11月23日(日)

 午前8時。旅行にでかける準備。
 VAIOに入っている仕様書を、外付けハードディスクに入れる。

 旅慣れた人間は荷物が少ないのが常だが、私の場合、変なところに神経質なので意外
と荷物は多い。
 旅館、ホテルの糊がぱりぱりに効いた寝巻き、パジャマが苦手なので、Tシャツと柔
らかいパジャマの半ズボンが必要。
 糊が効きすぎて、痛い寝巻きを置いている旅館って多いよね。

 あとは旅先で眠れない癖が、マイ枕を持って行くことで解消されたので、最近は小さ
なマイ枕が必需品になって来た。

 それでも宅配便がどこでも扱われるようになって、旅は格段に便利になった。
 お土産品も昔は、一品ずつそのお店から高い郵送料で送れないといけなかった。だか
ら大半は持って帰ることが多く、旅行後半になると、江戸時代の石抱きの拷問のように
重くなった。
 キャリーバッグの登場も旅が楽になった。担ぐより、コロコロと転がす鞄は、本当に
助かる。昔はコンピュータをしょって行って、肩の位置がおかしくなったことがある。
 
 友人の榎本49歳は、旅先で古い下着を捨てて帰路を軽くするという、まさに「旅の
恥は掻き捨て」を実践するせこい親父だが(この日記を読んでいるのを知っていてわざ
と書いている)、私の場合、旅のほうが多くて、毎回捨てていたら、下着がつねに新し
くなってしまう。

 午前11時。セコムをセットして、嫁と東京駅へ。
 駅のコンコースで、アーケードゲームのキャンペーンをやっていた。
 きょうは「ゲームの日」なんだそうだ。
 そんな日とも知らないゲーム作家であった。ぬほほ。

 午後12時13分。博多行きのぞみ17号に乗車。  連休なので、列車は混んでいる。  乗車と同時に、駅弁を食べる。  この間、嫁が食べておいしかったといっていた「幸福弁当」。

 名のある築地の玉子屋さんが参加しているだけあって、玉子焼きが桁外れにうまい。 全部食べても750カロリーのヘルシーな料理だ。  私が子どもの頃は、カロリーが高い食べ物というだけで、売り文句になったのに、い まはカロリーが低いことが、売り文句になる。  経済状況は人の好みまで変える。  このままずっと、5時間ちょっと、博多まで新幹線に乗りっぱなし。  何度もいうが、飛行機が苦手なので、どこへでも電車だ。  わざわざ京都に隠れ家があるのも、旅の中継地点として便利だからだ。  ただきょうみたいに、今夜じゅうに博多まで行くとなると、新幹線に乗りっぱなしに なる。  でも博多まで開業当時は、7時間だった東京ー博多間も、いちばん早い列車で4時間 58分。5時間を切っているのだ。  1日2本くらい、東京―新大阪ー博多と、新大阪しか停車しない新幹線を走らせれば、 いまの速度で4時間を切るのも可能なはずだ。  最近、新幹線が早くなっていることに気づいていない人が、びっくりするくらい多い ので、ここで啓蒙しておきたい。  新幹線車中では仕事をするのがつねだが、VAIOのバッテリーは、2時間ちょっと しか持たないので、いつものように仕事でヒマをつぶすことができない。  こういうときこそ、読書。  旅先で読んだら、捨ててもいいやと思って持ってきた本が、抜書きをしないといけな いくらいいい本だった。 『一勝九敗』(柳井正・新潮社)というユニクロの社長だった人の本。  随所に、柳井さんが影響を受けた人たちのい言葉がちりばめられている。  彼は、「現在の日本のテレビCFはまったくダメだ」という。  自分たちの言いたいことばかり言っている。  大きい音を出したり、おもしおかしくやったりして、奇をてらいすぎである。  視聴者に敬意を表していないものでは、言いたいことは伝わらない。―――ジョン・ ジェイ氏の批判は鋭く、厳しい。  すべてが順調に見えたとしても、「仮の姿」と思わないといけない。    スピードがないかぎり、商売をやって成功することはない。  だから、ぼくは失敗するのであれば、できるだけ早く失敗するほうがいいと思う。早 く気づいて、失敗したということのひとつひとつを自分自身で実感する。そこが一番大 事。  その次に、失敗しないようにするにはどうやっていくかを考える。  そこで「工夫」というものが生まれる。  仕事がすべてマニュアル化できるわけではない。  だが、非常にささいなことも「マニュアルに書いて欲しい」とか、「それはマニュア ルに無いので出来ません」ということが現場で起こってくる。  自分で判断し、自分で行動することができなくなる。  すごいでしょ?  学生さんには、ピンと来ない話かも知れないけれど、社会人なら「うーーーん!」と 唸るものばかりだ。  企業向けの本というのは、自分のことに照らし合わせて読むと、ハッと目から鱗が落 ちる場合が多い。  この本の題名である『一勝九敗』も、「どんなに失敗してもいいが、再起不能の失敗 をしないこと」と結んでいる。  それと、この手の本を読むと、必ずトヨタ自動車の経営の素晴らしさについて書かれ ている。私も何10冊と読んでいるけど、たしかにすごい。 「ムリ、ムダ、ムラ」を徹底的に省くトヨタ自動車のやり方は「乾いた雑巾をもっと絞 る」といわれているほどだ。  とはいうものの、この本、最初に20ページくらい読んだくらいで、駅弁の満腹感が 製造した睡魔に襲われ、なんと、名古屋駅を過ぎて、京都駅に近いところまで熟睡して しまった。  私が、名古屋を過ぎてなお、寝ているなんて、初めてである。  どうもまだ井沢どんすけに伝染された風邪が治らなくて、身体が睡眠を欲しているよ うだ。  京都駅の手前で目が覚めたので、そろそろVAIOで仕事をすれば、あっというまに 博多だ!と、いつものようにVAIOを取り出して、スイッチ・オン!  ん?  ん?  スイッチ・オン!  ん?  ん?  うんともすんとも言わないぞ。  や…。  やばい…。  壊れた?  今朝、家を出る直前までつかっていたのに。  こういうとき、何があっても動じない星人の嫁がいてくれるので、助かる。  おろおろしている私を尻目に、新幹線の洗面台の脇にあるコンセントに、ACアダプ ターを繋ぎに行く。  しばらくして、戻ってきた。  どうやら、コンセントで繋ぐと、VAIOは動くらしい。  でも、バッテリーゲージを見ると、「ノー・バッテリー(バッテリなし)」の表示に なっているという。  要するに、VAIO本体に問題は無いが、バッテリーに問題ありということだ。  ふう…。それでもホテルでコンセントに繋げば、VAIOがつかえるとわかってホッ とする。  電車のなかでつかえないのが、つらいが、データごと吹っ飛ぶよりましだ。  仕方なく、また読書。  おかげで『一勝九敗』(柳井正・新潮社)を読み通すことができた。

 ついでに、『怪物パラ☆ダイス2』の新キャラのアイデアがついに浮かんだ。  必ず、新作のゲームを作ると「貧乏神みたいなキャラは出ないんですか?」と聞かれ るので、だったら、出したほうがいいなと思っていた。  きょう、やっとキャラの名前が浮かぶや、瞬く間に悪行も浮かんだ。  やっぱりアイデアは、キャラの個性が大切。  午後5時25分。博多駅に着く。

 すっかり外は暗くなっていた。  何だか妙に、博多がひさしぶりに思える。  間違いなく、昨年1月に来たはずなのに、数年ぶりのような気がする。あれからずい ぶんと日本じゅうを駆けずり回っている。  そのまま5分ほど歩いて、「ホテル・ハイアットリージェンシー」にチェックイン。  駅から1軒も、コンビニがなかったのに、3軒も出来ていた。  どちらかというと、駅の反対側より不便な場所にあるホテルだっただけに、これは助 かる。  柴尾英令くんから、メールが入る。 「いまキャナルシティです。いったんここで3人合流予定。午後6時、『河太郎』に向 かいます」  6時?  おいおい、嫁が『河太郎』に入れた予約時間は、午後6時30分だよ。  早い、早いよ。  ほかもメンバーにも午後6時30分集合と伝えてある。  あわててタクシーに飛び乗り、中州の「河太郎」へ。  こういうときに限って、キャナルシティ周辺は、大渋滞。  キャナルシティのライトアップが美しい。  午後6時20分。「河太郎」に到着。  3Fのお座敷に通されると、柴尾英令くんが「また岩崎誠さんに、時間を騙されち ゃったなあ! これだから悪徳広告代理店の人間は信用できないな〜! わっはっは っは〜!」と、大声を上げている。 「柴尾英令さん、す、すいませーーーん!」と、岩崎誠。  脇で、土居ちゃん(土居孝幸)がにこにこ笑っている。  このメンバーに、福岡在住の牧野正、山本耕一のふたりが加わる。  牧野正は、私の大学時代の同級生・牧野弘(現在集英社総務部勤務)の弟。  私は学生時代、弟のほうの牧野正とよく旅行した。  その後福岡の広告代理店に勤め、一時期、私の会社の出版部の営業を務めたことも あったが、いまは福岡に戻って、保険会社に勤めている。  山本耕一は、元テレビ長崎のアナウンサー。  何年か前の日記を読むと、私とショッカーO野くん、山本耕一との長崎での感動的な 再会の話が載っている。  山本耕一は、学生時代、私の事務所にバイトで来ていた時期がある。  その後、テレビ長崎の有名アナウンサーとなり、結婚、そのま長崎に骨を埋めると思 っていたら、突然フリーのアナウンサーになり、いまは福岡で、お天気キャスターとし て活躍している。  というわけのわからない顔ぶれで、私が福岡に来たら、絶対訪問しないといけない 「河太郎」で、イカの天ぷらを食うのであった。  本当は、明日じゃないと福岡に来ることができない岩崎誠を出し抜いて、イカを食べ て悔しがるというのが主旨だった。  ところが、私たち自由業はこの計画を練ったときに、きょう、明日が連休であること をコロッと忘れていた。  岩崎誠はサラリーマンだから、月曜日は動くまいと思っていたのだが、連休なので、 火曜日が週始めの出張に出来ることになってしまったのだった。  しかも岩崎誠は、明日福岡で開催されている「世界らん展」にちゃっかり仕事を入れ ていた。 「あんなに、さくまサンと土居さんが、ここのイカはおいしい! おいしい!と何度も 言っているのを聞いていた、絶対来たいですよー!」と、岩崎誠。  ところが、昨日イカが不漁だったらしく、7人前頼もうとしたのに、4人前にしてほ しいと、お店の人にいわれてしまった。  しかも、このお店のもうひとつの魅力のひとつである「アラの煮付け」が、きょうは ないというではないか。  さらに、イカが少ないので、クリスタル寿司と名前がついた水晶のようなイカの握り 寿司もないというではないか!  ちょっと、ちょっと!  それは飛車、角、落ちだよー!

 それでも、ブリ大根、豚の角煮、タコのいなり寿司、4人前のイカと、イカの天ぷら を食べる。

 ああ! イカの天ぷらの量が少なかったなあ。  それにイカの天ぷらの味が落ちた。  不漁のせいではなく、天ぷらを揚げる油のランクが落ちた気がする。  ちょっとほかのお店のイカの天ぷらも食べてみないといけない時期が来たかもしれな い。 『桃太郎電鉄』が100万本売れたときに、ハドソンに「100万本記念で、どこかに おいしいものを食べに行きましょう!」といわれて、私も、土居ちゃんも、カズ坊(関 口和之)も、この「河太郎」がいいと言った頃の勢いがちょっとなかったような気がす る。  でも、まだあと最低2回はこのお店に来るよ。  3回続けてこの調子なら、自由契約だ。

 午後8時30分。VAIOを柴尾英令くんに見てもらって、みんなで天神のビック・ カメラまで歩いて行き、バッテリーを買う。

 VAIOはバッテリーがいかれてしまったらしい。

 このあと、みんなと別行動。  私と嫁、牧野正の3人は、キャナルシティへ。  午後9時。キャナルシティのコーヒー・ラウンジで、牧野正のお母さん典子さんと歓 談。  牧野家の母・典子さんは、私の「博多の母」と呼ばれるくらい、学生時代から仲がよ くて、博多に来ると、会うことが多い。  なにしろ、一時期は実の息子である牧野弘(集英社勤務)よりも、私のほうが頻繁に 会っているという冗談が出たくらいであった。  しかも、私は漫画『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ)に出てくる、金藤日陽(き んどうにちよう)ちゃんに似ているといって、以来ずっと「きんどーちゃん、きんどー ちゃん!」と言って慕っている。  同級生の親をつかまえて「きんどーちゃん!」というのも、ひどいやつだね、私は。 まあ、そういう間柄。

「さくまクン! あいかわらず、若かねー!」 「きんどーチャンも元気だねー!」  博多の母・きんどーちゃんは、話術の達人にして、聞き上手なのだ。  私が人と話をするときに、たまに説明が上手いといわれることがあるけど、それはこ の博多の母のおかげだと思う。  きょうも昔行ったという満州の話をしてくれたんだけど、町の様子がくっきり浮かぶ ような語り口なのだ。  だから気がつけば、あっというまに午後11時。  ホテルに戻らないと。

 午後11時30分。ホテルに戻って、バッテリーを交換。  VAIOが元気になったので、ついつい夜更かし。  ついでに、井沢どんすけに電話。  柴尾英令くんも、今週、横になると咳が止まらないということを伝える。  井沢病原菌の犠牲者は、ついに5人目となった。  こうなると、残る石川キンテツと込山勉くんは、井沢どんすけに風邪を伝染されなか ったのか気になる。旅先なので、明日にでも電話してみよう。  しかし、井沢どんすけも、まだ風邪が治らないらしい。  そうか、どうりで私も長引いているわけだ。  岩崎誠もまだ完治していないそうだし。  うーーーん。そんなことより早く寝ないと。  旅先はただでさえ、睡眠不足になりやすい。

 
さくまNEWS


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「桃の陣!」ー西日本オニ退治道中記ー
 毎日放送・毎週月曜深夜午前1時35分〜50分。
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『桃太郎電鉄お笑い芸人対決』オンエア中!
 バッファロー吾郎、ケンドーコバヤシくんに勝てば「貧乏神が去る像」贈呈!
 毎日放送・毎週土曜日午前0時〜午前1時。

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 お寺だけでしか買えない「貧乏神が去る像」をぜひ!

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●四国高松の鬼無駅ホームにて、土居孝幸オリジナル原画による『桃太郎電鉄』の
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12月から放映開始です!

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