9月10日(水)

 野中広務の政界引退は、今度の総裁選にどういうメリットがあるんだろう?
 ちっともあるように思えない。
 何で、自民党を飛び出して、民主党と連合しないんだろう。
 いまこそ二党政治のチャンスだと思うんだけど。
「野中広務がいなくなると、小泉さんに投票しても平気になった!」という若手議員の
意見を聞く限り、政界引退は意味がなかったと思う。

 午前11時30分。嫁と、広尾1丁目の「菓匠・正庵(しょうあん)」へ。
 和菓子屋さんのランチ。
 そろそろ栗ご飯が出ているかな?と、思ったんだけど、さばのみそ煮定食。
 でも、毎度具だくさんのお吸い物はおいし。

 デザートにカキ氷を食べる。  私が、いちごミルク。  嫁が、黒みつきなこ。

 和菓子屋さんで、黒蜜きなこというだけで、ちょっと興味あるでしょ?  私は、きなこの粉が、喉にひっかかって、悶絶したんだけど、嫁は相当、この味が気 に入ったようだ。  カキ氷になかに粉があるというのは、確かに珍しい食感。  いちごミルクは、不二家系甘〜〜〜いカキ氷としては、最高峰の味。  このお店に何年も通っているけど、夏に来たことがなくて、カキ氷に気づかなかった。 このお店の栗ご飯は絶品。ああ、秋よ、来い!  まだ外は暑い。  アスファルトがまぶしいような暑さだ。  午後1時。自宅の近所の「ビクタースタジオ」へ。

 ムサシノ広告の伊東正義、トゥワードの小泉章治さんと待ち合わせ。  トゥワードの小泉章治さんは、昔ZIGZAGというグループで歌っていた人。  しばらく小泉章治さんが企画した話を聞く。  小泉章治さんは『桃太郎電鉄』のファンでもあるので、私が気に入りそうな企画を持 ってきてくれた。  ところが、きょうのこの打ち合わせをセッティングした張本人、テリオット(元・ゆ い音楽工房)の篠宮勝さんがなかなか来ない。  ここはビクタースタジオなので、業界の人もよく歩いている。  あっ。作曲家の藤原いくろうクンだ。  藤原いくろうクンも、篠宮勝さんに呼ばれたのかと思ったけど、違うらしい。「来年 は横浜ベイスターズの応援、がんばりましょう!」  藤原いくろうクンも、悲しき横浜ベイスターズ・ファンだ。  まだ、篠宮勝さんが来ない。 「あれ〜? 篠宮さんて、遅刻はしないほうなんだけどなあ…」  あっ。伊東正義の携帯に電話が入った。  篠宮勝さんだ。  何でも財布を家に忘れて、タクシーに乗ったので、家に取りに戻ってから行くので、 30分ぐらい遅れるとのこと。  そそっかしいのはよく知っているので、納得してみんなで笑う。  しかも小泉章治さんの企画がおもしろくて、盛り上がっているので、だじゃれの王様 ・篠宮勝さんのだじゃれショーが連発すると、話も滞るので、好都合…とまでいうと、 篠宮勝さん、泣いちゃうかも。  30分後。また篠宮勝さんから電話が入る。  鍵がかかっていて、入ることができないと言っている。  ええっ? ビクタースタジオのロビーに、鍵なんてなかったよなあ。  あっ! 嫁が気づいて、篠宮勝さんに電話を入れる。 「篠宮さん! うちの自宅に行ってません? ビクタースタジオで打ち合わせしましょ うって言ったの、篠宮さんでしょ!」  篠宮勝さんから言い出したのに、待ち合わせ場所を間違えちゃってるよ!  午後2時。けっきょく、1時間遅れで、篠宮勝が、おなじみ日本漫画学院の清水郁夫 さんを従えて、到着っ!  ところが、篠宮勝さん、お酒の匂い、ぷんぷんのべろべろ〜!  すさまじいまでの二日酔いだ。 「うっぷ。きょう、ダメだ!」 「うん。ダメだと思うよ! はっはっは〜!」と、みなさん。 「うっぷ…。オレ、おかしいよ!」

「うん。おかしいよ! おかしい! はっはっは〜!」と、みなさん。 「うっぷ…。すみません、酔っ払ってるんですよ!」 「うん。酔ってる、酔ってる! はっはっは〜!」と、みなさん。 「篠宮さん、ズボンのチャック開いてるよ〜〜〜! はっはっは〜!」 「えっ? あっ。まずひ、ほへ、はひ、べろべろ〜!」

 まったく、アロハシャツに半ズボンという出で立ちも凄まじい。  ハワイ場所に巡業に来ているお相撲さんみたいだ。    とにかく、タクシーに乗って、うちの娘にあげる予定だったお土産を忘れたことに気 づいて、家に戻ろうとしたら、財布もないことに気づいて、家に戻った。  うちの娘へのお土産を取って、タクシーに乗ったら、途中で、せっかく家に戻ったの に、また財布を持ってくるのを忘れたらしい。  しかも、打ち合わせの日にちまで間違えていたようなのだ。  間違えるのも、無理はない。  篠宮勝さんが右手に持っている『日刊スポーツ』紙は、昨日の9月9日発売のものだ。 「えっ? これ、きょうの新聞でしょ? あれ〜〜〜、べろべろ〜!」 「もう、篠宮さん、きょう、まったくダメだと思う! はっはっは〜!」と、私たち。

 というわけで、篠宮さんとは、後日もう一度打ち合わせをすることになった。「すみ ません、さくまサン! 本当にすみません…」と、篠宮勝さん。 「はっはっは〜! 篠宮、日記のいいネタをありがとう!」  いやあ、篠宮さんには、たっぷり笑わせてもらった。  午後3時。いったん家に戻って、荷物をまとめて、東京駅へ。  はっはっは。いまから取材にでかけるのですよ。  午後3時13分。新大阪行きこだま425号に乗車。  車中、VAIOを広げて、仕事を始めると、ハドソンの梶野竜太郎くんから緊急電話。 『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』で、道頓堀のグリコの看板が出てくる んだけど、風景の一部として描かれるならOKだけど、オープニング・アニメのほうで、 どアップになるのは困ると言い出したのだ。  わからないなあ。  そのために、わざわざアニメの絵コンテまで提出したのに。  たぶん、現場ではOKでも、ゲームも見たことがないグリコのお偉いさんが、「ゲー ムのことはわからないから、とりあえず拒否しておこう!」のパターンだったんだろう なあ。多いんですよ、このパターン。  しかし完成してからクレームつけられても困るよ。  けっきょくグリコの部分は、ほかの絵に描きなおすことになった。  勝手に描いてしまってもよかったのに、わざわざ許可を取ると、イヤがる企業が多い のはどういうことだろう。 「何か問題が起きたときに、責任取るの怖いから」という仕事の仕方をする人は本当に 多い。  でもこういうことをすることのほうが、よっぽどイメージダウンになるという考え方 はないのだろうか?  午後3時47分。小田原駅で下車。  おおっ!? 小田原駅が、大きく変貌している!  まるで品川駅のように広くて、近代的になっている。  いったいどうしたんだろう?  小田急線の小田原駅もすごい。  まるで新幹線の駅のようだ。

 あれ〜、どうも勝手が違うなあ。  いまから箱根登山鉄道に乗るつもりなんだけど、近代的なエスカレーターのあるよう なプラットホームから、あの登山鉄道が発車するとは思えない。  思わず、ホームに停車していた反対側の列車の車掌さんに確認をしたくらいだ。  午後4時6分。小田原駅から、箱根湯本行きの箱根登山鉄道に乗車。  昔は、小田急線のホームのはじっこにちょこんとあったような気がする。

 午後4時10分。小田原駅からふたつめの風祭(かざまつり)駅で下車。  小田原駅のホームに「風祭駅は、先頭車両のみドアが開きます」とあった。

 たまに駅のホームが短いため、先頭車両しかドアが開かないなんてことは、四国あた りの電車ではよくあることだ。  でも関東地方で、小田原駅からふたつめの駅で、これには驚いた。  しかもドアは、風祭駅の駅員さんがやってきて、手動でこじあけるのには、さらに驚 いた。  あまりの意外性に、デジカメするのを忘れたよ。

 さらに風祭駅の風情には、驚かされる。  小田急駅でパスネットがつかえるというので、つかったんだけど、どう見ても風祭駅 には、自動改札機というものなどあるはずがない。

 どうするんだろうと思ったら、駅員室にパスネット用のコンピュータが置いてあって、 そこに通すようになっていた。  何だかすごいところに来ちゃった気分。  でもその分、旅行気分は満点。  午後4時15分。風祭駅から歩いて2〜3分の「かまぼこ博物館」へ。 「かまぼこ博物館」というだけで、私が来てみたくなる気持ち、わかるよね?  小田原で有名な「鈴廣(すずひろ)」というお店がこの博物館を作ったんだけど、こ の風祭駅一体というのが、まさに「鈴廣(すずひろ)」帝国。  駅前に、大型観光バスが何台も停まれるような「鈴廣(すずひろ)風祭店」や、大き な合掌造りと、白い蔵のある「千世楼(ちょうせろう)」、札幌ビール園のような「箱 根ビール蔵」など、あたり一面が、「鈴廣」の敷地なのだ。  きょうはこの、「鈴廣(すずひろ)かまぼこ帝国」を取材する。  そうか。この辺一体の総称は「鈴廣(すずひろ)かまぼこの里」という名前がついて いるのか。でも、この城下町ぶりは「かまぼこ帝国」のほうが似合う。 「かまぼこ博物館」は、想像していたより、はるかに大きくて、きれい。  日本中のかまぼこの分布図があったり、かまぼこを300円で食べられる場所があっ たり、ビデオでかまぼこが出来るまでを見ることができたりする。井戸なんかもあった りして、子どもたちが珍しいのか、ずっと遊んでいた。  子どもにとって、井戸は楽しい遊具だろうね。

かまぼこ板に描いた絵なども展示されている。

 かまぼこのグッズも売っていたりして実に楽しい。

 ただひとつ、ゲーム画面形式で、かまぼこの知識を得ることができるゲームセンター の筐体(きょうたい)みたいなのがあったんだけど、この筐体の解説が専門用語丸出し で、とても子どもに読ませようという気がまったくないような文章。  これだけはいただけない。  ゲーム作りをめざす人にとっては「こういう文章は絶対書いてはいけない」という悪 い見本の典型のようだ。  でも、この「かまぼこ博物館」は、おもしろかった。  午後4時30分。「鈴廣(すずひろ)かまぼこの里」の「箱根ビール蔵」へ。

 ここでビールを飲みながら、出来立てのかまぼこが食べられるという、まさに酔いどれ 男爵・柴尾英令くんのために建設されたような場所だ。  一応、昨日ここに来ることを柴尾英令くんには、伝えた。  ふっふっふ。  これから柴尾英令くんが悔しがる画像をたくさんお見せしよう。  まずは、3種類のビール飲み比べだ!

 アスパラガスをマヨネーズにつけて食べる! 大きい!  アオリイカのフリッターは弾力抜群!  柴尾英令くん、おいひいでふよ〜〜〜!

 そして、揚げたてかまぼこの盛り合わせだあっ!

 すごいよ、竹ちくわのひとつが、トウモロコシ味だよ。表面にトウモロコシが塗って あるんだよ〜!  シュウマイ味のかまぼこもあったよ!  海老風味のかまぼこもあったよ!  たこ焼き風味のかまぼこもあったんだよ〜!  はんぺんを炭火で焼いたら、こうばしかったよ〜!

 どれもこれも、柴尾英令くんの大好きな味ばかりだよ〜!  今度いつか来ようね〜〜〜ッ!  ぜったい、はまるよ〜!  私と嫁だけでは、量が多すぎた。  いやあ、このお店はよい。  接客もいい。  このお店がよかったので、『桃太郎電鉄14(仮)』では、小田原を物件駅に登場さ せることを決めた。  午後6時。タクシーで小田原駅へ。10分ほどなので、近い。  駅の近くに古めかしいパン屋さんを発見。  タクシーの運転手さんが、「ここのパンはおいしいですよ!」というので、その場で 降ろしてもらって、買う。  あんパンがおいしいって言ってたよな。 「守谷(もりや)のパン」というのが、このお店の名前。  お店のおばあちゃんに「このお店、何年前からやっているんですか?」と聞くと 「ず〜〜〜っとやってる。うーーーん。わからん!」  いいなあ。この雰囲気。

 午後6時12分。小田原駅から、東海道本線に乗車。  乗車と同時に、守谷のあんパンを食べる。  大きい! ずっしり!  これは手ごわそうなので、嫁とひとつをはんぶんこする。  すごいよ。このあんパン。  和菓子屋さんで作ったあんこが入っているみたいに、小豆の存在感がある。  こりゃ、うまい。  行列ができるお店だけのことはある。

 しかもあとで食べた甘食(あましょく)のほうは、もっとうまかった。  いままで食べたなかで、いちばんおいしかった。  また小田原に来る理由が見つかった。  午後6時50分。藤沢駅で下車。  午後7時30分。鎌倉長谷の家へ。  きょうの二番目の目的は、8月の末に鎌倉の家で、私が単身赴任していたときに溜 まっていた洗濯物を嫁に洗ってもらうことにある。  まさかあんなに原宿の自宅のお風呂工事が長引いた上に、まだ終わっていないとは 思っていなかったよ。  鎌倉の家には、10日分くらいの衣類は置いてあったんだけど、あのときだけ酷暑 だったので、1日に何度もTシャツを着替えて、あと2〜3日分の洋服しか残ってい なかったのだ。  洗濯くらい、自分でやれ!という人も多いだろうが、残念ながら片手が不自由だと、 洗濯機のボタンは押せても、洋服をうまく干せないし、たためない。妙なことが片手 だと出来ないものなのだ。  TBSで「横浜VS巨人」戦を観戦。  へっへっへ。戦意を失った球団相手だと、横浜ベイスターズは強いよ〜〜〜! 盗塁 もバンバン決めるし、チャンスで打線が繋がるし、シーズン中には見ることのできなか った溌剌としたプレイの連続だ。  負け根性の染み付いた横浜ベイスターズは、消化試合だろうか、オープン戦だろうが、 勝ったらうれしい。勝つこと自体が少ないんだから。  一方、神宮球場の「阪神VSヤクルト」戦は、きょうも阪神が苦戦。  また阪神のハゲのオーナーが球場まで見に行くと勝てないジンクスが作動中なのかな あ。  午後10時。あ〜〜〜、あ〜〜〜、阪神、さよなら負けだよ〜!  これで明日の神宮球場での優勝はなくなってしまった。  いよいよ、今週の末の大阪での仕事にも影響が出てしまいそうだ。  困ったねえ、阪神タイガース。  やっぱり今年の阪神は、横浜ベイスターズが相手じゃないと、ダメだね!

 

-(c)2003/SAKUMA-