8月12日(火)

 午前8時。昨年に引き続き、今年も嫁の弟家族が到着。
 一気に鎌倉の家がにぎやかになった。
 きょうは、鎌倉の花火大会の日だ。

 午前11時17分。全員で長谷駅から江ノ電に乗る。
 おっ。チョコ電だ。
 江ノ電のチョコレート色の電車のことを「チョコ電」と呼ぶ。
 お客さんも心得ていて、「あっ、チョコ電だ!」と何人かがつぶやく。

 地方の電車も、色をこういう風に塗り替えるだけで、話題になるのだから、もっとお もしろい車両を作ればいいと思う。 「桃鉄電車」を走らせたいというローカル電鉄会社があれば、いますぐにでも協力した い。  午前11時30分。嫁の弟家族のためにという「口実」のもと、不二家に行く。  もちろん、魂胆はスタンプカードのためである。 「何でも食べていいよ!」  この言葉にも嘘はない。  スタンプカードのためである。 「えびカレー!」と、嫁の弟くんがいう。 「頼む! もっと値段の高いものを注文してくれ!」 「あとで、デザートを注文します!」 「それなら、よし!」  スタンプカードのためである。  私は、不二家銀座ハンバーグ・セット。  そういえば今年のテーマは、夢のようにおいしいハンバーグを見つけることだったの で、不二家のハンバーグも食べなきゃというシャレだ。。

 食べてうろたえた。  私は、子どもの頃、不二家でハンバーグを食べた記憶がないはずなのに、私の好きな カリカリに焼き上げられたハンバーグではないか! 「お皿が熱いので、お気をつけください!」  鉄板の上でじゅーじゅー焼かれたハンバーグは、見事なまでに外側がカリカリだった。  日本じゅうのハンバーグを食べつくすだの、カサローエモのハンバーグがおいしいだ の、やっぱり総合力で、京都「はふう」のハンバーグだとさんざん御託を並べながら、 私のグルメの原点は、けっきょく、すべて「不二家」なんじゃないかあ〜〜〜!  あっはっはっは。けっ、お笑い草だぜっ!  化けの皮が剥がれましたぜ、旦那!である。  まあ、もともとこの世でいちばん好きなものは、「不二家」のショートケーキと公言 しているのだから、私の味覚はお子ちゃまなのだ。  お子ちゃまといえば、嫁の弟家族の兄弟が「不二家パフェ!」と注文するたびに「う らやましいなあ!」と思い、子どもがパフェにささっているチョコから先に食べるのを 見るにつけ、私が子どもの頃と、行動様式がまったくおなじだと、感銘を受ける。

 子どもの感性は昔から変わらないのか、私が子どもの感性のまま、壮年になったのか よくわからない。  とにかく、嫁の弟家族のおかげで、「不二家鎌倉支店」のスタンプカードが1枚埋ま り、2枚目に突入! あと9枚だ!  午後1時。札幌から新しいロムが届いたという報告が入ったので、私だけ鎌倉長谷の 家に先に戻る。  午後1時30分。『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』の【西日本編】を テスト・プレイ開始。  おおっ! 目的地の絵もぜんぶ入ったようだし、効果音まで入った。  わっはっはっは。わっはっはっは。バッファロー吾郎のふたりのブーイングの声も、 くっきり入っている。  声の違いもちゃんとわかるぞ!  クリアに入るもんだねえ。  そういえば、ゲーム雑誌のほうでは、大阪のおばちゃんも発表になったみたいだね。  毎度おなじみ、さくまにあの鑑・高木明光くんから報告が来ていた。  今週号の『週刊ファミ通』におきまして、『桃太郎電鉄12 西日本編もありまっ せー!」の記事が掲載されているのを読みました。  その中で西日本編のゲストキャラである『大阪のおばちゃん』が紹介されておりまし たが、このキャラのモデルはバッファロー吾郎の木村さんですね。  土居さんのイラストを見た瞬間分かりました。 『大阪のおばちゃん』、特に私は大阪人ですので、大変いや〜な予感がして参りました。 でも楽しみです。  そうか。木村明浩くんに似ているか。  昨年から、土居ちゃん(土居孝幸)に何度も、何度も書き直しを命じて、いろんなタ イプを書いてもらって、さらに何度も書き直していくうちに、あの顔に落ち着いただけ で、木村明浩くんのつもりではなかった。  でも言われてみれば、そっくりだ。  最初から、木村明浩くんの顔にしておけばよかった。  高木明光くんは、「大変いや〜な予感がして参りました」と言っているけど、そのい や〜〜〜な予感は当たっている。はっはっは。  なにしろ、大阪のおばちゃんだからね〜!  大きなお世話をたくさんしてくれる。  お楽しみに。  この時期のテスト・プレイは、10〜15年モードのくりかえし。 『桃太郎電鉄』をプレイする人で、いちばん多い人間VS人間の対決で多いのが、この 年数だったのだ。  前は、絶対10年だったんだけど、『桃太郎電鉄11』から、テンポがいいので、15 年くらいに増やす人たちが増えているらしい。  今度の『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』は、さらにテンポがいいから、 20年モードを標準にすべきかも。  午後4時。嫁と、近所の喫茶店へ。  おじいちゃんとおばあちゃんが昨年から経営を始めたお店だ。  コーヒーを注文したら、プリンがついてきた。

「プリンは注文してませんよ!」 「サービスです!」  サービスといわれれば、私の場合、合法的に甘いものを摂取できるのだから、イヤな わけがない。  きょうは、鎌倉の花火大会なので、この喫茶店も次から次へとお客さんが入ってくる。 途中で、断るほどだ。  早くコーヒーを飲んで、出てあげたいのんだけど、コーヒーが熱い。  やっと飲み干して、会計してもらうと「600円です」というではないか! 「えっ? ひとり400円って書いてありましたよ! プリンもいただいちゃったし!」 「きょうはサービスの日なんです」  お店を出たら、たしかに看板に「コーヒー+プリン 300円」の張り紙があった。 300円で、コーヒーとプリンを出すって、相当田舎でも考えられない値段だぞ。おじ いちゃんと、おばあちゃん、大丈夫なのかなあ。  ボケないためだけに、お店開いているのかな。  午後6時。家族3人、嫁の弟家族4人で、鉄板焼きそば。  にごやかな食卓。  午後6時30分。もう携帯電話のアンテナは3本立っているのに、繋がらない状態。 花火大会のせいだ。  午後7時。家の近くの浜辺へ。  ちょうど暗くなってきて、花火が打ちあがる。  バンバンバババン! バンバンバババン!  ヒュ〜〜〜〜〜〜ッ! カッ! ババンバババン!  バンバンバババン! バンバンバババン!  ズババババババッ、バンバンバン!  う〜〜〜ッ! きれい〜〜〜!  ヒュ〜〜〜〜〜〜ッ! カッ! ババンバババン!  バンバンバババン! バンバンバババン!  低く開く花火や、高い位置で開く花火。  しだれ柳のように、ゆっくり、ゆっくり広がるように落ちる花火。  きれいなものだ。

 バンバンバババン! バンバンバババン!  ヒュ〜〜〜〜〜〜ッ! カッ! ババンバババン!  バンバンバババン! バンバンバババン!  鎌倉の花火の特徴は、水中花火。  ドスン! ドズン!と、まるで耳元で、和太鼓を叩かれているような、凄い音ととも に、水中から花びらが開くように、花火が打ちあがる。

 まるで、ゲーム作りのテンポのように、緩急、緩急で、飽きさせない工夫をしている のが、よくわかる。  それでも、30分を過ぎたあたりから、子どもが飽きてくる。  人間の集中力は、20分しか持たないというのが、よくわかる。  バンバンバババン! バンバンバババン!  ヒュ〜〜〜〜〜〜ッ! カッ! ババンバババン!  バンバンバババン! バンバンバババン!  花火っていうのは、適度に風が吹いていないと、ダメなんだね。  前の花火の煙が、空中に残ってしまって、次の花火の開花を遮ってしまうのだ。  だから、連発花火を絶え間なく打ち上げればいいというわけじゃないんだね。  40分を過ぎたあたりから、私も次第に飽きてくる。  それより、ゴザは敷いているいるものの、下は石だから、お尻が痛い。  きょうは、昨年よりも涼しいので、ぜんぶ最後まで見ることができる数少ないチャン スかもしれないので、必死に我慢する。  少しずつ、お客さんも帰っていく。  花火大会の日の鎌倉駅や、江ノ電は大混乱だから、少しでも早く帰って、混乱に巻き 込まれるのを軽減しようとしているのだろう。

 午後8時。8時を10分くらい過ぎたあたりで、いったん小休止。  そこから一気に、コンサートのアンコールのように、打ち上げ花火も、水中花火も いっしょに打ちあがる。

 ババババババッ! ズバババババババッ!  バリバリバリバリバリバリッ!  バンバンバババン! バンバンバババン!   バリバリバリバリバリバリッ!  バンバンバババン! バンバンバババン!  し〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん…。  午後8時20分。花火終了。  家に戻って、菅沼真理(通称:すがねまチャン)さんが長野から送ってくれた、下原 (しもっぱら)のスイカを食べる。    今夜は、『桃太郎電鉄12〜西日本編もありまっせー!』の【西日本編】のテスト・ プレイ。 【西日本編】の目的地到着画面のパターンが本当に多いなあ!  すっごい贅沢だよ!  いいなあ。いいなあ。  手直ししないといけない部分がいまのところ、ゼロだ!  ついに【西日本編】のチューニングがピタッと決まったような気がする。 【西日本編】を20年プレイしたら、引き続き、【全国編】をテスト・プレイだ。

 

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