10月28日(木)

 午前7時。『桃太郎電鉄TOKYO』の仕様書の手直し。

 モバイル用のゲームは、メッセージ速度が遅い。
 以前作った『さくま式東海道五十三次』は、最初から極端にメッセージが少なかった
から、気にもならなかった。
 ところが、『桃太郎電鉄』は、RPGよりもメッセージが多くて、長い!
 これではテンポも悪くて、メモリーも圧迫する。
 というわけで、ばっさりメッセージを削る作業。
 けっこうこの仕事が楽しい。
 意外や、削ったほうがいいメッセージが多くて、「ふだんからこのくらい短くしてお
けよな!」と、自分を叱咤!

 初めて『桃太郎電鉄』をやる人には、ちょっとだけ不親切なメッセージになるかもし
れないけど、一度でも『桃太郎電鉄』をやったことのある人には、サクサク進むように
なるので、お勧めになるとおもう。
 プレイステーションのゲームとは、違うメッセージが読めるから、新鮮かもね。

 それにしても、このところ私の身の回りだけでなく、大きな事件が多いね。
 大型台風、水害、イラクの事件とか。
「地震速報」で、新潟中越地方ではなく、和歌山が震度3と出たときは、ビクッ!とし
た。
 日本中が、地震に見舞われて、日本沈没の予兆かとおもったよ。
 今年が、1999年じゃなくてよかったかも。
 ノストラダムスの大予言のときに、今年のように台風、地震が発生したら、誰もが
「末法」を叫んで、収拾のつかないパニックに陥っていただろうね。

 そういえば、脱線した新幹線の点検をしていたときに、震度6の余震が起きた映像を
見た? 新幹線がぐわんぐわん揺れてたでしょ?
 あの映像が、私と嫁が味わった長岡駅の揺れ方にいちばんそっくりだった。
 あれを見て、また心臓がバクバクしてしまった。


 午前11時30分。嫁と、新宿のラーメン屋さん「大八軒」へ。
 最近お気に入りの和風つけめん。

「カメラのさくらや」にて、コンピュータ周辺機器など。
 嫁が、ボーダフォンを新機種に変更。
 新機種だと、テレビとFMラジオがついているので、先日の地震のようなときに、便
利だとおもったからだ。
 あのとき、ほんとに情報が入ってこない怖さを実感したからね。
 嫁とは別に、私はカード式ラジオを買っておこうとおもう。
 自宅用の懐中電灯も、大きいものに買い換えようとおもう。
「備えあれば憂いなし」が口癖の校長先生がいて、よくみんながその口癖を真似して揶
揄していたけど、ほんとに子どもの頃っていうのは、残酷なことを平気でやっていたん
だね。
 いまごろ、「備えあれば憂いなし」の重みがわかってきた。

 午後2時。あまりにも外が寒くなってきたので、いったん家に戻ってから、表参道の
「ロイヤルホスト」へ。
 おなじみ、座ると同時にアイデアが湯水のように湧いてくるお店だ。
 きょうは用事のある嫁を、30分ほど待っているだけなので、別段アイデアを出そう
とおもっては来ていなかった。
 ところが!
 何気なく、メモ帳にいたずら書きを始めたら、ゲスト・ボンビーのアイデアが浮かん
でしまったではないか!
 信じられない!
 こんなに縁起のいいお店はないよ。
 私にとっては、ロイヤルホスト神社だよ。
 しかも、コーヒー1杯だけで!
 思わず、嫁との待ち合わせを忘れて、メモ帳にアイデアを書き殴る!

 午後4時。嫁と池袋へ。
「松文館」という出版社へ。
 出版業界の事情通の人なら「ああ! ワイセツ裁判で大変な出版社ね!」と気づく、
あの松文館だ。
 成沢大輔くんあたりが、この日記を読んで「さくまサン、あそことも知り合いなんだ!」
と驚いている顔が浮かぶよ。

 実は、この出版社の社長さんが、古い知り合いで、20年ぶりにきょう会うこととな
ったのだ。
「ひさしぶり〜〜〜! 貴志さんだ。貴志さんだ! 変わらないねー!」
「さくまサンは、顔が変わったね!」
「へ〜。あんまり顔が変わらないといわれるほうだけど…」
「さくまサン、おだやかな顔になりましたよ!」
「それはいえてるかも。のんびり仕事させてもらっているから」

 社長の貴志元則(きしもとのり)さんは、かつて売れっ子漫画家だった。  非常にユニークな漫画家さんで、切れ者過ぎる頭脳の持ち主だった。  この20年間の貴志元則さんの話を聞いたら、思ったとおりの風雲児っぷりだ。  漫画家で売れていたときに、どうしても和歌山のほうで、給食センターの建て直しを しないといけなくなって、漫画家から経営者に転進。  3年間で、その給食センターを立て直して、再び東京へ。  そこから10年間、彼曰く「遊んじゃったんですよ。10年間も」ということだけど、 あの人がただ遊んでいるわけがない。  その後、この松文館を買い取って、その手の世界では有名な、従業員50人の会社に してしまったのだから、経営者に向いているとしか言いようがない。  がんばりすぎてしまったせいで、警察に目をつけられて、見せしめのために、ワイセ ツで検挙しようとしたので、裁判で闘っている。  一昨日も裁判所に行ってきたばかりのようだけど、いたって元気。  それどころか、また漫画家を描いているんだと、うれしそうに描き掛けの生原稿を見 せてくれた。 「まだこの絵で行けるかなあ…」  ああ! そういえば、貴志元則さんの知っているさくまあきらは、漫画評論家だった 頃なんだなあ!ということお思い出させてくれた。 「行けますよ!」 「ほんと?」 「いちばん新しいページになるにつれて、絵が若くなってる。前半とちょっと違う気が するけど!」 「あはははっ!」  無性に、時間が戻っていく。  20年前、いや25年前だ。 「小池一夫劇画村塾」を卒業た頃だ。  貴志元則さん、はしもとてつじサン、宮西計三(みやにしけいぞう)くん、「劇画村 塾」の同級生で原作者のあかねこかサンといった人たちと、朝まで漫画について、口角 泡を飛ばして、議論した。  宮西計三くんも、いまこの会社で働いているそうだ。  きょうどうしても身動き取れないようで、ごめんなさい!の電話が途中で入った。 「宮西くんって、この会社でひょっとして編集をやっているの?」 「そうですよ!」 「…ってことは、他人の原稿を待つわけ?」 「そうですよ!」 「あの原稿を待たせることで有名だった宮西くんが、他人の原稿を待つ!?」 「だから、お酒が増えた!」 「はっはっは! 因果は巡るねー!」  午後6時。原宿に戻り、沖縄料理の「藹藹(あいあい)」へ。  紫紅いも、納豆とキムチのチャーハン、ミミガー、カリカリじゃこのサラダ、シーク ワーサーなど。  午後7時。帰宅。 「ロイヤルホスト」で突然浮かんでしまったゲスト・ボンビーのアイデアを、台帳に記 入する。  ゲスト・ボンビーのアイデアは、1年に2〜3個しか出なくて、そのうち本編で使え るものが1個あるかないかなので、非常に気分がいい。  ついでに、カードのアイデアも出てしまったし。  血気盛んだった頃の知り合いに会えて、エネルギーを充填したような気分になれたし。 いい一日だ。

 
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