4月30日(水)

 まあね。昨日の試合に負けたからいうわけじゃないんだけどさ。
 ひさしぶりに球場に野球を見に行くと、いろいろ思うところが多いね。
 最近のプロ野球人気の低下がわかるような気がするよ。

 まず、最近の映画館では当たり前の座席にドリンク・ホルダーがないのがすご
く不便。
 いままで不便と感じていなかったけど、ほかで味わうとね。

 1席1万円のゴージャスなカップル・シートなんかあってもいいと思うなあ。
 たしか西武球場には、カップル・シートがあったような気がする。

 それとチケットを買って、途中で場外に出たら、券は無効というのも、もはや
時代遅れだと思う。多くのテーマパークは、手にマーキングすることで、出入り
できる。

 それと、たとえば神宮球場では「横浜VSヤクルト」の場合、横浜ベイスター
ズは三塁側のベンチに選手が陣取る。ファンも三塁側に座る。
 でも三塁側に座ることによって、横浜ベイスターズ・ファンはベンチを見るこ
とができない。ホームランを打ったときは、選手といっしょに喜びたいのに、喜
べないわけだ。
 逆に、相手チームがホームランを打ったときには、思い切り歓喜のベンチを見
せられて、がっくりする。

 あと、とにかく応援団のトランペットが気になる。
 ランナーも出ていないのに、ブンガチャカ、ブンガチャカうるさい。
 ランナーが、二塁、または三塁といった得点圏に進んだら、演奏を開始したほ
うが、相手投手もピンチを意識して、応援になるのに!
 1回から試合終了まで、ずっとおなじ調子じゃ、ちっとも応援にならない。

 女性客が増えないことには、プロ野球の人気が広がらないのだから、女性同伴
なら、女性の料金無料とか半額といったキャンペーンをやったほうがいいと思う。
 女、子どもを獲得せねば!
 球場のお客さんの年齢層、高くなりすぎだよ。

 電光掲示板のつかい方も中途半端だなあ。
 相手チームだろうと、打席に立つ選手の、出身地、出身校、生年月日を映し出
すことで、地元がいっしょならファンになるときっかけが出来たりすると思うの
だが…。

 まだまだプロ野球改造論は、いくらでもある。
 横浜ベイスターズがもっと強くなれば、おもしくなるって? 横浜ベイスター
ズが今シーズンの負け星を独占して、他球団に幸せを与えているのだ。
 昨日で、他の5球団は、勝率5割を越えて、借金のすべては横浜ベイスターズ
が担当してしまった。

 午前8時。『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の手直し作業。
 雨の音が、部屋まで聞こえる。

 午前10時。嫁と、並びの喫茶店「らぴす」サンでモーニング・セット。
 困ったなあ! きょうこれからテスト・プレイするんだけど、最新ロムが届か
ないない。札幌の開発スタッフは、28日に届けるように手配してくれたんだけ
ど、こっちが28日に帰るのが遅れた。
 遅れても、うちの場合、宅配BOXに鍵がかけられるようになっているので、
不在でも置いていけるようになっている。

 ところが、宅配業者は「貴重品」と書いてあったから持って帰ったと、ありが
ちな「いいわけモード」!
 だったら「貴重品」を翌日配達すべきなのに、昨日は祝日だから届けられない
というのは、どういうことなんだ! どこでも大手は日曜日でも届けてくれるよ
ね!

 で、今朝から何度も電話しても「配達員は、封筒を持って出ている」の一点張
り。そう言われても、こっちは午後1時に、みんなが来て、テスト・プレイをし
ないといけない。
 最新ロムが来ないことには、何もできない。
 私は慎重だから、万が一のトラブルがあっても、届けてもらう日から、2日後
にテスト・プレイをするように余裕を持ってスケジュールを組んだのに。
 その最悪の予定通りを、宅配業者が実行するとは、どういうことなんだ。

 けっきょく、午後1時までに何とか届けるということになったが、何度も催促
しなければ、のんびり夕方に再配達するつもりだったんだろう。
 何のための航空便だか、わからない。

 午後1時。本当に午後1時に最新ロムは着いた。
 待たされたほうは、刻一刻午後1時が近づいて来て、たまったもんではない。
 今度から、ここの運送会社をつかわないように、札幌のスタッフに要請しよう。
 さて、本日のテスト・プレイのメンバーを発表〜〜〜!

・読売広告の岩崎誠。40歳。O型。家族相手に、最強!
・柴尾英令くん。39歳。B型。現状認定最強プレイヤー。
・友清哲くん。28歳。A型。不敗伝説継続中。

 先日、このメンバーに、『桃太郎電鉄』の下手なことで有名などっこいズ(井
沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテツ)のひとり、コイズミリュウジが加わ
っていたのだが、コイズミリュウジの向上心の無い戦いぶりに、岩崎誠がどうし
ても「上級者ガチンコ対決」を開催してほしいというので、本日の対戦となった。
 でも、あくまでも最新ロムでのテスト・プレイが本日の名目なのだ。
 しかし3人とも対戦前から火花を散らし、まったくテスト・ロムという意識が
頭にまったくない。

 早くも試合前の舌戦開始!
「友清哲くんの不敗伝説も、どっこいズ(井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キ
ンテツ)に対して、不敗なだけだから、きょう勝たないと、不敗伝説とは言えな
いなあ!」
「きょうは柴尾英令くんも、苦手な土居ちゃん(土居孝幸)抜きの勝負なんだか
ら、勝たないとやばいね!」
 柴尾英令くんは、おそらく業界人のなかでは、私についで『桃太郎電鉄』名人
だと思うのだが、どういうわけか、土居ちゃんがメンバーに入ると、からっきし
勝てなくなる!
 もともと「歩く電子頭脳」と呼ばれるくらい頭脳明晰、才気煥発、熟慮断行の
柴尾英令くんなのだが、そのコンピュータが、天衣無縫、お気楽天国、豪速球カ
ード命の土居ちゃんの電磁波に狂うようなのだ。
 岐阜の白装束の集団のみなさんも、タマちゃんよりも、土居ちゃんを捕獲した
ほうが、電波の通りはよくなると思うのだが…(嘘)。

 話がそれた。
 とにかく、3人の「上級者対決」の開幕なのである!
「上級者対決」にふさわしく、公式戦ではなく、『いつもの桃鉄』で、10年勝
負のルールを採用。まさに上級者対決!
 これは見どころ満載だ。

 最初の目的地は、紀伊半島の新宮(しんぐう)!
 お互いを牽制しつつ、中山道を抜きつ抜かれつ、新宮をめざす!

「よし!」
 虎につばさカードを手に入れた岩崎誠が、気合を入れる。

 しかし新宮には、友清哲くんが一番乗り!
 最初の貧乏神は、岩崎誠に。

 ええっ!?
 1年目の10月に、早くも柴尾英令くんが、豪速球カードをつかう!
 まだ自分に貧乏神もついていないのに。
 これは相当、相手が上級者であることを意識した戦術だ。
 豪速球カードは、岩崎誠のカードを3枚ぶち破る!
 そのなかには、虎につばさカードも!
「ひええええっ!」
 岩崎誠が、叫ぶ。
 さすが上級者対決!

 それにしても、テンポが速い。
「くそ〜〜〜い! 観戦記が書けない!」と、私。
「え?」
「きょうはコイズミリュウジのように、サイコロ振ってからどこに行こうか延々
悩むようなプレイヤーがいないから、展開が早くて、速記できないよ!」

 3人とも、相手がいまどのカードを持っているのか暗記して、そのカードを何
ターン後につかうかを予想しながら戦い合う。
「あれ? 誰かシャッフルカード持ってませんでしたっけ?」と友清哲くん。
「……………!」
「あれ? 持ってませんでした?」
「友清哲くん! きょうは上級者戦だから、答えてくれないんだよ!」
「きびしい!」

 でも友清哲くんは、絶好調!
 友清哲くんが4回のうち、3回目的地に入る。
「貪欲ですねえ!」
「物件の買い方も豪快なこと!」

 5ヶ所目は、岩崎誠が到着!  柴尾英令くん、いまだ目的地に入れず。  どうした! 柴尾英令くん!  絶好調の友清哲くんは、ちっとも調子が落ちない!  サイコロの出目もよければ、カード運もいい。  目的地に入りっぱなし!  友清哲くんの独走を阻止しようと、岩崎誠がいよいよお家芸の捨て身戦法を開 始!  赤マスで、持ち金がマイナスになっても、物件を失おうとも、とにかく目的地 をめざす! 「1ターンのロスが、もったいないですからね!」  まるで砕氷船みたいなやつだ。 「次に目的地に入れるから、目的地に近づいておかないと!」  言っておくが、岩崎誠は、最寄りの駅でカードとか、スペシャルカードとかを 持っているわけではない。目的地まで6マス以内になると、必ず「次、入ります から!」というのである。  柴尾英令くんの絶不調が深刻だ!  目的地に近づいても、するりと友清哲くんに入られてしまう。  5年目に突入。  折り返し地点だ。  6年目4月。ついに友清哲くんに、キングボンビーが! 「やったあ!」 「よっしゃあ!」  岩崎誠と、柴尾英令くんが、歓喜のガッツ・ポーズ!  しかも友清哲くんは、沖縄に飛ばされて、万事休す!  どんなに調子がいい友清哲くんでも、2回か、3回は、キングボンビーのサイ コロ10個振りを喰らって、撃沈されるに違いない!  ところが!  きょうの絶好調男・友清哲くんには、キングボンビーすら通じない。  なんと!  のぞみカードを持っていて、1ターンで、キングボンビーは再び柴尾英令くん のもとへ。オーマイガッ!  どこまでも、運のいい友清哲くん!  覚悟を決めた柴尾英令くん。  持ち金がマイナスになろうと、キングボンビーを食らおうと、ひたすら黄色の カード・マスで、いいカードを揃えることに邁進し始める。  この決断が、なかなか負けが込んでいるときに、できないものだ。  横浜ベイスターズに、この決断の仕方を教えてほしいものだ。  じわり、じわりと、柴尾英令くんが、いいカードをため込み始めた。 「柴尾英令さん! それだけいいカード持ってるのに、何で目的地をめざさない の?」と、岩崎誠。 「はっはっは! なぜでしょう!」 「岩崎誠よ! 柴尾英令くんは、1回ぐらい目的地に入るより、目的地に入った あとのことを考えて、まだ動かないんだよ!」と、私。 「ひえ〜〜〜ッ!」  まったく柴尾英令くんか、カルロス・ゴーンさんに日本の総理大臣になってほ しいもんだよ!  柴尾英令くんが、回復の兆しを見せると、じりっ、じりっと、岩崎誠の強引な 戦術に、確実性が無くなってきた。  ついに岩崎誠、キングボンビーを喰らう!  しかも!  しかも! しかも!  しかも! しかも! しかも!  岩崎誠は、今回のキングボンビーの目玉である新しい悪行を喰らってしまった のである! 「ええっ? こ、これって?」 「メッセージのとおりのことだよ!」 「って、ことはずっとキングボンビーが×××××ってこと?」 「そういうことかな?」 「うそでしょ! そ、そんなことってあり?」 「あるんだなあ! キングボンビーだから!」 「ちょっとひど過ぎません?」 「どうも『桃太郎電鉄11』で、ブラックボンビーに人気をかなり奪われたの で、今回のキングボンビーは、相当ひどいことをする!」 「それにしても、ひどすぎる!」  本当に今回のキングボンビーは、とんでもないことをするんだよ!  お楽しみに!  6年目。柴尾英令くんが、黒字に転じる。  7年目。ついに柴尾英令くんが復活!  連続で目的地に入りまくる!  得意の頭脳プレイで、友清哲くんにキングボンビーをなすりつける。  しかし、絶好調男・友清哲くんもしぶとい!  すぐさま友清哲キングボンビーを岩崎誠になすりつけて、逃げる。  岩崎誠、海より深く潜行!  ミスター・サブマリ〜〜〜ン!  9年目、ついに柴尾英令くんが、友清哲くんを抜く!  これが柴尾英令くんのすごさだ!  一時期、マイナス20数億円にまで低迷してからの完全復活だからね! 『桃太郎電鉄』は出目だけのゲームという言い方をする人は少なくなって来たけ ど、まだ言い張りたい人は、柴尾英令くんと戦って、人生の厳しさを教えてもら ったほうがいい!  ラスト1年。このまま柴尾英令くんが逃げ切るか!  お〜〜〜っと、ラスト1年が、大恐慌とな!  この「大恐慌」が、影響を与えるか?  ついに友清哲くん、集中力が切れたようだ!  カードの使い方を間違えることが増えて来た。  友清哲くん、スタミナに難有り。  不敗伝説に幕か?  おっと! 友清哲くん!  目的地に向かうのをあきらめて、☆印カード売り場に入り、カードを全部売 り、残り数ヶ月で、必死に物件を買いまくる戦法に転換!  柴尾英令くん、目的地に入るも、「大恐慌」で、収入少なし!  なだれ込むように、10年目3月が終了。 「うーーん! 柴尾英令くんの優勝だなあ!」 「でも、友清哲くんは、三賞の物件をけっこう持っているからなあ!」 「最後の友清哲くんのカード売りも、けっこう効いていると思うなあ!」  エンディング画面が流れる!  真っ先に消える岩崎誠。  さあ! 優勝はどっちだ!  柴尾英令くんか?  それとも、友清哲くんか?  ええ〜〜〜っ!  友清哲くんが優勝!?  総資産 1位・友清哲くん  38億9210万円 2位・柴尾英令くん 34億7510万円 3位・岩崎誠     5億6650万円

「うへ〜〜〜! その差わずか1億円かあ!」 「友清哲くんは三賞のうち、2つ獲得したのが大きいなあ!」 「三賞プラス、地域王を獲得したのが、勝因でしょうねえ!」 「まったく三賞のご褒美の差が決め手になったんだ!」 「最後にカードを売っただけではなく、そのお金で物件を買ったのも大きかった なあ!」!  というわけで、僅少差で、友清哲くんが優勝〜〜〜!  不敗伝説は、ついに不動のものに! 「友清哲くん! 緊張した? このメンバーだと!」 「すっごく緊張しましたよ!」 「どっこいズ(井沢どんすけ、すとろう小泉、石川キンテツ)との対戦と比べて どう?」 「どっこいズのときは、全然緊張しませんからね〜!」 「そりゃ、そうだ!」 「いやあ! 上級者対決らしい、いい試合だった!」 「おもしろかったなあ!」 「でも言っておくけど、これテスト・ロムだからね!」 「きょうはテスト・プレイだよ!」 「完成してますよね、これ!」 「私もそう思う!」 「さくまサン! このメンバーで、もう一度だけいつか対戦させてくれませんか?」 と岩崎誠! 「ははは。岩崎誠がいうと思った!」 「ちょっと、このままでは!」 「まあ、友清哲くんの得意分野であるボクシングも、世界チャンピオンになった 場合は、もう一度おなじ選手と対戦するもんな! OK! じゃあ、1ヵ月後に 再戦ね!」 「やりましょう!」  午後5時30分。私と嫁と岩崎誠の3人は、近所の「おけいずし」に注文して おいた必勝弁当を受け取りに行く。  きょうもこれから、神宮球場に出勤である。  昨夜、神宮球場での「横浜VSヤクルト」戦に勝つことができなかったので、 縁起担ぎ。「おけいずし」でお寿司を食べたときと、お弁当を頼んだときには必 ず勝つ法則だ。  いまの横浜ベイスターズには、こういう神頼みしか、勝つ方法が無いからなあ!  午後6時。神宮球場へ。 「おけいずし」が作ってくれたお弁当は豪華で、おいしい!

 お寿司だけではなく、竹の子ご飯と、おいなりさんまで付けてくれた!  きょうは『桃太郎電鉄』のテスト・プレイの調子も良かったし、こんなにおい しいものを食べて、さらに横浜ベイスターズの快勝が見れるとは、最高の1日だ よ!  …という風に、いまの横浜ベイスターズが夢をかなえてくれるはずがない。  本日、4度訪れた満塁にチャンスに、ことごとく無得点。  そんなチームが勝てるわけがない。  ちょっと重症を通り越しているなあ。  自慢のホームランも一本も出ない。  昨日、きょうと神宮球場に通って、2日で2得点だよ。

 午後9時30分。ああ! 風が寒いのに、最後まで見ちゃったよ〜〜〜! 「寒かったですね〜!」と、岩崎誠。 「風も寒けけど、打線はもっと寒い!」と、私。  午後10時。帰宅。  明日も神宮球場で、試合があるんだけど、どうしようかなあ…。  ちょっといまの横浜ベイスターズの戦いぶりは、あまりにも覇気が感じられな い。がむしゃらなところもない。  負けなれているとはいえ、ちょっと見るのがつらい。  明日から、5月。  ツキが変わってくれ!

 

-(c)2003/SAKUMA-