３月３日（月）

　京都は、雨。
　マンションのなかから、叩きつける音が聞こえるくらいの土砂降り。

　午前７時。『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』の手直し原稿。
　こっちのワイドショーでは、やたらと新幹線ひかり号の居眠り運転事件を取り
上げている。事件の現場が倉敷で大阪に近いせいかな。
　それにしても、ＴＶ局も、もっとちゃんとした市民に街頭インタビューしてく
れんかねえ。

「ＪＲになってから、おかしいんとちゃいますか？」
　国鉄時代だったら、こんな事件、絶対もみ消してたよ。
　あの国鉄時代の「キップを売ってやらあ！」態度が姿を消しただけでも、ＪＲ
になった価値があるし、居眠りしていてもちゃんと駅に停車する新幹線の自動停
止装置は、すごいよ！
　あと必ずインタビューに「こんなことじゃ、おちおち安心して乗ってられませ
んね〜！」というやつが、ひとりはいる。
　とてもしょっちゅう新幹線には乗らなさそうなババアだ。
　だいたい街頭インタビューの民衆の答えは、本心から答えているとは思えない。
　反射神経で答えているだけのが多い。
　なのにそれを垂れ流してはいかんと思う。

　午前１１時３０分。どしゃ降りのなか、三条木屋町寄りの「マクドナルド」へ。
　てきやきバーガーのセット。
　トレイを持って行こうとすると、若い男性の店員が「お持ちします！」と言っ
てくれた。ずいぶん親切だなあと思ったら、トレイを持って来てくれたばかりか、
コーヒーのプラスチックのふたを取ってくれて、ミルクまで入れてくれた。
　この青年は、私の手が不自由なことを見抜いていたのだ。

　最近の私はほとんどの人が、手が不自由と気づかないまでに回復しているから、
なかなか気づかないものだ。料理の料金が１万円を越えるお店になると、気づく
場合は多くなる。
　ここはマクドナルドだからね。１万円じゃなくて、５００円の料理屋さんだよ。
　業績が落ちているとはいえ、まだまだファーストフード業界の首位を独走する
会社には、こういう観察力のある社員がいるってことだろうねえ。

　もちろん彼は、私が帰るときにも「そのままでけっこうです！」と、遠くから
叫んでくれた。こういう社員を持った「マクドナルド」は、幸せだ。

　本屋によって、本を数冊、コンビニに寄って、スポーツ紙を２部。
　スポーツ紙を２部は、もちろん昨日の横浜ベイスターズの快勝を堪能するため
だよ。うっかりすると、関西では阪神タイガースの記事だけで終わってしまうこ
とがあるから、念のための２部だ。

「古木　はや３号」の文字に、喜色満面。
　でもスポニチの１面は「井川　万全だ！」
　ここは阪神の城下町。

　午後１２時３０分。京都の仕事場に戻る。
『桃太郎電鉄12（仮）〜地方編』の物件を、ちょこちょこと手直し。
　昨日のぼっかけラーメンとか、このところのテスト・プレイで気になっている
数値を、いくつか検証する。

　疲れたところで、『ワンピース』（尾田栄一郎・集英社）を読み始める。
　以前、１巻を読んだことがあるんだけど、ちょっとピン！とこなかった。
　とくに、仕事のことでめげまくっていた時期で、『ワンピース』のハイテンシ
ョンが、眩しくてね〜！　年を取ると、音の大きいお店に耐えられなくなるよう
なものだ。

　そう思っていたときに、平成の文豪・井沢どんすけ大先生から、「『ワンピー
ス』のおもしろさも知らないで、ゲームを作ってるだって？　けっ、お笑い種だ
ぜッ（嘘）！」とご教示されたので、昨日２巻から５巻まで買って来たのだ。

　おもしろい！
　拳銃の弾が当たっても死なないゴム人間っていう設定自体、タブー中のタブー
なんだけど、ほかの生身の仲間に痛み与えることで、ゴム人間であることに、ち
っとも違和感が無いのは、只者ではない。
　さらに、身体がバラバラになる人間まで出てきてなお、ストーリーが成立とは
神業だ。

　セリフの切れ味もいい。
　何より、作者が海賊ものの映画や本を好きなんだろうなあ！というのが、伝わ
ってきてしまったところで、読者は負けである。
　軍門に下った証拠だ。

　だいたい漫画家の能力は、３巻で定着するものだけど、『ワンピース』もそう
だねえ。ムダな集中線が減って、画面がぐんぐん、すっきりして行く。読みづら
かった画面構成も、ロングからの構図を使えるようになって、絵がぐんぐん上手
くなって行く。
『週刊少年ジャンプ』の漫画家さんは、連載中に加速度的に絵が上手くなって行
くことが多いけど、尾田栄一郎っていう人も、見事だねえ。

　午後５時。近所のサンドイッチ専門店「なが田」へ。
　このお店の調理パンは、密かにおいしい。
　イチ押しではないが、パンのやわらかさは絶品だ。

　御池地下街で、『ワンピース』（尾田栄一郎・集英社）の６巻〜１０巻まで買
ってくる。こういう風に漫画の単行本をまとめ買いして、読みふけるのは、『風
雲児たち』（みなもと太郎・リイド社）以来だ。

　午後６時。「なが田」で買ってきたパンで、ニュースを見ながら、夕食。
　銀行の両替に、２００円っていうのは、本当にひどいねえ。
　もし、銀行で１００円を、ぜんぶ１円玉にしようとすると、２００円かかるこ
とになる。すごいことだね！
　
　だいたい今、１００万円を銀行に預けると、普通預金で１年後の利子は、わず
か１０円なんだってね！　１００円にもならないんだ。
　で、土曜日にＡＴＭでお金を下ろすと、２００円とか、３００円取られちゃう
んでしょ？
　あれだけ杜撰（ずさん）な経営して、日本じゅうを不景気のどん底に叩きつけ
ておいて、まだ国民に迷惑をかけるかね！
　小売店にとって、両替は生命線だよ。

　しかし、銀行ってのは、国民からお金をもらって、そのお金を高く貸して商売
すること自体、けっこうふとどきな商売だと思うんだけど、どうにも日本人はこ
ういうことに腹を立てない。暴動も起きない。まだまだ切羽詰っていないのかな
あ。かなりわが国を取り巻く状況は、ピンチだとおもうのだが。

　食後、『桃太郎電鉄Ｕ（仮）』の仕様書作り。
　便利系のカードの番号を一新するので、頭が大混乱。
　どうも資料を整理する能力に欠ける。
　部屋の掃除が下手なわけだ。

　明日晴れたら、また日帰り取材旅行に行くかも。
　でもちょっと遭難必至の場所なので、ひとりで行くのはやめてしまうかも。
『ワンピース』（尾田栄一郎・集英社）の続きを読みたい気もする。
　仕事もしたい。