1月15日(木)

 午前10時30分。嫁と、京都駅へ。

 新幹線のキップを買って、ホームにあがると、米原で雪のために、到着が5分ほど
遅れるとのアナウンスが流れる。
 また関が原が、雪なのだろう。
 冬になると、いつもこういう遅れが出る。

 新幹線の路線は、最初は、名古屋から鈴鹿を越えて、京都に出る予定だった。
 名古屋から、西に一直線で大阪に向かえるから、距離も短い。
『桃太郎電鉄』でも、名古屋から、京都までは、6マスだが、この路線になっていた
ら、3マスか4マスですんだはずである。
 連続赤マスに苦しまなくてすんだと思う。

 ところが、国会議員の大野伴睦(おおの・ばんぼく)という人が、無理やり岐阜県
の岐阜羽島に新幹線駅を作って線路を曲げてしまったため、新幹線はつねに、冬にな
れば、雪の関が原を通らなければならなくなったのだ。
 政治に利用される駅は、少なくないが、40年以上にわたって、毎年利用客を苦し
め続けるほどの政治駅というのも、珍しい。

 バブルのときに、なぜ名古屋から直接、京都→大阪に向かう新幹線の路線を作らな
かったのか、不思議でならない。
 あっ。あのときは国鉄の民営化で、新路線なんて作る余裕なんてなかったんだっけ。
 いまからでも、名古屋ー京都ー大阪の直線路線を作れば、雪の関が原に苦しめられ
なくてもすむのに。
 しかも、この路線なら、今でものぞみ号で、東京ー京都間を2時間を切るようにな
る。東京ー大阪間でも、2時間を切れるかもしれない。
 たったひとりの横暴のために、1億人が迷惑し続けているのは、すごい。

 とはいえ実は、私は時間に追われるような新幹線の乗り方はまずしないし、雪の関
が原を新幹線のなかから眺めるのは、好きだったりするので、冬の新幹線のダイヤの
乱れは、あまり気にならない。

 午前10時59分。5分遅れで、広島行きのぞみ号は、京都駅を発車。
 車中、『燃えよ剣』(司馬遼太郎・新潮社)の再読開始。
 1月26日(月)池袋ジュンク堂での、みなもと太郎さんとのトーク・ライブの予
習である。
 何度読んでも、澱みない司馬遼太郎さんのセンテンスの短い文章に、脱帽する。
 午前11時27分。新神戸駅で下車。
 新幹線は3分遅れまで時間を縮めた。
 本来、京都ー新神戸間は、わずか30分間であることを、新幹線普及委員会会長(嘘)
である私は力説しておきたい。
 まあ、関西の人間なら、新快速で、東海道本線の京都から三宮まで来たほうが、5
0分ぐらいで行けるんだし、料金も1050円ですむと言われてしまうんだろうけど
ね。

 ちなみに、現在東京ー新神戸間は、2時間51分である。
 近いでしょ?
 そうだ、神戸にも行こう!

 午後12時。南京町中華街のチャイナ・スクエアへ。  ここで、土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くんと待ち合わせ。

「やあやあ、さっそく豚まんかな?」と土居ちゃん。 「やっぱり、豚まん食べたいの?」 「豚まんは、食べたいね!」 「目の前に、南京町で一番行列のできる豚まんのお店が、奇跡的にいま、行列が途絶 えているから、入ろう!」  といって、元祖豚まん専門店の「老祥記(ろうしょうき)」へ。

 このお店の創業は、大正5年。1916年だ。  ここのご主人が、「豚まん」の名付け親。  とにかく、いままで何回も私は、この南京町に来ているけど、行列がなかったのは、 初めて。  お店でテーブルに座って食べられることを、きょう初めて知った。  ここの豚まんは、ひとつひとつが小さいとはいえ、1日1万個作るといわれている。

 1皿に、豚まんが3つで、240円。  辛子醤油につけて食べる。  そのまま食べてもおいしい。  独特の香ばしさと、じゅわ〜と染み出る肉汁がたまらんです。  もっと、たくさん食べたいけど、これから買い食いをしたいので、全員一皿で我慢 する。 <私がもう一度行くためのメモ> 豚まんの「老祥記(ろうしょうき)」 住所:神戸市中央区元町通2-1-14 電話:078-331-7714 午前10時30分〜午後6時30分(売り切れ次第閉店) 定休日:月曜。 備考:南京町のチャイナ・スクエアで待ち合わせ。  南京町の中華街は、東西200m、南北100mしかない、こじんまりとした商店 街なので、何度も、何度も、往復して、どのお店で食べようかなあ?と迷えばいい。  横浜の中華街よりも、店先で買い食いできるお店が多い。

 中華ポテト、大根餅、三色(カボチャ、エビ、ポーク)シューマイなどを次々に食 べる。

「幸せ、幸せ!」  買い食い姿がよく似合う男・柴尾英令大人が、うれしそうだ。 「楽園」という中華屋さんの店先のお兄ちゃんが、仕事熱心でよかった。  4人で、三色シューマイを注文したら、ギョーザをひとつおまけしてくれた。

 あれ〜? 以前、私が取材に来たとき売っていた、ぼっかけラーメンのお店がない なあ? なくなっちゃったのか、ぼっかけラーメンがメニューから消えてしまったの か?  新しい神戸の町おこしとして、ぼっかけ(牛スジ)を提唱したけど、やっぱり不発 だったうような気がする。  おいしいものが、たくさんある神戸で、安っぽい食べ物を食べろ!ということのほ うが、難しいように思う。  せっかく、『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』の『西日本編』に物件 として加えたのに、もう降ろさないといけないかと思うと、がっくり。  午後12時30分。広東料理の「民生」に入る。

「昼ビール、飲む?」 「は〜〜〜い、昼ビール!」 「昼ビール! 昼ビール!」 「ヒル・ビール! ヒル・ビル! ヒル・ビル!」  私を除く、3人が、昼ビール!  ほかのお客さんのテーブルに乗っている料理が、非常に気になって、おばちゃんに 「あそこの料理、何ていうの? イカの天ぷら? お〜〜〜! それちょうだい!」 「あっちの目玉焼きが乗っているのは、焼きそば? 焼きそばなんだ。それちょうだ い!」 「レタス包みもおいしそうに食べてるなあ! レタス包みもちょうだい!」  となりの芝生を、ぜんぶ注文してしまったような感じだ。

 イカの天ぷらが、独特で、おいしかった。  くるくるっと丸まっている。  外側が揚げてあって、なかがふつうのイカなんだけど、食感が不思議で、おいしい のだ。  食後、南京町で話題のシュークリーム屋さん「エスト・ローヤル」で、シュークリ ームを買う。

 さつまいものシュークリームとかあって、ついに私はお正月から続けていた甘いも の戒厳令を解除する。  ああ! タバコの禁煙よりも、甘いものを我慢するほうが、何倍も難しい。  いや、これは仕事だ! 仕事のためだ! 仕事だと思う。仕事でもなんでもいい。 シュークリームが食べたい!

 午後1時。元町商店街を西へ。

 バウムクーヘンのユーハイム本店へ。 「デブに、バウムクーヘン嫌いなし!」の、バウムクーヘンだ!  ドイツ語で、「バウム」は、木。「クーヘン」はお菓子。  そんな豆知識は、どうでもいいから、早くバウムクーヘンが食べたい!  ここの本店のみで食べられる焼き立てバウムクーヘンは、ホイップクリームが添え られていて、しっとりとしておいしい。 「焼き立て」といっても、温かいのを想像してはいけない。  焼き立てだと、バウムクーヘンの外側の白くて甘いものを塗っても、溶けてしまう。 厳密な意味でのバウムクーヘンはないのだ。  だったら、このお店のバウムクーヘンは、「焼き立て」といわずに「オリジナル・ バウムクーヘン」と呼ぶべきだ。  前に来たとき、あつあつのバウムクーヘンを期待して、がっくりした。

 バウムクーヘンが似合う男衆3人が、黙々と、バウムクーヘンを食べる!  不気味な光景なり。  でも、本人たちは至福なり。  午後3時。新神戸駅へ。  淡路屋の駅弁「ひっぱり蛸めし」を、みんなで買う。

 午後3時38分。東京行きのぞみ20号に乗車。  今年初めての、新幹線会議。  土居ちゃんが『桃太郎電鉄U(仮)』用に描いたイラストの下書きにダメ出しをす る。  そろそろ土居ちゃんの絵を描くスピードが落ちてきているので、私のイラスト・ チェックもスピードを上げないといけない。

 どうしても、毎回、ハリケーンボンビー、ブラックボンビーとか、大阪のおばちゃ ん、おいどんといったキャラは、土居ちゃんに何度も、何度も描きなおしてもらうの で、この時期は、土居ちゃんが札幌に絵を送るのが、停滞してしまう。  札幌開発スタッフのみなさん、もうしばらくお待ちください!  週明けには、土居ちゃんから、山のような絵が届くと思い…ます。  山の絵だけだったりして。いやいや、土居ちゃんはがんばってくれるでしょう。  新幹線が、雪の関が原に差し掛かる。

 不二家のショートケーキのような雪原が美しい。  ああ、そろそろ雪が見えるような温泉に行きたいなあ…。  この景色を見ているうちに、南京町で買ったシュークリームを思い出し、食べる。 う〜ん。きょうは、すでにバウムクーヘンまで食べているのになあ!という話題は、 前菜でしかない。  メインディッシュのシュークリームをみんなで食べる。

 うまい! 甘さ抑えめの上品なバニラ・ビーンズだ。 「土居ちゃん! もう1個、シュークリーム残ってるから、家に帰って、夜食にでも して!」 「う〜〜〜ん!」 「嫌なの?」 「家に持って帰るの面倒だから、ここで食べちゃおうかな。ははは!」 「それでこそ、土居ちゃん! デブ!」  さらに、みんなで今年のゲーム作りの心がまえについて、意思統一を図る。  サラリーマンというのは、仕事に失敗しても、部署が変わるだけで、クビになるこ とはまずない。  私たちのような自由業者は、仕事に失敗すれば、その場で失業だ。  あっというまに路頭に迷う。  お金をもらっての希望退社なんてこともない。  一瞬にして、無一文になるだけだ。  たとえ、それがサラリーマンの失敗によって、結果的にこっちが失敗したことにな ってもだ! 大半はこのサラリーマンたちの失態の煽りを食らって、失業するが…。  自由業なんてものは、自由に仕事ができるわけではない。  いつでも、すぐ自由人になれてしまうだけだ。  だから、この1年を乗り切るには、フリーである私たちの意思統一を強固にしてお かないと、数々の難関を乗り越えることができなくなる。  自由業は、ひとりひとりが、重要な守備位置につくから、ひとりでもエラーすれば、 致命傷になる。  そうならないためには、お互いがすぐにカバーに入れるように、フォーメーション を綿密に決めておかないといけない。  本当は、食い疲れて眠いはずの私たちが、一度も寝ずに、東京駅まで会議を続けた ということは、今年の仕事が、一段と厳しいことを象徴している。  午後6時30分。東京駅に着く。  午後7時。帰宅。  新神戸駅で買ってきた、「ひっぱり蛸めし」で、夕食。  ついでに、淡路屋の新製品「ぼっかけ牛飯どんとこい」も試食する。

 ぼっかけ牛飯は、おかずとして食べる分には、じゅうぶんおいしいんだけど、駅弁 としてだけで食べるのには、物足りない。  どうも、ぼっかけ(牛スジ)は、不発の感が否めない。 「ひっぱり蛸めし」は、やっぱりおいしい。  申し分のないおいしさだ。  土居ちゃんが「いつも食べてみたいと思っていたんだけど、デパートの駅弁大会で すぐ売り切れちゃうでしょ!」という人気駅弁だけのことはある。  陶器なので、食べたあとは小銭入れにつかっている。  食後、新幹線で寝ることができなかったので、仮眠。  いかん。熟睡してしまった。

 
さくまNEWS


●『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』は、絶賛発売中!

●井沢どんすけ渾身の一冊!公式ガイドブック『大金持ちになるための桃太郎電鉄12
西日本編もありまっせー!』(集英社)も、絶賛発売中!

●よゐこ有野晋哉くんとのCS対談番組が、来年1月24日(土)の深夜3時もしくは
4時から、フジテレビの地上波でダイジェストで放送されるそうです。

●『桃太郎電鉄負けない戦術』(宝島社)、1月5日発売!

●テツandトモの『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』のテレビCM放映中
!のはず…。

●都内JR駅に『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』の大きな駅貼りポスター
登場! 「見た!」の通報よろしく!

●〜桃鉄15周年記念特別番組〜
「桃の陣!」ー西日本オニ退治道中記ー
 毎日放送・毎週月曜深夜午前1時35分〜50分。
 高視聴率放映中!
 主演:陣内智則 共演:バッファロー吾郎ほか毎週アイドル出演!
<放映開始時間>
・ 1月12日・26:05〜。

●〜桃鉄15周年記念特別番組〜
「桃の陣!」ー西日本オニ退治道中記ー
 GAORAでも見ることができるぞ!
#7 ★1/2(金)14:00〜14:15、1/16(金)14:45〜15:00
#8 ★1/2(金)14:15〜14:30、1/17(土)9:30〜9:45
#9 ★1/23(金)14:45〜15:00
#10★1/24(土)9:30〜9:45
#11★1/30(金)14:45〜15:00
#12★1/31(土)9:30〜9:45

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 お寺だけでしか買えない「貧乏神が去る像」をぜひ!

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