2月18日(木)


 朝、『野村監督・知将の思考』(東邦出版・江本猛紀)を読む。今年から阪神の監督になる
野村さんが、ヤクルト時代に築いた「ID野球」について書いた本。

・人生に近道無し(四苦八苦するのは、人間の宿命)
・人生に失望無し(何もかも失われても、未来だけは残っている)
・人生に待った無し(チャンスをつかめ、チャンスを生かせ、)

 といったことが中盤からどんどん出て来て、人生の羅針盤として、ものすごく役に立つ本だ。
 野球嫌いの人でも、読むといい。

・計画はダレやすい。だから計画性が必要だ。
・複雑なことは単純に、単純なことは複雑に考えて処するべし。

『チョコバナナ』の投稿者たちは、とくにこの本を読むといい。と言っても大半の人は読まな
いと思う。
 読む人だけが得をする。世の中そういう風にできているもんだ。

 午前10時。『レガイア伝説』をやる。
 順調にエンディングに向かって進む。
 
 午後12時。いよいよ最後の敵の前のようなので、『レガイア伝説』をセーブして、渋谷に
行く。
 東急デパートの近くの「ふらんす亭」で、カレー+レモンステーキ750円を食べる。レモ
ンステーキという名前は興味引くでしょ? ものすごく期待したんだけど、正体はラム・ステ
ーキ。臭みを消すためにレモンをつかっているようだ。
 味の方は、チープな美味しさ。まずくて美味しい「まずうま」!吉野屋の牛丼のように、
ときどき無性に食べたくなる麻薬性がある。
 若い人たちでごったがえしているのが、いかにも値段が安くて、ボリュームがあって、お肉
とカレーをいっしょに食べられるのが、その理由なのだろう。

 午後1時30分。帰宅。
 大きく息をひとつして『レガイア伝説』の最終ボスと戦闘。
 さほどのピンチなく、めでたくクリア! ついにプレイステーション史上初のクリアRPG
となる。
 いやあ! うれしいねえ。
 最後に総戦闘回数とか、逃走回数なんかをまとめて見ることができるのもいいねえ。最後ま
で本当に親切設計だ。
 ひさしぶりにゲームらしいゲームだ。
『レガイア伝説』のいいところは、表面はシンプルで、中身が複雑で、きめ細かい点だ。
 このゲームのよさを語れるゲームライターがいると、ゲーム業界も発展するんだけど、おそ
らくいないだろうなあ。
 みんなでクチコミしていくしかないんだろうなあ。
『レガイア伝説』をやっておもしろかった人、クチコミしようね。
『レガイア伝説』をまだやったことない人、だまされたと思ってやってみよう。ダンジョンな
んかも嫌味じゃなくて、達成感のあるゲームだよ。
 早く柴尾英令くんと、話がしたいなあ。
 早くしないと、最近ボケが始まってるから、忘れてしまいそうだ。

 午後3時。タカラの高田さん、小沢くんが来る。
『さくま式人生ゲーム2』の話。
 基本的にやる方向で進んでいるのだが、構想通りのシナリオが果たして、年内に完成するの
か、メドが立たないことだ。
『さくま式人生ゲーム』の最大の反省点は、そのボリューム感と、きめ細かいチューニングに
ある。いずれも時間のかかる部分だ。
 こういうボリューム感を、ほかのゲームでは、大人数のスタッフを動員してクリアするのだ
が、私の場合ひとりしかいない。しかも私の作り方は独特なので、他人が入り込む余地が無い。
北陸の輪島塗りみたいな作り方なので、短期間での量産が効かない。
 どうしたらいいのだろう?

 午後6時。グルメの師匠・すぎやまこういち先生ご夫妻から電話が入る。新しいお店にチャ
ンレンジしに行かない?というお誘い。もちろんオーケイなのだが、わざわざ車でバカ家族を
迎えに来ていただけるという。増長してしまいそうである。

 午後7時。ご夫妻の車に乗せていただいて、築地へ。
「つきじ高野」というお店。
 お作りから、まあまあの味なのだが、このメンバーは舌が肥えすぎているので、手強い。
「もう一度この店に来たいと思わせる一品が無いなあ…」と思って気がついた。ゲームも
おなじではないか!
 内容がよくわからなくても、買いたいと思わせるシステムとか、イベントのあるゲームを
つくらないといけないんだなあ。
『さくま式人生ゲーム2』を作るにあたって、もやもやしているのは、この点だったのだと
いうことに気がつく。

 すぎやまこういち先生からも『さくま式人生ゲーム』はおもしろかったから、今度はじっ
くり時間をかけていいゲームにするように作りなさいというアドバイスをいただく。
 ちょっとひさびさにひとりでこもって、沈思熟考を重ねないといけないようだ。また旅に
出るか。
   午後9時30分。食事中に先生ご夫妻と珈琲の話をしていくうちに、珈琲が飲みたくなっ てしまって、そのまま先生の車で赤坂の「コヒアアラビカ」へ行く。  前回嫁と私が偶然入って、2000円もする美味しい珈琲を飲んだお店だ。フレンチロー ストというやつなんだけど、喉ごしがさわやかで本当に美味しい。しかもすぎやまこういち 先生にごちそうになってしまった。  午後10時30分。すぎやまこういち先生ご夫妻が家まで送ってくれるというのだが、さ すがに遠慮する。師匠と弟子の区別を忘れてはいけないからね。  精進せねば、何事にも。

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