2月1日

 お昼、新宿の「王ろじ」で食事。創業大正10年。とんかつの おいしいお店だ。ときどき無性に食べたくなる。  きょうは、お店の近くのサクラヤのゲーム館に『テイルズ・オ ブ・ディスティニー』の攻略本を買いに来たので、王ろじに寄っ た。  初めて5分でつまったのががくやしいので、攻略本の力を借り ようと思ったからだ。ところが売ってない。紀伊国屋書店のゲー ム本専門店に行くと「このゲームはゲームソフトを置いているお 店のみ、攻略本を発売しているので、当店では扱っていません」 とのこと。またまたやっかいなシステムだ。  ゲーム業界は、お客さん無視の方向へ全力疾走をしているよう な気がしてならない。政治、しがらみが多すぎる。  帰宅後『バーガーバーガー』、前にも中途挫折した『サガ・フ ロンティア』をやる。わからない…。 『街』をやる。さすがに中村光一くんだ。ゲームがわかりやすい。 説明がていねいだ。煩雑なキー操作もない。ゲームはこうでなき ゃ。でもこの手のゲームは、私の記憶力が低下しているので、根 気よく続けることができない。きっといいゲームだろうに。  私にもできるゲームはないのだろうか? 自分で作るしかない かな?  それにしてもこの1年間でクリアしたのが『ポケモン』だけと いうのは、困ったもんだ。



2月2日

 午前中、『チョコバナナ』投稿者・プチまるクンが名古屋 から来る。『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』のページを整える ための打ち合わせ。  午後、『チョコバナナ』投稿者・石橋淑江さんが和歌山か ら来る。  石橋淑江さんはもはや恒例のアルバイト。今回は『桃太郎 電鉄7/4コマ劇場』の編集の手伝いもする。  15:00〜 港区…おっと、いつもながらゲームの話を する時は気をつかう。都内某所で『DK』の打ち合わせ。場 所をいうと、どこのメーカーから発売されるかすぐわかって しまうので、ゴメンね。  この会議ですごくなつかしい人と再会できたけど、これも くわしいことが言えない。マイケル・ジャクソンを担当した こともある人なのでおもしろいんだけどね。  ようやく夏には発売できそうなので、近くなったら、バン バンここでしゃべります。  現在進行中のゲームは以下の通り。おさらいしておきまし ょう! ・DK→きょう、打ち合わせしたやつ。 ・Jゲーム→3月20日発表。年末発売。 ・ゲームボーイ版M→たぶん夏前に発売の予定。 ・MD→アイデアのみでいいことになっているのだが…。 ・Yのたまご→いまのところあてもなく勝手につくってるゲ ーム。 ・桃太郎電鉄→これはいつも作ってるから。予定にはいまの ところ入っていない。今度のタイトルを『桃太郎電鉄OS 8』にしようと思ってるというのは、とっても冗談。   帰宅後『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』編集中。  台割り(ページ構成)が決定する。これが出来ると、ひと安心だ。



2月3日

 午前中、新宿高島屋へ東急ハンズ・ウォッチングにでかける。  文房具売り場というのは、ほしい物がなくても、わくわくするものだ。 どうでもいい茶封筒を見ていても楽しい。  フィギュア売り場に、鉄人28号の着地ポーズという絶品があったので、 買って帰ろうとして、おっと危ない! 店員さんに聞くと、案の定、組立 キットで、ふつうの人が組立てるのは難しいという。紙ヤスリで一度全部 削ってから、下塗りをしてどうのこうの。やっぱり。フィギュアはこれが あるから怖い。  残念。いいデザインなのになあ。  午後、野沢知子が来て、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』の編集開始。  けっきょく中尾淳(プチまる改め)の作品が、70本以上載ることにな った。作者名は、さくまあきら全面編集、作:中尾淳+チョコバナラーズ になった。  読売広告の岩崎誠と石川茂樹さんが来る。石川茂樹さんは初対面。  広告代理店の人と話するのは、やはりいろんな情報を持っていて楽しい。 おかげで『テイルズ・オブ・ディスティニー』の開始5分でつまった部分 も解消された。それにしても理不尽なトラップだ。スーファミの頃からこ のシリーズをやってる人にはカンタンらしいのだが、プレイステーション で初めてなんだから、初めてやる人に向けて作ってほしいものだ。  夜、漫画家山本貴嗣と電話。何の業種でもプロの人と会話するのは楽し いねという話に落ち着いてしまう。



2月4日

 午前中、『チョコバナナ』投稿者・しののこサンが来る。  しののこサンは、現在製作中の私のゲーム『Jゲーム』のドット絵のデ ザイナー見習いとして、うちから3分のソフトハウスにアルバイトに行っ ている。  おなじ投稿者・中尾淳(旧・プチまる)、石橋淑江さんといっしょに昼 飯を食べる。話題は志を高く持とう! 緊張して描いた絵は、人に感動を 与えないといった話。ようやく『チョコバナナ』の投稿者たちとこういう 会話ができるまでになった…といっても、まだスタートライン一歩手前な んだけどね。  午後、お笑い芸人をめざしてる門脇忍くんが来る。  彼は4〜5年前に、ゲームデザイナーをめざして、私の門を叩いたのだ が、お笑い芸人のほうが向いているので、そっちをめざしている。私とお なじように、『ちびまる子ちゃん』のキートン山田さんが、彼のことをお もしろいといってるのだから、絶対将来性があると思うのだが、なかなか 芽が出ない。惜しい存在だ。ブレイクするには、本人の志が高く、貪欲で なければならないという話になる。  中尾淳、石橋淑江さん、それぞれ名古屋、和歌山に帰る。  夜、『チョコバナナ』投稿者・岩岡目々さんに電話。 『チョコバナナ』初の単行本『わるわ〜るど』の話を進める。 『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』編集中。



2月5日

 午前中、昼限定のステーキ丼が美味しいと評判のお店、虎ノ門の青柳に 行く。しかしきょうはそのステーキ丼はお休みの張り紙が。あとから来た サラリーマンやOLがみんな一様に「え〜!」と叫ぶのだから、相当美味 しいのだろう。すごく気になる。このお店だけは絶対連れて行けと、うち のグルメ娘がうるさかったからやっと来れたのに。なぜ平日の午前中に小 学生の娘がいっしょにいるかというと、学級閉鎖だから。娘もかなり風邪 ぎみなのだが、食べ物のことになるとムキになってついてくる。まっこと ふとどきなバカ娘ですたい!だ。  仕方なく近くの山形観光プラザに行く。山形といえば、おそばが美味し いので、これはそばだと入ったのだが、失敗した。つゆにくせがないとい うのは困り者だ。やっぱり美味しいを求める時に、自動販売機で食券を買 う店のそばは敬遠すべきであった。  またまた仕方なく、隣の播磨屋本店に行く。ここは通販の美味しいおせ んべい屋さんとして、全国に名をとどろかせている店だ。通販のみだと思 っていたのに、直販店がこんなところにあるとは思わなかった。  しかもぜんざいや、安倍川餅の抹茶セットがあるなんて! お餅もせん べいもお米が原料。おせんべいの播磨屋の餅がまずいはずがない。果たせ るかな、美味い! これはもう一度ここを訪れる日がいつか来るな。    午後、ユイ音楽工房の篠宮さん、かつて吉田拓郎さんのスタッフとして 有名だった陣山さん、ムサシノ広告の伊東正義が来る。かつてラジオでよ く聴いた名前である陣山さんと会えるようになるなんて思わなかった。こ の仕事をしていてよかったなあと思うのはこんな時だ。  例のユイ音楽工房とのタレント契約が本決まりになって、挨拶状の文面 の打ち合わせ。ユイ音楽工房のタレントになったというと受けるかなぐら いの軽い気持ちだったんだけど、本当になってしまった。  陣山さんと音楽系のCDロム企画のお話。こういうゲーム以外の話は楽 しい。ちょっと意外な話なので、本当に決まったら報告する。    夕方、澤良一くんが来る。『ぐ〜ちょDEパーク』に続き、『DK』の キャラデザインも澤くんだ。どうやら『DK』は発売にこぎつけそうだ。 ゲームだけは最後まで本当に発売できるかどうかわからないので、いつも 心配だ。『桃太郎電鉄7』にしても、最近やたら「大ヒットおめでとうご ざいます」と言われるが、とても年末発売に間に合いそうもないあの時の 重苦しい空気が先に立って、うれしさも中くらいかなだ。  夜、漫画家の赤星たみこサンが贈ってくれた『はいッ!ガンの赤星です!!』 (扶桑社)を読む。副題に「子宮ガンからの痛快サバイバル日記」とある。 15年ほど前、私は週刊セブンティーンの雑誌ライターで、彼女は新進の漫 画家だった。私も彼女も編集部で原稿を書くという不思議な執筆方法をとっ ていたため、机を並べて仕事をしていた仲だ。  これだけ暗さを感じさせない闘病記も珍しい。「赤星やっとるの〜!」と 声をかけたくなる。文章が読みやすくておもしろいし、プラス思考の名著で ある。ぜひ一読してほしい。 



2月6日

 午前中、ハドソンの浦さん、土居ちゃん(土居孝幸)が来る。  今年の桃太郎シリーズの制作打ち合わせと、2月後半のアイデア旅行の 場所の打ち合わせ。寒い時期なので、どうもここといって行きたいところ がない。けっきょく博多、宮崎の旅に落ち着きそうだ。    午後、レイアウターの野沢知子が来て、『チョコバナナ』14巻の校正と 『チョコバナナ』のチラシの打ち合わせ。  夜、銀座のてんぷらの近藤に行く。  天ぷらは、高血圧&糖尿ぎみの私に非常によくない食べ物なのだが、近 藤の天ぷらだけは、特別枠にしてほしい!というぐらい、美味い!   てんぷらの近藤のご主人は、山の上ホテルの料理主任だった人で、その 味を作家の池波正太郎さんがこよなく愛したということでも有名だ。  とにかく予約が3ヶ月先まで埋まっていると言われるくらい、きょう思 い立ったから行こうかという店ではない。なぜかうちは運良く行けてしま うのは執念の差か。  美味しいものを食べると、好き嫌いが減るもので、私はこの店で、アス パラガスというものがこんなに甘いものかということを初めて知った。  シルクのヴェールをかけるように、あっさり揚げられた魚や野菜は、と ても天ぷらとは別の名前をつけてあげたいほど、違う味覚だ。  大根のように大きなサツマイモの天ぷらは、うちのグルメ・バカ娘の大 好物で、きょうもご主人が特別大きい部分を揚げてくれた。  エビ、アスパラガス、メゴチ、タマネギ、アナゴ、空豆、虎フグの白子 と来て、最後に天ぷらのかき揚げをお茶漬けにした、天茶は絶品である。  季節が変わるたびにメニューも変わるので、何回行っても、新しい味を 楽しませてもらえる。もう次の季節が待ちきれない。  そういえば、てんぷらの近藤に、撮影クルーが来ていた。2月11日の TBS昼12時のテレビ番組で放送されるそうだ。食い道楽の人はぜひ。  


絶品のてんぷら『近藤』


2月7日

 午前中、新宿小田急百貨店の加賀・能登物産展へ行く。伊勢丹では、青 森・秋田展をやってるし、京王は長崎展。忙しいぞ! まずは加賀・能登 展だ。海鮮丼の出店につられた。  金沢の甘海老は、かなりいける味なのだが、いかんせん小さい。北海道 のシマ海老とかになれてしまうと、迫力に欠ける。海鮮丼よりも、じゃこ 飯丼のほうが美味しかった。うずらの玉子をかきまわして食べるのがよか った。あんころ餅を買って帰る。  午後、新宿パソコン街をまわる。ザウルス・ポケットを買う。デジカメ 付きのパワーザウルスにしたかったんだけど、まだ私には重い。早く身体 を治して、重い物を買えるようになりたいものだ。現在持ってるザウルス のデータを移せるといいのだが…。ついてるんだろうな、その機能。怖い からねえ、新しい機械は。平気で前のお客を切り捨てるからなあ。 『Yのたまご』のアイデア出し。メーカーを決めずにずっと作り続けてい るが、なんとなく形が見えてきたような気がする。


じゃこ飯丼


2月8日

 朝から、古いザウルスのデータを新しいザウルスポケットに移そうとし たんだけど、やっぱりうまく行かない。可能かどうかもわからない。  あ〜あ、また住所録を全部新たに入力しないといけない。  昨日から長野五輪が始まる。  昨年秋に、長野をばっちり下見しておいたので、テレビ中継の景色を見 るのが楽しい。  大衆居酒屋清太郎の看板も現地で見ているだけに笑える。本当にあの表 彰会場って小さいんだよ。町の盆踊り会場くらいの大きさだ。  開会式が「地味だ」、「つまらない」という意見が多いようだが、ツキ のない仕事特有の空気が流れているような気がする。がんばっても、がん ばっても、誰かがヘマをして、代案または規模縮小の繰り返しで、素人目 にはわからないんだけど、出来がなんとなくもの悲しい。あの雰囲気があ る。



2月9日

 午前中、前から一度行ってみたかった巣鴨のとけぬき地蔵尊へ行く。  おばあちゃんの原宿と呼ばれているのは知っていたんだけど、本当に多 い! 通行人の95%以上がおばあちゃん。とげぬき地蔵尊は、黒山のお ばあちゃんだかりで、平日とは思えない人出だ。


おばあちゃんの原宿  有名なとげ抜き地蔵尊
 実はお目当ては、おばあちゃんではなく、古奈屋というカレーうどんの 美味しいことで有名な店。とげぬき地蔵尊のほぼ隣りなのだが、なんと、 月曜定休。もっとしっかり調べてから行くべきだった。  仕方なく、近くの「とろろや」に入る。そのものずばりの麦とろ屋さん というのは、味が期待できないものだが、これがいいほうへ大当たり。  とろろに入れる卵が美味しくて、つい多めに盛られたご飯をつるつるっ とたいらげてしまった。これならと、このいお店のもうひとつの自慢商品 ずんだ餅も頼んだ。これも美味しい! 砂糖の代わりに蜂蜜をつかってい るようで、枝豆の味がくっきりわかる美味しさ。偶然入ったお店の料理が 当たりだと、1日が充実した気がする。まだ午前中だけど。  午後、おなじみユイ音楽工房の篠宮さんが作詞家の松本一起さんをつれ て来る。ムサシノ広告の伊東正義も来る。  松本一起さんといえば、鈴木雅之さんの『ガラス越しに消えた夏』、中 森明菜さんの『ジプシークィーン』、classの『夏の日の1993』といっ たヒット曲を持つ、大作詞家さんである。とくに私は池田聡さんの『モノ クローム・ヴィーナス』が大好きで、ちょうど10年以上前、札幌のハド ソンで『桃太郎伝説』のゲームを作っている時に、池田聡さんのCDばか り聴いていたので、その作者に会えるのは、すごくうれしいことだ。  しかも実績あるクリエイターの人と話をすると、いつもつかってる脳と は違う脳の部分が動き出すようで、うれしい刺激があって楽しい。  仕事のほうの話もすごく楽しい話で、今すぐにでもここでバラしてしま いたい内容なんだけど、極秘なのでいつかまた。とにかく今後何かといっ しょに仕事をしましょうということになった。新しい人との出会いはいつ も楽しい。しかも尊敬する人との仕事というのは、こことちよい武者震い とこれからドアを開ける喜びとが入り交じって楽しい。



2月10日

 午前中、恵比寿に行く。恵比寿なら恵比寿ラーメンと向かうが、営業開 始は12時から。まだ1時間もある。急ぐので、以前ファミ通ブロスの副 編集長那田さんにごちそうしてもらった、筑紫楼へ行く。ふかひれがムチ ャクチャ美味しい店なので、ふかひれラーメンを頼む。  カニみそみたいにこってりした味で美味しいのだけど、食べているうち にちょっと飽きてくる。でも美味しいのは間違いない。なかなか減らない。 あわてる。デザートの杏仁豆腐を早く食べたいのだ。  なにしろここの杏仁豆腐は、現在全日本杏仁豆腐ランキング第1位と思 っている絶品だからだ。フルーツも何も入ってない、まさに豆腐を食べる かのようなシンプルさなのだが、ほどいよい甘さは身体が10センチぐら い浮く。  食後、恵比寿駅近くのフィギュア屋へ行く。 『スター・ウォーズ』のハン・ソロがトントーンに乗っているフィギュア 4200円を買う……………このインターネット日記、実は私は文章を書 いているだけで、アップするとか何とかという動作は全部嫁がやっている。 その際、私の誤字やお店の名前なども校正してくれる。  ということは、私がいくら4200円と嘘を書いても、4万2000円 と書き直してしまうはずだ。はい、また浪費しました。いいデザインなん だよ〜。こんなでかいの買っちまって、もう置くとこないんだけどなあ。      午後、野沢っち(野沢知子)が来て、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』の 編集再開。  2時、『チョコバナナ』投稿者のムウルさんが名古屋から来る。どうも 緊張性らしくて、友人のミモザ(柴田)さんという人が付き添いで来た。 ところがいざ絵のことになると質問攻めで、答えても答えても次の質問が 来る。  一応『チョコバナナ』の投稿者との面談は2時間以内と決まっているの だが、大幅にオーバーしてしまった。質問が出るということは、向上心の 表れだし、自分で作った絵本、描きためた作品をたくさん持って来たのだ から、2時間では終わらない。うれしい誤算だ。  夜、遅れた分を取り返さなければと『4コマ劇場』の編集を急ぐ。  やった! ついに『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』の掲載作品が全部決定 した。う〜む。これはいい本になりそうだぞ! はっはっはっは。この瞬 間が楽しくて、この仕事をやっているようなものだ。私は本当に本を作る のが好きだ。出版人であり続けたい。



2月11日

 午前中、『チョコバナナ』投稿者の酒喜丸くん、渡辺佐和子(旧・るび ぃ)さんが来る。  学期末やら、春休みが近くなっているので、『チョコバナナ』で100 点を突破した人たちの編集部訪問が増える。みんな部屋の壁に貼られた 『チョコバナナ』14巻の表紙を見て、嬌声を上げる! ふっふっふ。 驚く顔を見るのは最高に楽しい。  午後、もはやおなじみのアルバイト・石橋淑江さんが来る。  野沢っち(野沢知子)も来て、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場@』の編集 開始。いよいよレイアウト用紙に貼り込む作業が始まる。  総4コマ漫画本数202本、うち中尾淳が76本。  女風呂イラストと新人歌手イベントの没イラストの特集もあるぞ!  なかなか読み応えのある本になりそうだ! 3月20日まで待ってね!



2月12日

 お昼、(株)アスキーへ。ソニー・コンピュータ・エンタテインメント のホームページの取材で対談。対談の相手は『電車でGO!』を制作した、 谷酒(たにさけ)さん、23歳。小学校の時に『桃太郎電鉄』をやったと いわれ、がっくりする。いまやファミコンを知らず、ゲームはスーパーフ ァミコンからしか知らない世代がそこまで来ているそうな。まいったなあ。 早くもなつかしの人になってしまいそうだ。  企画としては、電車同士のゲームということで『桃鉄でGO!』という 共同キャンペーンをやりましょうということらしい。  駅弁を食べながらの撮影。大船駅の鯛めし弁当と、柿の葉寿司を食べた。  引き続き1時から、ファミ通PSの取材。またまた谷酒さんと対談。ク リエイター同士の対談は、創作意欲が湧いて楽しい。ミニゲームで『電車 でGO!』みたいなのを『桃太郎電鉄』に入れたら楽しいだろうなとか、 谷酒さんも私も、西武新宿線の駅で育っているので、『電車でGO!』の 次回作に西武新宿線を入れてほしいといった冗談が出る。 夜、漫画情報誌『コムナビ』の取材で、堀井雄二と対談。テーマは「週刊 少年ジャンプの30周年について」。『コムナビ』の編集長というのが、 私と堀井雄二の学生時代の友人ということもあって、つい放っておくと、 昔話や世間話や子どもの話に脱線してしまう。病気自慢とね。年末胆石で 入院した堀井くんは、まだ傷口が痛いそうだ。私も3年前尿管結石で入院 しただけに痛い談義に花が咲く。


↑堀井くんと      ↑コムナビの編集長・瀬戸くん
 けっきょく少年ジャンプでの仕事がお互いのゲーム作りに役立ったとい う話に。『ジャンプ放送局』について聞かれるのは、2〜3年ぶりなので、 妙になつかしくうれしかった。  3月10日発売の『コムナビ』に掲載される予定なのでお楽しみに。  漫画界のためには『コムナビ』みたいな本が売れて欲しいと思う。  ふうっ。1日じゅうしゃべりっぱなしは、さすがに疲れたぞ。でも最後 が学生時代からの友人なので、気をつかわなくてすむので楽だった。



2月13日

 午前中、石橋淑江さん、しののこサンと麻布食堂へ行く。  ここはオムライスが美味しい。ホワイトソース、ドミグラスソース、ケチャ ップの3種類のオムライスを楽しめる。きょうは2人にオムライスをまかせて、 私はメンチカツ&ライスを食べる。往年の下町風の味だけに、想像通りの味だ った。満足、満足。  食後、やめようと思ったのだが、やっぱり麻布食堂の近くのドゥリエールに 行く。美味しいんだ、ここのケーキが! でかくて、甘くて。喫茶になってい るんだけど、次から次へとケーキだけを買いに来るお客さんがいるほど。20 年ほど前から、道路にイスとテーブルを出すオープンカフェをやっていた店だ。 大きな大きなモンブランを食べる。石橋淑江さんと、しののこサンはシフォン ケーキをふたりでひとつ注文していた。この差がデブとそうじゃない人との差 なんだよなあ…と思いつつ、3人でゲーム『Yのたまご』の打ち合わせをする。  そろそろ『Yのたまご』を作り始めたいな。昨日堀井雄二にひさしぶりに会 ったので、やっぱりゲームが作りたくなる。  午後、野沢っち(野沢知子)が来て、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場』の編集 作業と『チョコバナナ』14巻の漫画の部分の校正。  写植が入った漫画を見ると、また新鮮だ。14巻は本当におもしろい本にな りそうだぞ。  夕方。昨日から膝の内側に激痛が走るので、おなじみ高円寺の整体さんへ行 って、見てもらう。原因がつかめない。リハビリのしすぎではないかという推 測。ムキになって歩いてるからなあ。もう少し様子を見ることに。  やだなあ。年取ると、次から次へといろんな病気になる。  夜、みんなと吉祥寺で待ち合わせて、台湾料理の店に行く。ここのおこげご 飯と、カニチャーハンは、グルメ・バカ娘が絶賛の味だ。  なのにきょうのカニチャーハンはちょっと油っぽくていまいちだと言い出す。 まったく口のおごったガキだ。落合選手の息子みたいなガキにだけはなってほ しくない。それにしても足が痛い。



2月14日

 午前中、四国物産展をやってるはずと思って、新宿に行くが、どのデパ ートでもやっていない。どうも覚え間違えたようだ。  嫁と娘は、私の親戚のおばさんと朝から越後湯沢へ行ってしまった。  越後上布の製造工程を見るツアーにでかけている。越後上布というのは、 滅び行く伝統工芸で、小さなマンションが買えるぐらいの値段の着物だ。 まさか買ってくるのではないだろうな。  午後、カメラのさくらやゲーム館へ行って『テナントウォーズ』を買う。 惜しいなあ。おもしろくなる素材だけどなあ。変にコンピュータがしゃべ るものだから、わかりやすいゲームをわざわざわかりづらくしてる。  いまいちばんおもしろいゲームはやっぱり電気グルーヴの『グルーヴ地 獄」』だなあ。  わけのわからないゲームをやるくらいならグルーヴ地獄」』のミニゲー ムをやってたほうがよっぽどおもしろい。 『バイオハザード2』は、よくできた作品だ。部屋を調べたときに「ここ らへんには変わったものは何もないようだ」みたいなメッセージが出るけ ど、これを出すゲームが どれだけ少ないことか。やはり大ヒットする作 品は、お客さんとのコミニュケートがうまくいっている。  野沢ちゃん(野沢知子)が来て『桃太郎電鉄7/4コマ劇場@』の編集 作業。ちょっと編集作業が遅れぎみになってきた。20日までに入稿すれ ばいいというので、ちょっとのんびりしてしまっている。  夜、藤川かつらサンと電話で『たすけて!福助!!』第3話の打ち合わせ をする。おもしろい作品だけに後半描き直すことにした。『わるわ〜るど』 に続いて単行本化させたい作品だ。  膝の内側の痛みは少しよくなった。昨日の夜、鍼灸師の弓削くんの懸命の 治療が効いたようだ。治療は痛かったけどね。



2月15日

 きょうは朝から、雪混じりの天気。寒い。寒いわけだ。昨日との温度差 が20度だと天気予報が言っていた。  晴れてたら三浦半島まで行くつもりだったけど、雪なので、私だけ家で 留守番。嫁、娘、石橋淑江さん、野沢ちゃんの4人は、コミティアとかい う、コミケみたいなイベントに行く。うちの嫁が一度もコミケみたいなも のを見たことがないというので、でかけていった。  私は昨日買った『スピード2』のLDを観る。  おもしろいんだけど、船が舞台というのは限界を感じる。痛みがいまい ち観る人に想像がつかないせいだろうな。しょっちゅう豪華客船に乗って る人が観たら、臨場感にあふれていて、素晴らしいと思えるんだろうが、 こっちは演歌が流れそうな連絡船、フェリーしか体験がないから、もうひ とつのめり込めない。  ちゃんとハラハラドキドキさせてくれるんだけどなあ。どうしてもこう いう映画だと、ブルース・ウィルスと比べてしまう。ブルース・ウィルス の茶目っ気の分だけ負けてしまう。愛嬌はSFXに勝つだ。  まあ、観て損はない映画とは思うから、レンタルでどうぞ。    あとは長野オリンピックをだらだらと観る。原田雅彦さんが銅メダルで よかった。ああいう人に幸せが訪れるのを見ると、神様はちゃんと見てい るんだなあと思ってしまう。  夜、昨日からずっと家にいるので、何か美味しいものが食べたくなった。 しかし日曜日というのは、美味しいお店はみんなお休みなのだ。こういう 時は、天現寺のプティ・ポワンに限る。今年もお正月、京都でごいっしょ した北岡さんご夫妻のお店だ。というよりフランス料理のお店としてその 名をとどろかせている思い切り☆☆☆のお店だ。  相変わらず見たこともないような美味しいものが次から次へと出てくる。 上等の牛肉をネギとコンソメスープでしゃぶしゃぶ風に食べる料理が、上 品でなんと美味しいことか。焼いたネギがコンソメとじつに合っていて、 これだけでつまらないと思った日が、楽しい1日に逆転してしまうぐらい の美味しさだ。実際楽しくなってしまった。  それにしても、あの世界三大珍味のひとつトリュフを、うちのグルメ・ バカ娘は11歳にして食べてしまうのは、どういうもんだろうか? しか もトリュフが何だかわかっていないもんだから、♪ト、ト、トリュフの大 爆笑〜などと歌っている! 馬鹿者め!  将来どのくらいの不幸を背負ってしまうのだろうか。『知ってるつもり』 の後半生沈みっぱなしなのは間違いないだろう。お達者でだ。



2月16日

 午前中、『チョコバナナ』投稿者の汐崎じゅんサンが来る。  作品の添削をしていえるうちに、汐崎じゅんサンが友だちと待ち合わせ した時間をオーバーしてしまった。大丈夫なんだろうか。  午後、野沢ちゃんが来て、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場@』の編集作業。  午後3時。近所のプログラム会社で『Jゲーム』の打ち合わせ。  メンバーは増田景子さん、石橋淑江さん、宮路一昭くん、T社さんの担 当Tさん、P社のMさん、Wさん。そのうち実名で書くね。  いよいよゲーム制作発表まで、あと1ヶ月。かなりこまかい部分の打ち 合わせに入って来た。ミニゲームの制作状況も見せてもらう。おもしろい。 妙なおもしろさがある。とくにきょうはうちのグルメ・バカ娘がデザイン したロボットが出てくるミニゲームを見たもんだから大爆笑。  夕方、宮路一昭くんが作ってきた『Jゲーム』の音楽の打ち合わせ。宮 路一昭くんとは『桃太郎電鉄HAPPY』『桃太郎電鉄7』と、今回で3 回目のお付き合いなので、大きな食い違いはない。もう少しおかずを増や してとか、こっちの曲いいから、もっと見る確率の高いほうの曲として使 おうよとか、小さな注文をするだけでいい。  夜、4コマ本に加えて、『チョコバナナ』14巻の校正(青焼き)が来 たので、けっこう混乱する。チラシの色校正まで来てしまった。 野沢ちゃん、大忙し。



2月17日

 午前中、池袋東武百貨店の13Fみさき亭に行く。ここは三崎港のマグ ロをつかった料理が抜群に美味しいお店なので、たまに思い出したように 行く。   なぜきょう来たかというと、バイトの石橋淑江さんがお刺身をはじめ とする生ものが苦手だと言い張るから。  でも石橋淑江さんの味覚というのがあまりにもいい加減で、うちに来て からずっと、嫌いなはずの物をぱくぱく食べているのだ。魚は生も煮たも のもダメといいながら、今ではすっかり「エビちりソースは頼まないんで すか〜」だし、納豆入りお好み焼きまで平気で頼むようになっている。  で、このシリーズ最後まで残っていたのが、お刺身系だったのだ、いき なりお寿司屋さんへつれて行くことも考えたが、万が一本当に生ものがダ メだと、お寿司屋さんはほとんど代替えの食べ物がない。  そこでこのみさき亭を狙っていたのだ。  とにかくあまりにも適当きわまりない味覚なので、家族全員で石橋淑江 さんを集中攻撃しているきょうこのごろ。もちろん冗談半分でね。 「だって、エビとか、カニとか、とっても臭いじゃないですか〜」 「カニ缶とか、シャケ缶とか、わざわざまずいのを食べてたんじゃないの」 「そういわれて見れば、そういうような気もしてきましたね〜」 「石橋さんの嫌いって、薄そうだなあ」  それで、みさき亭。ここのマグロなら、文句あるまい。  食い道楽なら「三崎港」で「みさき亭」という名前だというだけで、身 を乗り出す人がたくさんいると思う。  はたして、石橋淑江さんは本当にお刺身がダメなのか!?  私も苦労しました。万が一お刺身がダメだった場合を考えて、マグロの てりやき、マグロの唐揚げ、白いご飯まで注文。そして石橋淑江さん用の チャレンジ食品・大トロの小鉢。私は小鉢の大トロ、メバチ、イカを注文。  さて、おそるおそる大トロを口にした石橋淑江さん。 「おお! これは美味しい! 臭くなくて、とろとろして美味しいじゃな いですか〜〜〜!」 「だから石橋さんの嫌いはいいかげんだって言ったでしょ!」 「これならイクラも美味しいかもしれませんね〜!」 「ダメだこりゃ!」  まったくもう、わが家庭で、人気大爆発の石橋淑江さん、絶好調の巻で ある。  午後、東武東上線成増駅へ。  ゲーム『DK』を作ってるイースさんへ行く。わかりやすいメッセージ 作りさえ完成すれば、これはメガヒットも夢ではない確信が前回よりもさ らに強まった。単純でそれでいて、深みがある。麻雀の魅力があることを どこでどう伝えればいいのか、それがこれからの課題だ。  石橋淑江さんもテストプレイに参加して最初のうち「わからない!」を 連発していたけど、最後で「これっておもしろいですよ!」と言い出した。 でもいきなりおもしろいという風にお客さんが叫んでくれなければ、ヒッ ト作品にはなれないのだ。しかもわかりやすい、わかりづらいの運命の分 かれ道は、たったひとつのアイテムのネーミングの悪さで、わかりづらい ほうへ傾いてしまうことがあるから恐ろしいのだ。  さて、『DK』がどこまでルールやアイテムの意味がわかりやすいゲー ムになるか、すごく楽しみになってきた。  夜。せっかく成増まで来たので、隣りの下赤塚駅へ行き、3年ぶりにマ ニアックなラーメン屋さん『究極Y’sラーメン』に行く。名前からして すごいでしょ?   チャーシューがめちゃめちゃ美味しいんだけど、何しろ入り口がビニー ルカーテンをめくって入る。ほとんど屋台の雰囲気なのだ。  電気グルーヴの石野卓球くんの色紙が貼ってあったけど、いかにも彼が 好みそうなお店だ。賛否両論くっきり分かれる味だけど、ラーメン好きを 自認する人は、一度は食べておかないといけないお店。私も絶賛まではい かないが、ときどき無性に食べたくなることがある味だ。



2月18日

 午前10時半、高円寺の整体さんへ行く。  先週悩まされた膝の横の痛みはきれいになくなっていたので、整体さん も首をかしげながらも、よろこんでくれた。リハビリをムキになってやり すぎた上の筋肉痛が原因ということで落ち着いた。  午後、ユイ音楽工房の篠宮さん、伊東正義さん、陣山さん、三野さん、 渡辺さん、この5人の所属会社が全部違うので、混乱する。  会議中も、『チョコバナナ』14巻の校正、『桃太郎電鉄7/4コマ劇 場@』の文字校正、対談記事の校正などがとどく。どれもきょう、明日の 締切りばかりだから困る。  そういえば昨日、きょう、雑誌の新連載のエッセイを書き上げているの だった。一体私はいつその原稿を書いたでしょうか? この日記のなかか らあいてる時間を割り出して、推理してみてください。    夜、高田馬場の広島風お好み焼き屋さん「小次郎」に行く。やっぱりこ こは、東京お好み焼き屋ランキング第1位だ。東京ウォーカーなどにも絶 対載らないから、絶対穴場だよ。さかえ通りの中華料理屋さんの地下だか ら、さらに目立たない。これこそ穴場。ひさびさに量の多いスペシャルを 頼んで、ぺろり! 美味しい!  帰宅後、『桃太郎電鉄7/4コマ劇場@』の文章部分の原稿を書く。  さて、推理クイズの答え。  アクセラの『プリティ・グラフィック』という月刊ギャルゲー雑誌 (3月10日創刊)の連載第2回目の原稿は、17日午前10時に書いた。  ぶんか社の新雑誌(そういえばまだ名前聞いてないぞ)の原稿は、きょ うの朝8時30分に書いたのでした。  こんなに早く原稿を書くようになるなんて。私の昔を知る人は、びっく りするだろうな。自分でもびっくりなのだから。



2月19日

 午前中、新宿高島屋の「大いわて展」へ行く。恒例物産展だ。盛岡は東 屋のわんこそばが来ているのだ。メンバーは、嫁、石橋淑江さん、しのの こサン。  本当は石橋淑江さんが、わんこそばにチャレンジして、みんなで笑うと いう企画だったのだが、家で、しののこサンの姓名判断をしてるうちに時 間がなくなってしまったので、中止。  それでも三陸沖のイクラが入った、わんこそば弁当というメニューがあ ったので、またまた食わず嫌いキングの石橋淑江さん、イクラに挑戦の巻 となった。  面倒なので、結論。 「イクラの表面に、しわが入ってないですね〜。表面がつるつるしてる。 食べると口のなかでぷちっとなって、じわ〜と、へへへ」  一体どんなイクラを食べて、嫌いになったんだ。 「石橋さん、アイスクリームは好き?」 「おそらく何がいちばん好きと聞かれたら、アイスクリームと答えるく らい、好きですね〜。いちばん好きなのは、レディボーデンですけど」 「じゃあ、これを食べてみよう!」 「何ですか、これは、お〜、お〜、お〜〜〜〜〜!」 「安比(あっぴ)高原のアイスクリームといって、けっこう美味しいで しょ。私は栗駒高原のアイスのほうがおすすめ……、石橋さん、人の話 聞いてないよ!」 「だって、美味しいんですもの〜〜」   このままでは石橋裏日記になってしまいそうだ。  午後、野沢ちゃんが来て、いよいよ『桃太郎電鉄7/4コマ劇場@』 の追い込み作業。明日入稿。  夜、話題の『ミスタービーン』のビデオを観る。  古典的な笑いなので、今の人には新鮮なギャグとして映るのかなあと、 業界チックな観点からでしか観ることができない。



2月20日

 午前中、ゲームボーイ版のゲームの執筆。このゲーム、何て略せばいい かなあ。なにしろまだ正式にタイトルが決まっていないのだ。  当分ないしょのままのほうがいいかもね。話したいことはたくさんある んだけど、ちょっとでも匂わすだけで、むむ!となってしまうので、ゴメ ンね。  午後、野沢ちゃん(野沢知子)が来て、いよいよ『桃太郎電鉄7/4コ マ劇場@』のフィニッシュ。めでたく完成して、野沢ちゃん、石橋淑江さ んと3人で、四谷にある衆芸社まで入稿しに行く。  ゲーム4コマ本としては、最高峰の出来になったと、勝手に思ってる。  帰宅後、『Jゲーム』のクイズ問題部分チェック。  夜、渋谷東急百貨店8Fの「なだ万」に行く。料理の鉄人でおなじみの 中村孝明さんの店だ。かなりいいですよ、この味は。あっさり系で。平目 のステーキが美味しかった。値段も比較的安いので、お金に余裕があって、 贅沢したいときにはお勧め。うちのグルメ・バカ娘は、デザートを6種類 のなかから3つまで選べるというのでお喜びしていた。やっぱり小学生だ。  帰宅後、テレビ東京『誰でもピカソ』を観る。  東急ハンズの『ハンズ大賞』の特別賞を取った岸啓介くんが出るという ので観る。岸くんは昨年その特別賞を取った作品を私が異常なまでに気に 入って、作品を見ただけで、作者に連絡を取ったのは初めてという若者。 以来うちに遊びに来るようになって、じつは『Jゲーム』にも参加してい たりする。「ロボット武闘会」というイベントロボット・デザインをして いる。またいつも立体造形をプレゼントしてくれて、我が家のトイレの 『スター・ウォーズ』コレクションのなかで、ひとつだけ彼が作ってくれ た戦闘機がある。誰もあれが手作りと思わない逸品だ。  勝ち抜きバトルみたいなコーナーで、今週勝ち抜いたので、来週も出演 します。岸くんは、ミスター・ビーンっぽい顔(というより雰囲気)をし ているのでおもしろいですよ。私は来週の金曜日は地方なので、見れるか なあ。テレビ東京はおなじ時間帯でやらないからな。



2月21日

 午前中、新宿をぶらぶらしながら『Yのたまご』のアイデアを練る。  石橋淑江さんが和歌山に帰る。  午後、『Jゲーム』のクイズ問題チェック。  夕方『ラストマン・スタンディング』のLDを観る。  相変わらずブルース・ウィルスはいいんだけどなあ。黒沢明の『用心棒』 のリメイクということだけど、ピンと来なかった。  夜、四谷のMに行く。M鍋という岡山の和牛を出汁に、サニーレタスとか カイワレ大根といった野菜を入れる風変わりなものなので、行ってみた。名 前もMといわれると、親しみがわく。ゲームにもある名前だ。ははは。まん まやないか。  しかし、お店のおばちゃんの愛想の悪さが、ぶち壊してしまった。味はい い。でも「メニューを」と言えば「突き当たりの壁にあります」だけ。座っ た席からは、その壁が見えない。仕方がないので、立って見に行くが、不明 瞭な文字と表示。面倒なのでやめる。  何をそんなに気に入らないことがあるのかという顔。眉間のしわが枯山水 のように発達している。  やっぱり最低限の愛想はほしい。  汚いお店と、愛想の悪いだけは、どんなに美味しくても敬遠したい。



2月22日

 外が寒いので本を読みながら休む。 『沈黙は金曜日』永六輔・飛鳥新社 『ゆっくり行こうぜ』ドリアン助川・扶桑社 『慶喜を動かした男』童門冬二・祥伝社 『スターウォーズ』のビデオも観る。「ジェダイの復讐」特別編。  24日から、九州一周旅行があるので、きょうは1日休むことにした。  ハドソンのごほうび&次回作アイデア旅行なのだが、10人以上の中年 男性ばかりの旅というのが、なんともたまらん。あの榎本44歳もいっし ょ。旅行から帰ったらこの日記に書くので、お楽しみに。3月3日あたり に公開の予定。乞うご期待。  夜、長野オリンピック、閉会式を見る。  マスコミや漫才コンビは司会萩本欽一さんを叩くんだろうな。「あれじ ゃ『欽ちゃんの仮装大賞』だよ」とかね。総じて日本という国は、過去に 栄光のあった人に冷たい。そのくせ死ぬと、手のひらを返すように、絶賛、 賛美の嵐となる。  電飾を着る萩本さんを見ていて、ふと思った。



2月23日

 午前中、以前行って食べられなかった、和牛丼のお店に行く。  しかし、すでに品切れ。限定商品はこれだから困る。いつになったら食 べられるのやら。  午後、土居ちゃん、増田景子さん、宮路一昭くん、続々登場で『Jゲー ム』の打ち合わせ。  宮路一昭くんのオープニング曲を聴く。土居ちゃんが「桃鉄っぽいなあ !」というが、あの元気が出るオープニングは大切なので、OKを出す。 ノリのいい、オープニングにふさわしい曲だと思う。  夜、これから1週間家族ともお別れなので、もし旅行中に不慮の事故が あればこれが最後というのを、口実に、我が家は、値段の高いお店へ行く ことになっている。  となれば、新宿伊勢丹7Fの正月屋吉兆である。  うちのグルメ・バカ娘のランキング2位のお店だ。  懐石コースなのだが、お刺身はどこよりも新鮮、お椀ものは、心の底ま でほっこりと暖かくなる。きょうは石を焼いた上に、松茸、エビ、イカを 乗せて食べるやつが、香ばしくて美味しかった。炊き込みご飯は、貝だっ た。ここのご飯は、白米の時、ご飯だけで食べられるくらい美味しい。  つい、おかわりをしてしまった。  はっきりいって、値段は聞かないほうがいい。よっぽど興味のある人は、 伊勢丹に行って、店の前のお品書きの値段を見て、腰を抜かせてみてくだ さい。 「さくまサンは、車はベンツですか? ポルシェですか?」と、よく聞か れるが「車(花)よりだんご!」というくらい、我が家は、食べ物にお金 を惜しまないから、このお店はお勧めしようと思わない。  ベンツ買うぐらいのお金を、食べることに投じても、悔いナシと思って る家庭なので、はっきりいって金銭感覚マヒしてます。ちなみに、我が家 の愛車は、自転車2台で車はない。本当は昔、車マニアだった。車は何億 円かけてもキリがないが、一生かけて何億円も食べるのは難しいと悟り、 車から食べ物に乗り換えた。  ただ、このお店は接客を味わうだけでも、値段が高いと思えなくなるく らい、最高のもてなしをしてくれる。好き嫌いを聞いておいて、次の時に 行くと、嫌いなものは、はぶいてくれたり、ひとりだけ、違うものを用意 してくれる。  食後、またうちのグルメ・バカ娘が、にこにこ笑いながら、スキップを 始めた。美味しいと、ハイになるのだ。いつかこの娘には、天罰が下るな と思いつつ、家路についた。    というわけで、明日から桃太郎チームは、九州取材旅行にでかけるので、 日記はしばらくお休みです。旅行中に書きためたものを持って帰ってから、 日記にします。ザウルスから、電送できるらしいけど、私にそんな芸当が できるわけがない。  それでは、また!



2月24日

 九州アイデア旅行の始まり〜!  午前11時56分、電車内集合はずなのに、午前11時過ぎに、 東京駅に着いてしまった。これは早すぎた。どうしよう。  でも、もしや…。はっはっは。やっぱりいました。日本一の取り 越し苦労男・榎本44歳が、プラットホームに。ひとり淋しく立っ ていました。 「もう、興奮して午前3時に起きちゃったのねん!」 「中学生の修学旅行じゃないんだから」 「だって、きょうの博多のイカは、10年越しの夢だったのねん!」  そういえば、そうだ。実は『ジャンプ放送局』をやっている時、 なぜか土居ちゃんも横山智佐も、この博多のイカ料理を食べている のだが、えのクンだけ食べていないので、いつもこの話題だと仲間 外れになっていたのだった。  確かに、ずっと悔しがらせてばかりいたので、今回の旅は、いま までゴメンねという意味と、いつも『桃太郎電鉄』の貧乏神役でゴ メンねという、2つの「えのクンゴメンね」慰労会も兼ねていたの だった。  でもこのイカ、えのクンが10年越しの夢というくらい美味しい。  逆に私が20年間ほとんどかかさず博多まで行っているというく らい美味しい。中州にある河太郎というのが、そのお店の名前。こ のお店で私は、初めてイカは色が白ではなく、透明なのだというこ とを知った。この店では、イカをクリスタルと呼ぶ。  この水晶のような色のイカを天ぷらにして食べる。  これが手応えのある綿菓子を食べているような、天にも昇るよう な美味しさ。  あの出不精で、面倒臭がりな、土居ちゃんが、この河太郎に行く というと、博多まで来る。このお店のすさまじさがわかってもらえ ると思う。  おっと、旅の話に戻らねば。言っておくけど今回の旅の話は長い よ。  東京駅からのメンバーは、私、土居ちゃん、榎本44歳、宮路一 昭くん、牧野正(『チョコバナナ』の営業)、そして今回『桃太郎 電鉄7』の宣伝で大活躍のハドソンの梶野くん。  このメンバーで、まず500系新幹線は東京駅を滑り出した。  この500系に乗りたかったのは、言うまでもない! なんとハ ドソンは、この500系を取ってくれたどころか、グリーン車を用 意してくれたのだ! 「グリーン車なんて、初めてよん」

 すでに興奮の絶頂にいる榎本44歳よりも喜ぶ私であった。  500系の車体は長ネギのように丸い。どんどん飛行機に似てく るのは、鉄道ファンとしては心苦しいのだが、通常ののぞみより、 はるかに揺れが少なく乗りごこちがいい。  大阪に着くと、ハドソンの浦さん、小山(おやま)さん、高津く ん、メイクソフトウェアの駒井さんが乗り込んで来た。  男が10人。なんともむさ苦しい。ほとんどが太っている。大学 の相撲部のようだが、平均年齢ほとんど40歳だけに、不思議以外 の形容が見つからない。  浦さんも、1年ぶりのイカを楽しみにしている。  昨年もおなじ時期に、浦さん、私、土居ちゃん、サザンの関口和 之は、このイカを食べに来ているのだ。  以来、浦さんもイカ、イカ、とつぶやくぐらいイカのファンだ。  夕方、博多到着。

 ハドソン常務の中本伸一さんも、札幌からかけつける。  中本さんは、このイカのためだけに来た。  すごいでしょ、ここまで中年男たちを駆り立てるイカって。それ ぐらい美味しいのよ、ホント。   さて、いよいよ出陣!  しかし、中本さんが不吉な言葉を。「まさか貧乏神のえのサンが 来てるからって、イカは品切れですってことはないよな〜!」  誰もが、ずっとそのことが頭を横切ってたのだから、やめてよ〜。  というのも、この河太郎は、毎日唐津市の先の呼子港から、今朝 捕れた新鮮なイカを陸送してくるので、時化でイカが捕れなければ、 その日イカはメニューに出ないのだ。でも私は、この店に通い始め て、20年、数10回になるが、一度もそんな目に会ったことはな い。  しかし、そのまさかは起こった。 「すみません、きょうイカはないんです。昨日時化だったもので…」  笑い声が止まった。そして…。 「えのサ〜ン!」 「えのサ〜ン!」 「うう〜! 10年間この日が来るのを楽しみにしてたのねん!   なんでこういう目に会うの〜〜〜!」 「えのサ〜ン!」 「えのサ〜ン!」 「やっぱりボクのせいかな〜?」
 ということで、この不幸は榎本44歳のせいだということでまと まり、相撲部OB?の皆さんは、狂ったように注文を始めた。刺身 を3皿、5皿、ふぐ刺しを3皿、あらの鍋コースを5人前だのなん なの、球磨焼酎、日本酒、大吟醸。まあ、気がついたら、みんな動 けないくらい食べていた。 「ダメだ〜、これ以上食べると太る〜」と叫びながら。  なんとかお店を出て、夜の街を行く人やら、帰る人やら。  中本さんが「桃鉄7のおかげで、ハドソンは決算を迎えることが できました。桃鉄あってのハドソンです。これからもハドソンをよ ろしく」と、私に。  クリエイターというのは、こういう言葉に弱い。お金じゃないん だなあ。『桃太郎電鉄7』が昨年発売できたのは、実はこの中本さ んの力による部分が大きい。  私と、えのクンと、土居ちゃんはホテルへ。  しかしこのあとすぐ餃子とラーメンを食いに行った人が、5人ぐ らいいたそうな。すごい人たちだ。  まだまだ旅は始まったばかり。



2月25日

 昨日の暴食で、2kg太った。いかん、自重せねば。  午前中、バスで宮崎に向かう。


 電車だと6時間、バスなら4時間ちょっということで、バスにな った。『桃太郎電鉄』でも九州は右回りのほうがマスが多いという ことがここでも証明された。  やっぱり宮崎は、電車ではいちばん遠い町だ。  それにしても10人の中年デブ男集団は不気味だ。  しかも暖かいので、よけいむさくるしい。  相変わらず、バスターミナルの喫茶店が改修中だと、えのクンの せいにして、雨が降り出しては、えのクンのせいにしながら、バス 旅行。えのクンもすっかり貧乏神になりきっていて、口調が完全に 「〜なのねん」になっている。  ゲームの打ち合わせも、ちゃんとバスのなかでみっちり。年末発 売予定のゲームの基本コンセプトがまとまる。  午後3時すぎ、私、榎本44歳、土居、宮路一昭くん、牧野の5 人だけ、都城北で途中下車。都城には、宮路くんの実家「菊水」が あるのだ。『桃太郎電鉄7』の宮崎のチーズまんじゅうのモデルの お店でもある。

↑宮路一昭くんの実家「菊水」
 宮路くんのお父さんも、私とおなじように、昨年脳内出血で倒れ ているので、一度お話したかったということもある。つい「リハビ リは痛いですね〜」という会話に。  榎本44歳は、チーズまんじゅうと、和菓子をいただいて、おい しそうに食べている。1時間ぐらいお邪魔して、帰り際に、4人の 色紙を書いておいていったので、近くの人は見に行ってください。 写真もあるはず。えのクンの顔を見てね。本当に美味しいよ、チー ズまんじゅうは。お店は都城国立病院の真ん前なので、すぐわかる。  先を急いだのは、6時から「タウンみやざき」の取材が入ってい るので。  都城から宮崎まで、電車に乗れて、私はうれしかった。  タクシーで、シーガイヤへ。しかしここでまたしても、驚愕の出 来事が!  なんと、明日行く予定になっている飫肥(おび)への道が、土砂 崩れで不通になっているというではないか。 「えのク〜ン!」と、ギャグを言ってる場合ではない! 今回の旅 のメインはこの飫肥(おび)だったのだ。桃鉄の新物件駅として、 昇格させるかどうかを調査するためにわざわざここまで来たのだ。 それが土砂崩れでは意味がなくなってしまう。国道はまったく寸断 されていて、ほかに道がないという。  けっきょく大胆な解決策を考えて、まずはシーガイヤへ。  それにしても榎本44歳。本当に貧乏神なのでは?

↑ギーガと化す榎本44歳
 シーガイヤ到着。ホテルの24階からの眺望は、絶景としかいい ようがない。  目の前を横切る海岸線。島ひとつない大海原は、波だけがひたす ら押し寄せるだけ。音ひとつ聞こえない静けさ。こんな旅の楽しみ 方は初めてだ。  とにかく飛行機で降りる時に見える海、その高さにホテルの部屋 があると思えばいい。高所恐怖症の私が「絶景」というのだから、 相当ですよ、これは。  午後6時。ロビーでタウン誌「タウン宮崎」の取材を受ける。  河野くん、福元くん、ともに小学生の頃から『ジャンプ放送局』を 読んでいたという。最近小学生の頃の読者が業界に来ることが増えた。 年取ったもんだ。榎本32歳だったのが、44歳だもんな。  ふたりとも、生身のえのクンを見て大喜び。まさか絵のままの顔、 性格と思っていなかったようだ。そういえばあまりテレビやイベント に出ていなかったからなあ。ジャンプ放送局を知っていてくれると、 取材がはずむ。大笑いのまま取材終了。

 夜、ホテルのステーキハウスで宮崎牛を食す。  宮崎牛の美味しさに、榎本44歳、ついに酔っぱらう。 「おいしーねー。おいしーねー。へっへっへ!」  ついに「へっへっへ!」が出てしまった。 「もうイカはどこかに吹っ飛んじゃったのねん」 「じゃあ、来年イカ食べに行かなくていいんだ」 「ちょっ、ちょっ、それはまた別として。おいしいのね〜ん」  けっきょく梶野くんに、3月20、21日のゲームショウのイベン トに出演を依頼され、快諾してしまう、榎本44歳であった。

↑ へっへっへ!



2月26日

 シーガイヤから見る朝日はきれいだというので、つい早起き。ち ょっと雲がかかってしまったが、見渡すかぎりの海から上がる太陽 は美しい。これはもう一度訪れてもいい場所だね。  さて、問題の土砂崩れ。  昨日のタクシーの運転手さんが、林道を通って飫肥(おび)まで 行ってくれるというので、午前10時、迎えに来てくれた。タクシー 3台連ねて出発。  それにしても暑い。コートが邪魔だ。さすが南国。  まず鬼の洗濯板で知られる青島海岸へ。  確かに奇観だ。しかし鬼の洗濯板というネーミングはよく考える と笑える。今だとゴジラの洗濯板とでも言うんだろうな。こういう 強引な名称は、大好きだ。全国のまったく獅子に見えない獅子岩、 ふたつ並んだだけで夫婦岩というのを思い出す。


↑ 鬼の洗濯板 
 さて、林道を通る。途中、えのクンの乗った車がなかなか来ない。 まさか事故では?と思われたが、車の底をすったためとわかる。土 居ちゃん、えのクンが乗っていただけにみんなに「重いからだ」と 言われる。  サボテン公園へ。  全員で、サボテンステーキを3皿頼んで、みんなで分けて食べる。  わらじのようにぺろんと1枚のサボテンがお皿に乗っている。  ウチワサボテンという種類の新芽をつかい、醤油ベースのソースで 味付けをしたというのだが、美味しくもなければ、不味くもない。困 った中途半端さに議論百出となった。  けっこう粘る。  いちばん似ているのは、オクラではないか。  ソースを変えるか、味付けを変えれば本当は美味しいものになるは ずだ。  これが結論となった。ただ「サボテンステーキ屋」という名前はぎ ょっとすると思うので、桃鉄の新物件には登場しそうだ。
↑サボテンに食べられる榎本44歳とサボテンを食べる榎本44歳
 さらに車は鵜戸神宮へ。  海の中に亀の形をした岩がある。この亀の形をした岩の背中のくぼ みに「運玉」という、つぶてを投げ入れると幸せになるという。これ はえのクンにやらせてみたい。  投げ入れるほうは、利き腕とは反対の腕で投げないといけない。投 げられる運玉は5つまでというルールがあり、ゲームのアイデアとし てもつかえそうだ。  さて、土居ちゃんは1個入ったのだが、案の定、えのクンはゼロ。  しかも、くぼみの前で、運玉が砕け散るので、みんな腹をかかえて 笑う。  このあたりで、私の足は限界に近づいてきた。  青島海岸の砂浜、鵜戸神宮の階段でへばってしまった。ついまだリ ハビリ中の足だということを忘れていた。  そしていよいよ飫肥(おび)へ。
 小京都と呼ばれるだけあって、きれいな町だ。観光地として栄えそ うな通りが1本走っているが、まだまだこれからといった感じ。  さて、最初の狙いは、厚焼き玉子。  間瀬田厚焼き本家というのが、そのお店。以前テレビで見て、ここ は一度行ってみたいと思っていた。ところがお店では食べられず、お 土産のみ。しかも地方発送できないという。仕方なく、買ってあとで 食べた。ところが想像していた味とまったく違っていたので、びっく り。私はお寿司屋の厚焼き玉子の最高級品を予想していた。しかし、 それはほとんど玉子プリンだった。  最初から玉子プリンとわかっていると、美味しく感じるのだろうけ ど、予想した味覚と違うと、なかなか美味しいと言えないものだ。  続いて、飫肥のもうひとつの名物・おび天の店に行く。  おび天は、さつま揚げを甘くした感じ。美味しい。美味しいけど、 甘すぎる。どうも飫肥の人は甘い物が好きなようだ。ダイエット前の 私だったら、絶賛の味だったのだろうが、今では2切れで十分だ。  味というのは、その人の体調によるものだ。  さて、ここで今回の旅は終了する。  私と牧野は、このまま鹿児島に向かうが、みんなは宮崎に戻って、 飛行機で大阪に帰る組と、東京に帰る組と分かれることになっている。  というわけで、飫肥城の前で解散。  道中、ゲームのアイデアを練り、えのクンで遊び、なかなか充実し た旅であった。何よりメンバーがみんななかよしになれてよかったと 思う。今後が楽しみなチームとなった。
↑ 飫肥でサヨナラ
 私と牧野は、そのまま杉本さん運転のタクシーで、鹿児島に向かっ た。  日南から、志布志へ。そして、桜島の裏の垂水へ。なかなか物件に なりそうもない町が続き、フェリー乗り場で、杉本さんと別れる。今 度また宮崎に来た時は杉本さんに頼もうと思う。  私はこの桜島と鹿児島を結ぶフェリーが昔から大好きだ。  15分程度なのだが、のんびりしていて、景色が雄大なので、エネ ルギーのシャワーを浴びているような気になる。  S観光ホテルに宿泊。市内随一のホテルのはずなのだが、古くなり すぎた。安いビジネスホテルのようになり果てていて、悲しくなって しまった。  博多のハイアット・ホテル、宮崎シーガイヤのオーシャン45が良 すぎるということもあるのだが、S観光ホテルは鹿児島といえば、こ のホテルのはずだったはず。企業努力の大切さを学んだ。宿泊客とし てはうれしかない。足が痛い。左足のふくらはぎがパンパンに張って いる。  夜、ざぼんラーメンで食べる。東京のざぼんラーメンのほうが美味 しい。天文館通りは、ゲームセンターがやたらに多い。それにしても 鹿児島って、こんなに活気のない街だったっけ。妙に静かだ。



2月27日

 S観光ホテルの朝食バイキングを食べる。  これがもう本当に、かつて最高の格式と豪華を誇ったホテルかと 思うほどひどい。学生時代の旅のホテルのバイキングを思い出して しまった。  味はしょっぱいし、さつま揚げは、コンビニのほうが美味しい。  こうしてお客さんは減っていくのだな。  維新ふるさと館に行く。  23分間のビデオを流すホールがあるのだが、これがすごい。西 郷どん、大久保利通、坂本龍馬といった偉人の人形をハイテク技術 で動かしてのドラマ仕立ては、かなり楽しめる。

 西鹿児島駅で、博多行きのつばめのグリーン車を予約。1時間後 なので、天文館に戻って、徳永屋の薩摩揚げを、鳥山明に送る。旅 先から美味しい物を送るという約束で実は絵を描いてもらったりし てるのだ。おっと、鳥山明ではなく、友人の名古屋明くんであった。 宮路一昭くんの家のチーズまんじゅうも送った。何とも安い原稿料 だ。博多駅でも、松露まんじゅうを送る。この時、お店の人が「漫 画家で有名な人とおなじ名前やねえ」と言われる。次から嫁さんの 名前で送らないといけないかな。この駅にある松露まんじゅうのお 店は、出来立てを売ってくれるので必ず寄ることにしている。つい また買ってしまった。甘い物ばかり食べちゃダメだというのに。  つばめのグリーン車はなんとも豪華。スチュワーデスさんみたい な人が添乗するのだが、まったく飛行機とおなじような接客をする。 JRも変わったものだ。  途中で降りる人には、駅に近づくと教えに来るし、荷物は持つし、 何とも感心する。この女性がえらいのか、マニュアルなのか区別は つかなかったが、立派なものだ。
 博多からは、またまた500系で京都へ。  夜、お正月にすぎやまこういち先生が「先斗町(ぽんとちょう)で、 『おむらいす』とだけ大きく書かれた看板を路地で見つけた。一度あ そこ行ってみたいな。美味しそうな予感がする」とおっしゃっていた 店のことを思い出し、探しに行く。なかなか見つからなかったのだが、 ありました。 「おむらいす専門店ルフ」というのがお店の名前。  上品な味で、美味しい。しかも680円。これは安い。



2月28日

 あ〜、よく寝た。  でもなぜ私が、東京に帰らずに、京都にいるのか不思議に思う人 もいると思う。  実は東京に帰っても、家族はいないのだ。  なんときょうから、嫁とグルメ・バカ娘は、沖縄に行っているの だ。しかも横浜ベイスターズのキャンプ見学ツアーに!   そりゃないぜ。でも私は飛行機に乗れないから、沖縄には行けな いのだ。宮崎には。ヤクルトも広島も巨人も。鹿児島にはロッテ も来ていたというのに。  というわけでまあ、どうせ東京に帰っても誰もいないなら、京都 の家でのんびり読書をしようということになったが、真相。  まずは、近所の新進亭に、ラーメンを食べに行く。ここの白みそ ラーメンは絶品。白みそのスープというのは珍しいでしょ。もやし と白菜がたくさん入っていて、ボリュームたっぷり。お腹が減って いる時に行く店だ。  午後は、読書。『ソニーの法則』(片山修・小学館文庫)は、も う誰彼無く会った人に「読みなよ!」といいたくなる名著だ。 『モンスター』(浦沢直樹・小学館)がいい。毎回違うジャンルを 描けてしまう浦沢くんって、一体。しかも努力を見せない描き方が いい。プロとは、かくありたいものだ。  夕方、沖縄のグルメ・バカ娘から電話が入る。 「6対4で勝ったよ〜」  夜、前日に続き、今度はリプトンのオムライス専門店に行く。  すぐ食べ比べてみたくなるのが、私だ。  ルフより、チープな味だけど、学生さんにとっては、手の届く贅 沢なお店としてお勧めしたいね。このお店に、特大オムライスで有 名なアローンを加えて、京都3大オムライスのお店と呼びたい。  京都は意外と、オムライスの美味しいお店が多いので、この後ま たランキングはすぐ変わると思う。  帰宅後は、関西のテレビ番組をはしごして就眠。


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