8月22日(金)

 午前8時。いきなり、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作りで、大きな壁にぶつかる。
 すでに完成しているイベントなんだけど、どう考えてもお客さんから不満が出そうな
点が気になる。
 気になりだすと、停まらない。

 実は、昨夜寝る直前に、このことに気がついた。
 こういう場合、すぐに直すのではなく、一晩放っておく。
 翌日も、強固に思っていたり、忘れていないようだったら、直すべきなのだ。
 今朝、さらにその思いは強くなっていた。
 でも直す作業は、富士山に登山するように面倒なことがわかっている。
 一度はいいや!と思って、仕様書に「完成」の日付を入れた。
 日付を入れているはずが、知らないうちに仕様書を直し始めていた。
 私ではない誰かが、私を押しているのだ。

 自宅のお風呂工事のために、鎌倉単身赴任、鎌倉ひきこもりに陥った私であるが、仕
様書作りには、好都合だ。
 仕様書を書き始めると、本当に家族に対しても、知り合いに対しても、まったく気を
つかえなくなる。仕様書のなかに没頭してしまうのだ。
 この現象は、1日家族から離れた程度では発生しない。
 だいたい3日目から始まるのだ。

 ちょうどきょうが3日目だ。
 私の頭をいまパカッ!と開けたら、『桃太郎電鉄U(仮)』のことしか入っていない。
 この体制でなければ、きょうのイベントを書き直すなんてことは、しなかったと思う。

 午前11時30分。ハッと気づけば、午前11時を回っていた。まったく時間の概念
がなくなってきている。
 何か食べないと…。
 長谷駅の北口の「ベェルグフェルド・カフェ」へ。
 冷たいカボチャのスープと、ホットドッグ。
 
 食事中も、ノートを片手に、『桃太郎電鉄U(仮)』のイベントの手直しに没頭だ。

 帰り際に、お店の店長さんに「今度の『桃鉄』は、大阪のおばちゃんなんですね!」
と突然言われる。彼は『ジャンプ放送局』の頃からの私のファンだという話は聞いてい
る。
 でも、いま『桃太郎電鉄U(仮)』のことしか頭にない私は、うっかり『桃太郎電鉄
U(仮)』の内容をペロッ!としゃべってしまった。
 やばい! だからこの時期はやばいのだ!

 午後12時30分。江ノ電で、鎌倉駅へ。
 暑いね、きょうも。

 駅前の「新星堂」で、DVDと、CDを買う。
『桃太郎電鉄U(仮)』用の資料だ。
『桃太郎電鉄』のメッセージを書くのに、たくさん映画を観て、場面、場面の慣用句を
メモしておいて、ミックスジュースのようにして作ることが多い。
 たとえば、ドジラースが登場するときの浦島のセリフなどは、10数本の怪獣映画の
セリフをミックスして作っている。
 だから、どこかで聞いたことのあるようなセリフでいて、そのままではないだ。 
 たった1本の作品からまるまるパクったら、盗作だけど、何10本もの作品から生ま
れてくるなら、それはオリジナルである。
 危険なのは、何も見ないで考えついたセリフのときだ。
 子どもの頃に見た映画のセリフがそのまま、さも自分で浮かんだかのように思いつく
ことが多い。その気がなかったとしても、結果は盗作だ。

 おなじことは、土居ちゃん(土居孝幸)にもいえる。
 以前、ペペペマンみたいなキャラを描いてもらうのに、ある昔々、はるか昔の漫画に
出ていたキャラをイメージしたものを土居ちゃんに依頼したことがある。「あっ。そう
いえば、そういうのあったね! でもよく覚えていないな。まあ、とりあえず、描いて
みます!」
 そういって、出来上がってきた絵を見て、たまげた。
 寸分たがわず、私がベースにしようと思ったキャラとおなじ絵を描いてきたのだ! 
漫画家さんは目がいいと言われるけど、土居ちゃんの目も相当なものだ。
 午後1時30分。鎌倉長谷の家に戻る。
 暑いので、Tシャツを着替える。

 間髪いれず、『桃太郎電鉄U(仮)』の仕様書作り。
 一応、高校野球もつけているけど、耳にも入らず。
 入るようなら、たいした文章ではない。
 センサーとして、つけているだけ。

 午後2時30分。何とか仕様書がまとまって来た。
 これで完成かな。

 午後3時08分。江ノ電で鎌倉駅へ。鎌倉駅から、横須賀線に乗車。
 乗車と同時に、昨日から悪戦苦闘しているイベントの仕様書に不備が見つかる。
 その場で、ノートにメモしておく。

 午後3時30分。横浜駅で下車。
 横浜駅に、東急ハンズがあるというので、探す。
 無いなあ!
 地下街のはじっこまで行ったけど、横浜ベイシェラトンホテルだった。
 途中で、「勝烈庵」を見つけた。
 なるほど、横浜の老舗とんかつ屋さんなんだな。

 暑いよ。
 外を歩いて、東急ハンズを探す気力なし。
 近くに高島屋が見えるので、高島屋に向かう。
 地上から歩いて行ったのを、後悔するくらい暑い。
 あとで調べたら、東急ハンズはダイエーの先だった。
 遠い。行かなくてよかった。

 きょうは道行く人もみな、汗びしょりだ。
 私だけではない。
 
 高島屋デパート8Fで「かながわ名産展」というのをやっているので、見に行く。意
外と私は、神奈川県についてくわしくない。
 横浜球場に行って、さっさと帰ってきてしまうからだ。
 横浜のおいしいお店とか、ラーメン屋さんも知らない。

 でも「かながわ名産展」に行ったら、鯵の押し寿司、鎌倉ハム、とり一、井上蒲鉾店、
三崎漁港のまぐろなど、知っているお店ばかり。
 要するに、「かながわ名産展」の主力は鎌倉なわけだ。
 どうも私のなかで、鎌倉=神奈川県の意識が薄い。

 午後4時30分。高島屋の1Fで、土居ちゃん(土居孝幸)と待ち合わせ。

 午後5時。土居ちゃんと、横浜中華街を歩く。  暑いので、お店を見て回るというより、中華街のはじっこに向かって、ひたすら歩い ているようなもので、寄り道はほとんど無し。 「あっ。食べ放題だって!」 「土居ちゃん、オレたちにはもう食べ放題のお店は、つらいだけだろ!」 「そりゃそうですね!」  おなじみの「四五六菜館」へ。  酢豚、カシューナッツと鶏肉の炒め、黄金涼麺、かにチャーハン、とうもろこしの スープなど食べる。

 一応、何品か写真に撮ったけど、やっぱり食べるときに毎回写真撮るのって、大変だ ね。嫁はよく毎回忘れずに撮れるよ。

 土居ちゃんとふたりでこの量は、ちょっと食べ過ぎたような気もする。  食事しながら、しっかり『桃太郎電鉄U(仮)』の打ち合わせ。  あいかわらず、土居ちゃんとしゃべってると、アイデアが出る。  午後6時。横浜スタジアムへ。

「横浜VS阪神」戦だ。  先日のセルテ2Fの「ザ・ベイスターズ」でTシャツを買ったら、内野席のチケット がもらえたあの試合を、見に来たのだ。  実は、土居ちゃんは、阪神タイガース・ファン。  今年我が家が購入した神宮球場の年間シートの「阪神VSヤクルト」戦に登場しな かったのは、『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』のイラストの量が、半端 じゃなかったから。  ようやくイラストを描き終えて、ここ1ヶ月くらいは、土居ちゃんにとって、つかの 間のクールダウン期間なのだ。  完全に休みではなく、まだ広告用のイラストなどが残っている。  阪神の先発は、井川投手。  うーーーん。今年のMVP候補の投手かあ。  横浜は、ひさびさに三浦投手の先発。  三浦投手を、井川投手にぶつけるのは、もったいないなあ。  横浜の数少ない好投手は、相手チームの谷間にぶつけて、効果的に勝ち星を獲得した いものだ。  阪神は、現在4連敗。  横浜も、現在4連敗。  おなじ4連敗でも、ずいぶん違うなあ…。  …と思ったら、なんと!  いきなり井川投手が大乱調!  金城選手に、ストレートの四球。  珍しく、横浜ベイスターズの打線が繋がる。  村田修一選手のひさびさのホームランも飛び出した!  1回裏に、なんと! 6点!  まるで1998年の横浜ベイスターズの優勝のときの強さを見ているようだ! まさ か影のオーナーである私が、横浜スタジアムに来たから、優勝当時のVTRを流してい るんじゃないだろうなあ。  家に戻って、『プロ野球ニュース』を見たら、ぼろ負けなんてことないだろうなあ!  午後6時30分。岩崎誠親子が到着。  ふたりが到着したときのスコアボードは、以下の通り。 阪神 01 横浜 6 「京浜急行のなかで、試合経過を見て、途中でもう帰ろうと思いましたよ〜!」「きょ うは、岩崎誠 ニコニコ!はないですよ!」 「いやあ! ハゲのオーナーが観戦に来ると、阪神が負けるジンクスは、生きているね え!」 「ほんとですよ! 子どもにまで、お父さんと見に来ると、いつも負けるって言われる くらいなんですだから!」 「もう来年は、横浜球場に岩崎誠用の年間シートを購入して、球場の前のホテルを年間 予約して、横浜VS阪神戦を全試合見てもらって、阪神は負けっぱなしになってほしい よ〜!」 「やめてくださいよ〜!」 「阪神ファンのみなさ〜ん! 阪神が最近、負けが込んでいるのは、岩崎誠が球場まで よく見に来てるからですよ〜〜〜!」 「さくまサン! それ冗談になってないんだから、やめてくださいよ!」 「来週の甲子園も阪神は、勝てませんよ〜! 岩崎誠が甲子園に行っちゃうからです よ〜! 来週の甲子園で優勝!を予想していた岩崎誠は、早々と来週わざわざ夏休みを 取っていたんですよ〜! 自ら球場に足を運んで、その予想を崩しているんですよ〜!」

 いやあ! こんなに安心して、試合を見ていられるのは、今年初めてかもしれない。 6−1で、安心していられるのって、三浦投手のときだけだもんなあ。ほかの投手だっ たら、この点差は、まだびくびくものだよ。  このところ、ホームランが出なくなってきていた横浜ベイスターズの3本のホームラ ンを見ることができて、私はご満悦。  古木克明選手の生ホームランは、本当に見ることができないなあ。

 午後9時。試合終了。  10−4。  二桁得点なんて、今年何回目だろう?  1回あったかなあ…。  初めてのような気もする。  午後9時30分。土居ちゃん、岩崎誠親子と、横浜駅の喫茶店で、お茶。

 もちろん、野球談義。  きょうの横浜球場は、ほとんど阪神ファンで埋め尽くされていた。  本当なら頭に来るものだけど、1998年の優勝のときは、甲子園球場に横浜ベイス ターズ・ファンがあふれたんだから、阪神ファンの気持ちはわかる。  阪神の優勝を、横浜ベイスターズの優勝のときのおさらいのつもりで見ている。  午後10時13分。横浜駅から、久里浜行き横須賀線に乗車。  きょうも鎌倉に帰る。  本当に鎌倉に住んでいるみたいだなあ。  午後10時45分。鎌倉長谷の家へ。  もちろん、プロ野球ニュースのはしごでごわす!  何回見てもいいねえ。  初回の6点の猛攻。  今シーズンのベスト・ゲームだ。

 

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