11月24日(月)

 午前7時。旅先は、やっぱり眠れないねー。
 昨夜、うっかり『怪物パラ☆ダイス2』のアイデアをメモのつもりが、仕様書を書き
始めてしまったものだから、止まらない、止まらない。
 寝付いたの、午前3時くらいか。

 ぼ〜〜〜ッとしながら、テレビのリモコンで、フジテレビ系を探して、『めざましテ
レビ』を探す。
 いいかげん、テレビのチャンネルは全国共通にしてくれんかねー!
 ネット局の問題があるんだろうけど、NHKくらい統一してほしい。
 関西でNHKが、2チャンネルって、東京の人だと違和感あるでしょ?

 午前9時。ラウンジで、私、嫁、土居ちゃん(土居孝幸)と、朝食。
「ハイアットリージェンシー」の朝食のくるみパンが気に入っている。
 ここの朝食が理由で、このホテルに宿泊することが多い。

 午前10時。チェックアウトして、博多駅へ。  博多駅で柴尾英令くんと合流して、博多駅1Fの「マインズ名店街」へ。  一目散に、松露(しょうろ)饅頭売り場へ。  とうとう「出来立ての松露饅頭 70円」の札が出来ていた。  同好の士が増えているな。

 ここで出来立ての松露饅頭を食べることは、横綱の土俵入りで、観客が「よいしょ うっ!」と叫ぶくらい私にとっては、福岡に来たときに必ずやる固定した儀式だ。  4人で、10個買い、私と土居ちゃんが3個食べる!  出来立てで、あつあつの松露饅頭は、ぜんざいを食べているようななめらかな味わい だ。はふはふ。あちち…。  やっぱり出来立てはおいしいなー!

 博多→河太郎→松露饅頭。  これが私の福岡定番コースだ。 「マインズ商店街」で、博多の物件を物色。

 新商品はないか? 最近台頭して来ているお土産品はないか? 麻薬捜査官のように 目を光らせて探しまくる。  博多は、九州地方の首都のようなものだから、この名店街では、長崎の皿うどん、 ちゃんぽん、鹿児島のさつま揚げ、熊本ラーメン、辛子レンコンなども買うことができ る。  久留米ラーメン、串木野(くしきの)のさつま揚げ、長崎皿うどんなどを買って、東 京に送った。  午前11時25分。博多駅から大分行きのソニック19号に乗車。

 長岡市・PBSスポンサーくんからこんなメールが来ていた。  最近投稿メールも、嫁の携帯に転送されるようになったので、旅先でも読めるように なった。便利な世の中だ。  さくまさん! さくまさん!  日記で、九州旅行へ行かれるということですが(多分もう遅いな〜)、特急「白いか もめ」「白いソニック」に乗られるなら、2号車がおすすめです。  普通車みたいですが、なんと2号車のみパソコン用の電源が用意されているようです。  あ、もし↑の列車に乗られないのなら、ムダな知識(=トリビア)ですが…。  早く風邪が治りますよう。  「みどりの窓口」で、白いソニックの2号車を希望したら、満席だった。  世間は、3連休だからねー!  席を取るのもやっとだった。  車中、『桃太郎電鉄U(仮)』の打ち合わせ。  土居ちゃんの下書きをチェックして、私がOKを出して、柴尾英令くんが画面上の効 果を考えた演出を提案する。

 その間も、柴尾英令くんは「おっ! 折尾(おりお)駅だ! ボクが学生時代通った 駅ですよ!」と、地元絶賛ショーを披露する。  でも、柴尾英令くんに調子に乗らせてはいけない。  私が「折尾(おりお)がいっぱい、オリオールズ!」とか、「バブルガム・ブラザー ズが、折尾(おりお)の歌を歌ってたね! ♪オリオリリオ〜! オリオリリオ〜!」 と、くだらないだじゃれで迎撃してあげる。ピシュン! ピシュン! ズガガガーーン!  そんな冗談を言っていると、『九州編』のリメイクを作りたくなる。  でも、『桃太郎電鉄X(ばってん)〜九州編もあるばい〜』の『九州編』のときはま だ柴尾英令くんが桃太郎チームに参加していなかった。  次に『九州編2』を作ることになったら、激突必至だ。  目的地を、「若松、戸畑、八幡、黒崎、遠賀川、南小倉にしましょう!」と、北九州 一円ばかり増えるのをどう防止するかだ!  少なくとも、「北九州モノレールは、出せ!」と言い出すことは、間違いないっ! 『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』では、柴尾英令くんが大嫌いな納豆の 名産地・水戸を目的地にするために、わざわざ柴尾英令くんの故郷である小倉を、交換 条件として、目的地にしたほどだ。 『九州編2』なんぞ作ったら、大変な抵抗勢力を党内に囲うことになってしまう。  ただでさえ、身体が大きいのだから…。抵抗勢力とは関係ないが…。

 ソニックは、投稿仙人・錯乱坊主の故郷・行橋(ゆくはし)を過ぎ、福沢諭吉の故郷 ・中津(なかつ)を過ぎる。  九州らしい、山と田園の風景が広がる。  まだ紅葉していない。  午後12時57分。宇佐(うさ)駅で下車。  宇佐(うさ)駅を、ローマ字で表示すると、「USA」となる。  駅側も心得ていて、案内板んも「うさ USA」とわざわざ大きく書いている。 か といって、アメリカっぽいことで町おこしをしているかというと、宇佐神宮というとい う怪物的な観光地を擁しているために、何にもしていない。

 私たちは、宇佐神宮ではなく、宇佐(うさ)の先の豊後高田(ぶんごたかだ)に用が ある。  豊後高田には数年前も来ているのだが、近年、急にこの町が「昭和の町」として脚 光を浴びるようになったからだ。

 宇佐(うさ)駅から、タクシーで10分程度で、あっというまに、豊後高田の「昭和 の町」に着く。  この町がすごいのは、お台場や、新横浜ラーメン博物館が、昭和の町並みを復元した 作り物なのに対して、昭和のまんまの町なのだ。  つまり昭和の時代から高層ビルやファーストフード、コンビニなどにまったく汚染さ れずに今日を迎えてしまった昭和のままの町並みを、クローズアップしようとしている のだ。  まさに「タイムスリップ・グリコ」、本当の昭和の町へ戻れてしまうのだ。  だから、この町に来たなら、最低100回は「なつかしい!」を叫んで帰らないとい けない。

 天気がいい。  東京は雨のようだけど、あいかわらず、私が取材に行く町は晴れている。  おお! やっぱり、昭和の町には、これがなくちゃ! 「和牛肉の金岡(かなおか)」、お肉屋さんのコロッケ、50円だ。  杉浦茂さんの漫画に登場する「コロッケ5円の助」というキャラを思い出す。  さすがに値段まで昭和に逆戻りは難しいようだ…と思ったら、町の入り口近くに、 昭和からまったく値上げしていない大衆食堂があった。  丼物が、350円程度で食べられるそうだ。  で、コロッケ。  昭和といえば、学校の帰りのコロッケの買い食いだ。  やっぱりお肉屋さんは大人気のようで、お店で名前を言ってから、向かい側のテント で、5〜6分待たないといけない。  その代わり、出来立てが食べられる。 「土居さーーーん!」と呼ばれて、お店の人がコロッケを持ってきてくれて、コロッケ にかぶりつく。  カリカリ、カリカリ、サクサクサクッ…。  揚げ立てのコロッケのころもが、心地よい音を奏でる。  出来れば、ソースも用意しておいてほしかったなあ。  でも私たちのほうも、紙ナプキンでコロッケを持って、上品に食べちゃいけなかった なあ。手を脂で汚しながら、食べるべきだった。

 ミルクシェーキソフトクリームを食べる。  これはおいしかった。  昭和の時代でも、こんなおいしいソフトクリームは売っていなかったぞ。  この町がいいのは、それぞれのお店が持っている「昭和の宝」を一品ずつ展示してい ることだ。  電気釜、古い掃除機を目玉にしているお店、ジュークボックスのように大きな木製の 蓄音機を目玉にしているお店、木製の冷蔵庫で、上の段に氷を入れるだけのものや、天 秤秤(てんびんばかり)、昭和30年代の小学校の教科書などを持ち寄っていることだ。

 こういう「昭和の宝」があるお店には、立看板がおいてある。

 いまはそのお店の数は、1号館〜17号館まで増えて、さらに増加中のようだ。

「昭和の町」は、思ったより、広いというより、長細い。  古い町並み、小京都の町並みといいながら、2〜3分で見終わってしまうような羊頭 狗肉の町がたまにあるけど、ここはそんなことはない。  たっぷり足がじんじんするまで歩くことができる。

 しかもこの町が「昭和の町」として完成までには、4〜5年はかかるだろう。  まだまだトイレや案内板も少ない。  ゴミ箱が少ない。  飲食店も少ない。  年寄りが多く訪れるだろうから、ベンチもあったほうがいい。  ただ間違いなく、正しい昭和を伝える方向に向かって進んでいることだけはたしかだ。  すでにお客さんたちがこの町を放っていない。  きょうは連休ということもあって、たくさんの観光客が訪れていた。  自分たちが生きてきた時代を、肯定することは、自分の人生を肯定することだから、 「思い出の町」は強い。  ブームが加熱する前に、どこまでこの町を整備できるかが今後の課題だろう。

 残念だったのは、豊後牛のすき焼き、&団子汁のお店として期待していた川沿いの 「柊(ひいらぎ)」に、「準備中」の看板がかかっていたこと。

 夕方までのお昼休みかと思ったら、品切れになってしまったのだという。まだ午後2 時だよ!  うーーーん。やっぱり、もうブームは来ているよ!

 もうひとつ、山芋のぶっかけご飯が食べられるお店が、定休日が月曜日ということで お休みだった。  3連休なんだから、きょうは営業していなきゃ。  私たちはお昼ご飯を食べるチャンスを逃してしまったわけだけど、胡麻だんごや、 ピーナッツ餅などを買い食いしているので、さほど気にならない。  そういえばこの町には「落花生」の文字が目立つ。  何でも昭和初年、長崎に輸入された落花生を栽培したところ、風土に合ったのか、よ く育ち、名産となったそうだ。 「落花生いさご」、「ピーナッツ糖」、「ピーナッツ餅」などがその名産だ。  ピーナッツ糖が、私にとっては子どもの頃、たくさん食べたごちそうだったので、な つかしかったし、いまでもおいしい。

 午後3時。宇佐(うさ)駅まで戻る。  これから小倉駅まで戻り、門司港まで行きたいのだが、小倉、博多方面の特急は、す べて満席。グリーン車も満席。  連休の最終日だもんなあ。  ひさしぶりに、自由席で立ちっぱなしで乗車ということになりそうだ。  私の身体が持つかなあ。  早めに自由席の券を買って、ホームで待つ。  向かい側に、門司港行きの鈍行列車が到着した。 「あれに乗って行ったほうが、座れていいかも…」と、私がいうと、「さくまサン!  門司港に着くの5時半くらいになりますよ!」と、柴尾英令くん。 「2時間近くか!? 鈍行の2時間は長く感じるからなあ…」  午後3時19分。ソニック36号が到着。

 えっちらおっちら、ひーこらひーこら、重い鞄を持ち上げて、車両に入ると、なんと!  奇跡的なことに、席はバラけるものの、4人とも座れた!  ふうっ。これはうれしい!

 私は柴尾英令くんと、『怪物パラ☆ダイス2』の打ち合わせをしたり、うとうとした り…。  午後4時5分。小倉駅で下車。  跨線橋を渡って、JR鹿児島本線へ。  連絡電車の到着まで15分ほどあるので、石川キンテツに電話する。  井沢どんすけ菌に汚染されていないかの確認だ。  案の定、石川キンテツも風邪を伝染されていた。  6人目の犠牲者だ。  ただもう治ったそうだ。  やっぱり若い。  私も、岩崎誠も、柴尾英令くんも完治しない。  残るは、込山勉くんのみ。  込山勉くんに電話するも留守。そういえば連休でお休みの日であった。  これだけ混雑する駅にいるのに、まだ私たちは連休の意識が薄い。  午後4時24分。門司港行きの鈍行列車に乗る。

 門司港駅までは、小倉からわずか3駅だ。

 午後4時40分。門司港駅に着く。

 そのまま「門司港ホテル」にチェックイン。

 今年の夏にオープンした「九州鉄道記念館」は、午後4時30分までに入らないとい けないので寄ることができず。

 午後5時。門司港駅近くの喫茶店「ドルチェ」へ。  手作りケーキがおいしいことで有名らしいけど、テレビで紹介されて以来、焼きカ レーが有名になっている。  ところが、またしても連休の魔の手が!  焼きカレーはあと3人分しかないという。  でも3人分注文。

 焼きカレーは、ご飯にカレーをかけチーズと卵をのせてオーブンで焼いたもの。、  いってみればグラタンカレーというか、カレードリアだ。  もともと門司港の家庭料理として広まっていたものが、門司港界隈のお店でメニュー として出るようになり、「新横浜ラーメン博物館」に出店していたお店は福岡名物と言 い張って、ブームにしようとしていた。  でも焼きカレーは、門司港名物である。  この焼きカレーの味は、私は大好きだ。  辛めのカレーが、生卵を溶くことによって、マイルドな味になる。

 食後、「栄町銀天街」へ。  門司港へは何回も来ているけど、こっちには来たことがなかった。  きょうは地元のおじさん(柴尾英令くん)がいるからね。  こっちのほうが、豊後高田より「昭和の町」の風情を残しているなあ!と思えるよう な古い商店街だ。

 途中、山田屋というお店があって、ここが最初に焼きカレーをメニューに出したお店 らしい。でもずっとメニューから外していて、なんと昨年から、30数年ぶりにメニュ ーに復活させて、「焼きカレー発祥の店」を名乗っているようだ。  午後5時30分。「若代(わかよ)」という居酒屋さんに入る。  船内料理という不思議な名前に魅かれた。

 南極調査船の元コック長さんがご主人で、南極船の娯楽室を再現した店内という振れ 込みなのだが、ふつうの居酒屋さんである。  むしろ、クジラ料理があるのが、南極っぽい。

 クジラの刺身、クジラのカツ、イカの天ぷらなど注文。  ここのイカの天ぷらのほうが、昨日の「河太郎」のイカの天ぷらよりもおいしかった のは、「河太郎」にとって、由々しき問題だなあ。

 山芋の鉄板風というメニューには、驚いた。  短冊形の山芋を揚げたものが出てくると思ったら、山芋のフライパンそのままクレー プだ、こりゃ。  食感もふにゃふにゃしていて、不思議な味。  門司港名物として売り出したら、ブームになりそうだ。  しかし、この居酒屋さん、有線で昔のフォークががんがんにかかるので、私たちはま たも昭和の時代に逆戻り。  アリスの『チャンピオン』、『冬の稲妻』、甲斐バンドの『ヒーロー』、『安奈』、 宇崎竜童さんのダウンタウン・ブギウギバンドといったあたりのナンバーが次々にかか り、イントロ当てクイズをやらされているような気分だ。  しかも、マイナー・ヒットの曲まで流すので、バンド名と曲名が喉まで出掛かってい るのに、出ないもどかしさで、みんなが苦しむ。  ああ、頭がきりきりする。  午後7時30分。門司港レトロ街のお土産品売り場で、新しいお土産がないか物色す る。  また一段と、バナナのお土産が増えていた。  門司港は、「バナナの叩き売り発祥の地」を売り文句にしている。  とうとう「バナナマン」なる気色悪いキャラクターまで登場した。

 門司港レトロ街は、ライトアップがきれいで、土居ちゃんがやけに気に入っていた。  よく考えたら、門司港レトロ街って、ハウステンボスにそっくりなんだね。  建物の雰囲気や、入り江があって、船が浮かんでいて。  こっちは入園料もないし、歩くとちょうどいい大きさだ。  テーマパークという名前を冠すると、敷地面積を誇らないといけないし、乗り物もな いといけなくなる。  こういう風に、無料で、ハウステンボスやディズニーシーみたいなのを作って、毎年 少しずつ整備して行く町づくりというのは、今後大切な方向性だと思う。  余裕を持たせた町づくりをすれば、バナナ発祥の地や、焼きカレーといった名産品も 生まれる。宮本武蔵の巌流島もあるし、鉄道博物館が増えても、ちっとも違和感がない。  これがハウステンボスのなかで、バナナの叩き売りを始めたら、違和感が出すぎてし まう。  土居ちゃんが門司港の雰囲気を相当気に入ったので、来年の3月過ぎくらいにもう一 度、ここに来ようと計画する。  私としても、「九州鉄道記念館」を見たい。  午後8時。柴尾英令くんは小倉(八幡)の実家へ。  私、嫁、土居ちゃんは、門司港ホテルに宿泊。  旅の疲れか、お風呂に入って、さっさと寝たら、午前2時に目が覚めてしまった。 ぶーーん。旅先はどうも眠りが浅い。

 
さくまNEWS


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