2月26日(金)


 午前11時。『チョコバナナ』投稿者の汐崎隼(旧・汐崎じゅん)さん、藤川かつらサン、
岩岡目々さんが来る。

 まず最初にこの3人に、私のライフワークになるはずだった『チョコバナナ』の活動に終
止符を打つことを伝える。
 ここまでずっと上り調子で来ての終了は、唐突かもしれないが、ずっとこのことは悩み続
けて来たことだから、私にとっては、断腸
の思いでの結論。
『チョコバナナ』ファンには、近々『ほんのチョイ係』のほうで、たっぷりその理由を言う
つもり。やめる原因はひとつやふたつでは言いきれない。物事はビーカーの水のように、溢
れ出たときに終わる場合が多い。
 そのなかのひとつだけいうと、この1月に、3人の投稿者が週刊少年サンデーに投稿した。
全員最終選考に残ったことは、ほかの投稿者たちに大きな反響を呼んだ。
 しかしその反響は、すべて3人の投稿者が投稿したから、あわてて私も投稿したいという
だけで、プロになりたいのかどうかだかも怪しいものであった。
 さらには、一度も『チョコバナナ』に投稿したことが無い人、一度だけ作品が載ったけど、
その後半年以上連絡もなければ、4コマ漫画も、『当方見聞録』も、桃鉄キャラも描いたこ
とが無い人が、3人の投稿者とおなじように、週刊少年サンデーに投稿したいから、漫画を
見てくれと言ってくる。
 私が漫画家を紹介するだけで、週刊少年サンデーからお金をもらえるなら、それも商売だ
からいいだろう。そうでは無いことを言っているのだから、自分の要求はあまりにも気恥ず
かしいことに気づいてほしかった。
 若者は、あまりにもまわりの空気を読まずに、傍若無人な行動を取る。その大軍を相手す
るのが厳しくなって来たことが『チョコバナナ』終了の一番の原因だ。
 私ももっともっと勉強がしたい。大先輩たちからたくさんのことを学びたい。人に教える
前に自分を磨きたくなってきていることは確かだ。
 詳しくはまた『ほんのチョイ係』のほうで。

 午後12時。嫁、岩岡目々さん、汐崎隼さん、藤川かつらサンの4人でちゃんこ料理のお
店「天海地(てんかいち)」でランチ。
 私はねぎとろ定食。べらぼうに美味しい。嫁の納豆定食も美味しい。ここの料理は安くて
美味しい。

 午後1時。ゲーム部屋に場所を移して、『チョコバナナ』投稿者たちが続々到着する。初
登場の河野志俊(こうの・ゆきとし、旧・ブリッジー)くん、たつきじゅんサン、樹野こず
えサン、内本まなみサン、吉野桜風さん、鱗夏あいサン。
『チョコバナナ』は終わるけど、昨年からずっと漫画を描き続けている人たちには、勉強会
を続ける予定。勉強会に参加したい人は、2週間に一度『当方見聞録』に投稿を続けるぐら
いのガッツを見せた上で、参加を希望すること。
 今後も描く人がいるなら『当方見聞録』は続けて行こうと思ってる。漫画を送って来ても
いい。
 
 さて、きょうの勉強会は、予想通り、汐崎隼さんと、岩岡目々さんの質問合戦となった。
 予定の午後4時を過ぎても、質問は止まらず、私のあごが痛くなってしまったほどだ。こ
ういう疲れ方はうれしい。
 本当に熱心な若者とだけ付き合いたい。
 虫のいい若者とは付き合いたくない!

 午後6時。嫁はインターネットの集まりに行く。
 私はグルメ・バカ娘は連れて、東京駅へ。
 いつものように大丸デパート地下のお弁当公園で、お弁当を探す。グルメ・バカ娘は本当
に食うことに対して、頑固で、ぐるぐる売り場を回るも、やっぱりきょうも、目黒けやき弥
のお弁当「栗林」を選ぶ。私はおなじ目黒けやき弥の「梅おこわ」を選ぶ。初挑戦。

 午後6時14分のひかり号。
 なんと週末の金曜日だけあって、指定席が最終電車までひとつも空いてなくて、仕方なく
グリーン車に乗る。
 すぐお弁当を食べるが、やっぱり私が選んだ、梅おこわのほうが美味しくなかった。絶対
グルメ・バカ娘が選んだ物のほうが美味しいのは、一体なぜなんだろう? こしゃくなガキ
だ!

 午後9時。京都着。
 グルメ・バカ娘と私は、嫁がいないことをいいことに、まっすぐ京都のマンションに行か
ず、ついホテル・グランヴィア京都のカフェレストラン「ル・タン」に寄ってしまうのであ
った。
 まったくバカ兄妹みたいな親子である。
 そしてグルメ・バカ娘はチーズケーキを。私はゴマ風味のババロアという風変わりな食べ
物を注文する。
 このゴマ風味のババロアがテーブルの上に乗ったとき、グルメ・バカ娘が「おおっ!」と
叫ぶ。大きなお皿に白い粉砂糖がお皿の外周を白い刷毛で塗ったように、弧を描き、ゴマ風
味のババロアはとんがり帽子のみたいな形で、土俵入りの横綱のように、そそり立つ。
 まわりには、イチゴとキウイが土俵入りの太刀持ちのように、鎮座している。こんなカラ
フルなお皿を黙って見ているグルメ・バカ娘ではない!
 あっというまに、イチゴを食べられ、キウイも食べられ、ババロアは子どもの頃やった、
砂場での、棒を立てて、手で砂を取り合い、棒を倒したほうが負けという遊びのように、親
子で奪い合うハメになってしまった。
 以後、京都駅に着いたら、グルメ・バカ娘が条件反射のように「ゴマ風味のババロア!」
と叫ぶに違いない。

 午後10時。京都のマンションに到着。
 きょうから1週間ぐらい私は京都にいる予定。

『チョコバナナ』の終了を決めたせいか、なかなか寝付けない。
 ライフワークにするつもりだったものをやめることは、つらい…。


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