワーズさんが、スペシャル・ゲスト。 昨年赤阪ブリッツのライブをわざわざ見に行ったぐらいなので、招 待してもらったあげくに、この予期しないスペシャル・ゲストは、 涙モノだ。  水道橋博士とちょっとインターネットの話など。  私のこの日記は、水道橋博士のインターネット日記を見て始めた ので、日記では先輩だ。その先輩がよく私の日記の内容を覚えてい てくれるので、うれしいかぎり。  あげくに、『さくま式人生ゲーム2(仮)』について、いろいろ アイデアまでいただく。  前作をやってくれたうえで、ここをこうしたほうがいいんじゃな いですか?とアドバイスをくれたんだけど、このアドバイスが本当 に的確なんで、びっくり!  ゲーム業界人とは、まったく違った視点でのアドバイスなので、 本当にもっともな意見ばかり。  開口一番言われた、コースが短くなかったですか?は、今回真っ 先に直したところなので、ほっとする。  ほかにもたくさん言ってくれた部分は、現在仕込んではいるのだ けれど、こっちの仕掛け通りになってくれるかどうかは作ってみな いとわからないので、ちょっと心配。    やっぱりアドバイスっていうのも、才能が必要なんだなあ。  ほかにもすぎやまこういち先生と、堀井雄二くんと、鳥山明くん のアドバイスが一番「なるほど!」と、膝を打つことが多いもんな あ。あれ? これって、『ドラクエ』のメンバーじゃないか!  当然の帰結ってやつか、これって。  なんとか水道橋博士のアドバイスに答えることができるような 『さくま式人生ゲーム2(仮)』にしたいものだ。  午後7時15分。加山雄三さんのライブ終了と同時に、ドンドン ドン! ドンドンドン! 花火が始まった。  ちょうどほどよく空も暗くなって来た。  涼しい。ウチワであまり仰がなくてもいい涼しさ。  ドンドンドン! パカッ! シュ〜〜〜〜〜! ドンドンドン!  シュ〜〜〜〜〜、バリバリバリ! ドスンドスン!  シュ〜〜〜〜〜、パカッ! ババババババッ! ヒュ〜〜〜〜!  ドンドンドン! ドンドンドン! ドンドンドン!  シュ〜〜〜〜〜、バリバリバリ! ドスンドスン!  まあ、しだれ桜風の花火、ジャコビニ流星群のような花火、牡丹 やダリヤの花のようなもの、土星みたいのなど、いろんな花火の形 があるもんだ。 「わ〜〜〜、きれい〜〜〜〜〜!」以外の言葉が浮かばない。  家の近くで、毎年見ていたとき、連発で花火が上がったかと思う と、妙に1分間ぐらい間が空くときがある。  きょう見て、わかった。この間は、球場で「これから打ち上げる 花火は武富士の提供でお送りします」というアナウンスが入ってい た間だったんだ。なるほどねえ!  何たって、1万発の花火だ。  スポンサーが無ければ、これだけの花火、打ち上げられるわけな いもんなあ。江ノ島の花火が、一晩3000万円っていうのを聞い たんだから、こっちはそれ以上なんだろうなあ。  キリン、DHC、ヤクルト、武富士、旭化成といったTVでおな じみの企業が名を連ねているだけに、値段が高そうである。  横で、嫁がデジカメでは、花火をうまく撮影できないとぶうぶう 文句を言っている。  けっこうきれいだけどなあ。
↑ クリックすると花火が!
   あとでインターネットでちょっと調べたら、紅色は、ストロンチ ウム。緑色は、バリウム。黄色は、ナトリウム。紫色は、銅とスト ロンチウムの混合。金色は、チタン合金。  こういう化合物を燃やしたときの炎色反応なんだそうだ。  化学なんだねえ、やっぱり花火は。  それにしては情緒たっぷりだけど。    第一部が 終了して、しばらく間があって、すぐ第二部へ突入。  この第二部。最初、オーロラビジョンに、武富士のCMが流れた。 深夜になるとTVでイヤってほど流れる、あのレオタード軍団の踊 りだ。ははは。このCMだけでも笑えるのに、なんと! ドカン! という音がしたと思ったら、ステージ上に、本物の武富士ガールズ がいるではないか!  これにはお客さんたちもバカ受け! CMより人数多いぞ!とか 言いながら、楽しい演出だ。  またまた派手な花火を連発。  玉袋筋太郎くんが、スポンサー名をアナウンスされるたびに、合 いの手を入れている。彼流のサービスなのだろう。 「よっ、ヤクルト! ペタジーニ!」。  いつも球場の外で見ていたあの花火をいま、こうして見ている。 ビデオより映画館で。TV中継より、球場で。  花火もやっぱり生で見ると全然違う。  音が違う。臓腑に響く音が絶対に違う。  午後8時30分。楽太郎さんが出てきて、アンコールを宣言。  最後に連発、また連発!  アンコールの提供も、また武富士であった。  やるな、武富士!  や〜〜〜、たっぷり堪能してしまった。    浅草キッドの2人とは、必ず青山「穂積」へご招待を約束して、 球場の外へ。  球場の外といっても、家に帰るんだけどね。  嫁はどこかに飲みに行く。  グルメ・バカ娘がついて行こうとする。まだお酒には早いぞ。グ ルメで、さらに酒飲みにでもなったら、将来人生ボロボロだぞ。  午後9時。帰宅。  TVをつけると、ちょうど横浜ベイスターズ、佐伯選手の逆転3 ランが飛び出したところ。何ていうタイミングなんだ。  腰をどっかと落ち着けているうちに、10連勝達成!  何だかまるで昨年の優勝モードみたいな雰囲気だ。  まあ、10連勝が球団タイ記録だそうだから、そろそろ止まるだ ろうけど、きょうは神宮の花火に、佐伯の逆転花火。  申し分の無い1日である。
 


8月11日(水)


 午後12時。近所のフランス料理屋「ルナ・アンジェロ」で、ラ
ンチ。ここのランチのスペシャルカレーはいつも、食材とか味つけ
が替わって、いつも何が出るか楽しみ。
 きょうは牛タンカレー。またまた美味しい!
 サラダに、コーヒーが付いて、1000円か、1200円なので
お得。ただランチでしかこのカレーは出ないので、お昼時に。
 カレー・マニアの人にはぜひ食べてほしい。

 午後1時。帰宅。
 きょうはこれから、TBSラジオ『有限会社 桃太郎商店』の録
音がある。
 しかもいつものTBSで録音ではなく、わが家から。
 これにはびっくり。
 狭いわが家に、10人以上の人が入るのかなあ?

 テレコム・サウンズの田中さんたちが来て、録音のセッティング
を始める。早くも私とムサシノ広告の伊東正義がすることが無いし、
ジャマなので、家の並びにある喫茶店「らぴす」で待つことにした。
ちょうど到着した、放送作家の福本岳史くんも誘う。

 喫茶店「らぴす」で待っていると、ハドソンの梶野くんが来るの
が、喫茶店のなかから見えるので、つかまえる。
 この要領で、アリtoキリギリスの石井正則くんと、マネージャー
さんもつかまえる。
 だんだんこのパターンがおもしろいので、吉野紗香ちゃんと、マ
ネージャーもつかまえる。
 すっかり喫茶店「らぴす」が控え室になってしまった。
 しかも話題は石井正則くんの結婚話に集中。
 この辺の話は、8月16日の放送で、のっけから触れるので、ぜ
ひ聞いてね!
 
 さて、午後2時から録音スタートのはずなのに、ひとり足らない。
 そう! 石塚義之くんだ!
 午後2時をかなりすぎて、ほとんど午後2時30分になって、汗
だくになって、石塚義之くんが入って来た。
 このあとすぐ、田中さんが来て、準備が出来たの報告。
 それじゃ、石塚義之くんだけ、残してみんなは私の家に行くかと
みんなが言い出して、大爆笑!
「ま、ま、ま、まってくださいよ〜!」
 いつもの石塚義之くんのネタのパターンそのままである。

 けっきょく喫茶店「らぴす」さんで、録音のリハーサルをするこ
とに。

 午後3時。わが家で、録音開始。
 8月16日放送分は、石井正則くんの結婚の話と、新作『桃太郎
電鉄』の題名発表というスクープが入って、盛りだくさん。
 いつもよりいっぱいしゃべって、どこがつかわれるのかちょっと
わからない。

 1本目が録り終わったところで、吉野紗香ちゃんと石井正則くん
が最近ずっと、iMacをほしがっているので、ふたりして嫁のiMac
を見る。
 いよいよ石井正則くんがiMacを買うのを決意したようだ。

 8月23日分も、2本録りだから、石井正則くんの結婚話が続い
て、メインは新作『桃太郎電鉄』のテストプレイ。
 まだ開発中の『桃太郎電鉄』のテストロムをみんなで見る。
 一番テストロムをやりこんでいる宮路一昭くんをゲストに招いて、
たくさんあるミニゲームのなからひとつ選んで、実際にみんなでプ
レイして、負けた人が、いま持ってる物を何かひとつ聴取者プレゼ
ントにしようという企画。
 結果は聞いてのお楽しみにね!
   
 ここで新作『桃太郎電鉄』について触れたいんだけど、いろいろ 優先順位があって、制作者の私でもホイホイ気軽に、内容をいうわ けにはいかない。  石塚義之くんは、単独ライブが終わって、3日目で、声が枯れて いるにもかかわらず必死のハイテンションで飛ばすので、あいかわ らずいつものように、ぐったり疲れる録音。  笑いすぎると、こんなにも疲れるものなのかということをイヤと いうほど知らされる番組だ。気分はいいけどね。  午後6時。録音終了。  それぞれみなさん次の仕事があるというので、三々五々帰って行 く。  珍しく、石井正則くんが時間があるというので、うちの家族とい っしょに食事しようということになる。  午後7時。西麻布のおなじみ「内儀屋(かみや)」へ、私、嫁、 石井正則くん、グルメ・バカ娘という不思議な編成。  石井正則くんとじっくり話すのはひさしぶり。  素晴らしい芸人さん、芸能人さんの話で盛り上がる。  石井正則くんは『古畑任三郎』に出演したおかげで、キムタクの 本当の役者としての格好良さを話してくれる。  キムタクは絶対みんなの前に、台本を持って現れないんだって。  もちろん全部頭に入れて来ているからだ。  こういう格好良さを追求してるから、キムタクなんだろうなあ。  その格好良さに気づく、石井正則くんもえらいんだけどね。  話題は、大成する人間に必要なものは何だろねえという話に。 「負けず嫌い」と「執念」。  どんなに才能がありそうな人でも、このふたつが欠けていると、 いつのまにか消えて行ってしまうという結論に。  こういう話ができる芸人さんが少なくなって来ているだけに、石 井正則くんと話していると楽しい。    風が吹いているなあ。アリtoキリギリスに。  私はたくさんの芸能人、芸人さんの、いままさにブレイクする寸 前を見て来ているから、この風が吹いているのがよくわかる。  石塚義之くんがこのところ、急速にレベルアップしているから、 アリtoキリギリスの時代はもうそこまで来てる感じがする。  ふたりが、この先思い上がらずに、いまの努力を続ければ、ゴー ルデンでメインを張れるぐらいまで行くと思うなあ。    午後9時、帰宅。  さすがに『有限会社 桃太郎商店』録音の日はへばる。  とても仕事をする気力が無いので、鍼灸師の弓削くんを呼ぶ。  横浜ベイスターズも10連勝が途絶えたし、今夜は私も小休止。
 


8月12日(木)

 
 午後12時。西麻布の定食屋さん「たぬき」に行く。
 前に2度ほど来ているのだが、ものすごくご飯が美味しいという
評判のわりに、あまりピンと来なかったお店。

 ただ私の場合、小説を読むときでも、作家別に最低3冊読むこと
にしている。でないとその人の代表作では無い場合があるからだ。
相当昔、内田康夫さんを初めて読んだとき『パソコン探偵の名推理』
という本から読んでしまったばかりに、名探偵浅見光彦は出てこな
いわ、ギャグ・タッチだわで、しばらく読まないでいた失敗がある。

 だからこの「たぬき」もきょうで3回目。ダメなら来ないお店の
ほうに入ってしまうのだろうが、きょうは美味しかった!
 関さばの塩焼き、スルメイカの煮付け、さわらのい照り焼き、し
らすおろし、玉子焼き、みず菜のおひたしを家族でつつき合う。
 過去2回、お魚との相性がいまいちだったんだけど、きょうのさ
わらの照り焼きは、ぷりっぷりっで、んまいこと、んまいこと!
 このお店自慢のご飯とも、相性がいい。
 定食屋さんだから、値段も安いし、ランキング急上昇だ。
 これがあるから、おなじお店も季節を変えて、3回は行ってみな
いとダメなんだなあ。

 午後1時。かねてより西麻布に来たら寄ってみようと思っていた
お店がある。「ル・スフレ」というお店だ。
 名前の通り、スフレの専門店。
 スフレとは、辞書の言葉を借りれば「泡立てた卵白を主体として、
ふんわり焼いたフランス菓子」とういうことになる。あまり美味し
そうではない。
 まずいきなり焼き上がるまでに、15分かかるという。
 せっかち家族に、15分はつらいので、コーヒーを飲んで待つ。
 注文は、バニラ、チョコレート、フランボワーズのスフレである。
 家族3人、誰がどのスフレを注文したか、わかりそうな選択であ
る。
 おお! 来た、来た! ふっふっふ。こういう甘い物に初挑戦の ときというのは、ドキドキするもんだなあ。  ほう。やわらかい。スプーンがす〜っと沈んでいく。  パウウンドケーキのようでもあり、プリンのようでもあり、卵の 風味がふわんと鼻孔をくすぐって、デブ御用達のムード満点。  これは病みつきのお店になるなあと、グルメ・バカ娘に問えば、 「甘すぎる」  バサッ!と斬って捨てる。かわい気のないガキだ。  中学生なんだから、こってり甘い物に巻かれろよな。  午後1時30分。帰宅。  午後2時。きょうは『さくま式人生ゲーム2(仮)』の会議。  一番乗りは、放送作家の福本岳史くん、続いて宮路一昭くん、あ とどういう順番で来たか忘れたけど、タカラの高田さん、VR─1 の荒堀明弘くん、本山博敏さん、イラストレーターの高内優向さん、 土居ちゃん(土居孝幸)。  きょうはかなり密度の濃い内容で、ゲームの行方、評価を左右す るような決定事項ばかり。  まずMAP。前作とまったく違うレイアウトの提案があって、う めく。おもしろそうだけど、素人さんから見たら、いっけん手抜き に見えないだろうか? この点で議論する。  このほうがわかりやすくて、思い切ったイベントの動きを入れら れるのだが、素人さんはなにしろファースト・インプレッションが 最後まで持続する。  それをどうするかだ。う〜む。冒険してみたい!  引き続き、文字フォントで議論。  文字フォントは、文筆業である私の生命線なので、これがうまく 行かないと、得意の投げやりモードに入ってしまうので、最良の形 を取りたい。 『ジャンプ放送局』でも、1行を18文字にするか、20文字にす るかで、延々榎本45歳と打ち合わせたものである。 『ジャンプ放送局』以降の読者ページのレイアウトが、みんな『ジ ャンプ放送局』をマネたものばかりで、さくまサン、腹が立ちませ んか?と言われたが、とってもうれしい。  突き詰めていけば、あのレイアウトをマネるしか、効率よくギャ グを見せることができないというところに私は14年間かけて到達 したのだから、違ういいレイアウトでも出された日には、自信喪失 になってしまうのだ。    というくらい、文字フォントの大きさ、デザインについてはうる さい。目立つ文字になるからではないのだ。ある場面では目立たさ ない文字としても役に立ってもらわないと困るのだ。    おっと、きょうの会議の密度が濃かったから、一般のみなさんに はわかりづらい話をしてしまった。  たまにはこういう話もいいよね。  苦労していることをしゃべるのはあまり好きでは無いので、この へんで。  午後6時。会議終了。  高内優向さんと、『さくま式人生ゲーム2(仮)』のキャラ・デ ザインの打ち合わせ。よし、よし、OK、OK! でもこれだとゲ ームとしておもしろくならないから、ああいう風に、こういう風に、 描き直し!  完全に土居ちゃん(土居孝幸)と同等に扱っているので、何度で も描き直しだ。  おかげで高内優向さんの絵は、最初の頃より、格段によくなって いる。  午後7時。土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭くん、高内優向さ ん、嫁、グルメ・バカ娘と、近所の「ブルドッグ」で食事。  またまたみんなでプロ根性について、高内優向さんに教え込む。  早いところ、プロ根性のレベルを上げてくれないと、やっぱり結 果的にみんなの足を引っ張ってしまうことになるから、考え方が大 人の仲間入りしてくれないと困るのだ。  宮路一昭くんがスタジオ付き一戸建てを買う野望が遠のいて行っ てしまう。ねえ、宮路一昭くん!  午後9時。帰宅。  横浜ベイスターズがぼこぼこに負けたのを見て、きょうは『プロ 野球ニュース』を見ずに、たっぷり仕事が出来るぞと、負け惜しみ。  まあ、今年も奇跡のような10連勝を味わうことができたから、 満足、満足。また来年もがんばってねだ。
 


8月13日(金)


 午前10時。原宿診療所。血液検査に、検尿。
 血圧が160─110と、このところぐんぐん上がっている。
 ちょっとやばいなあ。
 ゲーム作りで相当ストレス溜まってるからなあ。

 午後11時30分。きょうからお盆でお休みのお店が多い。
 そういえば毎年お盆は京都にいる。東京で迎えるお盆は何年ぶり
だろう? 数えられないくらいだなあ。
 どうせならこのお盆の間、ずっと食事はホテルにしてやろうと計
画していた。もともとあまりホテルの食事についてくわしくない。
 グルメ・バカ娘がこのところずっと「虎屋のお赤飯食べに行こう
よ〜」というのは無視する。
 食の神様のいうことを聞かなかったばかりに、ちょっとしたえら
い目に会う。

 午後12時。第1弾! 赤阪プリンスホテル!
 ありゃ? 私の知ってる赤阪プリンスとちょっと違うなあ。こん
な高層ビルじゃなかったはずだと思っていたら、どうやらそれは旧
館のようだ。まあいいやと高層ビルのなかでお店を探す。
 どうも見るからにパッとしたお店が無い。
 超人的なグルメ・センサーを持つ、わが娘もむっとした顔をして
いる。B1全部見るが、とにかく館内に覇気が感じられない。
 40Fのレストランにも行くが、喫茶しかやっていない。
 これは危険だと、赤阪プリンスホテルを諦めて、ホテルオークラ
に向かうことにする。

 午後12時30分。ホテルオークラ。またしてもピンと来るお店
が無い。やっとこれならと思ったお店は別館。地下道みたいなとこ
ろを通って行く。このままどこへ行ってしまうんじゃい?
 別館12Fのフランス料理屋「ベル・エポック」。
 わざわざ1Fに「ランチメニューもあります」とわざわざ書いて
あるし、美味しそうだから、ここにしよう…と思ったら、着いたと
たん「ジャケットを着用で無い方はご遠慮…、ジャケットはお貸し
できるのですが…」。
「はいはい、いいです、帰ります」。
 わざわざジャケットを借りてまで、真っ昼間から飯なんぞ食いた
くないわい!
 もともとネクタイ、スーツ着用のお店には行かない主義だ。
 
 意地を張ったはいいが、いいかげん腹も減っている。
 少し風があるとはいえ、やっぱり暑い。
 お盆でやっているかどうかわからないお店までのみちのりをとて
も歩いて行く気にもならない。

 午後1時。けっきょくグルメ・バカ娘がこのところずっと力説し
ていた赤阪の「虎屋」に行って、お赤飯を食べることになった。
 なんだかまたグルメ・バカ娘の怨念に押し切られたようである。

「虎屋」のお赤飯は、グルメ・バカ娘が執着するだけあって、美味
しいのだけれど、お赤飯と、お新香、佃煮がちょぼちょぼで、値段
1000円はいくら金銭感覚の無い私でもちとつらいものがある。
 お赤飯も、茶碗一杯分しかないし…。
 せめてみそ汁ぐらい付けてくれよなあ…。
 仕方が無いから、お赤飯を食べたあとに、白玉をふたつトッピン グしたあんみつ(黒蜜)を注文してしまったじゃないか〜。  うひ〜〜〜い、ちょっとあんこが甘すぎた〜。歯が浮く〜!  午後2時30分。食後、赤坂見附でお茶を飲み、本を買い帰宅。  午後3時。ビー・アール・サーカス出版の森澤明夫さんが来る。 いよいよ『さくまあきら・バラエティ・ブック(仮)』の本の台割 りを決める。  題名も『さくまあきらの正体』が有力。  いきなり目次の前に、年表を持って来てしまおうかと、かなり大 胆なアイデアが出たりして、楽しい。  こんなに楽しい本作りはひさしぶりだ。  あとでインタビュー記事の部分を見たら、まあ、あんなことも、 こんなこともベラベラしゃべっちまってる。  これだけ初公開の話が満載の本は、私にしては珍しすぎるぞ。  本当に『正体』を知られてしまいそうだ。  やっぱり本作りは楽しいなあ。  もっとみんな本を読もうよ!   午後5時。新人漫画家・汐崎隼さんが来る。  『当方見聞録』用の完成原稿を持って来る。『当方見聞録』は8 月15日ぐらいに『月刊デジタルさくまにあ』で掲載開始の予定。 お楽しみに。  丸掘彩文さんの『アリtoキリギリス単独ライブ・レポート漫画』 も載る予定なので、アリtoキリギリス・ファンのみなさんは今から クチコミしておいてね!  午後7時30分。汐崎隼さん、嫁、グルメ・バカ娘と六本木の中 華料理屋「香妃園(こうひえん)」。おなじみ鶏そばが美味しい お店だ。何といってもこのお店は年中無休だし、夜中もやっている から便利だ。  午後9時。帰宅。  さっそく『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。昨日か らずっとおなじ箇所でストップしたまま、結論が出ない。  苦しい。どうも血圧が上がっているのはこのせいのようだ。  お客さんのことを考えて、考えて、考え抜いて、結論を出すのだ が、その正しい落下地点がどこなのかわからない。もっと考えれば ふっと思いつくのだろうが、頭のなかの酸素がまったく無くなって 来たかのような苦しさだ。映画『アビス』の仮死状態みたいだ。  おっと、私の懊悩、苦悩を象徴するかのように、横浜ベイスター ズが10連勝のあと、3連敗。投手のガルベスに満塁本塁打を打た れて負けるなんて、なんて素晴らしいショーマンシップなんだろう。  横浜ベイスターズ、おもしろすぎるチームだ。  ダメだ、寝よ。
 


8月14日(土)


 土砂降り。叩きつけるような雨はひさしぶりだ。

 午後12時。お盆はホテルでシリーズ第2弾! 
 と言っても昨日は、失敗してシリーズどころか、まだ発進してい
ない。
 きょうは手堅く、帝国ホテルにする。

 例によって、麻薬警察犬のようなグルメ・バカ娘を飲食店街に放
つ! 門構えと、店のロゴタイプと、メニューからどこのお店が美
味しそうかどうかを、くんくん言わせながら判定して行く。
 お寿司で有名な「なか田」も見向きもしない。

「ん? おいしそうな匂いがしてる」とグルメ・バカ娘が言い出し
た。どこだ? どこだ?
 な〜んだ、「吉兆(きっちょう)」かあ!
 そりゃおいしいに決まっている。
 お昼のお弁当というのがあるのか。
 まあ、ここにするか。
 土砂降りの雨の中、やって来ただけに、どうも真剣に選ぼうとし
ていないようだ。

 味のほうはまあまあ、新宿の正月屋吉兆さんでも出るメニューの
ダイジェスト版みたいな感じ。

 午後1時。帝国ホテルの高級嗜好品店街を覗いて歩く。
 宝石、骨董品、毛皮屋さん、どのお店の正札も、0をたくさん並
ばせて楽しそうだ。
 象牙でつくったお相撲さんの根付け、74万円とか、うほっほだ。
 真珠のお値段150万円、240万円。笑っちゃうよ〜。
 こんな品物をほいっと買って帰るお金持ちっていうのも、この世
の中にはたくさんいるんだろうなあ。
 どうも宝飾品には、まったく興味が無い。

 午後1時30分。ロビー喫茶店でお茶を飲む。圧迫感のある巨大
壁画がうっとおしい。
 どうもこの「お盆ホテルめぐりシリーズ」は失敗のようだ。
 きょうで終了にしよう。

 午後2時。帰宅。
『さくまあきらの正体』のなかに入れる、グルメ・ガイドの原稿執
筆。『月刊デジタルさくまにあ』に載っている「食品館」のリスト
を、値段が安くておすすめのお店、お金があったらぜひのお店、一
生に一度は行きたいお店という風に、分類して、ひとことずつコメ
ントを加えて行く。
 思ったより大変だったけど、楽しい仕事だ。
 
 引き続き、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。毎日
VR─1の荒堀明弘くんからも電話が入って、刻一刻ゲーム作りが
進んでいる感じがいい。
 仕事をもっと急がないと!
 
 午後7時。やんだと思っていた雨がまた激しいので、家で焼きそ
ばを作って、夕食にする。
 お昼の「吉兆」が重たかったのか、そんなにお腹が減らなかった。

 食後も、グルメ・リストをまとめたり、『さくま式人生ゲーム2
(仮)』の仕様書を作ったり、電話をしたり。
 雨のおかげで、一転不調の横浜ベイスターズの試合がなくてしあ
わせ。みっちり仕事しよっと! 
 


8月15日(日)


 終戦記念日。
 最近はテレビでも、あまり終戦記念日の特集を組まなくなってき
ている。

 午後12時。お盆のホテルめぐりシリーズに懲りたので、きょう
は原宿と渋谷の中間にある、すかいら〜くガーデンズに初挑戦。
 通常のすかいら〜くと違って、ちょっとトロピカルで、テラスま
である。大きなガラスの向こうに、代々木体育館が真正面に見える。
 開放感があっていい。
 なにしろこのすかいら〜くは、ビルの3Fにあるのだ。
 メニューも、ありがちなファミレスと全然違っていて、ほかのお
店のサラダ・セットに相当するパンエ・セットというのがすごい!

・ミネストローネカップスープ
・スモークサーモンのシーザーサラダ
・カポナータ
・やりいかのフリット
・ツナのブルスクッタ

 どれも変換キーで、カタカナにならないような物ばかりだ。
 通常のメニューもこういった感じの名前の連続でどれを選んだら
いいのかよくわからない。
 こういうときは、ハンバーグで味を確かめる。比較しやすいから
だ。
 
 もぐもぐ…、ひさびさのファミレスはあいかわらず接客の悪さは
どこも絶好調だなあ。…などと言うことを思いながら、もぐもぐ…。
 けっこう味は悪くない。
 ほかのファミレスの味よりは、格段によい。
 ただそれだけだ。

『ほんのチョイ係』のほうでのファミレス・ベスト3のびっくりド
ンキーが気になるが、どうも都心部に、びっくりドンキーが無い。
 ファミレスとかって、インターネットで調べると、必ずホームペ
ージがあって、家に近いお店はどこにあるのかわかっていい!
 おなじ物を銀行が地図入りで作ってくれればいいのに。
 新宿に出る、渋谷に出る。
 銀行がどこにあったか忘れてしまう。

 食後、原宿のキャット・ストリートと呼ばれる裏道を散歩する。

 午後2時。嫁。グルメ・バカ娘と別れて、私は美容室「ヘア・ス
トリート」へ。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』に、美容師の職業を入れるので、
いろいろ専門用語を聞く。

 午後4時30分。帰宅。
 すかさず『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 画面をずっと見つめたままの作業は、目が乾いてつらい。

 午後7時。新宿伊勢丹前の「銀座アスター」で食事。
 きょうは給料日だから、銀座アスターに行きましょうという家族
が多いのに、グルメ・バカ娘は味がいまいちだの、パッとしないと
まで言い切る。ふとどき者だ。
 せいぜい大人になったら苦しむがいい!

 午後8時。速攻で帰宅。
 しばしも休まず『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 どうも書いているそばから、システムを変更するようなアイデア
ばかり出てくる。
 そんなことしてたら、いつまでたっても完成しないんだから、ま
ず完成のほうを先にしないと!

 テレビで横浜ベイスターズ対巨人戦を観戦。
 何だかパッとしない試合展開だ。
 ああ〜、同点されてしまった。
 おお! またしても佐伯のホームランで逆転だ!
 佐伯選手は5番ぐらいを打ってもいい打者だと思うんだけどなあ。
 なんとか5対3で勝ってよかった。
 3連敗だったから、連敗ストップのほうがうれしい。

 もうひとがんばりするぞ! 一体『さくま式人生ゲーム2(仮)』
の仕様書はいつになったら完成するんだろう。
 ときどき一生完成しないんじゃないだろうか?という焦燥感に襲
われる。
 少しずつ完成原稿の部分を増やして行くしかないだろうなあ。
 


8月16日(月)


 昨日嫁とグルメ・バカ娘は、友だちと川遊びに行くはずだったの
だが、折りからの土砂降りで、川が氾濫して行けなくなってしまっ
た。
 もし行けたら、うちはスイカ担当だったらしく、大きなスイカ1
個が残ってしまった。
 そしたら急に昨日の夜、グルメ・バカ娘が一度スイカを半分に切
って、半分ほじくりながら食べたいと言い出した。
「お腹をこわすぞ!」と言ったのだが、こういうときの子どもの答
えはいつも「大丈夫!」だ。
 で、そのときうれしそうに食べた顔の写真をここに掲載する。
 その後、グルメ・バカ娘がお腹をこわして、何度もトイレに行っ たのはいうまでもない。  午前9時。きょうも『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作 りから。こつこつひとつずつ完成させて行くしかないと、地道にキ ーボードを叩く。  邪念無くこつこつ叩いていると、あら不思議。3日間かかってま ったく完成しなかった職業がひとつ完成した。    午前11時。ナムコの門谷祥子さんが来る。新人漫画家の汐崎隼 さんが来る。  門谷祥子さんは、4月にナムコに入社して、最初のお盆休みにな ったので、挨拶に来た。  午後12時。門谷祥子さん、汐崎隼さんを連れて、四谷3丁目の 欧風カレーの店「オーベルジーヌ」に行く。おなじみ甘口ビーフカ レー。  午後1時。帰宅。書庫に行って、整理して入らなくなった本をあ げる。インターネットのせいでいらなくなって行く本が多くて、本 好きとしては、消えゆく蒸気機関車に「さよなら」を言っているよ うで淋しい。  と同時に、買ってもどこに何が置いてあって、どの仕事のとき、 どのページが役立つのかまで暗記していないと、本はつかえない。  ということは、やっぱり本はいらないという結論になってしまう。  たとえばインターネットで川端康成さんの『伊豆の踊子』とか『雪 国』をひとつ100円でダウンロードできるほうが、狭い日本家屋 には圧倒的に適している。    午後3時。再び『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。 きょうは本当に調子がいい。一進一退とはこのことだ。昨日はあれ だけ苦しかったのに、きょうはすいすい音がするようだ。  1週間かかって、やっとひとつの職業が完成するペースなのに、 きょうはふたつ目が完成してしまった。  これはめでたい!  めでたいので、最近お会いしていないグルメの師匠・すぎやまこ ういち先生ご夫妻に電話して、お食事をお誘いしてしまう。  明日、名古屋日帰りというハード・スケジュールを前にして、ご いっしょしていただけるという、ありがたき幸せである。  午後6時。新宿の新星堂、カメラのさくらやホビー館コース!  新星堂で、iMacのCM曲『シーズ・ア・レインボー』が入ったロ ーリング・ストーンズの『サタニック・マジェスティーズ』とDV D『アルマゲドン』、ビデオ『明日に向かって撃て』を買う。  カメラのさくらやで、ついにドリームキャストを買う。ソフトは もちろん『シーマン』だ。  午後7時。伊勢丹デパート7F「正月屋吉兆」で、すぎやまこう いち先生ご夫妻とごいっしょ。  こうしてお食事できるのは、ひさしぶりなので、つもる話を機関 銃のように話す。といっても、会えなかったあいだ、どのお店に行 って、よかっただの、外しただのが、会話の中心。  またまたいろいろなお店をいただいたので、メモって近々行く予 定。ただこの暑さだと、ちょっと道順を間違えると、たどりつく前 にへばってしまう危険がある。  すぎやまこういち先生のいま、ゲーム音楽で大忙しの様子。  自分だけせっぱつまっていると、内部爆発しそうになるときがあ るが、師匠も忙しいのだから、あたりまえと妙におだやかになれる。
 午後10時。帰宅。  放送作家の福本岳史くんから電話。『さくま式人生ゲーム2(仮)』 の仕様書を手伝ってもらっているのだけれど、あまりの大変さに驚 いているようだ。  よかった。またこの苦労をわかる人がいた。  今や私の頭の中の95%は『さくま式人生ゲーム2(仮)』でい っぱいである。  かつてこれほどまでに、のめり込んで作ったゲームというのは1 作目の『桃太郎伝説』以来だ。  なんだか初心に帰ったようだ。   今夜ももう少し、仕事をしてから寝よう。  寝る時間がもったいない…。
 


8月17日(火)


 いろんな人に、夜寝る直前に物を食べると、太る元になると言わ
れる。
 以前は寝る直前に、バカ食いしてものだけど、病気してからは、
甘くない小さなパンを1個食べてから寝るようにしていた。
 昨日の夜、このパンを食べるのをやめてみようと思い立って、そ
のまま寝ようとした。
 ところがまず儀式が無くなってしまった意識が強くて、眠れない。
 うだうだテレビを見ながら、寝付いたのは、午前2時すぎ。

 午前4時。ぱっちり目が覚める!
 いかん。いつもこうなってしまう。パンを食べずに寝ると、すぐ
目が覚めてしまうのだ。

 午前5時30分。『めざましテレビ』が始まってしまう。
 2Fに上がって、パンを取りに行く。
 うひょ。固いベーグル・パンしかない。うほほほほほ、固〜〜〜
い。歯が抜けそうだ!
 おかげで、なんとか二度寝開始。

 午前9時。やっぱりもう目が覚める。
 ぼ〜っとしてるけど、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書
を書き始める。
 ダメだ。ぼ〜〜〜〜〜としたまんまだ。
 眠いような眠くないような、中途半端な感じ。

 こういうときに限って、システムが固まっていない職業のメッセ
ージ&システムに着手するものだから、よけい仕事がはかどらない。

 午後12時。煮詰まったときは、美味しい物を食べに行こう!
 南青山のレストラン「キハチ」に行く。
 最近ここのランチにはまっている。
 きょうはトウモロコシの冷スープが前菜にあるというではない
か! もちろんチョイス!
 出てきたスープには、なんとトウモロコシのかき揚げが添えられ
いるではないか!
 トウモロコシのかき揚げは、私とグルメ・バカ娘にとって、1位、
2位を争う大好物だ! 
 すぎやまこういち先生もお好きなようだが…。
 冷スープも、トウモロコシの粒を感じさせながら、風味豊かなお
いしさ。とにかく上品。塩分が薄い!
 というわけで、ナイスなランチ!
 
 食後、めっぽう暑いので、とても歩いて帰ることができない。
 夏は暑さのせいで歩けないので、食い道楽の私は返って太ってし
まう。食べたら歩いて調節が不可能だからだ。
 しかもいまはぶっ通しで仕事ばかりして動かないから、よけいそ
うだ。

 午後1時30分。帰宅。
 今度は『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作りの調子がい
い! いまは1日、1日が、ゲーム差1,5ぐらいで首位に3チー
ムみたいなせっぱ詰まった状態なので、1日不調だと、そのままず
るずるゲームの完成が遅れてしまう。
 最近、来客が少ないのも、実は制限中なのだ。
 とても来てもらっても、まともに相手ができない。
 ぶつぶつ…、ぶつぶつ…。3/8より、5/8のほうが、15/
128がああでもないこうでもないと、ぶつぶつつぶやきかねない。
現に家族の前では、突然「くの一忍者がさあ!」と言ったかと思う
と「スチュワーデスっていう職業はさあ!」と言い出している。
 早く完成させないと、分裂症になりそうだ。

 午後3時。税理士の赤根豊くんが来る。
 いつものように、いろいろ会社経営のお話。
 どうやら、友人のひろたたけしが製作しているパソコン・ゲーム
のほうは順調に、作業が進んでいるようだ。
 このゲーム、言いだしっぺは私で、あとはひろたたけしに任せて
いる。秋になったら、発表できるんじゃないかな?
 このゲームはまったく私らしくない内容なので、その分逆に楽し
み。こういう人とこういう人をつかって、こういうゲームをつくっ
たらと言ってるだけなので、非常に自由な発想のいいゲームになり
そうなのだ。
 自分で作ると大変そうなんでね。
 まあ、お楽しみに! そのうち大公開!

 午後5時。赤根豊くんが戻る。
 再び『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 またまた順調。調子がいいぞ。

 私が仕事をしているあいだ、嫁は夕食のお店に電話するが、どこ
もここもまだお盆で、営業していない。ひどいお店になると、8月
19日までお盆休みだそうだ。殿様商売だなあ。
 5〜6年ぶりの東京でのお盆は、お店が開いていなくて、けっこ
うつらかった。
 京都は観光地だから、お盆といっても、ほとんどのお店が営業し
ているのだ。わざわざお正月も京都に行くのはこのせい。

 午後7時30分。けっきょく青山のおひつ膳のお店「田んぼ」に
行く。おにぎりとお総菜を少々。おにぎり1個が大きすぎて、ふた
つ食べたら苦しくなった。
 
 午後9時。夜で少し風が吹いているので、表参道を歩いて帰る。
それでも家につく頃には、背中が汗びっしょり!
 やっぱり夏は夜でも暑い。
 
 さ〜て、きょうもまだこれから『さくま式人生ゲーム2(仮)』
の仕様書作りだ。かつてのゲーム作りのペースにどんどん戻って行
っている。ちょっと危険。
 でも畳みかけられるときは、畳みかけておかないとね!
 ゲームもマシンガン打線だ…と思ったら、きょうは阪神相手に横
浜ベイスターズは不発。ま、いいや。プロ野球速報をはしごしない
で、お仕事、お仕事!
 


8月18日(水)


 午前5時から『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。

 午前7時ごろ。ちょっと仮眠。まったく昔の仕事の仕方に戻りつ
つある。

 午前10時30分。高円寺の整体さん。
 まんまと寝不足、ストレス、食べ過ぎ、水分摂取の少なさを指摘
される。脳内出血再発の危険性が出てきたという。
 水分摂取だけはいまだに、毎日、大清水を1,5リットル飲んで
るから足りてると思っていたのだが、まだ少ないという。
 う〜む。退院食後は、最低2リットル飲んでたもんなあ。
 人間少しずつ怠けることが、上達して行くもんだ。

 午後1時。赤阪プリンスホテル旧館。先日すぎやまこういち先生
ご夫妻から教えていただいた、しゃぶしゃぶの美味しいお店「近江」
がこのホテルにあるので来てみた。
 このホテルは昔、歌手の世良正則くんの結婚式に出たところだ。
あとは所ジョージさんとある仕事で会ったこともある。かまやつひ
ろしサンともここだったような気がする。
 とにかくこのホテルというと、芸能関係のライターをやっていた
頃を思い出す。

 しかし、おめあての「近江」は、あっさり先月でクローズド!
 ありゃまあ! せっかくわざわざ高円寺から中央線で遠征して来
たのに!

 午後1時30分。青山の高級ハンバーガー屋さん「ホームワーク
ス」に行く。

 午後2時。帰宅。玄関開けたら、2分で『さくま式人生ゲーム2
(仮)』の仕様書作りである。
 たぶん鬼気迫る形相で、キーボードを叩きまくっていると思う。
 右の肘から下の筋肉がパンパンに張って来ている。

 整体のお兄ちゃんから、あんまり根を詰めて仕事してはいけない
と言われたんだけど、なまじインターバルを取って、仕事すると、
自分の書いた原稿の書式を忘れてしまう。

 午後5時30分。1時間ぐらい仕事したのかなあと思ったら、も
う3時間半ぶっ通しで仕事していたようだ。
 まるで昔のパワーが蘇ったようだが、危険だ。
 この仕事終わったら、二度とこういう仕事の仕方をするのはやめ
ようと思う。本気で年齢を考えないといけない。
 ただ今回の『さくま式人生ゲーム2(仮)』はなにやら意地みた
いなものがあるので、このペースで行く!

 午後6時。嫁のお友だちと、嫁とグルメ・バカ娘の4人で、銀座
の讃岐うどん屋さん「さか田」に行く。
 どんどんローテーションが早まっているような気がするが、あい
かわらず生じょうゆうどんは、美味しい。しょうゆ豆も毎回食べて
しまうなあ。

 午後7時。東京国際フォーラム。「さか田」から東京フォーラム
までは歩いて、5分ほどである。
 東京駅からよくこの国際フォーラムの建設中をずっと見て来て、
自分には縁がないなあと思っていたが、今年に入っただけでも、『ス
ター・ウォーズ』に、ザ・ビーチボーイズのブライアン・ウイルソ
ンで来ている。あれ? まだもう1回ぐらい来てるような気がする
なあ。

 きょうはデビッド・カッパーフィールドのイリュージョン。
 昨年に続き、通算3回目の観賞。
 3回目ともなると、こういうイベントは難しいねえ。
 初めて見た人なら、十二分に楽しめると思うんだけど、3回目と
なるとねえ。刺激も薄くなるし、ネタが小振りになって来たのがわ
かってしまう。
 
 こういう物の見方はあまりしたくないんだけどねえ。
 5〜6年前に初めて見た、これぞラスベガスのショウといった感
じだったのが、やたらと日本語をつかわれ、観客参加型と銘打って、
どんどん日本人がステージに上がってしまうと、どうも『欽チャン
の仮装大賞』みたいになって来てしまった。
 ちょっと言いすぎかな? ザ・ベンチャーズみたいな親日家にな
ってしまったというぐらいの表現にしようかな?

 でも一度はこのデビッド・カッパーフィールドのショウを見てほ
しいという気持ちには変わりがない。
 こっちはついクリエーターだから、どうしてもこの急激な物足り
なさは、明日は我が身を見ているような気持ちになってしまって、
徹底分析を試みてしまうのだ。
 小振りになってしまったネタは、爆発物の規制でやれなくなった
とか、虎を一瞬にして登場させるみたいなネタが無くなってしまっ
たのは、検疫法とかで、ダメになってしまったといったトラブルが
あったんじゃないのかなあ。
 でなきゃ、あれほどまでに、小ネタの連続にするはずが無い。
 まるでハンサムになったマギー司郎の手品を見てしまったようだ。
 またまたちょっと言いすぎ。
 でも、5〜6年前、初めて見たとき、1リットルぐらいの涙を流
してしまったぐらい感動した私としてはねえ。好意的なファンでい
たいんだけどなあ。

 午後9時30分。帰宅。
 またまた『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 もうしばらく仕事したら寝るからね。
 って、子どもが夜更かしして、親に怒られてるみたいだ。
 


8月19日(木)


 きょうも朝から『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。

 午後12時。新宿高島屋14F「今半(いまはん)」で食事。
 嫁とふたりで、ポンス焼き定食とすきやき弁当。
 ポンスという単語が珍しい。タマネギ、お肉をポン酢で炒めてい
るようだ。格別突飛な食べ物ではなかった。

 食後、東急ハンズで文房具を買う。キングジムのクリヤーファイ
ル・ハーフポケットというのがつかいやすいので、新たに買い足そ
うとしたら、イヤな予感的中! 製造中止!
 最近文房具まで気に入った物とおなじ物が買えない。
 もうひとつ気に入っていたメモ帳も、探したけど置いていない。
 血液A型としては、本棚の背表紙をおなじ物、おなじ色で揃えな
いと気が済まないのだが、揃えたくても、揃えられなくなる。
 
 もうどのお店も商品を減らして、おなじ物をじっくり売る時代に
戻ろうよ。そのほうがメーカーも儲かるはずなんだから。
 出版もそう。30年前、漫画雑誌は全部合わせても、10誌ぐら
いしかなかった。なかったから、生きるか死ぬかでプロの漫画家を
めざす人ばかりだった。
 あれから30年。雑誌があふれかえり、週刊少年マガジンも、週
刊少年ジャンプも、週刊少年サンデーも、みんな3倍ぐらいの厚さ
になっている。
 以前なら載りそうもない作品が載っている。
 だからどんどん漫画雑誌が発行部数を落としていると思うのだ。
 そのレベルが低い漫画を見て、気楽に漫画家になりたいと思って
しまう漫画家志望者が多すぎる。
 これから漫画雑誌はどんどん減るから狭き門になることは間違い
ない! 今なら戻れるから、中途半端な気持ちの漫画家志望者たち
は考え直したほうがいい。

 午後2時。イラストレーターの高内優向さんが来る。『さくま式
人生ゲーム2(仮)』のイラストの打ち合わせ。
 まだ絵に「狙い」が無いということで、再度描き直しを要求。
 高いレベルを要求しているから、厳しく接している。
 おかげで確実に高内優向さんの絵のレベルはアップしている。

 午後2時30分。VR─1の本山博敏さん、荒堀明弘くんが来る。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の文字フォントの打ち合わせ。
 ゲーム作りの死活問題だった漢字フォントがつかえることができ
るようになった。うれしい。
 私のようなメッセージ重視のゲーム作家は、いまどきもし平仮名
とカタカナだけでメッセージを書いてほしいと言われたら、廃業す
るしかない。
 でも最近のハードが非常にボードゲーム作りに難しい仕様になっ
て来ていることは確かだ。
 その辺のことをやりくりして作っていかないといけないのが、今
後大変だ。

 午後3時。読売広告の岩崎誠が来る。高内優向さんと、フィギュ
アの件で打ち合わせ。

 午後4時30分。四谷の文化放送。いつもの『三石琴乃のエーベ
ルナイ2』の録音なのだが、きょうは大仕掛け!
 なんと! 「150回記念・琴ちゃんのわがままバスツアー」!
 観光バスを借り切って、三石琴乃さんの行きたいところへ行く。
 ほとんど『アメリカ横断ウルトラクイズ』のノリ。
 だもんだからいきなり、四谷の文化放送の前で、ハガキで応募し
て当たった50人ぐらいのリスナーのうち、30人が早くも、ここ
で脱落、観光バスに乗れないといった具合。
 なかなかスリリング。みんなこうなることはわかって来ていたも
のの、けっこうシビアな展開。
この先はここをクリック!
 20人のリスナー、スタッフ、ゲストを乗せて、大型観光バスは まず銀座に向かう。  銀座で、声優の平松晶子さんが乗り込んでくる。  バスのなかでも、いつものようにラジオの録音をしている。  午後6時。観光バスはお台場海浜公園へ。  人工の海岸だけど、ちょうど夕陽がこっちに向かって、海からひ とすじの光りが走って来ていて、けっこうみんなで青春して見とれ てしまう。  グルメ・バカ娘は波打ち際に思い切り足を突っ込んで遊んでいる。  リスナーはみんなお行儀がよくて、海の中に入る人は全然いない。  そういえば、アシスタントの小林晃子ちゃんは、どんどん海の中 に入っていたな。  ここでもジャンケン大会。ジャンケンで夕食が決まる。  幕の内、牛丼、カロリーメイトの3段階。  私はまんまと、ジャンケンに負けて、カロリーメイトになってし まったのだ。  それも食い物のことになると、絶対的な強さを誇るグルメ・バカ 娘とおなじジャンケンを出したのに、思い切り敗退してしまった。  どうもグルメ・バカ娘は、値段の安い食べ物のときは、ジャンケ ンに強いという特殊能力を発揮できないようだ。  何て範囲の狭い特殊能力なんだろう。  おかげで親子で、カロリーメイト。爆笑だ!  バスはそのまま、高速で、なんと! 東京湾の海ほたるへ。  昨年ここを横断したけど、あのときは止まらなかったので、初め て来たのとほとんどおなじ!  バスを降りると、潮の香りがぷうんと鼻をつく。  エスカレーターを乗り継いで、展望台へ。  展望台から見える夜景のきれいなこと。  これはカップルが、海ほたるをめざすわけだ。  言葉入らないもんなあ。  午後7時30分。海ほたるで自由時間。  カロリーメイトでお腹が満たされない、バカ親子は、レストラン をめざす。グルメ・バカ娘がどうしても牛丼が食べたいと言い出す。  ジャンケン大会で負けて食べられなかった牛丼が食べたくなった のだ。わかりやすい思考回路だ。  私も便乗する。  手が不自由なので、ほとんど牛丼を食べる機会が無いので、妙に 美味しい。それより嫁が注文した、特製あさり丼・680円がむち ゃくちゃ美味しい! おつゆがたっぷりしみ込んでいて、ヘルシー。 昔から東京湾というと、あさりという伝統を守っている心意気もけ っこう評価したい。  海ほたるでは、ぜひあさり丼を!  午後8時。観光バスに集合。  一路帰り道へ。けっこう疲れたので、のんびり寝ようと思ったら、 私の出番。すっかりきょうはリスナーといっしょにお客さん気分だ った。  午後8時30分。新橋でリスナーとはお別れ。本当に信じられな くくらいお行儀のいい人たちで、ちゃんとひとりひとり三石琴乃さ んにお辞儀していく。  この手の聴取者参加イベントで危ない人がいないというは、珍し いことだ。  それにしても観光バスっていいねえ。車高が高いから、いつもと おなじ高速道路を走っていても、まったく景色が違う。  とくにお台場の夜はいいねえ。  パレットタウンの観覧車のイルミネーションを、小林晃子ちゃん が「雪印のマークみたい」といって、大爆笑だったことも付け加え ておこう。  午後9時。スタッフは四谷で解散。  午後9時15分。家は近いので、速攻、帰宅。  午後9時30分。谷川岳の名水「大清水」をがぶがぶ飲みながら 『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。  ありゃま、巨人がついに中日に3連敗。  今年の優勝は中日で決まりだな、こりゃ。  優勝するってときは、こういう天王山の3連戦を3連勝してしま うもんなんだなあ。さよならゲームも絶対あるし!  人間の人生とおなじだねえ。  勝たないといけないときに、勝たないとね。  だから『さくま式人生ゲーム2(仮)』をがんばる。
 


8月20日(金)


 『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作りのこまかさに、も
うイライラは絶頂に達している。

 たとえば「エアマックスのバスケットシューズ」というアイテム
を入れたいんだけど、まずエアマックスという製品名はダメ。
 OKだとしても、どっちみち16文字もあるからダメ。
 アイテム関係は、9文字以内と決めているからだ。
「ヘアマックスのバッシュ」ぐらいにするといいんだけど、これで
もまだ11文字もある。
 エアマックスだけで、6文字もある。
「エアマックスの運動靴」。
 運動靴では、ださい上に、まだ10文字。
 仕方が無いので「ナイキのバッシュ」。
 これなら8文字だし、ばっちり。
 でもナイキは、どうもNIKEじゃないと、雰囲気が出ない。
 もちろんNIKEは企業名だからダメ。
 MIKEじゃ、ミケ猫みたいになってしまってダメ。
 あまり露骨に企業を誹謗するような言いまわしもダメなのだ。
 昔「小学館」を「少額館」なんてギャグが雑誌に載っていたこと
があったけど、今は絶対ダメ。
 で、けっきょく「ナルキのシューズ」という、平凡なアイテム名
になってしまう。
 こんなことをずっと毎日繰り返している。

 もはやゲームも、個人で全部作れる時代は終わりに近づいている
ような気がする。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』は、駅伝をわずか2〜3人でたす
きを渡しながら完走しようとしているようなものだ。

 午後12時30分。渋谷246通り沿いの広島風お好み焼き屋「七
福(しちふく)」で、お好み焼きランチ700円。
 さすがに暑いので、空いている。
 いつもはお昼は大行列だ。
 ところがきょうはご主人が、胡椒を思い切りぶっかけてしまった
のか、胡椒の固まりがあって、からい、からい!
 グルメ・バカ娘は、真っ赤な顔をして、残してしまった。
 本来は味がいいのに、残念。
 家族全員A型なので、文句言えない。

 食後、246通り沿いを歩く。けっこう風があるので、なんとか
歩ける。
 いろんな店に寄っては、『さくま式人生ゲーム2(仮)』に登場
させる高級品のアイテム名と値段をチェックして、メモって行く。
 もはや頭の中の99%が『さくま式人生ゲーム2(仮)』でいっ
ぱいで、ほかのことをまったく考えることができない。
 家族で歩いているけど、まったく日常会話が出来ない。
 口をついて出る言葉は「ミンクのコートって、いくらぐらい?」
「カーナビの値段は?」である。
 電化製品はインターネットで調べても、なかなか載っていない。
オープン価格などと書いてあるだけである。

 午後2時。246通りぞいの青山あたりの喫茶店「ベニール」で
お茶を飲む。1階が靴屋さんになっていて、店内から2階に上がる
と、洋菓子屋さんの喫茶店という不思議な作り。
 店内には、やたらと神戸のポスターに、神戸関連のパフレット、
雑誌。
 洋菓子に、靴?
 ああ、そうか、ここは神戸のアンテナ・ショップなんだな。
 な〜るほどね。
 どおりで、シュークリームの値段が180円と安いわりに、みっ
ちりした美味しさなわけだ。

 食後、さらに青山から原宿へ向かって、歩く。
 さすがに風があるといっても、暑い。汗びっしょりになってきた。
 夏に、渋谷から原宿のはずれの自宅まで歩くというのは、やっぱ
り無謀だったようだ。
 でもこのところ暑くて、全然歩いていないので、少しは歩かない
と。昨日の『エーベルナイ2』のバス・ツアーでちょっと歩いただ
けだったのに、今朝疲れていたのがショックなのだ。
 何事も1週間さぼるだけで、人間って退化できるもんなんだなあ。

 午後3時。帰宅。びっしょびしょで歩き抜く!
 体重が1キロぐらい減った気がするけど、たぶん気のせいだと思
う。
 身体を拭きながら、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作
りを始める。お好み焼き屋さんや、喫茶店でメモったアイテム名と
値段を記入していく。
 
 あれ? 甲子園の高校野球って、もう明日決勝戦なの?
 いつのまに。3日前ぐらいに始まったばかりだと思ったのに。

 きょうもぶっ通しで、キーボードを叩き続ける。
 腕組みしては、また叩き続ける。
「大清水」をがぶがぶ飲んでは、叩き続ける。
 お水の飲み過ぎで、トイレに何度も行っては、叩き続ける。

 へ〜。日本テレビの「日テレ営業中!」が、「日テレ式!」に変
わるらしい。『さくま式人生ゲーム2(仮)』にとっては、うれし
いかぎりだが、『2』の発売は、どう早く見積もっても、来年の夏
以降。ちょっとそこまでは「日テレ式」を引っ張ってはくれないだ
ろうなあ。

 午後7時。六本木に行く。グルメ・バカ娘が1週間前から、うわ
ごとのように毎日、つぶやいていたお寿司屋さん「兼定(かねさだ)」
に行く。
 このお店は、握りも小さくて、もうかっぱえびせんをホイホイ
口に放り込むぐらいのスピードで食べられてしまう。
 ご主人の握るスピードは、神業並みで、しかもていねい。
 これで値段が安ければ、言うこと無しだけど、そうはいかない。
 現状わが家が行く、喜寿司(きずし)、おけいすし、鮨金といっ
たお寿司屋さんのなかでも、一番値段が高い。
 だからこのお店だけは、十分家族全員のお寿司飢餓感がつのって
からでないと行かないようにしている。
 きょうは飢餓感が絶頂に達してから、1週間が過ぎているので、
最高のお寿司日和だ。

 マコガレイから始まった、小さな握りをぽんぽん口に放り込む。
 んまい、んまい、んまい、の連発である。
 どうして美味しい物は、幸せを感じさせてくれるんだろうねえ。
 煮あわびがよかったなあ。
 2種類の穴子もよかったなあ。
 カレイの皮っていうのは初めて食べたなあ。
 けっきょく全部よかったなあ。

 午後8時30分。六本木「スイート・ベイジル139」へ行く。
 今年ずっと、なつかしの外国人アーティストのコンサートを毎週
のように見に行っていたあの「スイート・ベイジル139」である。
 あれからすっかり外国人アーティストを呼ばなくなってしまった
ので、もう二度と来ることは無いかなあと思っていた。
 ところが、いつのまにか嫁が、綾戸智絵(あやど・ちえ)さんと
いう人のコンサート・チケットを買っていて、その会場がここだっ
たのである。
 本当は今夜神宮球場で、横浜ベイスターズ対ヤクルトの試合があ
るし、川村投手が先発しそうだし、ただでさえいま『さくま式人生
ゲーム2(仮)』のことしか頭にないから、気乗りしなかったこと
は確かだった。
 午後8時30分からのコンサートっていうのも、珍しいからね。
 予定では、5曲ぐらい聴いたら、私だけ帰る予定だった。
 申し訳ないけど、綾戸智絵(あやど・ちえ)さんという方につい
てまったく知らなかったし。
 そのわりに、けっこう広い「ベイジル139」が超満員。
 チケットは早くからソールド・アウト!
 なのに私が名前を知らないという人に興味があった。

 小柄な女性がステージに登場して、ピアノ1台で歌い始める。
 顔はどことなく、高島礼子さんに似ている。
 でも歌は、江利チエミさんといっても知ってる人は、40代以上
になってしまうから、和田アキ子さんっていったほうがいいのか
な? 和田さんだとイメージが固定しすぎるなあ。
 アレサ・フランクリンっていっても、わかる人少ないだろうなあ。
 
 とにかくむちゃくちゃ声量のあるハスキー・ボイスのジャズ・ヴ
ォーカリストなのだ。
 しかしまあ、天才というのはいつもどこかでこうやって潜んでい
るもんなんだねえ。

 で、どんな曲を歌うかというと、これがスタンダード・ナンバー。
 これなら私でも知ってる曲ばかりだ。
 何がイヤって、初めて聴きに行く人のコンサートって、曲の3分
の2以上まったく知らない曲ばかりで、ずっと淋しい思いをしなけ
ればいけないことだ。
 スタンダード・ナンバーなら、題名がわからなくても、、かつて
一度でもどこかで聴いたことのある曲ばかりだから、全曲楽しめる。
 しかも、きょうの選曲は、私の子どもの頃の愛唱歌ばかりだ。
 若い人だと曲名並べても、ちんぷんかんぷんだと思うけど、お年
寄りのために、ここに曲名を並べる。

    ・ア・ソング・フォー・ユー
    ・ラブレター
    ・テネシー・ワルツ
    ・センチメンタル・ジャーニー
    ・ミスター・ボージャングル
    ・ルート66
    ・ユア・ソング(エルトン・ジョン)
    ・エル・コンドル・パサ(コンドルは飛んで行く)
    ・オーバー・ザ・レインボー

 次から次へとソウルフルに歌い上げる途中のトークが絶品すぎる。
 トークのうまさは、言ってみれば武田鉄矢さんクラス。
 笑わせる、笑わせる。おもしろすぎる。間がよすぎる。
 関西人特有の自分の話を中心としたトークは本当におもしろすぎ
る。
 でもこれ以上書くと、お笑い芸人さんだと思われてしまうから書
かない。

 1曲歌うごとにいう「うれしーなー! うれしーなー!」という
言葉が本当に心の底から出ているのが、こちらに伝わってくる。
 お客さんが盛大な拍手を浴びせるたびに「ホンマに、私でいい
の?」という言葉。なんだかものすごくジンと来るものがあると思
ったら、あとで嫁から聞いたのだが、かつてガンで死ぬ寸前まで行
ったことがあるそうだ。
 そうかあ。だからあの言葉が真に迫っていることがびりびりこっ
ちに伝わって来たのか…。

 私は、昔からブレイクする芸能人を当てるのが上手い男と言われ
て来たけど、この人は絶対間違いなくブレイクする。
 もうすでにこれだけの観客を集めているから、ブレイクしている
んだろうけど、大人の宇多田ヒカルとして、もっともっと大ブレイ
クすると思う。
 11月後半に渋谷オーチャードホールで、2日連続でコンサート
をやるそうだ。たぶん、行くだろうなあ。
 
 午後10時30分。帰宅。
 神宮球場の横浜ベイスターズはローズもホームランを打って、川
村投手が完投して、6対1で勝った試合なのに、もったいないこと
をしたと思わなかったぐらい、綾戸智絵(あやど・ちえ)さんに感
動した。
 横浜ベイスターズより上というのは、私のとっては特別級の大評
価だからね。

 そうそう。綾戸智絵(あやど・ちえ)さんが、アンコールで英語
でSMAPの「夜空ノムコウ」を歌った。
 すっかり上質のジャズ・ヴォーカル曲に変身していた。
 憎いことをする人だ。
 


8月21日(土)


 誰にでもどうにも調子が出ない日というものがあると思う。
 きょうの私がまさにそれ。
 最悪の日というのはなく、もうちょいでよくなりそうなのに波に
乗れない日だ。野球でいうと、残塁の多い日。

 午後12時。麻布十番の洋食屋さんに「EDOYA(えどや)」に
行く。グルメ・バカ娘はおでかけなので、嫁とふたり。
 実は昨日から、きょう、明日にかけて、麻布十番はお祭りの日。
 すぎやまこういち先生ご夫妻から、麻布十番のお祭りはおもしろ
いというのを聞いていたので、来てみたのだが、ほとんどお祭りの
雰囲気が無い。
 太鼓のどんどこどん!も聞こえなければ、花火のどんどんどん!
も聞こえない。
 出店はみんなたたんである。
 本当に昨日からお祭りなのかなあ。

 とりあえず、「EDOYA(えどや)」で食事。
 ハンバーグ・ライス。マスタードをつけて食べる、ちょっと不思
議なハンバーグ。マスタードを付けたからといって、べらぼうに美
味しくなるわけではない。ハンバーグ自体は美味しい。

 食後、麻布十番界隈を散策する。
 おっ、いまどきお化け屋敷がある。やっとお祭りらしい会場を見
つけることができた。でもやっていない。
 町の人に聞いたら、毎日午後4時からお祭りは始まるらしい。
 え〜? 一度始めたら、3日間ずっとお祭りじゃないの?

 どうも毎日お店の前に出す縁日は、こさえてはたたんで、また明
日組み立てるらしい。だから町を歩いても、露店とか出店が無いわ
けだったんだ。

 そうかと気づいた頃には、しこたま歩きまわってしまっていた。
 しっかり、鯛焼きの「浪花屋総本店」で、小倉アイスも食べてし
まった。モナカではなく、ちゃんとアイスクリーム専用の真鍮グラ
スに盛ってもらった。
 嫁は宇治金時のかき氷。
 ここのかき氷は、天然の氷を使ってるらしい。どうりで、口に氷
を入れると、しゅ〜〜〜と溶けて行く。
 私もかき氷にしたかったのだが、なにしろ私は小倉アイスが大好
き。荻窪の商店街にあったお店の小倉アイスが一番好きだった。お
よそ40年前、荻窪が都電の終点だった頃の話だ。
 午後1時30分。麻布十番のスターバックスに入った頃には、歩 き疲れて眠くなる。  コーヒー飲んでも、さらに眠くなる。  午後2時。帰宅。『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り を始めるも、眠い。波に乗れない。  だらだらと仕事する。  午後5時30分。麻布十番のお祭りに行って、そのあと神宮球場 の横浜ベイスターズ対ヤクルト戦を見に行こうとしたのだが、グル メ・バカ娘が帰って来ない。  電話すると、いまから帰るという。それでは試合に間に合わなく なるので、ひとりで神宮球場に向かう。    午後6時30分。近所のカレー屋さん「GHEE(ギー)」で、 なすカレーを食べる。まだ手足が不自由なので、球場でお弁当が食 べられないからだ。  午後7時。球場に向かう途中で、電撃が走り、『さくま式人生ゲ ーム2(仮)』のおもしろいアイデアが浮かぶ! 『桃太郎電鉄』で、貧乏神が浮かんだとき並みの衝撃だ!  これはいいぞ!  実は神宮球場へは、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の原稿を持 って来ているのだ。どうせ家で、テレビ神奈川を見ながら、仕事を するのだから、球場で仕事してもおなじであるという発想。  というわけで、球場に着いたとたん、メモ帳に、アイデアを書き 留める作業に没頭する。  その間、斉藤隆がポカスカ打たれる! おいおい!  せっかく歴史的なアイデアが浮かんだんだから、マシンガン打線 が大爆発してくれよ!  どうもこの衝撃的なアイデア、けっこういままで書いて来た仕様 書がやり直しになってしまうことが判明。 『桃太郎電鉄』のときと、まったくおなじパターンだ!  あのときも、半分まで完成していた、ゲームを根底からひっくり 返した。  きょうもそうだ。  変えるしか無いな。おもしろいゲームにするためには。    試合後半、やっとこの衝撃的なアイデアのせいか、横浜ベイスタ ーズの打線に火がつき、9回表同点にまでこぎつける。  きょうの横浜ベイスターズ打線は、どうも野手のファイン・プレ ーを誘ったり、ヒット性の辺りがファウルになったりと、波に乗れ ない。  なのに、同点になったのだから、あとは勝ってくれれば、万々歳 だったのだが、なんと延長10回裏、ペタジーニにさよならホーム ランを食らって敗戦!  ああ、今シーズン初の神宮球場での横浜ベイスターズ観戦だとい うのに、さよなら負け! ふんげ〜〜〜〜〜!  衝撃的なアイデアの御利益はまったく無いのかあ?  アイデアがよくなかったのか?  そんなことはないはずだ。  午後10時30分。家までとぼとぼ歩く。がっくり。  それでも衝撃的なアイデアをいち早くスタッフに知らせないとい けないので、メールを書いて、タカラの高田さん、VR─1の荒堀 明弘くん、放送作家の福本岳史くんに送る。  波には乗れなかった1日だけど、どうやら『さくま式人生ゲーム 2(仮)』をどうすればおもしろくなるかという秘孔を突けたよう な気がするぞ!  一般の人が聞いたら、どこが衝撃的なアイデアかわからないと思 うが。  もうしばらくすると、この効果が出てくるだろう。  出てきてくれないと困る。
 


8月22日(日)


『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り、大幅変更で、昨日
も夜更かし。このまま寝ないクセがつくと、昔の不健康な時代に戻
ってしまいそうだ。

 午後1時。表参道で、放送作家の福本岳史くんと待ち合わせ。
 朝から東郷神社の骨董市に出かけていた嫁も合流。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書、大幅変更に伴う、緊急
会議だ。

 3人で、いつも私がひとりでアイデアを考えに行く、縁起のいい
表参道のロイヤルホストへ。 
 このロイヤルホストは、表参道から奥まったところにあるので、
わかりづらいのだが、福本岳史くんも昔よくこのロイヤルホストで
仕事の打ち合わせをしていたらしい。
 だったら、最初からここで待ち合わせればよかった。
 何しろ、きょうの午前中に福本岳史くんを電話で急に呼び出した
だけに、このロイヤルホストでなどと思いつくはずが無い。

「福本くんもここでよく仕事をしていたんなら、この店はきょうの
緊急会議も縁起がいいねえ!」というと、福本くんが「ここって、
あの小室哲哉さんがよく作曲をしていたというお店ですよね」とい
うではないか!
 おお! よくいろんな本で、小室哲哉はファミレスが好きで、そ
こで打ち合わせをしたり、作曲をしたりしてるという話はよく読ん
だけど、このお店か〜!

 私もなぜかここでアイデアを練ると、モーレツにアイデアが出る。
 なんと縁起のよいお店なんだろう!

 そんなわけで、海老と帆立のカレーを食べながら、打ち合わせ。
 昨日福本岳史くんに伝えた、仕様書の大幅変更にも、いくつか問
題点があったのだが、よどみなくどんどん解決して行く。
 なるほど縁起のいいお店だ。毎日ここで仕事しようかな。  あまりこれを書くとお店が混んでしまうから、あまり言わないよ うにしたほうがいいかな。気がついたら、お店じゅうクリエーター だらけになっていたら、おもしろいけどね。  午後3時30分。帰宅。  すかさず『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。  大幅変更のせいで、アイテム数が軽く100を越えてしまったよ うだ。200行ってるかも。    午後6時。家で、博多長浜ラーメンに、明太子を入れて食す。  いつものように、外食する時間ももったいなくなって来た。  『トロイの木馬』にアリtoキリギリスが出ると、1ヶ月ぐらい前 から聞いていたので、見たが、あれだけずっとロケをして、あれだ けの時間しか放送しないとは、大変だなあ。  食後、きょうも神宮球場で横浜ベイスターズ対ヤクルト戦がある んだけど、その時間ももったいない。仕事をする。  それでもテレビ神奈川をつけながら観戦。序盤で大きく勝ち越し たら、球場に向かおうというせこい考え。  せこいせいか、試合は序盤からヤクルト・ペース。  またペタジーニに打たれた。    家でじっくり仕事できるのが、うれしいやら、くやしいやら。  年間指定席券がもったいないなあ。    ちゃんと負けた。せっかく巨人も、中日も負けたのに。付き合い のいいことで。
 


8月23日(月)


 午前6時起床。
 グルメ・バカ娘がきょうから学校らしくて、どたどた歩いている。
 中学校1年生だけ、この1週間学校で、講習会みたいのをやるら
しい。
 おかげで起こされてとっても迷惑である。
 起きてしまったので、『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書
作り。

 午後11時。駒沢公園の神戸屋レストランへ行こうとでかけたの
だが、えらい大渋滞!
 
 午後12時にならんとするのに、まだ三軒茶屋。午後1時から来
客がある。とても無理だ。三軒茶屋で降りる。
 三軒茶屋のやたら高いビルの地下の不二家レストランに入る。
 覇気のないこと芸術的なまでのお店だ。
 やっぱり店員の声が蚊の鳴くような声。
「しゃししゅしぇひょひょ…」。
 これが、シーフードカレーオムライスである。
 どう考えても、シーフードカレーオムライスのほうが、音節が長
いと思うのだが、いかがだろうか。
 
 速攻10分で食べ、家に戻る。

 午後1時。ハドソン桃太郎事業部の梶野竜太郎くんが来る。土居
ちゃん(土居孝幸)が来る。宮路一昭くんが来る。
 きょうはこの4人で、新作『桃太郎電鉄』のテストプレイをする。
 ついに追い込みテストプレイ開始である。
 
 きょうから私は新作『桃太郎電鉄』のテストプレイと『さくま式
人生ゲーム2(仮)』の仕様書作りが重なる、日食のように暗黒の
時期に突入である!

 しかもきょうから新作『桃太郎電鉄』の正式タイトルも解禁にな
る。正確にはきょうの午前0時30分の『有限会社 桃太郎商店』
からなのだが、この日記がみんなの目に届くのは、24日だから大
丈夫だろう。
 タイトルは『桃太郎電鉄V(ブイ)』。
 今回のコンセプトである「バラエティ」の頭文字である「V」と
いう意味と、ビクトリーの「V」と、2年ぶりに「ぶいぶい!」言
わせようという意味の「V」である。

 きょうは「バラエティゲーム」の「へっぽこ絵日記」をテストプ
レイだ。
 今回のコンセプトである「バラエティ」は、ローカルルールとい
うイメージで、さまざまな変わった『桃鉄』が楽しめる。
 10億円持ってスタート! みんなデビルカードをいくつもしょ
ってスタート! ウイルスカードを最初から持ってスタート!とい
ったいろいろなスタート方法を楽しめる。
 ほかにも「ボンビー王決定戦」とか「ドラコンクエスト」(ドラ
ゴンクエストじゃないよ!)といったバラエティな競技方法の『桃
太郎電鉄』満載なのだ!
 
 まあ、もっともっと秘密はたくさんあるんだけど、それはおいお
いここでね! 質問は『ほんのチョイ係』のほうへね!

 きょうの最大の問題点は、スリの銀次。
 恒例・スリの銀次のコスプレなのだが、年々著作権法のせいで、
おいそれと話題の人に変身することができなくなってしまった。
 鈴木その子さん、サッチー、宇多田ヒカル、今年はスリの銀次に
とって豊作の年なのだが、全部ダメ。
 ここ10年間で肖像権は滅法うるさくなってしまった。
 前作『桃太郎電鉄7』でもかなりクレームがついたのだ。どれと
はさすがに言わないけど。

 あげくにあの「だんご三兄弟」もダメなのだ。
 だんごが3つだとダメで、4つならいいらしい。
「だんご」も「兄弟」も公用語だし、ありふれているものだから、
著作権法に触れないはずなのだが、どうもうるさいらしい。
 で、だんご4兄弟という風にしていたのだが、どうもパロディを
しそこなったみたいで、パッとしない。

 というわけで、きょうのテストプレイで、変更が決定。だんご三
兄弟は、完成していたのに、ボツにすることにした。
 まったくもって、せちがらい世の中である。
 スリの銀次が変身するのも、今年の作品がたぶん最後になってし
まいそうである。
 業界からパロディというジャンルは死滅しそうである。いや、す
でに死滅しているらしい。

 午後4時30分。放送作家の福本岳史くんが来る。
 ちょこっと『さくま式人生ゲーム2(仮)』のほうの打ち合わせ。
 2本のゲームが頭のなかにぎっしり詰まって、私の頭は今、榎本
45歳よりも大きくなっていそうである。

 午後5時。福本岳史くんも加わって「ドラコンクエスト」をテス
トプレイ。やっぱりこれが一番笑える。
 ぶっとびカードをつかって、沖縄から日本列島に向かって、飛ぶ。
で、一番遠くまで飛んだプレイヤーが優勝。
 フェリー航路に飛んだ人は「池ポチャ!」ということになって、
OBである。だから「ドラコンクエスト」なのである。

 午後6時。福本岳史くんが次の仕事へ。
 梶野くんから『桃太郎電鉄V』の宣伝計画を聞く。
 相当すごい計画が進行中である。業界人ならぶっ飛ぶか、感涙す
うような快挙を、梶野くんはやってのけたようである。
 興味のある方は、私のほうまで連絡を。
 絶対口頭でしか言えない。

 午後7時30分。会議終了。
 家族で、青山通りの『田んぼ』に行く。中おちまぐろおひつ膳。
ご飯と一品料理が美味しいので、つい食べ過ぎてしまう。
 イカの沖漬け、ホウレンソウのゴマ和え、甘いだし巻玉子といっ
た私の好きな物ばかりである。

 午後8時30分。帰ってすぐ『桃太郎電鉄V』の仕様書変更。
 直す箇所がきょうたくさん見つかってしまったので、大変だ!

 午後11時。今度は『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作
りだ。うひょ〜〜〜〜〜い! 
 昔『桃太郎伝説外伝』と『桃太郎電鉄』を同時に作った以来の大
混乱に突入だなあ。
 まあ、まだ最高4本同時製作の頃よりはましである。
 何たってまだ少しは寝ている。
 1週間で8時間の睡眠時間の生活にだけは戻りたくない。
 


8月24日(火)


 朝からワーク・ホリック状態。お仕事! お仕事! お仕事!

 午前11時。代官山のクイック・ガレージへ行く。
 今週末から京都へ持って行くほうのパワーブック2400のクリ
ック・ボタンを交換してもらう。
 もうこれで2度目だ。
 早くアイブックが出ないかなあ。
 パワーブック2400、1台の値段で、アイブック2台買えちゃ
うもんねえ。

 午後12時。代官山の老舗洋食屋さん「小川軒」に行く。
 オムライスの値段が2400円。ハンバーグが5000円。ハン
バーグは調理するまで、40〜50分かかるという。
 何じゃそれ!である。漫画の原作みたいだ。

 カウンターに座ったので、調理場が丸見え。
 この席のほうが、好奇心の強い、私と嫁には好都合。
 怖い顔をした、料理長さんが怒鳴りまくっている。
 叱られている若い子は、返事も出来ず、目がうつろになっている。
 こういう場面だけ見ていると、料理長さんは悪役に見えてしまう。
 でも本当の悪役は、若い子のほうである。
 素人目にもい、ぼ〜〜〜としている。まったく返事をしない。狭
い通路に立っている。自分が通路を通るときに、声をかけない。顔
が暗い。
 これだけ条件が揃っているのに、料理長さんのほうが悪役に見え
てしまうのはなぜなんだろうなあ。
 いつも怒るほうが悪役になる。
 若者がまた怒られ方がヘタというのもある。
 才能のある人は、若いとき、叱られ上手だったということをよく
聞く。
 巨人軍の長島さんなんか非常に上手かったそうだ。

 伝統の味を守ることの厳しさを料理長さんは塩ひとつまみの差で
あることを知っているから怒鳴るのだろうが、若者にはその程度が
わからない。
 これから起こることを予測できないからだ。 

 最近こういう場面が非常に気になる。
 実生活でも似た話がいっぱいあるからだ。
 今、自分のことかな?と思った人は、大丈夫。本当に伝えたい相
手には絶対届かないことは、もう覚えた。

 オムライスのほうは、玉子ふわふわでツルツルご飯が喉を通って
いく。でも2400円だと思うと、次も頼むかは考えてしまう。
 よっぽどヒマなときにでも、調理に50分かかるハンバーグを食
べてみたい。誰か仕事の打ち合わせにつかうときがよさそうだ。

 午後1時。帰宅。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 今回このゲームを作るに当たって、インターネットがなかったこ
とを思うと、ぞっとする。特にアイテムの名前や値段では無類の力
を発揮している。
 仏壇からサーフボード、デザインウォッチの名前と値段なんて、
なかなか一網打尽で調べられないものだ。1日じゅうデパートを歩
いて、こそこそメモを取らなくていいのは、幸せだ。
 
 調子がいいのはいいんだけど、とうとうキーボードの叩きすぎで、
右腕が動かなくなって来た。ちょっと休まないと。
 
 午後5時。おあつらえむきにと言ったら、失礼になるのだが、ち
ょうどナムコの岸本好弘(きっしい)さんがひさびさに遊びに来て
くれた。
 腕を休ませることができる!
 きっしいサンは昨日アメリカから帰って来たばかりで、アメリカ
の食べ物はいかにまずいかという話から。
 海外に行ったことのある人が必ず、料理は日本が世界一だという。
きっしいサンも日本の料理が美味しいことを再確認するために行く
ほどだと言っていた。

 午後7時。というわけで、きっしいサンが「お米のご飯が食べた
い」と言い出して、西麻布の「たぬき」へ行く。
 前回3回目にして、ご飯の美味しさを満喫したお店だ。
 きょうは、ご飯、お魚とも、絶好調!
 あじのたたきもぷりっぷりっ!だし、グルメ・バカ娘が注文した、
甘鯛も、名前の通り甘い。イカのお造りも、とろける味。
 これは美味しい!
 またたくまに、きっしいサンはご飯を3膳! 豪快だ!
 う〜〜〜、永久ダイエットを言い渡されている私にはつらい! 
え〜〜〜い、ダメだ! お代わり!
 もう一膳では多いから、半分はグルメ・バカ娘に食べさせる。
 ご飯の美味しいお店は、この「お代わり」が出来るから、私には
鬼門だ。
 それにしても美味しい物をもっと食べたかったら、ダイエットし
ろというのも、矛盾した話ではある。
 しかも外は、雷が鳴り、ばしゃばしゃと雨の音。
 わが家族は、家を出るときに、雷が鳴っているのに、誰ひとりと
して傘を持って行こうともしない。
 ご飯を食べ終わったというのに、外に出ることができない。
 
 午後8時。雨の中を小走りして、「たぬき」の近所のケーキのお
店「ドゥリール」でお茶を飲む。グルメ・バカ娘は決まってこのお
店では、ミルフィーユ。
 私もそれに習う。グルメ・バカ娘が頼む物について行けば、まず
間違いは無い。
 今週末、私は伊賀上野に行くという話をしたら、またしてもきっ しいサンが名張と、伊賀上野に行ってみたいと言い出す。  しかも名張城が…と、お城の名前を出されると、私の眉がぴくん! でも確か名張城は現存してないはずだから、大丈夫だ。  どうもきっしいサンにお城の話をされると、すぐでかけて行って しまう。  午後9時。帰宅。  さ〜て、今度は『桃太郎電鉄V』の仕様書の直しだ!  早くも昨日1カ所直したら、これがあそこにもここにも影響が出 て、どう整理したらいいのかわからなくなる。 『桃太郎電鉄』シリーズは本当に複雑に回線が絡み合ったようなゲ ームだから、1カ所直すと、そこらじゅうに影響が出てきてしまう。  まったくもって面倒なゲームだ。  でもこの緻密さが今まで支持されて来た最大の原因なんだから、 踏襲して行くしかない。  まだきょうは明日までのほかの仕事も入ってきている。  どんどん仕事が忙しくなってくると、仕事が仕事を呼んで、さら に忙しくなる。  でも食欲の秋、行楽の秋は、目の前だ!  がんばる、がんばる! 秋のために!
 


8月25日(水)


 いかんなあ! 夜中午前2時すぎに寝たら、1時間で目が覚めて
しまった。
 起きたついでに、つい仕事をしてしまった。
 これじゃ昔の仕事の仕方だ。
 しかもなんとなく「ふわ〜」と心地よくなっているのが、やばい!
 仕事をしすぎると、ナチュラル・ハイになって来る。

 午前5時30分。『めざましテレビ』を見ながら、もう一度寝よ
うとするが、なかなか寝付けない。困ったもんだ。
 仕事が一段落したら、生活のペースを戻さないと。
 
 午後12時。またしても南青山のレストラン「キハチ」に行きた
くなって、行ってしまう。
 毎回変わるスープが楽しみになってしまった。
 と思ったら、来るのが早すぎた。
 メニューが前回とおなじ。
 どうやらメニューは2週間に一度ぐらいで変わるようだ。
 日記を見たら、なんと8月17日に来ていた。
 まだ8日間しかたっていないじゃないか!

 でもまたトウモロコシのかき揚げ付き、冷スープが飲めたからい
いや! 最近このお店の冷スープにはまっちまってるなあ。
 夜は値段高いけど、ランチならけっこう安いよ。
 デザートもけっこう美味しいし、フランスが美味しい。たぶんバ
ターがいいんだろうけど。

 嫁とちょっと南青山を散歩する。
 日射しは強いのだけれど、湿気が少ないので、汗が出ない。
 早くこの気候が定着してほしいものだ。
 夏の間の運動不足を挽回しなければ。

 午後1時。渋谷のクイック・マッサージ「タントン・マッサージ」
に行く。15分のつもりが、あまりにも肩こり、腕のことがひどい
ので、延長、延長の連続で、とうとう45分間やってもらう。
 マッサージ師さんが音を上げていた。
 ちょっと本当に身体がぼろぼろのようだ。
 でも楽になって、もう少し身体を酷使できるぞとほくそ笑んでし
まうところがいけない、いけない。

 マッサージされているあいだも、アイデアが次から次へと浮かぶ
ので、ブック・ファースト1Fの喫茶店「マ・メゾン」に入り、ア
イデアをメモ帳に書き記す。
 最近書いておかないと忘れてしまうからね。

 東急ハンズ、本屋さん、パン屋さん、マツモトキヨシに寄る。
 午後4時。帰宅。
 
 もちろん速攻で『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。
 すっかりワーク・ホリック状態なので、仕事の進み具合は早い。
それでもなかなか完成しない。
 
 午後7時。麻布十番へ行く。雑誌で見つけた、しゃぶしゃぶ屋さ
ん「だるま」に初挑戦。
 先日もTVで予約がずっといっぱいのお店として紹介されていた
…と思ったのは、私の思い違いで、まったく違うお店のようだ。そ
れでも一応、雑誌で美味しいと書いてあったので、そこそこの味は
行くだろう。
 ちなみに、巨人の松井、ヤクルトの古田がよく来るお店らしい。

 雑誌にも載っていた、中トロあぶりを注文。香ばしくて、けっこ
う美味しい。絶品とまでは言えないが、十分美味しい。
 そして本編のしゃぶしゃぶ。
 日本中の美味しいお肉を食べ尽くしている、ふとどき家族は、肉
の善し悪しにうるさいが、まあまあの評価。
 わが家で、お肉がまあまあと言ったら、相当なお肉である。
 それよりごまダレが、美味しい!
 ポタージュスープのような色をしたごまダレで、口当たりがいい。

 そしてデザート。グルメ・バカ娘が食べた、ほうじ茶アイスクリ
ームは絶品だ。抹茶アイスは京都で食べ抜いているけど、ほうじ茶
のアイスクリームは初めてだ。
 美味しい。しっかりほうじ茶の香りがする。これもお店のオリジ
ナルだそうだ。
 私の小豆アイスクリームもこってりしていて、美味しい。

 これはひさびさに、もう一度来てもいいお店の評価を下す。
 
 食後、少し歩いて行こうと、どっちへ向かうでもなく歩く。
 おっ、こっちは確かいつも行く、洋食屋の「EDOYA(えどや)」
へ通じる道じゃないか。どうせなら前を通って行こう。そのほうが
道がわかりやすい。
「EDOYA(えどや)」の前を通る。
 そういえば、ここ麻布十番はグルメの師匠・すぎやまこういち先
生ご夫妻の自宅が近い。ひょっとして食事なさっていたりしてとい
う冗談を思いつきかけたところで、お店にすぎやまこういち先生の
奥様の姿を私が見つけてしまう!
 本当にいらっしゃった!
 あれ! すぎやまこういち先生もいらっしゃる!
 どうやらお知り合いとごいっしょに食事中。
「神出鬼没だねえ!」と、すぎやまこういち先生が店の外へ出てく
る。で、いきなり持っていたカメラでぱしゃり!と写される。
 思わず大笑い。

 偶然とは本当に恐ろしいもんだねえ。
 それでなくても、私は道でばったり人に会ってしまうことで有名
なのだが、こんなところですぎやまこういち先生ご夫妻と会ってし
まうとは、さすがにびっくり。
 
 午後9時。帰宅。
 帰る途中で、逆転した横浜ベイスターズは、再度巨人に逆転され
て、敗退。やっぱり佐々木様がいないと終盤勝ち越しても、なめて
かかられちゃうねえ。
 どうもならまた巨人と中日で、最終戦で勝ったほうが優勝みたい
な劇的なことをやってほしいものだ。

 そんなことより、こっちは明日『さくま式人生ゲーム2(仮)』
の会議。もうひと働きするぞ!
 


8月26日(木)


 今朝も朝早くから目が覚めて、フジ『めざましテレビ』を見なが
ら、お仕事。
 でもきょう1日は長い予定だから、少し仕事しては、休むように
心がける。
 明日から、京都に行く準備もしないと。

 午前11時。南青山「アフタヌーンティー」で、シアトルサラダ
にコーヒー。このサラダは最近お気に入り。
 食後、南青山から西麻布まで歩いてしまう。
 それでも汗ばむ程度ですむ。1週間前ならびしょびしょになった
はず。秋が近いなあ。

 午後12時。西麻布の「TeTeS(テテス)」で、ココナッツアイ
スクリーム。
 どうもココナッツとか、くるみとか書いてあるとすぐ注文してし
まう。デブの素なんだが。

 午後1時。帰宅。イラストレーターの高内優向さんが来る。
 午後1時30分。4コマ漫画家のというより、今や『月刊デジタ
ルさくまにあ』の「ドラまちっく球団史」の作者としておなじみの
なかむら治彦くんが来る。
 いよいよ中日優勝に向けて、大忙しになりそうなので、9月の「ド
ラまちっく球団史」は、休載になってしまうかもしれない。商売繁
盛だからいいことだ。
 
 午後2時。『さくま式人生ゲーム2(仮)』の会議。
 VR─1の荒堀明弘くん、土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭く
ん、放送作家の福本岳史くん、高内優向さん、ちょっと遅れてタカ
ラの高田さん、到着。

 大幅システム変更も、問題なく通過。
 スタッフ全員にも、この大幅システム変更により俄然おもしろさ
が倍増するのが伝って、きょうの会議は大いに盛り上がる。

 まったくもって、おもしろいゲーム内容に限って、みんながいろ
んなアイデアをポンポン出してくる。
 ところが、おもしろくない内容だと、口々に「いいんじゃないで
すか」「けっこうおもしろいですよ」という言葉が出て、ちっとも
援軍になってくれないものだ。
 クリエーターとしては、にっちもさっちも行かなくなって、苦し
んでいるときに、浮上のきっかけになるアイデアがほしいものだが、
そういう時は誰も援護射撃してくれないものだ。
 勝てば官軍。勝たないとね。

 とにかく大幅なシステム変更は、大成功! 午後5時からビー・
アール・サーカス出版の森澤明夫さんが来ているのだが、ちょっと
どころか、うんと待ってもらって、会議を延長また延長してしまっ
たぐらいだ。
 ゲームの完成品が目の前に無いのに、みんなでもう攻略法を考え
出せるゲームも珍しい。
 これは相当期待できるよ! まだまだこれから一山二山あるだろ
うけど。
 何より全体像が、鮮明になったのが、最高にうれしい。

 午後6時。ようやくビー・アール・サーカス出版の森澤明夫さん
と『さくまあきらの正体(仮)』の打ち合わせ。
 いよいよ本の表紙をどうしようかという打ち合わせの段階に入っ
た。完成が近いぞ! 
 今まで書かれたことのない私の生い立ちの部分が多いので、どん
な反響が巻き起こるのか、見てみたいような、知られたくないよう
な不思議な気分だ。 
 
 午後7時。ひさびさに青山「穂積」で食事。もちろんすぎやまこ
ういち先生ご夫妻とごいっしょ。
 昨日、麻布十番でばったり遭遇したので、なんとなくきょうはご
いっしょして昨日の話題をしたかった気分ではあった。電話でお誘
いしていただいたので、ついついでかけてしまった。
 ひさびさの「穂積」はやっぱり美味しいなあ。
 いきなりマスカットの白和えという変化球から始まって、まさに
虹色の変化球だ。
 ずいきだと思った「芽芋(めいも)」というなじみのない食材も
美味しかった。
 椀物の具に、マツタケが入っていた。どんどん和食料理屋さんに
マツタケが増えて来て、いやでも秋が近づいていることを知る。

 午後9時。帰宅。
 さて、明日から京都である。
 なのだが、きょうはまだこれからもうひと仕事しにでかけないと
いけない。

 午後10時。赤阪のTBSへ行く。『有限会社 桃太郎商店』の
録音がこれから始まるのだ。
 しかもきょうはなんと『桃太郎電鉄』のオープニング曲に歌詞を
その場でつけてアリtoキリギリス、吉野紗香ちゃん、私の4人で歌
うことになっている。
 大胆きわまりない企画だ。
 福本岳史くんに、せっかくお笑い芸人の「号泣」のふたりを紹介
してもらったのに、あまり話せないまま、スタジオへ。
 おっ、吉野紗香ちゃんが、ばっさり髪を切っているではないか。  この髪型のほうが、かわいいぞ!
 しかし2秋分の録音に、歌のレコーディングまであるので、この 調子だと何時までかかるのか予想がつかない。  ひえ〜い。きょうは長い1日になると思って覚悟はしていたけど、 すごいことになりそうだ。  例によって、この番組は笑い疲れする。  きょうはとくに笑いすぎた。  40歳を過ぎたあたりから、お腹がよじれるほど笑うことなんて 無くなっていたのに、どういうわけかこの番組だけは笑ってしまう。  9月6日分、13日分放送分を録音。  この録音でも言ってるけど、いよいよ9月19日の東京ゲームシ ョウのハドソン・ブースでこの番組の公開録音を録ることになった。  アリtoキリギリス、吉野紗香ちゃん、私のこの4人は、本当にこ の番組だけの限定ユニットだから、ふつうの人は、この4人が揃っ ているところを生で見たことが無い。  ひょっとするとこのメンバー4人が並んでいるところを見ること ができるのは、これが最初で最後かもしれない。  そういうわけで、来れる人はぜひ、9月19日(日)午後12時 〜2時。幕張メッセの東京ゲームショウ、ハドソン・ブースへぜひ 来てもらいたい!  そういえば、アリtoキリギリスの石井正則くんが、iMacを買っ た。私とおなじオレンジ色のタンジェリンだ。  私のこの日記を毎日読んでいるそうだ。  近々、吉野紗香ちゃんもiMacを買う予定。  たったひとり石塚義之くんだけが、頑としてインターネットにす ら興味を持たない。  今後どこまでインターネットと無縁で突っ走れるのか、それはそ れで楽しい興味だ。  そんな雑談をしながら、録音終了が午前2時。  さらにそこから『桃太郎電鉄』のオープニング曲に歌詞をつけた ものを全員で歌う。石塚義之くんが、『桃太郎電鉄』や『桃太郎伝 説』に出てくる、ましらとブルーモンキー並の、わざと音痴をやる ので、またしても私が笑い転げて、レコーディングにならない。  困ったもんだ。
 1コーラス分だけなので、本来ならすぐ終わるはずなのだが、何 回も録音。  けっきょく録音が全部終了したのは、午前3時すぎ。  午前3時30分。帰宅。  それでもお風呂に入ってから、寝る私であった。  お風呂に入らないと、1日が終わった気がしない。  午前4時すぎだ。  でもって、私は明日から、京都、伊賀上野、岡山と回る予定。  さすがにちょっときついぞ。少しでも寝よう。  あ〜、まだ石塚義之くんのガラガラ声が耳にこびりついている。
 


8月27日(金)


 午前8時。ふぃ〜〜〜〜〜っ。やっぱり昨日遅かったから、身体
がだるよ〜、眠いよ〜!
 しかもまだアリtoキリギリス・石塚義之くんのガラガラ声が、
耳にこびりついてるよ〜!
 
 午後12時30分。南青山のイタリア・レストラン「リヴァ・デ
リ・エトゥルスキ」に初挑戦。
 初挑戦の前に、このお店の名前、絶対暗記できないよ!
 嫁は前にこのお店に来たことがあって、けっこう美味しかったと
いう。もちろん嫁も来たことはあっても、お店の名前を暗記してい
ない。
 私はもともとイタリア料理が得意ではない。
 パスタがなぜだか、嫌いではないが、狙って行きたいとは思えな
い。下積み時代、毎日スパゲティばかり作って食べていたからかな
あ? 何か理由あるんだろうな。

 でも最初に小さなかごに、パンがいくつも出てきて、このパンが
なかなか美味しい。にんじんパンが赤くてかわいい。
 どれもラスクより小さいぐらいのサイズだから食べやすい。
 
 パスタが来た。おっと、パスタの名前忘れた。
 名前忘れたから、美味しそうに伝えることができない。ひとこと
でいえば、シーフードカップヌードル。こういうと、美味しそうに
思えなくなるでしょ?
 ほかにもいくつか似たものを探したんだけど、シーフードカップ
ヌードルそっくりなのでどれも適切でない。
 でも美味しかった。
 やっぱり何でも苦手と決めつけてはいけない。
 これから少しずつ、イタリア・レストランに挑戦して行こう。

 午後1時30分。嫁がいきなり」今から東京駅に行けば、午後1
時56分ののぞみ号に間に合うんじゃないの?」と言い出す。
 あと26分だよ。キップもまだ買ってないし。
 う〜ん。こういうぎりぎりの時間というものは、つい挑戦してみ
たくなる。失敗したら、失敗したで、おもしろいと思ってしまうの
が、クリエーターの性。
 しかしきょうは状況が最悪。
 いくらタクシーで行くからといっても、珍しくきょうは荷物が多
いのだ。
 パワーブック2400に、ゲーム用の資料集、デジカメ、さらに
嫁と娘が今回来れなくなってしまったから、京都の下着が底をつき、
東京から持って行かないといけない。
 私の手足がまだ不自由なため、洗濯しても、衣類を畳むことも乾
かすこともできない。

 そんな状況で、新幹線にぎりぎりでの乗車を狙うのは、とても無
理である。
 でも一応、狙う。嫁と別れて、タクシーに乗り込む。
 タクシーの運転手さんに急いでほしいという。
 またこの運転手のハンドルさばきが、おみごと。
 巧みに車線を変更して、滑り込んで行く。
 東京駅に、午後1時50分に到着!
 またこんな映画の時限爆弾爆発シーンに、ぎりぎりにふさわしい
時間に着くことないよなあ。
 東京駅のみどりの窓口はいつも混んでいる。
 おっ、きょうは空いてるぞ!
「京都まで、大人…」
「少々お待ちください…」
 それはやめてくれいっ!
 少々が、ものすごく長く感じる。
 ええい、まだこんなときにも、石塚義之くんのガラガラ声の歌が
聴こえる! しつこいぞ! ははは。
 やっと戻った。
「京都まで大人ひとり、禁煙、通路側 乗車券も!」

 キップを受け取って、猛然と走り出す…ことが出来ない。まだ手
足が不自由だ。  
 あと4分。
 勝手知ったる東京駅。新幹線ホームに一番近い改札口から入る。
 パソコンが重い!
 階段はとても無理なので、エスカレーターに乗る。
 エスカレーターが遅く感じる。
 プラットフォームに出た。
 目の前の500系のぞみは、12号車。自分のキップは? 2号
車! ぐへ〜〜〜! 10車両分の距離を歩くの〜?
 がっくり落胆して、ため息をついたとたん、発車のベルが鳴る。
 あわてて目の前の12号車に乗り込む。
 
 午後1時56分。のぞみ17号は、定刻通り発車。
 ひ〜〜〜、間に合ったことは、間に合ったが、手足が不自由なま
ま新幹線車内を歩くことがこんなに大変だとは思ってもみなかった。
 通路を歩くと、お客さんの肘が驚くほど飛び出ていることに気づ
く。新幹線が揺れるたびに、その肘に身体がぶつかる。
「ちっ!」と舌打される。
 失礼なのは、そっちのほうだと言いたいが、面倒なので「すみま
せん、すみません」を連呼しながら進む。
 喫煙車両のもうもうとした煙はすごいなあ!
 十分メイン歌手がスモークの中かから登場できるぐらいの量だ。

 汗びっしょりで2号車にたどりつく。
 肩で息をしている。
 博多に何時に着くというアナウンスに続き「かけ込み乗車はくれ
ぐれもおやめください」。
 はいはい、ごもっともでございます。
 もう二度とぎりぎり乗車はやめよう。きつい!

 いつも通り、新幹線車内は、仕事部屋。
 いろいろアイデアを出したり、本を読んだり。
 今週号の『週刊文春』の「読むくすり」がよかった。
 いまから読む人だけ得したほうがいいから、内容は教えないこと
にしよう。

 午後4時10分。京都駅着。
 午後4時30分。京都のマンションに到着。
 ベッドにひっくりがえったあと、『桃太郎電鉄V』のテストプレ
イ。

 午後6時30分。御池地下街のパン屋さん「カスケード」で、モ
ルトくるみパンを買う。最近京都に来たら、まずこのパンを買う。
 くるみパンというと生地が硬いものが多いのだが、このパンはや
わらかい。くるみも大きい。

 午後7時。おなじみ「ナチュラル・ボディ」でマッサージを受け
る。キーボードの打ち過ぎで、やっぱり右肘の下がびりびり痛い。
 
 午後8時。西大路五条あたりのファミリーレストラン「フレンド
リー」に行く。
 以前このファミレスで、カレーライスの真ん中に生卵がのってい
る、関西地方ならではの料理を食べたことがあったので来てみた。
 しかしメニューにない。がっくり。
 すきやきうどん鍋という、さしさわりのないものを食べる。

 午後9時。マンションに戻り、『桃太郎電鉄V』の資料ファイル
を読む。自分で作った仕様書なのに、もう半年以上たっているので、
どれも忘れている。困ったものだ。

 今夜はひさしぶりに、ちょっとは読書がしたい。
 明日は伊賀上野へ行く。
 


8月28日(土)伊賀上野


 京都のマンションで起床。
 何だかまだ一昨日の『有限会社 桃太郎商店』の録音疲れが抜け
ないのか、ぼうっとしている。
 ベッドでぐずぐずしているあいだも、アリtoキリギリス・石塚
義之くんのガラガラ声がまだ耳にこびりついている。
 レコーディング中も、私の後ろで歌っているのに、石塚くんの声
が一番大きく聴こえるんだから、すごい。
 戦国時代の戦場で「やあやあ、われこそは…」と大声を上げて、
一番先に鉄砲の標的にされてしまうタイプなのだろう。

 そういうわけで、伊賀上野まで早めにでかけるつもりが、どうも
ベッドから抜け出せない。
 そして、まさかきょう1日が、昨年のあの横浜ベイスターズ、セ・
リーグ優勝甲子園球場観戦事件以来の、長い、長〜〜い、長〜〜〜
い1日になるとは知る由もない、さくまあきらであった。

 午前10時。百万遍(ひゃくまんべん)の京都大学前のパン屋さ
ん「進々堂(しんしんどう)」に行く。
 この店は『大往生』の作者である、永六輔さんが大好きなお店と
して旅行マニアに知られている。
 私が旅行好きになったきっかけは、高校生のとき、永六輔さんの
深夜ラジオを聴いた影響が大きい。この人の本を読むようになり、
軽装で旅して回る姿にあこがれ、今もこうして私も軽装で日本中を
回っている。

 そんなわけで、私が大学生になったとき、意識して旅をするよう
になった出発点のお店なのだ。
 以来、たまにこのお店に来る。
 たぶん自分の原点探しのために、ここへ来るのだろう。
 きょうもこれから伊賀上野に行くのだが、西岡たかしサンのコン
サートを見に行く。
 わざわざ何で伊賀上野まで、コンサートを見に行くのかというと、
これには深い深いわけがある。
 
 まず西岡たかしサンについて。今の若い人にはまったくなじみの
ない名前だと思うから。
 1970年代反戦フォークが流行していたときに、五つの赤い風
船というフォーク・グループがいて、そのリーダーであり、ヴォー
カリストであったのが、西岡たかしサンだ。
 当時、自分たちの歌を自分で作って歌うことが珍しい時代に、本
当に美しい日本語の歌を作り、シャンソンのような歌い方をする人
だった。
 私が作詞家をめざすきっかけになった人である。
『遠い世界に』というCM曲にもなったし、小学校の教科書にも載
っているような大ヒットを持っている人だ。
 ほかにも『血まみれの鳩』『もしも僕の背中に羽根が生えてたら』
『幻の翼に乗って』といった美しい曲がある。
 
 そのなかの1曲に『上野市(うえのまち)』という曲がある。
 私はこの歌が本当に大好きで、旅の電車のなかで口ずさむ歌は、
この『上野市(うえのまち)』と武田鉄矢さんの『思えば遠くへ来
たもんだ』である。あとなぜか旅に関係のない曲なのに、佐野元春
くんの『アンジェリーナ』だ。

 その『上野市(うえのまち)』は、名前の通り、伊賀上野を舞台
にした曲なのだ。
 しかもサビの部分に、♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひ
とつゆられて〜、上野市(うえのまち)〜という駅名が織り込んで
ある。
 のちの『桃太郎電鉄』の作者がいかにも好みそうな曲である。

 …とここまで書いて「おっ、ひょっとしてこのあいだの?」と気
づいた人は、熱狂的なさくまにあだ。

 7月8日。現在制作中の『さくまあきらの正体(仮)』で、すぎ
やまこういち先生ご夫妻と青山「穂積」で対談したとき、ビー・ア
ール・サーカス出版社長の新見知明さんも、『上野市(うえのまち)』
が大好きで、伊賀上野まで旅をしたという恐ろしい偶然が発覚した
あの話である。
 あそこまで話は遡る。

 あれからビー・アール・サーカス出版の新見知明さんから連絡が
あって、西岡たかしサンが、伊賀上野でコンサートをやって『上野
市(うえのまち)』を歌うという情報を教えてくれた。
 へ〜〜〜。やっぱりまだ伊賀上野へはしょっちゅう行っているん
だ〜〜と思ったら、なんと伊賀上野でコンサートは10数年ぶりだ
そうで、以来ずっとほかのコンサートでも、まったく『上野市(う
えのまち)』は歌っていないという。

 しかしビー・アール・サーカス出版の新見知明さんも、いくら好
きとはいえ、よくそんな情報を知っているなあと思ったら、これが
とんでもない話。
 学生時代、西岡たかしと五つの赤い風船が大好きで、大好きで、
おっかけをやるぐらい大好きで、その後ほかの仕事をしながら、と
うとう西岡たかしサンのマネージメントを引き受けるまでになって
しまったのだという。
 一度など、私財をなげうって、西岡たかしサンのCDをカセット
ブックに製作して発売、大赤字をくらったことがあるそうだ。
 きょうのこのコンサートも、スタッフの一員として来ているのだ。
 ビー・アール・サーカス出版の新見知明さん、恐ろしくおもしろ
い人である。
 こういうファンがいるから、ベテラン歌手がもう一度再生するの
だろう。

 おそらく新見知明さんは、西岡たかしサンにとって、この日記に
よく登場する最古のさくまにあ・戸田圭祐みたいな存在だったのだ
ろうが、ビー・アール・サーカス出版の新見知明さんと戸田圭祐。
ずいぶんとその姿勢と志は、月とすっぽんである。
 まあ、戸田圭祐は粗忽者のさくまにあとして君臨してるのだが。

 まだ話は午前10時。京都大学の前のパン屋さん「進々堂」にい
る。少し話を進めよう。
「進々堂」は大正時代の雰囲気の古いお店で、キッチンなど、タイ
ル張りである。京都大学の数多くの小説家、学者たちがここで本を
読んだお店だそうだ。
 きょうも隣りに、いかにも京大生といった感じのお兄ちゃんが、
分厚い教科書を開いて、うんうん唸っている。
 まるで明治村とかの、最近よく動いてしゃべるハイテク人形のよ
うだ。
 さてここで、クロワッサンセット・550円を食べる。  コーヒーまで付いてこの値段は安いと思ったら、確かに550円 だと思える粗末な内容であった。  食後、このお店を出て、10メートルほど歩いたところで、上着 をお店に置き忘れたことを思い出し、あわてて取りに戻る。  どうもまだぼうっとしている。  それと学生時代影響を受けた西岡たかしサンと、楽屋でお話でき ることになっているので、私も珍しく緊張しているようだ。     午前11時。京都伊勢丹デパートで、小旅行用のバッグを買う。  きょうは上着、デジカメ、文庫本数冊、メモ帳と小さいながら荷 物が多いので、3000円の安いやつを買う。  これがやたらファスナーと仕切りが多くて、つかいやすい。  とんだめっけものである。  それにしても急にバッグを買うなど、軽装好きのいつもの私の行 動とは何かちょっと違うようだ。  午前11時45分。近鉄特急で、まず大和八木へ。  午前12時39分。大和八木で乗り換えて、再び近鉄特急で、伊 賀神戸(いがかんべ)へ。  午後1時15分。伊賀神戸(いがかんべ)からさらに乗り換えて、 2両編成の電車で歌にも歌われた上野市駅へ。  もちろん、♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひとつゆられ て〜、上野市(うえのまち)〜と歌いながら。この電車である。  ♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひとつゆられて〜、上野 市(うえのまち)〜。のんびりした電車であるから、何10回でも 歌える。  長年の相方である、えびなみつる、かやすたかひろともいっしょ に来たなあ、この町。  ゲーム『忍者らホイ!』の取材でも、この町に来たなあ。  松尾芭蕉を好きになって、この町に来た。  伊賀焼き物を好きになって、この町に来た。  食い道楽になって「すきやきの金谷」のために、この町に来るよ うになった。  いやが上でも、昔のことを思い出す。  この20年間、何度この♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、も ひとつゆられて〜、上野市(うえのまち)〜の歌に誘われて、この 町を訪れたかわからない。  午後1時40分。上野市駅着。  午後1時45分。西大手の「田楽座わかさ」に行く。お昼の2時 までに、ぎりぎりセーフだ。  このお店は、創業文化年間というぐらい古いお店で、8月中は毎 年お休みしてしまう大胆なお店であった。  今回すっかりお店がきれいに改装され、8月もお休みじゃなくな ったそうだ。まだ多くの旅行ガイドには、8月休みと書いてある。
 A定食・1300円を食べる。  田楽はまあまあの味だが、それより漬け物が美味しい。  酢の物もゼンマイも美味しい。  四方を山に囲まれた町だから、漬け物が発達したのであろうか。  この町の近くの名産である日の菜漬は、漬け物ベスト5に入るぐ らいの美味しさだ。  午後2時30分。上野城下に、旧・崇廣堂(すうこうどう)とい う、藩校の新しい史跡が出来ていたので、覗いて行く。  入り口で参観券を買うと、そのまま好き勝手に上がって、見て行 ける大胆なところだ。  ただし、それほどおもしろくはない。  午後3時。いよいよ伊賀上野の北にある、蕉門(しょうもん)ホ ールへ。伊賀上野で「蕉」の文字が入っていた場合は、すべて松尾 芭蕉もじりである。  楽屋を訪ねるが、どうやら私のほうが到着が早かったようで、ぽ つんと広い楽屋で座る。  気を紛らわせるために、メモ帳を出して来て、仕事を始める。  ほどなくして、ビー・アール・サーカス出版の新見知明さん、西 岡たかしサン、元・ジャネッツの青木まりこサン、ユイ音楽工房の 森野敦夫さんが到着。  さっそく、新見知明さんに、西岡たかしサンを紹介していただく。  典型的なファンの形である、私が会員制のレコード販売であるU RCレコード盤の頃から、五つの赤い風船のレコードを買っていま したという話から入って、たくさんお話をしていただく。  大変なメモ魔で、気づいたことは全部メモしているそうで、『上 野市』の歌も、そういうメモのなかから生まれたそうだ。  しかもそのメモには、すべて何月何日何時と、時間まで記してい ると聞いて、新見知明さんと大笑い。 「さくまサンも、インターネットの日記で何時まで書いてるんです よ!」  一流の人とおなじ行動を偶然していたときぐらい、うれしいこと はない。  ただ一流の人と私との違いは、西岡たかしサンはもう30年以上 このメモを続けていることで、私はまだ2年目だとういうことだ。  追いかけよう。  何でも来年新しいCDアルバムを製作するそうで、そのときのグ ループ名を悩んでおられた。 「新・五つの赤い風船」と「五つの赤い風船V」が候補に残ってい るそうだ。 「五つの赤い風船V」と『桃太郎電鉄V』。何という偶然!  もちろん「五つの赤い風船V」を力説する。  まあ、どうなるかわからないけど、もし「五つの赤い風船V」に なったら、私といっしょによろこんでね。  西岡たかしサンは昔からのイメージである、ひょうひょうとして 頑固者のままであった。
「ずっと好き勝手にやっていて、いつかしっぺ返しが来ると思って いるんですが、まだ来てませんなあ」  という言葉がよかった。  私にとって我田引水しやすい言葉だ。  午後5時。まだ開演の7時まで時間があるので、私は町に出て、 伊賀牛でも食べて来ようと思って、その旨を新見知明さんに伝える と、おなじ楽屋にいた、伊賀くみひも人形の作家である、井上端樹 (いのうえ・みずき)さんがわざわざ車で送って行ってくださると いう。  初対面なのにありがたいことなので、お言葉に甘えることにした。  おまけに、伊賀くみひもの携帯ストラップまでいただく。  道すがらお話を聞くと、私の嫁が大好きな伊賀焼きの陶芸家とも 知り合いだそうだ。  こういう出会いがあるから旅はやめられない。    午後5時30分。上野市駅前の「すきやき伊藤」まで送ってもら う。地元の人は、お肉というと有名な「金谷(かなや)」ではなく、 こっちだそうである。  かならずこの町のお肉屋さんの屋号には「すきやき」の文字が付 くようだが、私の好きな伊賀牛の食べ方は、網焼き。  網焼きは、独特の甘い醤油のタレに肉をひたして、網の上で焼く。 韓国式焼き肉に近い食べ方だ。  韓国式はぴりっと辛いタレだが、網焼きのタレは、ひたすら甘い。  そのうち、エバラ焼き肉のタレ・伊賀味なんてのが発売されたら おもしろい。  そういえばこの伊賀上野のデジカメ・シリーズは、ちゃんと写っ ていたら、9月1日近辺に公開予定である。日記の日付のところに ☆印がついたらまた日記といっしょに見てね。  さて、せっかくだからお肉をデジカメしてみたが、デジカメでな くとも、どうもお肉の色がよろしくない。  これは失敗したかなと思ったのだが、タレをつけて、網の上で焼 くとこれが美味しい。邪道で焼き上がったお肉を、最後にもう一度 タレの小鉢にちょっとつけて食べると、さらに美味しい。
 しかしのんびりした町だけあって、なにしろ料理が出て来るのが 遅いのにはまいった。  地方に来ると、本当に東京のスピードが異常なことに気づく。  しかも接客してくれたのが、おばあちゃんだったから、なおさら。  西岡たかしサンのコンサートに間に合わなくなりそうで、心配に なる。  午後6時45分。これはきついぞ!  タクシーを飛ばして、蕉門ホールへ。  午後6時57分。3分前!  新見知明さんが、100人ちょっとしか入らないホールの真ん中 の一番いい席を用意しておいてくれた。ありがたいことである。  午後7時。定刻通りコンサートが始まる。  ギター1本だけのコンサートだけれど、西岡たかしサンの透き通 った美声は、ギター1本で十分である。  次から次へと、あの高校時代の教室で友だちと練習した曲が続々 登場する。  前にも「なつかしのフォーク大会」みたいなイベントで、西岡た かしサンほかの登場のみなさんの歌は聴いているけど、ああいうイ ベント物では、その人たちのメインでヒットした曲を、1〜2曲し か聴けないから、ディープなファンにとっては、どうもフラストレ ーションがかえって貯まるものだ。  きょうはそういうもどかしさは、まったくない。  心ゆくまで、西岡たかしサンの曲の連続である。  おっ! 出た! ♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひとつ ゆられて〜、上野市(うえのまち)〜。  生涯絶対生で聴けることなく終わると思っていた『上野市(うえ のまち)』の一節だ!    西岡たかしサンも、伊賀上野を走るちんちん電車に乗っていて、 この♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひとつゆられて〜、上 野市(うえのまち)〜のフレーズがふっと浮かんで、妙に頭に残っ ていたそうだ。  私のとっては人生を変えた、♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、 もひとつゆられて〜、上野市(うえのまち)〜である。  引き続き、青木まりこサンが登場して、70年代フォークを歌う。 そのあとふたりで、五つの赤い風船時代の曲をデュエットして、今 度は完全ヴァージョンの『上野市(うえのまち)』を歌う。  3番の歌詞に出て来る、数馬茶屋(かずまじゃや)のご主人も、 きょうのこのコンサートに来ているそうだ。  アンコール曲として『遠い世界に』を歌ってコンサートは終わり なんだけど、さらに最後にもう一度『上野市(うえのまち)』を歌 ってくれるサービス。  都合3回も『上野市(うえのまち)』を聴くことが出来た。  最近本当にこういう風に、願い事が叶って行く。  脳内出血で死にかけたとき、神様が「待っとれ! おまえまだ、 願い事を残したまま、死んじまっていいんかい! 待っとれ!」と 言って、生き返らせてくれたようでならない。  横浜ベイスターズの優勝は見れたし、すぎやまこういち先生ご夫 妻ともなかよくなれたし、ユイ音楽工房にも所属できたし、こうし て西岡たかしサンにも会えた。 「願いはいつか絶対叶う」。  一番この言葉を信じていなかったのは、私だったような気がする のだから、不思議だ。   午後9時。コンサート終了。  楽屋でご挨拶。  しばらくして、スタッフのみなさんはホテルへ向かう。  私はタクシーを呼んでおいたので、ホールの前で、ご挨拶。 「そんな京都まで帰らないで、コンサートの打ち上げに参加して、 ホテルに泊まって行けばいいのに」と言われる。  けっこうぐらついたのだが、着替えも持っていないし、仕事の資 料もマンションに残したままだ。  何より現在進行形の2本のゲームをかかえている。  早く帰らなければである。 「ありがとうございます! 念願がかないました!」と、西岡たか しサンにお礼を言って、みなさんを送ってから、ついに悲劇はしず しずと始まった!  ジャジャ〜〜〜〜〜ン!  幕開けは、地方特有の時間軸から始まった。  あらかじめ頼んでおいた、タクシーが来たので、乗り込む。    午後9時47分。伊賀神戸駅に到着。いきなり今から30分後で ないと、特急が来ない。これはまだありがちなことだからいい。  駅前に何件かスナックらしきものはあるのだが、みんな閉まって いる。駅にはベンチもない。
 だいたいからして、とても特急が止まるような大きさの駅ではな い。東京の西武新宿線の鈍行しか止まらない駅よりも小さい。  プラットホームには、ベンチがある。  仕方ないので、30分前なのに、駅構内に入って、ベンチに座る。  さすがにすることがない。  回りの闇が深い。  仕事をすればいのだが、さすがにコンサートのあとだけに、仕事 モードに入るのがもったない気がする。  おお、そうだ、こういうときは、最古のさくまにあ・戸田圭祐に 電話して、他愛のない会話をするにかぎる。  東京の自宅に電話すると、携帯の電池が減るから、戸田圭祐のほ うが関西圏でまだ減りが少ない。 「戸田圭祐〜! 時間つぶしさせろ〜〜〜!」    電話しているあいだというのは、本当に時間が短く感じるものだ。  あっというまに時間が来て、特急が来た。  よし、よし。まあ、なんとか難は逃れたぞ。  戸田圭祐も役に立つものだ。  午後10時17分。伊賀神戸駅を出発。  午後10時50分。大和八木駅で乗り換え。これがまた乗り換え 時間が長くて、7〜8分。  プラットホームですることがない。  また戸田圭祐でヒマをつぶすのも何なので、ベイスターズ・ダイ ヤルに電話する。  えっ! 中日相手に、11対2で快勝!?  ひさびさにマシンガン打線炸裂か〜〜〜! やるな〜。  またしても川村投手? ふ〜む。昨年の開幕投手に、川村を大抜 擢したときは、そんなもんかなあと思ったものだが、早くも翌年結 果が見えて来るのだから、プロの目というものは鋭いものだ。  ふんふん。ヒマな待ち時間もこりゃあ、気分がいいぞ!  午後10時58分。大和八木駅を出発。  きょうは一体何回電車に乗って、タクシーに乗ったんだろうなあ。  帰りはやっぱり、一挙にタクシーで京都まで帰ってしまったほう が楽だったような気もするなあ。  でも、タクシーの人に聞いたら、京都までだと2万円ちょうど欠 けるぐらいかかるという。  2万円はさすがにちょっと痛いぞ。  でもすでに蕉門ホールから、伊賀神戸駅までが、意外に遠くて、 タクシーで4710円もした。  電車代が1980円。  まあ、両方足しても、6690円。  2万円にはほど遠い。  午後11時。大和西大寺駅着。  えっ? うん? ううっ。  や、や、やばいぞ、これは…!  特急はこの駅でおしまいというではないか!  何だって〜! まあ、いいや、急行に乗って帰ればいいや。  何〜〜〜〜〜? 急行が無いだと〜〜〜〜〜!  鈍行じゃ時間かかりすぎるよ〜〜〜〜〜!  どうせ鈍行が発車するまで、時間待たされるんだろ〜〜〜。  ああ〜〜〜、まいったなあ。  まあ、仕方がないや、鈍行にゆっくりゆっくり乗って帰るとする か…。  何〜〜〜〜〜!   鈍行は新田辺駅までしか行かないだと????????  そ、そ、そんな…。  まだ11時じゃないか! こっちはそんなに終電が早いの?  東京は午前1時ぐらいまであるぞ。  西大寺まで来ればもう京都は目と鼻の先だとばかり思っていた。  だいたい朝来るとき、近鉄京都駅からひとつ目の駅だった。  ああ、もう! とにかく、何を言っても始まらない!  ほかに手段が無いのだから、タクシーで帰る!  早く帰って、『プロ野球ニュース』で、横浜ベイスターズの快勝 でも見て、うさをはらそう!  午後11時20分。タクシーに乗車。  タクシーのメーターは、マシンガン打線のように、カチャッカチ ャッと上がっていく。  またタクシーの運転手が無口と来ている。  真っ暗な回りの景色をずっと見ていても、ちっともおもしろくな い。さらにこの運転手、ずっとNHKラジオを聴いている。  メソポタミア文明とかを延々、抑揚のないアナウンサーと教授ら しき年配の女性がふたりきりで、淡々としゃべっている。  そんな番組である。  しかも京都市内に入ったら、私が道案内をしないと全然わからな いという。  堀川通りしか知らないそうだ。    午前0時8分。それでもなんとか京都のマンションに到着。  さて、みなさん、おまちどうさま!  西大寺から京都のマンションまでのタクシーのお値段。  1万6780円! ぐふっ。  蕉門ホールからタクシーに乗って、伊賀神戸駅まで行って、特急 に乗って、八木で乗り換えて、西大寺で降りて、タクシーに乗って、 京都まで到着したすべての交通費を合計しますと…!  1万93440円〜〜〜〜〜!  ぴったり伊賀上野から直接タクシーで帰れるお値段じゃないか!  このアホンダラ〜〜〜!  しかも2時間前に十分着いているはずだ。  もっとせこく計算すると、ちょうど戸田圭祐にヒマつぶしで電話 した携帯電話料金分だけ足が出ていることになる。  別にどうでもいい金額だが、戸田圭祐はこういう場面に登場でき るのが大好きで、さくまにあをやっているので、あえて書いてみた。  しかしまいったなあ。くそ〜。  なんとか気を取り直すしかないなあ。   いつも人生はプラス思考だ!  う〜〜〜、まあ、つまらん運転手だったけど、スピードだけはや たら速くて、『プロ野球ニュース』を見ることができるから、よし とするか。  さ〜て、もう遅いから、風呂にでも入って、寝よ!    …と、ここまででいつもの日記なら終了である。  しかしきょうのこの日記の冒頭で、あらかじめきょう1日は、昨 年の横浜ベイスターズ優勝の日の甲子園球場観戦の日に次ぐぐらい 長いと言ったはずである。  なぜならば…。  京都のマンションの玄関から、東京の嫁に電話する。 「もしもし。京都のマンションのカギをなくしたようだ…」。  どうだ、おもしろいにもほどがあるだろ?  日本中の誰もがカンタンにわかる事実。マンションに入れない!  たとえ入っても、今回は家族が来ていないから、カギがかかって る。しかもそのカギは、私がしっかりかけて来た。  まったくマンションに入る術がない。  呆然とするとはこのことだ。  何度もポケットに手を突っ込むが、出てくるものはおなじものば かり。横浜ベイスターズのキーホルダーに繋がった、京都のマンシ ョンと東京の自宅のカギは出て来ない。  ふうっ。  きょうは、小旅行用のカバンの購入、電車の何回もの乗り換え、 タクシー、食事と、何回もお金を出す機会があまりにも多かったか ら、どこで落としたかなんて、皆目想像もつかない。  それでも嫁がいう。 「管理人さんに合い鍵を渡してあるから、きょうどこかに泊まって 明日カギをもらえばいいじゃないの」。  それは私も思いついたんだけど、明日は日曜日で管理人さんはお 休みなんだよ〜。とほほほ…。  どうしよう…。 「とにかく今からホテルを探して、ホテルから電話する」と嫁に告 げる。  実は戸田圭祐と伊賀神戸でヒマつぶしをしたために、携帯の電池 の残りが少なくなっていたのである。さらにとほほほ…。  一番近い京都ホテルに行く。  この期に及んで、まだどうせホテルに泊まるなら、京都にマンシ ョンを購入したあとにオープンした、京都ホテルがいいやと、まだ プラス思考。  しかしその夢も無惨にかき消される。 「きょうはあいにく満室で…」。  土曜日だもんなあ…。  うへ〜〜〜。  そろそろ真剣になって来るぞ。このまま何件も何件も満室を繰り 返すと、さらに日記は盛り上がるけど、そういうギャグをやってい る場合ではない。  京都に家を買う前に定宿にしていた、京都ロイヤルホテルに行く。  あった。よかった、よかった。  長い長い廊下を歩いて、なつかしのシングルルームへ。  TVのスイッチをつけると、ちょうど『プロ野球ニュース』で、 中日対横浜戦が終わったところだ。  どこまでもついていないんだ!  けっきょく嫁に電話して、明日カギを持って来てもらうことにな った。嫁は友だちと会う約束をキャンセルしなければならなくなっ た。  しかし問題は残り充電が少ない、私の携帯電話。  明日来てもらっても、どこで合流するかを決められないかもしれ ない。  さらにドラマは急展開…はない。  たぶんきょうでトラブルは終わりだと思う。  それにしてもまあ〜〜〜、なんておもしろい人生なんだろう。  ここまで出来すぎた話ととうものはそうそうないと思う。   くやしいから、最後にもう一度だけ歌っておこう。  ♪桑町、茅(かや)町〜、広小路〜、もひとつゆられて〜、上野 市(うえのまち)〜。  西岡たかしサン、ありがとうございました。  そのうち私が影響を受けた人の話をまとめて『さくまあきらの成 分表』という本を出版したいものである。  今はとても本など書く気力もないが…。
 


8月29日(日)


 午前7時。そういうわけで、京都ロイヤルホテルで起床。
 なんだかもったいないので、もう一度寝る。

 午前10時。念のため、京都のマンションに行く。
 管理人室の呼出ボタンを押す。
 ありゃ? 管理人の久野さんが休日出勤していた。
 こりゃいかん。
 あわてて嫁に電話する。自宅に電話する。留守電。手遅れだ。
 携帯に電話すると、すでに新幹線の中。
 まいった。
 
 午前11時。五条堀川下ルのロイヤルホストへ。
 おなじみ海老と帆立のカレー。そろそろ夏のカレー・フェアも終
わりだろうから、食べ納め。

 午後12時。京都のマンションに戻る。
 携帯電話を充電して、日記を書いて、嫁とグルメ・バカ娘の到着
を待つ。
 アクシデントがあると、日記が長くなって、仕事ができなくなる
ので困る。

 午後2時。嫁とグルメ・バカ娘が到着。
 夜はあの「M」に行きたいと言い出す。そういえば今年はまだ1
回も「M」に行っていない。こっちも無理やり来てもらったから従
うしかない。予約する。
 ところでグルメ・バカ娘に「昼はどこで食べたの?」と聞くと、
これがなんと「三嶋亭」だというではないか!
 神をも恐れぬ所業とはこのことである。
 せっかく京都に来たのに、食い物のことしか頭にない!
 まあ、明日帰る予定だそうだから、仕方がないのかもしれないが、
本当に調子に乗りすぎである。
 しかもしばらくすると、グルメ・バカ娘はふとんに突っ伏して寝
ていた。
 金閣寺に行きたいとか、銀閣寺に行きたいといった頭はこの娘に
はまったくない。
 いつも食っちゃ寝、食っちゃ寝である。

 午後5時。高島屋へ行って、合い鍵を作る。
 寺町電気街を歩き、ひさしぶりに、タニヤマCゾーンに行って、
鈴木千華雄くんに会い、ゲーム情報を聞く。
 このお店が実は「M」への通り道で、近い。
「M」は一見さんお断りのお店だから公表するわけにいかない。

 午後6時。和風料理の店「M」に行く。
 先付けが、ウニとイカとあいかわらず豪速球から入るなあ。
 このお店は最高の食材をつかいまくり、豪快に料理を作る。
 きょうも続いて、トロの炙(あぶり)りが出る。もみじおろしで
食べる。
 おお! お品書きに、コーンのかき揚げがあるのを発見!
 もちろん注文する。
 ご主人が、トウモロコシまるまる2本分揚げてくれた。
 さらに私の大好きな、銀杏を焼き塩といっしょに炒ってくれる。  翡翠銀杏(ひすいぎんなん)という品種だそうで、粒が大きいこ と、大きいこと。  グルメ・バカ娘は銀杏が嫌いだから、心ゆくまで娘の分まで食べ るぞと意気込んでいたら、グルメ・バカ娘が食べると言い出す。  いつもこのお店で、グルメ・バカ娘の好き嫌いは解消されて行く。    おっと、ご主人が毛ガニをさばいている。  アワビを取り出す。  どんな料理が出るかと思えば、これがカニとアワビのサラダ。サ ラダとはまたなんと贅沢な!
 アワビもまたグルメ・バカ娘の苦手料理なのに「おいしい、おい しい」と言いながらうれしそうに食べている。  このお店では、グルメ・バカ娘は別人の顔になる。  グルメ・バカ娘の好きなお店ランキング第1位は不動のようであ る。最後にアワビの肝の部分をつかったチャーハンを食べるころに はもう、お腹が満腹で悲鳴を上げている。  でもたぶん、うれしい悲鳴が大半である。    ご主人との話題もどうしても、昨日のカギをなくした話に。  となると伊賀上野の話にもなる。  すると、ご主人は、私よりひとつ上。なんと熱狂的な五つの赤い 風船の大ファンだそうである。  デジカメに写った、西岡たかしサンを見せると「えーなー、えー なー」を連発する。  このお店は本当にびっくりするようなビッグ・ネームの芸能人が 多数訪れる。  でも私とおなじで、学生時代歌いまくった人に対するあこがれは やはり特別なようだ。  日本中に潜んでいる西岡たかしサンのファンをかき集めたら、大 変な勢力になる。ネットワークを作ってみたいものだ。  つくづくご主人が、悔しがっているのを見ると、好きなものは常 日頃からずっと言い続けていないと、チャンスがめぐって来ないこ とを痛感する。  ビー・アール・サーカス出版の新見知明さんと本を作っていると きに、西岡たかしサンの話をしなければ、西岡たかしサンに会うこ ともできなかった。  話をした1カ月後に、西岡たかしサンが10数年ぶりに伊賀上野 に呼ばれるというのも恐ろしい奇遇である。     午後9時。京都のマンションに戻る。  さすがに先週から昨日にかけての疲れがドッと出たのか、ぐーぐ ー高いびきをかいて寝てしまった。  そりゃ、疲れるよ〜。    おかげでまた仕事が遅れてしまった。  でもさすがにきょうは寝よう。  ここで無茶すると、また身体が危なくなる。
 


8月30日(日)


 午前7時。ようやく京都のマンションで起床。
 伊賀上野に行く途中の電車のなかで出たアイデアをまとめる作業。
けっこうたくさん出ていたので、時間がかかる。

 午後1時。白川の戸隠そば屋「寶徳(みのり)」に行く。
 さすがに昨日、わが家のランキング第1位のお店「M」に行って、
飽食の限りを尽くしたので、朝は軽くおそばにした。
 それでも、ここのきびとろろご飯は美味しいので、やっぱり注文
してしまう。

 さて、これから嫁とグルメ・バカ娘は東京に帰ってしまう。
 せっかく京都に来たのだから、もう少しいればいいのだが、グル
メ・バカ娘がまだ宿題が終わっていないそうだ。
 夏休みの宿題!
 なんて、子どもらしい話題なんだ!
 8月30日だもんなあ。
 私はいつも夏休みの宿題は、必ず7月中に終わらせてしまうほう
だったので、この8月30日に苦しむ子どもの姿というのは新鮮で
ある。
 でも大人になってから思うと、夏休みの宿題なんてやらなくても、
成績に影響するわけないんだから、やることはなかったんだよなあ。
 けっこう楽に大人たちにだまされて来たもんだ。

 午後2時。今宮神社のあぶり餅のお店「かざりや」に行く。
 この夏の暑い日に何もあぶり餅なんて食べなくてもいいと思うの
だが、なにしろグルメ・バカ娘はこのあぶり餅が大好きだ。
 3人前ぐらい、ぺろりというぐらいだ。
 きょうも東京に帰る前に食べたいというのだから、よほどの執念
なのだろう。
 午後2時30分。私は御池地下街のクイック・マッサージ「ナチ ュラル・ボディ」に行き、嫁とグルメ・バカ娘はそのまま京都駅へ。  午後4時。京都のマンションに戻る。 『さくま式人生ゲーム2(仮)』の仕様書作り。  大幅なシステム変更のせいで、カードの仕様書を全部見直して、 作り替えて行かないといけない。  大変な作業ではあるが、一歩一歩ゲーム内容がおもしろくなって 行くのが実感できて、それはそれでうれしい。  あとは体力がどのくらい続くかだ。  午後7時。無性に「イノダ・コーヒ」のスパゲティ・イタリアン が食べたくなって、「イノダ・コーヒ四条通り店B2」に行く。  どうやら「イノダ・コーヒ本店焼失後は、この四条通り店が後釜 にすわったようだ。  なにしろコーヒーをひとくちすすったとたん、ゲームのアイデア がぶわ〜〜〜っと出てくる。気持ち悪いぐらいだ。  いつも「イノダ・コーヒ本店」がアイデアが湯水のように出るラ ンキング第1位だったのだが、今年の春に焼失してしまって、困っ ていたのだが、立派に代役を努め始めているようだ。  縁起がいいぞ。  でもアイデアが出ると、作業が増えるので、ちょっと困る。  しかも夜は『桃太郎電鉄V』のテストプレイをしないといけない。  はっはっは。2本同時はちょいと無謀だねえ。  スパゲティ・イタリアン・750円は、それほど美味しくはない よ。こってりしていて、私が予備校生時代に毎日通った、高田馬場 の喫茶店「ロマン」のナポリタンの味にそっくりなので、大好きな だけだ。  午後8時。四条通りのジュンク堂書店に寄って、そのまま京都の マンションに戻る。 『桃太郎電鉄V』のテストプレイ。  まあ、本編のほうは、長年の経験と勘があるので、お正月に作っ た仕様書通りで、問題はない。  今回特別ルールというか、ローカル・ルールというか、バラエテ ィゲームのほうがどうなるのか、ちょっと心配。  でもおもしろいよ。  テストプレイじゃなければ「ドラコンクエスト」をサル状態でず っとやってしまいそうだ。  歴代記録をずら〜〜〜っと並べるようにしたほうがいいかなあ。  などと思いつつ…。  今夜はずっとこのままテストプレイ。
 


8月31日(火)


 昨日の夜、午前3時近くまで『桃太郎電鉄V』のテストプレイを
していたのに、午前5時に目が覚めてしまう。
 どうせだからと、『桃太郎電鉄V』の続きを始めてしまう。
 テストプレイながら、弱いCOMキャラに、連続で目的地に入ら
れるとけっこう腹が立つものだ。

 午前11時。四条河原町通りの富士銀行に、小銭の山をゆっさゆ
っさ持っていく。
 この3年間京都で貯めに貯めた小銭だ。重〜い。ずしりと重い。
腕がちぎれそうだ。でもこれなら相当期待できるぞ。
 小銭をため込んで銀行に持って行くのって、楽しいよね。
 テストの点数を見るようでもあり、この小銭のせいで、残高の万
円の位がひとつ上がったりすると、格別の喜びだったりする。

「さくまサマ〜」と、銀行特有の語尾が下がる呼び出しだ。
 7万1855円! よしっ! 大漁だ!
 京都は旅先だから、大きなお金をつかって、小銭はどんどんぽけ
っとに突っ込むから、捕鯨といえばノルウェーだなあ、とよくわか
らない言い回し。

 午前11時30分。高島屋の交差点にある神戸屋ダイニングで食
事。東京でよくパンを買う神戸屋さんグループのようだ。
 セルフサービスになっていて、夏野菜のゼリー寄せ、フィレカツ
サンド、コーヒーで、840円はけっこう安い。
 
 午後12時。高島屋デパート。『さくま式人生ゲーム2(仮)』
のアイテムの値段を調べに行く。
 イス式マッサージ機、全自動洗濯機、羽毛ふとんの相場など、な
かなかわからないものだ。
 収穫、収穫! デジタル・ムービーなどというものがあるのも初
めて知った。まだ16万円近辺。これからだろう。

 寺町の電気街を覗いて、京都のマンションに向かう。
 きょうの京都は、気温35度。
 熱風の中を歩いているようだ。
 町中でおもしろがって、いっせいに1時間だけ、暖房をつけてみ
ましょう!キャンペーンでもやってんじゃないだろうなあ。

 午後1時。マンションに戻る。
 さっそく『桃太郎電鉄V』のテストプレイ。
 まあ、あいかわらずほどよいところで、キ〜〜〜〜〜ング ボン
ビー!に変身してくれるもんだ。相手のときにね。

 2時間ほどやっていると、目がしばしばしてくる。痛い。
 MAP上の1ドットずつもチェックしないといけないから、目が
疲れる。
「目が悪くなるから、ゲームやっちゃいけない!」という親の言葉
は実に正しい。作り手も緑色は目にやさしいというので、なるべく
緑色をつかうようにはしているのだけれど、キ〜〜〜〜〜ング ボ
ンビー!が出てくると、おなじみのあのMAP上である。

 さて、テストプレイしてるだけではお仕事にならない。
『桃太郎電鉄V』の仕様書の直しをして初めて、お仕事になる。
 カード売り場のメニューを変えたり、貧乏神の悪行の確率を変え
たりと忙しい。
 微妙なコントロールなので、何度も何度もやってみないといけな
い。たとえキングボンビーが、ひと月おいて、すぐにまたキングボ
ンビーに変身したからといって、出現確率を下げてもいけない。
 5〜6ゲームの出現率を身体と頭にたたき込んで、どのくらいの
確率が妥当なのかを決めないといけない。

 というわけで、テストプレイは少しお休みして、仕様書の手直し
を始める。
 そしてまたちょっと書いてはまたテストプレイをする。
 気になるところを仕様書で確認して、またゲームに戻る。

 土居ちゃん(土居孝幸)とも電話でゲーム内容について打ち合わ
せ。珍しく土居ちゃん(土居孝幸)が、今回のゲームについて積極
的になっている。
 こういう危機感が無いと、どんどん作品のレベルは下がって行く
ものだ。

 余談だが、土居ちゃん(土居孝幸)がやっとインターネットを始
めた。なんとか私の日記を見ることが出来るようになったのはよか
ったのだが、初めて読んだ日が、8月28日分。
 あの伊賀上野の日だったそうで、大笑い!

 女風呂のメッセージも書かないといけない。
 今回は5カ所もあるからなあ。
 みんなまた一生懸命探してくれるんだろうなあ。
 それに応えるようなメッセージにしてあげよう。ふっふっふ。
 一心不乱にキーボードを叩き続けていたら、なんと午後7時を過
ぎていた。
 あれ? きょうは東京からすぎやまこういち先生ご夫妻が到着す
るはずなのだが…。こっちから電話してみる。おや? 留守電だ。
 気がついたら、モーレツにお腹が空いていた。

 食事にでかけよう。う〜ん、どこにしよう?
 まだ今回「忘吾(ぼあ)」に行っていない。
 本当は戸田圭祐と日曜日に行くことになっていたのだが、日曜日
はなんといってもカギなくし事件の日。
 あのグルメ・バカ娘が「M」の御旗を振りかざし、疾風のように
上洛して来ただけに、無条件降伏してしまった。
 もっとも「M」に行けたので、私は無条件「幸福」である。

 話は戻る。ひとりで食べに行く。これが実は、私はひとりでカウ
ンター形式のお店に食べに行くのが苦手なのだ。
 お店の人としゃべらないといけない。
 これが仕事となると、もともとフリーライターなので、取材しま
くってしまうのだが、仕事に関係なくなると、これが実は思いきり
人見知りだったりする。
 電話魔とも言われ続けて来たが、実は電話が苦手である。
 もっとも私の人生の98%ぐらいが、仕事なので、誰も2%の人
見知りの部分にまったく気づかない。

「はい、割烹忘吾(ぼあ)です! あっ、さくまサン、どうぞ! ど
うぞ!」。
 ご主人の原田さんだ。きょうはなんだか元気だなあ。

 というわけで、初めて「忘吾(ぼあ)」にひとりで入る。
 原田さんの威勢がよかったのが、わかった。
 何でもきょう白身魚の白河のいいところが入ったので、味のわか
るお客さんが来ないかなあと首を長くして待っていたところへ、私
が電話したからなのだそうだ。
 やっぱり料理人気質なんだろうなあ、これが!
 私たちがゲームのいいアイデアが出たときなど、他人に言いたく
て言いたくて仕方なくなるのとおなじなのだろう。

 でも買いかぶられているが、私は「白河(しらかわ)」という魚
は初めて聞いた。若狭湾で採れるそうだ。
 わからなくても、食べたら、そのぷりぷりっの肉厚は、何の名前
の魚であろうと「おいしい!」という悲鳴が出る。
 
 きょうはご主人の気合いがすべての料理に乗り移ったのか、どの
料理も美味しい。
・いちじくのホワイトソースがけ。涼しい!
・どびん蒸し。秋がそこまで!
・マナガツオの柚子庵焼き。香ばしい。
・生寿司(きずし)の酢の物。関東でいうシメサバ。
・賀茂ナスのでんぽ焼。マッタケも入った茶碗蒸し風。
・岩がき。大きくてクリーミー。さすが海のミルク! こってり〜!
・ぶどう豆のかき氷。上品な黒豆ワイン漬け。

 食べた、食べた。きょうは珍しくお店が空いていたので、テンポ
よく料理も出て、けっこうお店の人ともしゃべることができた。
 人見知りも、何度も行けば直るってことだな。
 ちょっとのつらさを前に断念することがいかに多いことか。

 午後9時30分。さらに『桃太郎電鉄V』の手直し。
 右肘の下の筋肉がもうカチンコチンになっている。
 そろそろキーボードを押すこともできなくなりそうだ。
 きょうはさすがにもう休もうかなあ。
 げっ! もう午後11時30分だ。
 これから休もうも何もないものだ。

 明日は東京に戻る。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』のほうが、遅れ始めている。
 どっちのゲームも順調とはさすがにいかなかったなあ。
 それでもふたつのゲームとも、大きく前進!
 これは気分がいい。 
 

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