1月30日(木)

 京都は、雪でスノウ。
 だじゃれ言ってる場合じゃないよ。
 本当に雪が降っている。
 地面も白い。

 午前8時。嫁と、京都駅へ。  土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くんとの待ち合わせは、午前8時30分。  30分も早い。  ん? 改札口に人だかりだ。  え? ええっ? えええええっ!  名古屋―米原間、雪のため停電事故?  40分の遅れ〜〜〜!?  それはまずいよ。  読売広告の岩崎誠と、午後12時に四国高松の全日空ホテルクレメント高松の ロビーで待ち合わせしているのだ。  あわてて、岩崎誠にメール。  岩崎誠は羽田から、なんとか飛行機は飛ぶそうだ。  新幹線自体は、動いているらしい。  こういう場合、どういう風にキップを発売するのか興味もあるので、みどりの 窓口の行列に並ぶ。  ほどなくして、土居ちゃん、柴尾英令くんが到着。 「今から四国の高松まで4人で行きたいんですが、どういう風にキップを買えば いいですか?」 「うーーーん」 「岡山からのマリンライナーはグリーン車にしてほしいんだけど…」 「ちょっと待ってくださいね!」  あれ? 窓口の人は席を立って、構内アナウンスを聞きに行ってしまった。  戻ってきた。  首をかしげている。 「また新幹線、停まっちゃったんですか?」 「うーーーん! そうなんですよ」 「停まっちゃったんだあ!」 「新大阪まで行ってもらって、そこから新幹線に乗ってもらって、岡山まで行っ てもらうしかないかなあ!」  困った。どうする。  バスにするか! 「おもしろそうだなあ!」と、柴尾英令くん。 「バスにしますか?」と、土居ちゃん。  京都から高松まで、バスが出ていることを知っている人は少ないだろう。  私は仕事柄、どんな道を通ってでも、仕事の現地に駆けつけないといけないの で、こっちのコースがダメなら、こっちからという抜け道にくわしい。  午前8時30分。京都駅バスチケットセンタ―へ。  高松行きの高速バスのチケットを買う。  運良く20分後に出発するバスがあった。  ひとり4800円。  やっぱりバスは、安いね。  午前8時50分。バスセンターの横のカウンターで、コーヒーとサンドイッチ を買って、京阪高速バスに乗車。  ひとり、ふたり、3人、4人…、全部で乗客が9人しかいないぞ。  私たち4人は、非常事態でこのバスに乗ったのだから、正味乗客5人だ。  採算に合わないだろうなあ。  発券したときこそ、ひとり1座席だったけど、走り出したら、2人席をひとり でつかう。贅沢といえば、贅沢。淋しいといえば、淋しい。  高速バスは、名神高速道路に入る。  しばらくして、右手に岡本太郎デザインの太陽の塔が見えてくる。 「あっ、マツタケ号のコースだ!」と、土居ちゃん。 「そうだよ、毎年恒例マツタケを食べに行くコースを走ってるんだよ!」  神戸を過ぎて、垂水ジャンクションを左に曲がって、明石海峡大橋を渡る。  雄大な景色だ。  右に明石の市街地。  左に光る海。  行く手に明石海峡大橋。 「すごいねえ!」と、土居ちゃん。 「そのすごい景色を、柴尾英令くんは、寝ているよ!」 「くかーーー! くかーーー!」

 高速バスは、淡路島に入り、横風に揺られながら、疾走する。  昨日、全国規模で雪が降ったらしい。  山沿いに雪が積もっている。  四国で雪を見るなんて、旅行者の私は間違いなく、初めてだ。  室津パーキングエリアで、トイレ休憩。  トイレと、自動販売機があるだけで、売店すらない。  風が冷たくて、景色は海が広がっていて、美しいのに、わびしい。

 高速バスは、再び走り出す。  いま走っている道路は、神戸淡路鳴門自動車道というらしい。  太陽神戸銀行、東京三菱銀行みたいだなあ。  神戸淡路鳴門自動車道…、神門(こうもん)動車道という略称はどうだ?  午前11時。大鳴門橋を通る。  きょうは鳴門のうずしおが、小さい。  一昨年は、この先の鳴門インターで下車した。  きょうはそのまま、高松自動車道に入る。  おお! 鳴門の大塚製薬の倉庫が見えて来た。  鮮やかなブルーのポカリスエットと、黄色いカロリーメイトが、倉庫の全面に ペイントさせた派手なランドマークだ。  鳴門が、大塚製薬の城下町であることを象徴しているような景色だ。  山には、雪。  高松まで、20キロメートルほどまでせまった引田(ひけた)町では、田んぼ まで真っ白だ。  本当に昨日、四国全域で雪が大量に降ったことを物語っている。

 高速バスが順調だ。  なにしろ、乗客が9人しかいないから、途中のバス停で、誰も降りない。  なんと、終点の高松まで、高速大内(おうち)、夢タウンの2ヶ所でしか、人 が降りなかった。夢タウン。なつかしいね。昨年のお正月に「ジャパンカップ2 002」をやった会場だ。  午後12時07分。高松駅に到着。  早い。バスの時刻表より、15分ほど早く着いた。  途中下車がないと早いんだねえ。  前に京都から、鳴門まで乗ったときは、20分以上遅れた。  高速バスのこの不確実性は、ちょっと不便。  全日空ホテルクレメント高松のロビーに行くと、岩崎誠が待っていた。 「岩崎誠の飛行機のほうが、飛ばないんじゃないかって思ってたのに、まさかこ っちの新幹線が停まると思わなかったよ〜!」 「ホントですよねえ!」    しばらくして、毎度おなじみFMマリノ社長の酒井秀樹くん、橋本朋弥くん、 ありゃありゃ、三好石材の三好康治社長が車で迎えに来てくれた。  仕事の打ち合わせの前に、やっぱりうどんを食べる。 「どこで食べる、土居ちゃん?」 「ちくせいかな?」 「ボクも、ちくせいに一票!」と、柴尾英令くん。  私も、「ちくせい」に行きたかった。  桃太郎チームは、本当に仕事と食事の好みは本当によく合う。  午後12時40分。全員で「ちくせい」へ。  半熟卵まるごと天ぷらで、桃太郎チームをとりこにしたお店だ。  しかも、天ぷらの具をいうと、その場で揚げてくれる。

 このその場で揚げてくれるのが、さぬきうどんの魅力のひとつ。  東京に雨後の竹の子のように、さぬきうどん屋さんが進出してきたけど、天ぷ らはほとんど作り置き。  お寿司と天ぷらは、握りたて、揚げたてがおいしい。  しかし、総勢8人(私、嫁、三好康治さん、土居ちゃん、酒井秀樹くん、岩崎 誠、柴尾英令くん、橋本朋弥くん)が、大量に天ぷらを注文してしまったものだ から、天ぷらがなかなか出来上がらない。  先に、うどんを食べながら待っていようと言いながら、みんなずるずる、ちゅ るちゅる、あっというまに、丼が空っぽになっている。

 デザートに、天ぷらが来る不思議な順番。  それでも、タマネギとつくわの天ぷら、半熟卵は絶品。  いやあ、さぬきうどんを食べた瞬間に、高松に来たなあ!という気がする。  まだ2ヶ月ぶり程度なのに、ずいぶん高松に来ていなかったような気がする。  さて、FMマリノに行って、仕事の打ち合わせをしようとすると、岩崎誠も、 土居ちゃんも何やら、アイ・コンタクト。  どうやら、もう1軒行きたいという意思表示だ。 「そういえば、さぬきうどん博士・ワ〜ッハッハ!の安藤芳樹さんが推薦してく れたお店があったなあ!」 「じゃあ、会議の後にそこに行くということで、場所だけ確かめに行きませんか?」 「どうも、その言い方、行ってみてやっていたら、食べちゃう雰囲気だなあ!」 「あはははは!」 「はっはっは!」  どうも、全員食べる気マンマンだ。  午後1時15分。高松けいりん近くの埠頭。 「たも屋」へ。 「さくまサン! よかったですよ。このお店午後2時で終わりになるところだっ た! あはははは!」  営業時間が、午前7時から、午後2時と変則的。  日祝・休。

 初めてのお店は注文の仕方に手間取る。  本当にさぬきうどんは、お店によって、メニューの呼び名が違う。  さっき「ちくせい」では、温いうどんだったから、今度は冷たいのが食べた い。生醤油がないなあ。 「冷たいうどんが食べたいんですが、どれを注文すればいいですか?」 「ざるうどんだね!」 「ざる?」 「うん。ざるなら、冷たい!」 「生醤油はないんですか?」 「ざるに、醤油をかければいい」  ちょっと不安だが、郷に行っては、郷ひろみ。  言われるままにコマを進めよう。  天ぷらは、魚のフライにする。

 ありゃ。本当にざるの上に冷たいうどんが乗っている。  そばちょこみたいなのに、つけて食べる。  おお! ぷりっぷりっのさぬきうどんだ。  ここの麺の弾力は、素晴らしい。

 魚のフライに、ソースをかけて食べたら、これがうまいのなんの!  備え付けのソースがかなりうまいと見た。  さぬきうどん博士・ワ〜ッハッハ!の安藤芳樹さんが、手作りのコロッケを推 薦していた。やっぱりソースの味がいいのだな。でも、きょう手作りのコロッケ は品切れだった。  もう一度来るべきお店だな。  午後2時。ようやく、FMマリノ7Fの会議室にて、打ち合わせ。  と思ったら、ある人から電話が入る。 「明日、大阪の仕事が午後3時で終わる? その後なら、京都に行ける? お お! それはいい! ぜひぜひ! 大丈夫ですよ。土居ちゃん、柴尾英令くんは そのまま終電で東京に帰る予定だから!」  ほう。おもしろい人からの電話で、明日が楽しくなりそうだ。  誰からの電話かは、明日の日記を待て!  …といって、日記を1週間更新しなかったら、みんなしびれ切らすだろうなあ 。あはは。  FMマリノのウッディなおしゃれな会議室で、打ち合わせ開始。  きょうはあの鬼無駅に建てた桃太郎電鉄石像の第2弾を建てようという話をし に来たのだ。わっはっは。私はこういう馬鹿げたことになると、しつこいでし ょ? 先月9月、JR四国の梅原社長に会ったとき、どさくさまぎれに「梅原さ ん! また鬼無駅に石像を建てさせてくださいよ!」と言ったのを、実行に移す のだ。

 どんな石像にするか…は、まだここで言わないほうがいいよね。  もし計画が立ち消えになったら、淋しいからね。 「目標としては、8月の初旬には、建てたい!」 「遅くともお盆には、建っていてほしいね!」 「大きさは、1.5メートル?」 「いや、2メートルはほしいなあ!」 「いっそ、3メートル!」 「3メートルだと、10トン越えちゃいますよ!」 「すまん、すまん。調子に乗ってしまった」  そんな話をしているうちに、衝撃的なアイデアをひらめいてしまった。  石像についてのアイデアではなく、『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』のアイ デアだ。  すでに『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書はほとんど完成しているの だが、あとひとつくらい「ぜひ、お客さんに見てほしい!」というものがほしか ったのだ。  そのアイデアがキラキラキラッと降臨した。  う、う、うれしい!  三好石材の三好康治さんにお詫びしながら、その場で緊急会議。 「鉄は熱いうちに打て!」  仕様書の骨格が出来るまで、ディスカッションしてしまわないと、後日、腰抜 けのアイデアだったことが判明することが多い。 「桃鉄通」の岩崎誠まで加わって、アイデア出し! 「ちょっと岩崎誠のアイデアは、自分の戦い方を有利にするアイデアが多いな あ!」 「ははは! 勝ちたいですからね!」  岩崎誠は攻略法を考えた上で、アイデアをいうから、いやらしい。  午後4時30分。総勢8人のまま、JR鬼無駅へ。  新しい石像の設置場所を検分だ。 「すごい! まだ桃太郎電鉄石像、無傷だ! この辺の高校生は本当にマナーが いいなあ!」  ちょうど下校時間なので、駅には学生さんが多い。

「おお! 思ったりより、ここの敷地広いぞ。これならじゅうぶん建つ」 「うん。大きいのが建ちそうだ!」

「しかし、石像の貧乏神の後姿って、まだ一度も日記で公開していないような気 がするなあ!」 「そういえば…」 「哀愁があっていいよなあ! しげしげと見るのは初めてだ!」 「な、な、何でさくまサンがじっくり見ていないんですか?」 「だって、除幕式の日はまったく見ることができなかったし、瀬戸内海放送『桃 いろ』のときは、ここに着いたら、すぐ撮影で、終了したら、次のロケ地へで、 のんびり見るヒマが全然なかった!」 「だったら、きょうじっくり見れていいですね!」 「いいなあ! 貧乏神の後姿!」

みんなで「貧乏が猿(去る)〜〜〜〜!」

 もっと、じっくり見ていたかったけど、寒い!  寒さには勝てない。  午後6時・高松市丸亀町の「一鶴(いっかく)」へ。  骨付き鳥のお店。  鶏をたれで焼き上げた、ちょっとどころか、相当カロリーの高そうな食べ物。 高松の食べ物で珍しいものはほとんど食べているけど、この骨付き鳥だけは、ま だ食べていなかった。 「このお店はどうです? 行きませんか?」とおっしゃった三好康治さんが、骨 付き鳥が高松独特の料理であることを知らなかった。

 たしかに油っぽい味だけど、おいしい。  おやどり1本 930円。  ひなどり1本 780円。  クリスマスの七面鳥のように、1本丸々を齧る。  ひなどりのほうが、圧倒的にやわらかくて、おいしい。  あれ? 私はおむすびも注文したんだけど、おむすびってこれ?  何のへんてつもないおむすびが、3つ並んでいるだけ。  あれ? たしかメニューには、たれを塗ってあると書いてあったと思うんだけ どなあ…えっ? ぎょぎょぎょのぎょ〜〜〜ッ! 「たれをぬって、お食べください!」だって〜〜〜!  鶏を焼き上げたあとに出る油につけろってか〜〜〜! そんな油っぽ…、ん? ん? ん? 土居ちゃんが…。 「うむ。うむ! おいしいなあ!」  戸惑っている私の向かいの席では、おむすびを鶏から流れ落ちた油ぎとぎとを べったり塗っておいしそうに食べている土居ちゃんの顔があった。  さすが中性脂肪の王様!  おいしいけど、この食べ方は50歳のおじさんにはつらい。 「うおおおおおお! 腹いっぱいだあ!」  みんな満腹、満腹!  カロリー高いんだろうなあ…。    この「一鶴」は、関東の横浜駅前に出来たようだから、興味のある人はぜひ行 ってみてください。 『桃太郎電鉄』にこの物件、登場させようかなあ!  しかし、高松は、もう新しい物件が入る余地がまったくないぞ。   全国編の場合は、最大8件だからなあ。  とくに高松の場合は、8件で、さぬきうどんのお店が多い印象を与えないとい けないからつらい。しょうゆ豆も、レタス畑も紹介したい。  こんなことで実は苦しんでいるのですよ。  午後8時。全日空ホテルクレメント高松に戻る。  土居ちゃん、岩崎誠、柴尾英令くんたちは、夜の高松へ。  私は、きょう電撃的に出たアイデアをまとめる作業。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』のイベント関係の締め切りが刻一刻近づいて 来ているのだ。きょうのアイデアは絶対入れたい。急がねば!

 
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