5月19日(木)

 午前8時。いきなりピ〜〜〜ンチ!
 きょうもこの青森国際ホテルに連泊しようとしたら、部屋は空いているけど、イン
ターネット接続が出来ない部屋しか空いていないと言われてしまった。
 だったら昨日聞いたときに、言ってよー!
 困った…。

 1階の「若水亭」で、朝食を食べながら、私、嫁、土居ちゃんは作戦会議。

 インターネット接続をガマンしても、連泊するか否か。  いまやインターネットが側にない生活は考えられない。  きょうの取材は念願の場所なだけに、荷物を持って移動したくない。  しかも外は、雨。  ほかのホテルに予約しよう。  荷物は青森国際ホテルのクロークに預けて行く。  午前8時45分。小雨降る道を歩きながら、青森駅へ。  雨はたいしたことはないが、風が強い。 「さくまサンが取材なのに、雨って珍しいねー」と土居ちゃん。 「あっ! 荷物をホテルに預けてVAIOを持って来なかったせいかも」 「ハハハ! そうかも」  午前9時。青森駅の4番線ホームへ。  快速しもきたが待って…げっ!  快速だから少なくとも、3両編成ぐらいはあるとおもったら、1両!  やるなあ! でもローカル列車の旅はこうでなきゃ。  電車に乗ると、発車10分前なのに、満員。座れない。  浅虫温泉か、野辺地(のへじ)あたりで、お客さん降りるだろう。

 またまた、ピ〜〜〜ンチ!  座席ではない。  車内アナウンスを聞いたら、ピ〜〜〜ンチ! 「本日、強風のため野辺地ー大湊間は運転を見合わせています…」  ぎょへーーーっ!  その野辺地ー大湊間を電車で走りたくて、きょう5年越しの夢が…かなわないじゃ ないかあ!  しかし、乗客は誰ひとりとして「えーーーっ!」と言わない。  なれてるんだ、こっちの人たちは…。  野辺地駅から、代行バスを走らせるから、乗ってくださいとのこと。 「西武新宿線上井草駅にお降りの方は、鷺ノ宮駅でお乗りください」くらいの軽い気 持ちなのだろう。  雨のなかを、快速しもきたは、疾走する。  全線の3分の1しか走らないのに身体をぶるぶる震わせて、必死に走っている。  野辺地から先バスになるとわかっているんだから、もっとのんびり走っていいのに。

「さくまサン、仕事の話でもしますか。雨がやまないから」 「土居ちゃん、そういつもいつも仕事の話をしたら、晴れるとは限らないよ」 「でも、さくまサンの場合ほとんど晴れてますよね」 「そうなんだよ。あっ!」 「さくまサン、もう晴れてきましたよ」 「うーーーん。わからない…」

 私は天気を司る神か?  とにかく土居ちゃんと、『桃太郎電鉄』の毎月カレンダーの今後についてあれこれ 考える。  午前9時47分。野辺地駅で下車。

 乗客は何事もなかったかのように駅の改札口を出て、駅前に停まっている大型観光 バスに乗り込んで行く。

 私たちはすでに、代行バスに乗るのをすでにあきらめている。  なので、駅に隣接する野辺地観光PRセンターで、近隣の名産品、名物などをチェ ックする。  野辺地は、のへじ凧、野菜のこかぶ、茶がゆ(ちゃげっこ)などが名産であること を知る。

 午前10時。野辺地駅前から、タクシーに乗る。 「横浜まで!」  強風のために、私の頭がおかしくなって、横浜ベイスターズの本拠地「横浜まで!」 と言い出したわけではない。  青森県下北半島にも、横浜という地名があるのだ。  こっちは横浜町で、駅名でいうと陸奥横浜駅。  こっちの横浜町には、作付け面積日本一を誇る菜の花畑がある。  もともとジャガイモ畑を休ませるため、1年置きに、菜の花を植え、ジャガイモ畑 を植えたりしているうちに、総面積750ヘクタールになる頃には、名所となって、 テレビで取り上げられるようになり、鉄道のポスターにもなったりしている。  この総面積750ヘクタールという数字、どのくらいか想像つかないとおもうけど、 東京ドームの160倍だそうだ。  160倍! これもちょっと想像つかないよね。  いまは県だか国からの助成金が出なくなってしまったせいで、750ヘクタールが 120ヘクタールまで減少したそうだけど、それでも東京ドームの25倍の広さだ。  その東京ドーム25倍の広さの菜の花の黄色を見に行く。  この菜の花、ゴールデン・ウィーク前に咲いてみたり、今回のように5月9日が開 花宣言と遅れてみたりする気まぐれなために、ここ数年間ずっと待機しては取材を断 念していたのだ。  昨年、弘前に桜を見に行ったときも、この菜の花を視野に入れていたのだが、開花 せず泣く泣く帰っていた。  年単位のリベンジだからこそ、大湊線は強風にめげず走ってほしかったよー!  タクシーは国道279号線の海岸沿いを走る。

 電車が強風で運休になるのが、わかるくらい横風が強い。  女性のタクシー運転手さんが「あれ、あの列車は軽いんね」  大湊線を走る1両の電車は、車体が軽いので強風に弱いそうだ。  あの列車ではたしかにこの強風では脱線どころか、飛ばされそうだ。  むむっ。また雨が降ってきたかな?  雨ではなかった。  海からの飛沫が飛んできているのだ。  まるで雨みたいだ。  どこまでもまっすぐな海沿いの道を、タクシーはぶずずずっ、ぶずずずっ!と蛇行 しながら、走る。  うおーーーっ! 看板のトタン板がタクシーの目の前を飛んで行く。  すごいなあ。映画『ツイスター』みたいだ。 「ハハハ! 牛も飛んできたりして!」と土居ちゃん。  ほんとに強風なんだよ。  午前10時30分。横浜町の「湧水亭」へ。  昨日、家庭料理の「綺羅」で出合ったお客さんから、ここのみそ田楽だけは絶対お 勧めといっていたし、タクシーの運転手さんも有名ですよというので、寄ってもらう。

 みそ田楽豆腐は、ネギ味噌っぽいね。  豆腐もちょっと固い。  だからこのお店のキャッチフレーズは「北の頑固どうふ」だったのか。  うまいねー。こういう食べ物は、水がおいしいせいと、その土地の空気といっしょ に食べるから、おいしいんだよねー。

 それより驚いたのが、卯の花ドーナッツ。 『桃太郎電鉄』に登場させるなら、おからドーナッツ屋かな?  もちもちっとして、からっとしていて、おいしいのよ。 「うっ!」 「土居ちゃん、どうした?」 「おからドーナッツ、おいしい! ハハハ!」 「あいかわらずだなあ、土居ちゃん」

<おすすめのお店> 「湧水亭」 住所:青森県上北郡横浜町吹越97-1 電話:0175-78-2233 営業時間:9:30〜18:00 定休日:月曜(祝日の場合は翌日) 備考:みそ田楽豆腐、卯の花ドーナッツ

「湧水亭」を出発したあたりから、左右の畑に、ぽつぽつと菜の花畑が見えてきた。 きれいだ。黄色というより、黄金色に輝いている。  たまに芝桜のピンクまで加わり、まだ枯れ切っていないソメイヨシノや、八重桜が 満開で、美しい。

 午前10時45分。道の駅「菜の花プラザ」へ。  いかに横浜町が、菜の花に力を入れているかがわかるような道の駅だ。  うっひゃー! 風が強い。  ぴゅうううううっ。びゅううううっ。 「菜の花プラザ」の前に立てられたのぼりが千切れそうなくらい風が強い。

「ううっ! ううっ!」 「土居ちゃん、どうしたの?」 「息が出来ない!」  ほんとに息が出来ないくらい風が強いんだよ。  強風のために大湊線が運休したのを知った時点で、取材場所をほかにすればよかっ たとちょっと悔やんだ。  でも、横浜の菜の花を見たい気持ちは大きかったからなあ…。

「菜の花プラザ」では、葉の花の苗や種も売っていた。  ポット菜の花というワンカップ風の入れ物で栽培できる菜の花もあった。 「土居ちゃん、このポット菜の花、買って行きなよ」 「やだよ」 「独身の部屋に、この菜の花が可憐に咲くとわびしくていいぞー!」 「枯れたときは、もっとみじめですよ。ハハハ!」  全然めげていない土居ちゃんである。 「さくまサン、ホタテコロッケだよ! 食べないの?」 「私はソフトクリームのほうがいいなあ!」  あっ。もう土居ちゃんがソフトクリームを買って、私に手渡す。

「さくまサン、ホタテコロッケ、食べないの?」 「土居ちゃんだけ食べなよ!」 「うーーん。どうしようかなあ…」 「…とおもってるなら、食べなよ」 「真理さん、食べない?」 「ホタテコロッケ? 食べる」  土居ちゃん、うれしそうに嫁の分まで買って、こっちに手渡す。  ホタテコロッケ、おいしかったよー。  さくさく、カリカリで、ホタテの粒がなんともいえずおいしい。  これは『桃太郎電鉄』の物件に加えたいほど。  ホタテコロッケ屋。ちょっとイメージ湧くよね。 「菜の花プラザ」を出て、タクシーに戻ろうとしたら、タクシーのボディは、びしょ びしょ。左半分だけ濡れているのだから、やっぱり雨ではなく、海からの飛沫なのだ。  海までずいぶん距離あるよ。  でも海を見ると、波頭が白い、白い。  かつて江ノ島の合宿所で、台風の日の相模湾とおなじ波頭だ。  台風並みの強風ってことだ。  それでも、私たちは菜の花の横浜向かって進軍するのであった。  国道279号線に、「菜の花フェスティバル会場入り口」ののぼりが見えてくる。 右折して、農道へ。  遠くに最近流行の巨大な3翼プロペラ形風車がいくつも見える。

 ジャガイモ畑が見えたり、菜の花畑が見えたり。  でも、東京ドーム25倍ほどの広さは、絶対ないよなあ。  もっと先にあるのかなあ?  午前11時。「菜の花フェスティバル会場」って書いてあるから、ここだよなあ。 簡易展望所も設置されているんだから、菜の花畑の中心地はここでいいんだよなあ。 「日本一菜の花迷路」の看板もある。  これは間違いない。  5月15、16日に開催された「菜の花フェスティバル会場」はここだ。  開花が遅れたのと、フェスティバルの日に来たら、13万人の人出になるらしいの で、わざと避けたのだ。  簡易展望所に登る。  ひ〜〜〜! 風が強くて怖いよ。  しかも鉄の階段のステップが、網の目状。  これじゃ女性のハイヒールが突き刺さって、動けなくなってしまうではないか。  事実、嫁はハイヒールを何度も網の目に食い込ませて、突風とこのステップの1対 2の戦いを繰り広げていた。  私なんか、この突風に、すっ飛ばされそうだったよ。 「ううっ! ううっ!」 「土居ちゃん、どうした?」 「息が出来ない!」  展望台から見た「日本一の菜の花迷路は…」  お世辞にも、すごいとはいえないものだった。  とにかく面積が狭い。  密集度が低い。  この密集度は、あとでインターネットで調べたら、まだ三分咲きで、野辺地寄りの 菜の花畑のほうが、五分咲きだったようだ。  ついでにいうと、きょうのこの下北半島の突風は、風速29.3メートルだったん だって。ほとんど台風じゃないか!

 ただ菜の花畑自体は、気持ちよかった。  目が痛くなるような菜の花の黄色には、気分を昂揚されるものがある。  私と土居ちゃんが腰をかがめて、菜の花畑に埋まるように写真を撮ると、けっこう 雰囲気のある景色に見えるものだよ。 「花とおじさんだ!」 「いや、もう花とおじいさんだよ」

   マウス・オンで画像が動く!
 本当はここの菜の花は、人間ガ隠れるくらいの高さにまで成長するらしいね。  菜の花を見に来ていた観光客の人に「ここに来たの何回目ですか?」と聞くと 「2回目ですけど、もっといっぱいあった気がするー!」と言っていた。  ちょっと5年越しの夢だっただけに、東京ドーム25倍の面積全部が菜の花で、そ のど真ん中に立つ自分を想像しすぎちゃったのかも。  がっかりしたわけではない。  四国の四万十川とおなじ感想だ。  四万十川は、「最後の清流」といわれるくらい水のきれいな川だ。  ところが四万十川にたどり着くまでにも小さな川はいくつもあって、どの川も四万 十川並みにきれいだから、四万十川に着くころには、きれいな川に対して驚かなくな ってしまったのだ。  それと、年単位でジャガイモと交互に畑をつかうから、菜の花畑が疎(まば)らな んだよ。ジャガイモ畑の休耕地利用から始まってるからね。見渡すかぎり全部が、菜 の花とはいかない。

 そんなわけで、気分を変えて、道路沿いの菜の花畑を純粋に楽しみながら、女性の タクシー運転手さんに、恐山に向かってもらう。  ここまで来たら、話の種に一度は、恐山に行っておくべきでしょう。 『桃太郎電鉄』不動の☆印カード売り場だ。  ここでぶっとびカードを買ってから、北海道に向かうのが桃鉄マニアのお約束必勝 法。  実は私は、恐山に行くのは初めて  霊場だから怖いのではない。  実はまったく逆。  きょうの3人は、最も霊感が働かない。  友人の霊能力者である岩崎摂さんからも「あんたらには霊に取り付かれようがない」 といわれるくらいなのだ。  なにしろ土居ちゃんなんか「霊場」を「令嬢」だとおもっているし…嘘です。私さ くまの作り話です。  第一、私は「霊場」の意味すらわかっていない。  こんなときは、広辞苑さん。 れい‐じょう【霊場】 (→)霊地に同じ。「―めぐり」「観音の―」  何だよー。辞書って、「○○○○におなじ」があるから面倒だよねー。 れい‐ち【霊地】  神仏の霊験あらたかな土地。神社・仏閣などのある神聖な地。  霊場。霊境。霊区。  やっぱりよくわからん。  こういう場合は、やっぱりインターネット。  恐山は霊場として、人の死後霊魂がここに常住すると信じられています。  ふーーん。  どうも私は、こういうことに興味がなさすぎる。  脳内出血で危篤状態になったときも、みんなに「お花畑見えた?」と聞かれたけど、 まったく何の夢も見なかった。  でも恐山の入り口にある宇曾利山(うそりやま)湖に私たちが降り立ったときは、 霊能力がない人たちでも「あんたらそんな目に会ってるのに、何にも気づかないの?」 というくらい突風に飛ばされそうになる。  有名な太鼓橋の三途の川を渡りたくても、渡れない。  どうもこの3人は、拒否されているみたいだ。  でも単に何年に一度あるかないかの突風に阻まれているだけだとおもう。

 この「宇曾利山(うそりやま)湖」が「恐山」という呼び名になったという説があ るようだ。  恐山自体は、山のてっぺんにあるとばかりおもっていたんだけど、ここに車で山道 を登ったり降りたりして、意外と上昇しない。  それどころか、宇曾利山(うそりやま)湖のほとりにあるという言い方が正しいの で拍子抜けしたくらいだ。  午後12時。恐山に入る。  本堂に向かうのも一苦労。  突風に立ち向かうだけで、へとへとになる。 「ううっ! ううっ!」 「土居ちゃん、どうした?」 「息が出来ない!」  それにしても、もっと暗〜〜〜く、陰気な場所だと思い込んでいたんだけど、妙に すがすがしい場所だった。  あっ。これが『広辞苑』に載っていた「霊験あらたかな土地」か。  たしかに凛とした気分になる。

 でも例によって、不謹慎なことに『少林寺三十六房』みたいなところだとも思っち ゃったんだけどね。  地獄めぐりの道があって、とにかく硫黄の匂いが強い。  でもこの天気で、地獄巡りしていたら、石のつぶてが飛んできて、顔にめり込まな いとも限らない。  ほんとにそのくらい強い風なんだから。 「ううっ! ううっ!」 「土居ちゃん、どうした?」 「息が出来ない!」  土居ちゃんの風に対する表現は「息が出来ない」が定番のようだ。  本堂の側に、温泉があって、男湯、女湯の区別がある。  さすがにこんなところで、のんびり温泉に入るっていうのもどんなもんかねー。  嫁は、女湯を覗きに行った。 「女湯を覗きに…」って言い方は変だな。

 そんなわけで、滞在時間わずか30分で戻る。  女性のタクシー運転手さんに「あれー。もう戻ってきたのー?」と呆れられる。  でもこの突風は、もう無理だよ。  飛ばされそうだし、寒い。  田名部(たなぶ)の「まさかりプラザ」などに寄ってもらいながら、一気に、野辺 地まで戻ってもらうことにする。

 途中、突風は吹くものの、気温はどんどん上昇しているので、3人とも次々とも眠 くなる。  横浜でまた車窓から、菜の花畑を眺める。  菜の花会館という建物があって、きょうは営業していなかったけど、建物全体が菜 の花色で、家の前には菜の花畑がある。  いっそのこと、横浜町の家は、全部菜の花色にしてもらいたいね。  これなら菜の花畑が減った分を補えるような気がする。  また後部座席で、うとうと…。  午後2時1分。野辺地駅から、JR東北本線に乗車。  各駅停車で、のんびりと。

 …のはずだったんだけど、昨日わざわざ札幌から来た川田忠之くんは、とんでもな い置き土産を残して行った。  私がゴールデン・ウィークに、京都ひとり合宿で完成させた『桃太郎電鉄モバイル (仮)』の製作は、8月か9月から始める予定だったんだけど、なんとマップと物件 が入ったテスト・ロムにアクセスできるURLを教えて行ったのだ。  この普通列車のなかで、私と土居ちゃんは『桃太郎電鉄モバイル(仮)』をテスト・ プレイ。 「さくまサン、これ遊べるよ。ほとんど完成しているのとおなじだよ」 「うそ!? 私もやってみる」  おいおい! マップはまだ緑一色だけど、路線は私が作ったものがそのまんま入っ ているではないか。  どひぇー! いつのまに仕事してるんだ、モバイル・チームは!  くそっ。勝てない。  どうもCOMキャラに勝てない。  貧乏神をなすりつけるのに精一杯で、物件が買えない。  はっはっは! まったくの新マップなんで、私自身がまだマップになれていないん だねー! 『桃太郎電鉄モバイル(仮)』に関するヒントは、これぐらいが限界ね。  そういえば、『桃太郎電鉄TOKYO』の2月配信の頃、FOMAが通じなくて契約す ることが出来なかった人は、今一度NTTドコモを訪ねてください。  いまFOMAはものすごい勢いで、アンテナを設置しているので前にダメだった区 域でも通じるようになっているそうです。  午後2時48分。終点青森駅に到着。  うーーむ。『桃太郎電鉄モバイル(仮)』を負けっぱなしのままセーブするの嫌だな あ。でもお仕事、お仕事。  午後3時30分。青森国際ホテルで荷物を受け取り、そのまま「ラ・プラス青い森」 に移動。きょうの宿泊先だ。  青森市役所の裏のきれいなホテル。  青森観光の最大の欠点は、きれいなホテルがないことだとおもっているので、 平成14年に完成したばかりのこのホテルは、特筆すべききれいさだ。  しかし、ホテルの前にずらりと並ぶ赤い自動車たちは何だ?  どうも青森県内の消防署の集まりが開かれているようだ。

「へ〜。だったら急にホテルが火事になっても平気だね」と土居ちゃん。 「土居ちゃん、急に火事にならないし、この消防署の自動車たちには、消防用のホー スがついていないよ」 「あっ。そっか!」  土居ちゃんのようなお気楽な考えの持ち主になりたい。 「ラ・プラス青い森」は部屋もきれいだ。

 インターネット接続もコードを差し込むだけ。  青森のホテルはまたインターネット接続できるホテルが圧倒的に少ない。  ダイヤルアップしかないとか、CDをインストールしてからじゃないとつかえなか ったりする。  とくにこのCDインストールのホテルは、青森ではいちばん豪華なんだけど、暗い 印象の従業員が部屋までやって来て、ひとこともしゃべらず、インストールして行っ たので不気味だったのだ。  おもいきり「月刊さくまにあ」のトップページ見えてるんだよ。  膨大な『桃太郎電鉄』の仕様書のフォルダが、デスクトップに並んでいるんだよ。 プライバシーとおもってくれたのかもしれないけど、何も言わないのも、かえって気 持ち悪いよね。年齢的に絶対知っているはずだし。  おまけに、設定を変えたもんだから、東京に戻ってきてからインターネットをつか おうとしたら私がつかえなくなって、困った、困った。  午後4時。珍しく土居ちゃんが「ここに行きたい」と言い出したお店に行くことに。 ホテルから歩いてすぐだと土居ちゃんが地図を見ながら、私たちを誘導したんだけど、 まんまと反対方向に連れて行かれた。 「ハハハ! すまん!」

 青森市役所に「東北新幹線全線の早期完成を」の看板があった。  10数年前は「東北新幹線全線の早期着工を」だった気がする。 「完成」と「着工」では月とすっぽんだ。  確実に新幹線工事は進んでいるようだ。  そのうち東京から青森まで4時間を切る時代が来るはずだ。  午後4時。善知鳥(うとう)神社の隣りの「赤い林檎」へ。  土居ちゃんが「野口五郎の歌だっけ?」と。 「土居ちゃん、それは『青いりんご』!」 「ハハハ! そっか。ハハハ!」 「土居ちゃん、別にどっちでもいいんでしょ?」 「ハハハ! うん!」  土居ちゃんは無敵にマイペース。

 2階の喫茶で、赤い林檎のパイを2個、ショソン・オ・ポムを2個注文する。  ウェイトレスの女の子が、3人で4個注文したので迷ったようだ。 「パイは、どちらの方が…」 「はっはっは! こちらの方がひとりで2個食べます」と、私は土居ちゃんを指さし てあげた。 「ハハハ! ボクです」  女の子にも、バカ受け。  青森のりんごはどこで食べてもおいしいので、びっくりするほどの味ではないけど、 予想通りのおいしさ。  どっちかっていうと、りんごの素材が生きてる赤い林檎のパイのほうがおいしかっ たかな。

<おすすめのお店> 「赤い林檎」 住所:青森県青森市新町2丁目6−15 電話:017-722-7738 営業時間:10:00〜18:30(2階) 定休日:無休。 備考:赤い林檎のパイ、ショソン・オ・ポム。

 午後5時。アスパムへ。  私が青森に来ると必ず寄るお土産品が一堂に集まっている観光物産館だ。

 私などはすっかり通いなれちゃっていて、売り場のどこに何を売っているまで暗記 しちゃっているけど、今回「青森県地場セレクト」というスペースが新たに設けられ ていて、青森県の新製品を紹介する場所が出来ていたのはよかった。  いくつか新製品を購入。  青森県が、長芋の生産量日本一っていうのは知らなかった。  無意識に毎回このアスパムで、長芋を買っていた。 「いかずし 花ぐるま」にも驚いた。  どうせ北海道の森のいかめしの亜流だろうとおもったら、これがなんとイカのなか に、キャベツ、しょうが、にんじんなどを入れたもの。  まさにイカサラダ。  これがしゃきしゃき、うまい!  さっき行ってきた「赤い林檎」の出店も「アスパム」に入ってすぐ右の一角に出来 ていた。赤い林檎のパイがここで買える。  アスパムの裏。海側へ出る。  まだ風が強くて、突風が吹き荒れていて歩きづらい。  きょうは1日じゅう強風に苦しめられている。  今年も、ねぶた祭りの製作テント小屋が並んでいた。  なかで「ねぶた祭り」の巨大ねぶたを作っているのだ。  だからテント小屋といっても、でかい。  立ち入り禁止とは書いてなかったけど、一応極秘製作なのかな。  テントの隅っこから、そぉーと覗く。  コンピュータのレイヤーとおなじように、針金で枠組みを作っている。  おもしろいよね。ねぶた祭りのようなローテクの極みのようなものと、最新鋭の3 Dモデルの作り方がまったくおなじだったりする。  着物もおなじだ。  ゲームのドット絵の作り方と、着物の織り方がまったくいっしょ。  基本は何でもいっしょってことだね。

 午後6時。「鮨処すずめ」へ。  店内はジャズが流れるおしゃれなお寿司屋さん。

 野辺地のウニ、青森のイワシ、大間のマグロといった青森県で獲れる魚をつかった お寿司がおいしい。  世間一般では、お寿司の本場というと北海道だとおもわれているが、本当においし いのは青森だったりする。  北海道は素材に対して何も細工をせずに、どどーーんと出す。  でも青森は、新鮮な素材にちゃんと江戸前の細工を加えて出すから、おいしいのだ。 ただこの事実が有名でないのは、ひとえに「自慢が下手だから」。  青森の人ほど、宣伝が下手な県民性はない。  隣り合わせたお客さんとも、「青森の人は宣伝が下手だ」で盛り上がる。  お客さんは青森の人だから、よけいはがゆいらしい。 「今回青森に来て、こんなにいっぱいおいしいものがあるって知りませんでしたよ」 と、土居ちゃん。  気分がよくなった隣りのお客さんから、嫁と土居ちゃんは、焼酎をごちそうになる。 こういう出会いもまた旅のたのしさ。 「鮨処すずめ」の帆立のうにソース炒めが、抜群においしかった。  これは売り文句になるおいしさだ。  うにソースがまるでフランス料理のようだ。

「最後に大間のマグロを出しますから…」  いまや下北半島の大間崎(おおまざき)は、おいしいマグロの代名詞となってい る。青森県といえば、リンゴだけど、二番目は大間のマグロ、三番目は田子(たっ こ)町のにんにくになりつつある。  で、大間の大トロ。  フーハー、フーハー。  大間のマグロ〜〜〜! うめ〜〜〜!  次から、青森のお寿司屋さんはこの「鮨処すずめ」で決まりだ。  すっかりお腹が、丸くなっちゃった。  東京に戻ったら、またダイエットしないと。  ちょっと取材に熱が入りすぎて、食べ過ぎた。  土居ちゃんは私よりも食べてたから、相当太ったよ。

<おすすめのお店> 「鮨処すずめ」 住所:青森県青森市橋本1丁目2−11 電話: 017-775-1131 営業時間:17:00〜24:00 定休日:日曜。 備考:大間のマグロ、ホタテのうにソース炒め。

 午後8時。寒い、寒いを連発しながら、コンビニに寄ったのち、ホテル「ラ・プラ ス青い森」に戻る。  きょうの取材をまとめる作業。  これが大変。  インターネットで裏づけを取ったり、疑問を解決しないといけない。  昨日なんか、ねぶたの里を貫通していた新幹線のトンネル工事を調べていくうち に、国土省のホームページなど読みふけり、気がつけば午前1時過ぎになっていた。 旅先の寝不足は応える。  きょうも時間かかりそうだ。  ぐはっ。横浜ベイスターズ、連敗。  おっと。また読売広告の岩崎誠が海外出張している間に、阪神が首位に。  2年前もこのパターンだった気がする。  明日、東京に帰る。

 
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