4月22日(木)

 天気予報通り、青森は朝から雨。
 午前中に、雨が降る確率は、50%。午後に雨が降る確率、90%。
 間違いなく、雨の一日だ。
 まいったなあ…。
 弘前の桜を見れば、日本全国の桜の名所のほとんどを見たことになるだけに、今年
は密かに、弘前で満開の桜を見ることに、期するものがあったのだ。

 午前9時。おっ。路面は濡れているものの、外を歩く人が、傘をさしていないぞ。
少し晴れ間が出たか?
 でかけるぞ!
 馬、ひけいっ!
 粥を持ていっ!
 いざ、出陣じゃ!

 午前9時30分。ホテルから、タクシーで合浦(がっぽ)公園へ。
 昨日、青森市民は、ここの公園の桜を見に行くという情報を仕入れていた。
 ホテルからも、近い。

 おお! シダレザクラがきれいだ。

 何より桜が多い。  園内600本の桜が、満開だ。  寒い。ぶるぶる…。ぶるぶる…。  全国でも珍しい海辺に面した公園のせいで、青森の人に聞いても「ああ、合浦 (がっぽ)公園ね。あそこは寒いっしょ!」と答える。  でも松林と、桜並木が並ぶ公園は、不思議な景勝だ。

 それにしても、気温6度って、何!?  昨日、気温27度の東京からやってきて、温度差は21度。  横浜ベイスターズ佐々木様の全盛期のフォークボールよりも、落差があるぞ。  焼きそばなどの出店が多い。  まだ時間が早いので、どのお店も準備し始めたところだ。 「あめせんべい」の文字が、気になる。  南部せんべい2枚の間に、水飴をはさんだものだ。  おいしそうだよねえ、甘党のみなさん。  ぽんせいんべいのタイプもあるの?  どっちがいいかなあ?  悩むなあ…。  ミックス・タイプがあるの?   ミックスがよろしいでしょう。

 うん。ぽんせんべいのほうが、おいしいなあ。  南部せんべいも、おいしい。  でも、青森の名産ではないだろうなあ。  運転手さんに「桜が素晴らしかったですよ!」と報告。

「ありがとうございます!」  おっ。やっぱり、この人、仕事のできるいい人だ。  ホメたときに、「ありがとうございます!」で答えることができるのは、人間性の 格を計るひとつのものさしだ。  この人にしよう。  弘前まで、このまま続けて運転してもらうことにした。  不思議なことに、弘前から、青森に向かう電車は、1時間に1本以上あるのに、青 森から弘前に向かう電車は、午前中2本くらいしかないのだ。  午前10時。青森駅近くのファッションビル「アウガ」地下の「新鮮市場」に行っ てもらう。

 昔から、青森駅前には、雑然とした海鮮市場があった。  ここをちゃんと整備すれば、立派な観光地になると思っていたら、案の定、3年前 に駅前を再開発して、地下1階、地上9階建ての大きなビルの地下に、86店舗の市 場を移転させたのだそうだ。  ここまでは、いい。  でも「アウガ」というファッションビルの地下に、かつての魚市場があるのは、違 和感がある。 「アウガ」という店名は、津軽弁で「会おうか?」の意味らしい。  おしゃれなファッションビルの下に、まさか86店舗もの市場が入っていると、思 わないよねえ。  しかも「新鮮市場」という名前がねえ…。  デパートの地下のお惣菜売り場に隣接する魚介類コーナーを連想してしまうよ。  最低限「青森じょんがら魚市場」とか「青森じょっぱり市場」、「ねぶた市場」とい う風に、方言を入れた名前にしてほしかった。  今回、調べてから来たからいいけど、あの市場がまさかここに集まったとは思わず に帰ってしまったことだろう。

「新鮮市場」は、どのお店もおなじ大きさに統一されていて、白い看板で、店名もわ かりやすい。  一条通り、二条通り、三条通…、六条通りまであって、縦筋には、ねぶた通り、お 祭り通りといった名前がついている。  このネーミング・センスが「新鮮市場」の名前にも、ほしかった。

 お店の人に聞いても、以前よりは売り上げが落ちているし、何より、ビルのせい で、魚が乾燥して困るそうだ。  やはり、「新鮮市場」という名前が失敗だと思う。  地下のお寿司屋さん「三國(みくに)」で食事。  市場定食、1300円。  これもまた今年の取材テーマである、市場食堂めぐりだ。

 市場食堂には、いろんなお刺身が入ったメニューが必ずあるので、その土地の味を ダイジェストで食べられるので、楽しい。  やっぱり青森だから、ホタテが抜群においしい。  味噌汁は、じゃっぱ汁だ。  じゃっぱ汁はいいねー。  焼き魚もおいしい。  お店のご主人と、若い板前さんにきょうも聞いてみる。 「みそカレー牛乳ラーメンって、知ってます?」 「知ってますよ!」 「ええっ! 何じゃそれ!」  もちろん「何じゃそれ!」と言ったのは、お店のご主人。  どうやら、若者向けの食べ物のようだ。 「おいしい?」 「想像する味より、ふつうのおいしいですよ!」 「何だって? 味噌に、カレーに、牛乳でおいしいんかい! けっ!」  ご主人の気持ちもわからんでもない。  とりあえず、際物(きわもの)の食べ物ではないことを確認した。  食後、弘前に向かってもらう。

地上にも市場の名残がありました。やっぱりいいね!

 雨は、上がったものの、どんよりとした曇り空だ。  たぶん、もうすぐ雨が降ってくるだろう。  少しでも雨の降っていない弘前城を見てみたい。  弘前まで、40キロ。  雲行きが心配だ。  タクシーの運転手さんから、いろいろ取材。  運転手さんの方言が、気持ちいい。 「ねぶた祭りもさ。わしらから見たらさ。観光用になっちゃってるっさ!」 「えっ? どういうことですか?」 「決まった時間に山車が出発してさ、決まった時間に終わってしまうっさ! 昔は、 午前7時くらいから始まって、夜中の11時、0時ぐらいまで、好きなときに始めて、 好きなときに跳ねたものさあ!」 「ハネトですよね!」 「そーさー。ホテルも、ねぶた値段になってしまって、いつもの2.5倍くらい宿泊 料金取るさね。お客さんには、不評さあ!」  運転手さんがねぶた祭りで、笛を吹くバイトをしていた話など聞いたりして、楽し い。  年齢も52歳と、ほとんど同い年なので、親近感もわいたのだろう。  方言のリズムも心地よい。 「運転手さん! まいね!って、どういう意味ですか?」 「ダメだ!って、意味さね」 「まいね! まいね!って、吉幾三さんが歌ってた!」 「でも方言は減ったね、伊奈かっぺいさんって、知ってる?」 「知ってます。知ってます」 「あの人の言葉がわからないことがあるもんねー!」  運転手さんの名前は、光洋タクシーの坂本信一さん。  あとで、携帯番号を聞いておこう。  ここに名前を書いておけば、携帯番号を紛失しても、ここを見れば、連絡が取れる。  旅先のいい人は、貴重だ。    国道7号線を走る。  空が、鈍色になってきた。  雨が降り出しそうだ。  大釈迦(たいしゃか)を過ぎて、浪岡(なみおか)へ。 「道の駅なみおか」というのがあるので、寄ってもらう。

 午前11時30分。「道の駅なみおか アップルヒルズ」へ。  広大な土地に、たくさんお店がある。  おみやげコーナーに、行く。  ありゃ。なぜか沖縄の食べ物がたくさん売られているよ。  これは、先を急いだほうがいい。  いまは1分1秒が惜しい。  弘前に着くまで、雨が降らないでほしい。 「さすがに、岩木山が、よく見えないねー!」  進行方向、右側に、うっすら岩木山が見える。

 津軽の人たちにとっては、「きょうは岩木さんが怒ってる、笑っている」という言 い方をするくらい象徴的な山だ。    川部(かわべ)を過ぎたあたりから、ぽつぽつと雨が降ってきた。  きょう雨が降る確率は、90%なんだから、あたりまえなんだけど、もうちょっと 待っていてくれいっ!  元祖・晴れ男としては、この雨雲を吹き飛ばしてしまいたい。  弘前市に入った。  国道の両側が、桜並木になった。  ピンクの濃い見事な桜だ。  弘前城がなければ、ここも桜の名所として名をはせただろう。  そのくらい、美しい。  畑の菜の花の黄色も目に鮮やか。

 でも、この美しい桜並木が始まるや、雨の粒が大きくなった。  う〜〜〜ん。やっぱり、ダメかあ…。  車も渋滞してきた。 「桜まつりのせいだね…」 「この渋滞がですか?」 「うん。そうだね…」 「弘前城までは、もう少しかかりますかね?」 「うん。もうしばらく、かかりますね…」  NHKが見えてきた。  その向こうに、桜がちらっと見えた!

 雨が消えた。  まるで私が来るのを見て、あわてて逃げたように、雨がどこかへ行ってしまったの だ。何たる幸運。  午後12時30分。弘前城に着いた!  うわああああっ! 見事だ!  運転手さんにお礼を言って、タクシーから転げ落ちるように城壁に近づく。  弘前城の桜がお城からこぼれ落ちるように、咲き誇っている。  枝にフジツボのように、びっしり桜の花が密集している。

 東門から入る。

 まるで桜をかたどった和菓子のように、ひとつひとつの花の形が整っている。  こんな出来立ての満開の花を見たの、初めてかも。

 あっちを向いても、桜。  こっちを見ても、桜。  うわああ、本当にまいった。  四方を桜に囲まれちゃってるよ。  素晴らしい。  どう素晴らしいかを、考えることが面倒になるくらい、美しい。

 いやあ、この弘前城の桜を最後にしておいて、よかった。  奈良の吉野の千本桜も美しかった。  熊本城の勇壮な桜も美しかった。  豊臣秀吉も見た醍醐寺の桜は、豪奢だ。  上田城のはらはらと散り行く桜は忘れられない。  高遠の桜は、さすがに天下第一だった。  でも、でも、でも!  弘前城の桜は、別格だ。  まさに、真打の登場だ。  しかし、この美しさは、いったい何なんだ!  群を抜く美しさだ。  きょうは、天候も最悪なんだよ。  なのにこんなに美しいんだよ。  信じられない。  だんだん美しすぎて、腹が立ってきたぞ。  桜の名所めぐりシリーズを、ここから始めたら、あとはどこを見ても「弘前よりも ねえ…」と落胆するはめになっただろう。

 見事! 見事! 見事! 見事!  本当に見事!  弘前城はね。天守閣は3層で、小さいのしか残っていないんだけど、城門が5つ、 櫓が3つもある広大な敷地なのだよ。  でもね。その広大な敷地がね、2600本のソメイヨシノに、ヤエベンシダレ、エ ドヒガンで埋まってしまうくらい、咲いているんだよ!  ピンクが、濃いよ!

 私と嫁の桜のラッキー運、健在なり!  取材運も、健在なり!

 晴れ男、健在なり!  晴れていると、桜の向こうに、岩木山がくっきり見えるんだってさ。  別に、そんな絶景を望みません。 「これだけで、じゅうぶんでございます!」 「こんな美しい桜を見せていただいて、ありがとうございます!」 「どなたかは、存じませぬが、こんな美しい桜を見せていただき、恐悦至極に存知奉 ります!」

 寒いので、ビニールのレインコートを着る。  少しでも、寒さをしのぐためだ。  この寒さがなかったら、間違いなく、夕方までここにたたずんで、一日じゅうずっ と、弘前城の桜を見続けていたことだろう。  帰りたくない。  午後1時。弘前城内の「武徳館休憩所」へ。  ビニールのレインコートを着ても、まだ寒い。  ホットコーヒー、350円。  おや。真っ当な味のコーヒーだ。  おまけでついてきた、りんごクッキーがおいしいぞ。

 私たちが休憩所で休んでいるうちに、雨が降り出した。  まだ、弘前城名物、桜のトンネルを見ていない。  どうも地図が大雑把で、よくわからない。  どうやら、間違えたみたいだ。  桜のトンネルに到達する頃には、雨はかなり激しくなってきた。  気温7度なのに、アイスクリンの旗を見ると、条件反射のように買ってしまうの は、なぜだ?  100円の値段にも魅かれた。  うまい。ほんのり、りんごの味がした。

 公園の係りの人たちなのだろう。  高枝挟みで、枝を切っている。  聞いてみると、枯れた枝を切っているそうだ。このほうが、来年もまたいい桜が咲 くらしい。  こういう発見と影の仕事が、何100年も伝承されているのが、素晴らしい。 闇 雲に弘前城の桜が、毎年勝手に咲いて、勝手に枯れていくわけではないんだね。弘前 城では、夜桜を見たお客さんたちが帰ったあとに、毎日清掃しているそうだ。  橋の上で、地元の人が、観光客相手に「ここからの眺めは、ハドソン川のポトマッ ク河畔に咲く桜と似ています」と説明していた。

 おお! あのポトマック河畔の桜だよ。  こんな感じなのか。  肉眼で見る機会はないだろうなあ。  ああ、もう! どこかに避難しないと、びしょぬれになるくらい、雨が激しくなっ てきた。  出口が見つからない。  どこかで雨宿りしても、まだこの先ずっと雨は降り続くのだろう。

 北門から出て、とにかく、タクシーを拾う。  午後2時。土手町の喫茶店「万茶ン(まんちゃん)」へ。  創業1929年(昭和4)、東北最古の喫茶店ということらしいけど、全国規模で も、4番目に古い喫茶店だそうだ。  というより、あの太宰治も通ったお店ということでも有名。  そして、焼きりんごのおいしいお店として知れ渡っている。

 私のお目当ては、もちろん、焼きりんごのアイスクリーム添えだ。  嫁は、アップルパイ・セット。

 弘前で、りんごですぞ! 『桃太郎電鉄』で、物件8件中、5件が、リンゴ園のりんごですぞ!  収益率、10%→15%→20%の高収入物件、弘前のリンゴ園ですぞ!  しかも、アイスクリーム添えですぞ!  焼きりんごは、りんご丸ごとを想像していたけど、スライス状。  食べてしまえば、どっちでもよかったくらい、おいしかった。  お店の人もフレンドリーに話しかけてきてくれて、好感触。  当然、弘前城の桜の話になる。  きょうは、ソメイヨシノと、シダレザクラが、同時に咲いていたけど、例年は、シ ダレザクラの咲く時期のほうが、遅いそうだ。  天気がよかったので、いい方向に狂ったわけだ。  本当に私たちは、桜運が強い。  お店に来ていた女性は、この弘前城の桜を見るために、弘前から、15キロくらい 先の大鰐(おおわに)温泉に、3日間滞在しているそうだ。  もちろん、弘前市内のホテルや旅館はどこも満員のせいだ。  桜は本当に、一瞬に咲いて、一瞬で散ってしまうので、桜を見る人たちの根性で、 火力発電ができてしまうくらいだ(嘘)。  ナムコからコーエーに、FA宣言で移籍した岸本好弘(きっしい)さんが、1ヶ月 以上かけて、桜とともに北上した気持ちがやっとわかったような気がする。  余談だが、きっしいサンは、福島三春(みはる)の滝桜に行きたかったけど、断念 したそうだ。1本の桜を見に行くのに、行列に並ぶなんて、ちょっとね。  私も今年計画していたけど、行列に並んでまで見るのは、桜ではないと思っている ので、やめた。  喫茶店で休んでいると、柴尾英令くん、整体のお兄ちゃんから、相次いで「きょう、 弘前の桜が満開のニュースを見た」というメールが届く。  柴尾英令くんの「東京は、暑い」の文字が、信じられない。  東京は、28.5度?  甲府は、33度?  弘前は、気温6度だ。  日本は広い。  まだ時間が余っているので、弘前駅まで歩いて行く。  雨は、小降りになっていた。  でも、寒い。

 閉店になったスーパーの玄関で、ジャンパーが1000円で売っていた。  あれ? どこで買えばいいの? 2階?  のんきだなあ。このまま持って行っちゃう人いないのかなあ?  …と思ったら、ちょうど若いお兄ちゃんが2階から降りてきた。 「1050円です」  こっちは、まだ外税かい!  バイト風のお兄ちゃんだったから、まだ税制が変わったの知らないんじゃないか?  おお! おかげで寒さをしのげたよ。  薄手のジャンパーだけど、ビニールのレインコートよりも、格段に暖かい。  午後2時30分。港町の盛り場のような飲食店街を抜けると、弘南鉄道大鰐線の弘 前中央駅が見えてきた。  まるで、観光地のバスセンターみたいだ。  風情のある駅舎に、ホーム。

 発車まで30分ある。  どうしよう。  この路線に乗る気はなかった。  ただ喫茶店の近くに、始発駅があったから、誘蛾灯に群がる蛾のように、来てしま っただけだ。  ここから大鰐(おおわに)まで行ったら、ただ日記が長くなるだけだ。  日記を書くのも大変だ。やめよう。  最近、無茶旅行をすると、自分の首を絞めることに気がついた。  いまごろか?  もう一度いつか、この弘南鉄道大鰐線を取材に来たいけど、そのときまで廃線にな らずにいてくれるだろうか。  ちょっと心配だ。  午後2時45分。弘前中央駅にタクシーが停車していたので、弘前駅まで行っても らう。  あれ? あれ? あれ?  弘前駅がない。  どこだ?  えっ? 弘前駅は改築中なの?

 う〜〜〜ん。昔の弘前駅が思い出せない。  数年前も、10数年前も、20年ほど前も、弘前には何度も来ている。  駅前は、もっと景色が小さかったはずなのに、大きな「シティ弘前ホテル」という のが「オレが弘前駅だ!」といわんばかりに、建っている。  弘前にきたら、ここに泊まるべきかな。  午後3時15分。弘前駅から、青森行きの普通列車に乗車。

 弘前駅には、弘南鉄道黒石線というのがあって、本当はそっちに乗りたかったんだ けど、身体の疲労を考えて断念する。  ホームに止まっていた電車が、ふつうの車両だったので、無茶旅行しなくてすんだ。 風情あふれる列車だったら、飛び乗っていたと思う。  そういえば、まだこの日記を始める前に、この弘前駅でたまたま五能線のノスタル ジック・トレインが停まっていたので、飛び乗ってしまったことがある。  深浦(ふかうら)というところで、大きな大きな夕陽が、ジュッという音がして、 海に落ちるような感動の風景を見に行った。  あれ以上の夕陽は、二度と見ることはないだろう。  こういう行き当たりばったりの旅行をするから疲れるんです、はい。  自粛、自粛…。  青森行きの普通列車、奥羽線の車窓は、平凡だ。  水田と、りんご園の低い枝が続く。  学校帰りの学生が多い。

 弘前から、青森までは、普通列車でも、48分。近い。  撫牛子駅?  なでる・うし・こ? 「撫牛子駅」と書いて、「ないじょうし」駅?  読めないよ〜!  途中、新青森駅に、駅舎完成予想図という看板があったようだけど、あれは新幹線 用の駅舎なのだろうか。  計画では、新幹線はいまの青森駅ではなく、新青森駅を作ると聞いているけど、こ の新青森駅のことなのだろうか。  午後4時1分。青森駅に着く。  雨がぽつぽつ降っている。    午後4時30分。アスパムへ。  青森県の観光と物産の情報基地だ。  地上15階、 高さ76mの正三角形ビル。  まるでスイカを三角形に切ったときののように薄いビルだ。

 まだ気温は、7度だよ。  青森に来たら、ここに寄らないといかんですよ。  青森のお土産品を一網打尽で買うことができる。  初夏ともなれば、このアスパムの裏には、ねぶた祭りの山車を作る光景が見える し、公園から眺める津軽湾を見つめていると、時の経つのを忘れる。  この「アスパム」は、私が青森でいちばん好きな場所だ。  と同時に『桃太郎電鉄』での青森の物産品を仕入れる情報源でもある。

 きょうもあれこれ、お土産品を買う。  田子(たっこ)のにんにく製品と、三内丸山(さんないまるやま)古墳関係のお土 産品が増えているなあ。  もちろんいちばん多いお土産品は、不動のりんごなんだけど、2位のホタテ関係の お土産が激減しているような気がする。

 午後5時。ホテル青森に戻る。  午後6時。メールチェックなどしてから、古川町の「味の札幌 大西」へ。

 昨日から、この日記に何回か登場している、「みそカレー牛乳ラーメン」のお店だ。  やっぱり、取材に来るでしょう。  こんな『桃太郎電鉄』っぽい名前の食べ物はない。  真っ先に、「このお店、札幌にもあるんですか?」と聞く。 「ないと思いますけどねえ。ないよねー!」 「うん。お店のオーナーが、札幌出身なんですよ」  なるほどね。それで「味の札幌」か。  もちろん、みそカレー牛乳ラーメン、750円を注文する。  牛乳ラーメンでも、750円というのが、おもしろい。

 みそカレー牛乳ラーメンが来た。  おお! ぷうんと、カレーが匂う。  ずいぶん大きなバターが乗っているなあ。  味のほうは、今朝の「新鮮市場」のお兄ちゃんが言っていたように、ふつうに、お いしい。決して、際物(きわもの)の味ではない。  大きなバターを溶かしながら食べると、おいしい。  おいしい指数は、ぐんぐん上昇。  間違いなく「おいしい」の領域に入ってきた。  ひょっとすると、病み付きになる味かも。  スープがまた、マニアック。  ついつい、スープを飲み干したくなる味だ。  う〜ん。評価としては、お勧めできる味。  もっと寒い冬なんかに食べたら、もっとおいしいだろうなあ。 『桃太郎電鉄』の物件に加えるとしたら、みそカレー牛乳ラーメン屋では、12文字 で多すぎる。 「牛乳カレーラーメン屋」でも、10文字だ。  9文字じゃないと困るなあ。  市場のお兄ちゃんは、いつも「牛乳ラーメン」を食べると言っていたから、「牛乳 ラーメン屋」かな? 「みそ牛乳ラーメン屋」で、9文字、これでもいいか。  不気味さは残せそうだ。  でも、『桃太郎電鉄』の「全国編」に登場は難しいなあ。  もっと青森のブームになればね。 「地方編」なら、青森駅の価値からいっても、16物件可能だから、登場させやすい。 乞うご期待。何年後だ?  食後、ローソンに寄って行こうと、歩いていくと、タクシー乗り場に、黄色いタク シーが停まっていた。きょう、弘前まで相手してくれた運転手さん・坂本信一さんと おなじ光洋タクシーだ。 「ひょっとして、坂本さんの車だったりして…」と、嫁。 「さすがに、まさか!」  まさかが起きた。  坂本さんが私たちに気づいて、挨拶をしてくれた。 「また会えましたね〜!」 「きょうは本当にありがとうございました!」 「実は、実は明日のタクシーをお願いしようと思っていたんですよ!」 「う〜ん。明日は非番なんですよー!」  やっぱりそうか。  タクシーの運転手さんは、20時間くらい車に乗って、翌日、お休みの場合が多い。 「また青森に来たときは、絶対電話しますから!」といって、私と嫁は、ローソンへ。  ローソンで買い物をしたあと、「まだ坂本さん、いたりして?」  おっ。タクシー乗り場まで行くと、坂本さんの車がちょうど、先頭になっていた。  もちろん、乗っていく。 「ホテル青森まで!」  きょうの弘前の桜が、いかに素晴らしかったかを、坂本さんに伝える。 「あのあと、けっこう早い時間に雨が降ってきたから、心配していたんですよ。桜は ちゃんと見れましたか?」 「ほとんど見たあとに、激しい雨が降ってきました」 「それは、よかったですね!」  午後7時。ホテル青森に戻る。  もう一度、「青森に来たら、絶対電話しますからね!」といって、別れる。  ホテルまでの料金を、坂本さんが受け取りろうとしないので、困る。  たった数時間の出会いでも、人と心は通じ合えるものなんだなあ。  地元の人で、いい人に出会えると、その町を好きになるのが、とっても楽だ。  弘前の桜に、光洋タクシーの坂本さん、喫茶店「万茶ン」の人たち。  またいい人たちに出会えた。  ホテルのテレビで、「横浜VS巨人」戦を見る。  このホテルには、ケーブルテレビが入っていて、G+が見れるので、試合を最後ま で見ることができるのがいい。  しかも、敗戦濃厚の試合も、8回に同点に追いつき、延長10回で勝ち越し、10 回裏は、佐々木様が5セーブ目をあげて、感動の勝利だ。  ますます青森に対する好感度はアップ。  昨日から、2連敗だと、了見の狭い横浜ベイスターズ・ファンとしては、ちょっと 印象が悪くなるんでね。1勝1敗なんて、最高に縁起のいい町だ。  そんなに横浜ベイスターズ次第の人生なのか?  そうなんですよー!  弘前の桜、ついに肉眼で見たぞ〜〜〜!

 
さくまNEWS


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