12月26日(木)

 いよいよ年末ですなあ。
 本日も熟睡。
 いいもんだねえ、睡眠時間がたっぷり取れるってことは。

 さて、腑抜けシリーズの総仕上げは、温泉につかって、指先がふにゃふにゃに
なるまで、だら〜ん、だら〜んするしかない!
 しかもできることなら、雪でも見ながら、酒を一杯…私はお酒が飲めないので、
風呂桶で雪をすくって、雪で温泉の熱さを緩めるというのを一度やってみたい。
 午後1時。東京駅から、上越新幹線たにがわ443号に乗車。
 天気予報では急激に冷え込むといっていたのに、あまり寒くないねえ。
 雪がほしいぞ、雪が!

 乗車後、仕事を…いや、きょうは仕事しませんぞ!  コンピュータだって持って来ていない。  今年の2月、仙台の秋保(あきう)温泉で、ぐ〜〜〜たら、ぐ〜〜〜たらした のに味を覚えて、今度は、だら〜〜〜ん、だら〜〜〜んするのだ。  目的地は、水上(みなかみ)温泉。 『桃太郎電鉄』では、一度も登場したことがないと評判の群馬県だ。  そろそろ関東編の準備として、今後は群馬県もディープに取材して行きたい。  旅だからして、駅弁でないといけない。  鹿児島地鶏弁当を食べる。  900円だ。  鶏がみそ味になっていて、かなりおいしい。

 新幹線は、関東平野を走る。  どこまでも広い。  熊谷(くまがや)を過ぎたあたりから、遠くに山が見えて来た。  でも肝心の雪山はまったくない。  予報では、日本海側は大雪とか言っていたんだけどなあ。  きょうこれから行く旅館は、「雪見風呂」が付いているから、選んだのだか ら、雪が降っていてくれないと困る。  高崎(たかさき)駅に停車。  全然雪がありましぇーーーん!  青空がと〜〜〜っても、きれいで〜〜〜す!  あと10分くらいで、目的地の上毛高原(じょうもうこうげん)駅に着いてし まうんだけど。まいったなあ…。  午後2時17分。上毛高原駅で下車。

 トンネルを抜けたら、遠くの山のてっぺんがちょっとだけ白くなっていた。  近いもんだねえ。  東京を出てから、わずか1時間17分ですよ。  熊谷で、新幹線あさひの通過待ちをしていたんだから、本来なら1時間を切る 近さなんだろうねえ。  しかし、上毛高原駅!  何もないと、うわさには聞いていたけど、何もなーーーーーーーーーい!  がらーーーーーーーーーーーーーーーん!  しーーーーーーーーーーん!  さむ〜〜〜!  気分はデクレッシェンド。  この上毛高原駅。新幹線の駅のくせして、在来線との連結がまったくない。  上越線に乗り換えて、水上駅までってわけには行かないのだ。  どうすりゃいいのかと思っていると、駅前にリレーバスの文字が。  水上(みなかみ)駅まで行くとな。  あれに乗ろう!  あっ。ドアが閉まってしまった。  待ってくれ〜〜〜!  おお! さすがローカル・バス。  開けてくれた。  乗ったとたん、出発!    午後2時24分。リレーバスで、両毛線の水上駅に向かう。  座席が狭いっ!  乗客は、15人ほど。温泉地に停まるたびに、何人かが降りて行く。  バスは、月夜野(つきよの)という町を通る。  スキー・シーズンになるとよく聞く名前の町だ。  きれいな名前だけど、追突事故が多かったよね。渋滞とか。  おお、地名が水上町になったぞ。  なんだか、まわりの景色に雪が増えて来た。  近くの山が、初老のおじさんのごま塩頭のように白くなって来たぞ。

 水上温泉郷に入る。  いいぞ、いいぞ。  オセロ・ゲームで白が優勢のように雪の面積のほうが、増えて来た。  こうでなきゃ、こうでなきゃ!  めざすは何てったって、雪見風呂だ!  古い旅館が多いなあ。  かなり寂れている。  午後3時。JR水上駅に着く。  有名な水上温泉である。  でも私と嫁が行くのは、谷川温泉。  谷川温泉と水上温泉はどう違うのかというと、このあたり一帯の総称が「水上 温泉」で、そのなかの一部が、谷川温泉なんだそうだ。  水上温泉のほうが、えらいわけだね。  というより、400年の歴史があるらしいね、水上温泉は。  そのわりに話題が少ない。  武田信玄の隠し湯があるわけでなく、小説化の記念館があるでもない。  縄文時代の遺跡があったけど、最近は遺跡を見ると「本当なのかあ?」と思っ てしまうもんねえ。 「多くの文人たちに愛された」って、文字も出てくるんだけど、具体的な名前が 出てこないところに、気迫を感じない。

 とりあえず、水上駅構内に入る。  小さな駅だなあ。  お土産品屋が構内にはなく、売店の前は、きのことこんにゃくばかりだ。  湯の花まんじゅうは、温泉地では珍しくないからなあ。  水上温泉を一周するシャトルバスは、11月下旬で、運休に入っている? そ ういう季節なのか。こりゃますます雪が降ってくれなきゃ困る。  水上駅から、タクシーに乗る。  谷川岳に向かって、車は登って行くので、どんどん雪の量が増えていく。  見事に田畑が、不二家のホールケーキのように、白くなって来たぞ。  谷川岳ってのが、どこにあるのかわからない。  午後3時30分。谷川温泉の「仙寿庵(せんじゅあん)」へ。  これは見事な旅館だ。  もっと鄙びた老舗旅館を想像していたんだけど、気鋭のデザイナーがデザイン して、なんとか賞を取りましたみたいな大胆な作りだ。  基本的には和風なんだけど、洋風のリゾートホテルのように思える。

 圧巻は、山に向かって、高さ10メートル以上の全面ガラスの廊下。  どうやらガラスの向こうは、日本庭園らしいのだが、もはや雪が積もってい て、きれいだが、庭園の姿は想像できない。  でも、雪を見に来たかったのだから、これでいい。

「ちょうど昨日から降り始めたんですよ」と、旅館の人。  ふっふっふ。  私は運がいいからね。  その分、不運も多いけど。  さっそく、部屋付きの露天風呂を見なければ!  おお! おお! おお!  これは広い!  人間が4〜5人入れてしまうような広さだぞ!  だら〜〜〜ん、だら〜〜〜んするためにも、まずは露天風呂に入らなければ。  うおっちっちっち…。あぢぢ…。  いや、意外と熱くないな。  すごいな。深さが1メートル近い。  屋根からつららが下がっている。雪まで下がっている。

 まずは、お約束の「は〜〜〜、極楽! 極楽!」と、つぶやく。  お次は風呂桶に雪をすくって、お湯を薄めるのだ!  おお! 桶の雪をつかんで、お湯に浮かべようとしても、しゅっ!と音を立てて、 雪が消えてしまう。シャボン玉を作るような楽しさがあるね。  20分ほどで、風呂を出る。  きょうはまだ何回か入るぞ!  次にすることは、読書だ。  広い部屋にひっくり返って、本を読むのは快感だ。  自宅でもできることだけど、部屋に何もないのがポイント。  まわりに筆記用具が並んでいての読書では、資料を紐解いているようなものだ。 『だれが「本」を殺すのか 延長戦』(佐野眞一・プレジデント社)を読む。  筆者の図書館の在り方には、かなり共感する。  図書館は必要と思うが、何も『ハリー・ポッター』のようなベストセラーや、 『競馬必勝法』の本や、『パチンコ必勝法』の本まで置くことはないのにという 意見には大賛成だ。  学術書とか、美術書こそ、部数が行かないのだから、図書館が買い上げて、多 くの人の目に触れるようにしてあげてほしいものだ。  本を読みながら、いつのまにか、うとうと…。  これこそ、究極のだら〜〜〜ん、だら〜〜〜んだ。  午後6時。食事は、別邸にて。  延々館内を歩いて、いちばん遠いところにあった。  すごいのは、食堂ではなく、個室なこと。  掘りごたつになっていて、眼下に谷川が見える。谷川はやがて利根川と名前を 変える。

 雪が激しくなって来たぞ。  いいぞ、いいぞ!  これでこそだ!  料理のほうは、まあまあ!  いつも言うが、私と嫁の「まあまあ!」は、かなりいいランクだ。  群馬名産のきのこや、こんにゃくが多いんだけど、きのこやこんにゃくの美味 しさには限界があるからねえ。  岩魚がメインだったんだけど、せっかく炭火が置いてあるんだから、ここで炙 って食べる趣向がほしかった。

 でもデザートが美味しかったので、終わりよければ、すべて良し。  午後8時。部屋に戻って、私は2度目の露天風呂。  一段と雪が増えて、気持ちいいぞ。  露天風呂という習慣があるだけで、生まれ変わっても日本人に生まれたいと思 えちゃうなあ。  何でこんなに気持ちいいんだろうねえ。  お風呂を出たら、年賀状書き。  温泉で年賀状を書くってのも、だら〜〜〜ん、だら〜〜〜んしてていいでしょ。  なるべくひとこと直筆で書きたいんだけど、年々何を書いていいのかわからな くなって来た。以前ならちょっとした近況を書けばよかったんだけど、私の場合、 近況を毎日公開してしまっている。  さりとて、「今年もよろしく」だけの年賀状をもらうのはかまわないが、意地 でも出したくない。  しかも、500枚の年賀状1枚ずつにひとことを書いていたら、年内には終わ らなくなってしまう。  ごめんなさい。今年もまたひとこと文章が減ってしまいました。  温泉で腑抜けたせいでもあります。  午後9時30分。マッサージを受ける。  盲人の女性の方だったが、指の力が強くて、「あれ?」といって、私の左腕の 異変に気づく。脳内出血でまだ左腕がよく動かないことを気づかれてしまったの だ。というより、気づくマッサージ師さんがすごい。  しかも、一度全身をマッサージしてくれたあげくに、もう一度左腕をマッサー ジしてくれた。  午後11時。もう一度、露店風呂に入る。  雪がライトアップされているので、雪が舞い上がるさまが見えて美しい。  山並みが真っ黒なので、深海の景色のようだ。 「は〜〜〜。極楽、極楽!」  京都中央信用金庫立てこもり事件のニュースを見ながら、就眠。 「まもなく犯罪者になる」というビデオを残したのは、けっこう格好いいね。 「人に危害は加えるつもりはない」といって、その通りに、女性行員を開放した し、その後もひとり人質を解放したときも、無傷だった。  本当に、京都中央信用金庫の不正を訴えたかっただけなのかもしれない。             ☆        ☆  お問い合せの多い『おいしい桃鉄』(小学館)ですが、bk1でも買うことが  できます! →bk1でのご注文はこちら!

 
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●「桃いろ」瀬戸内海放送
   平成14年10月5日より毎週土曜日 
   午前10時50分〜午前11時30分放送。岡山・高松地区。

●「桃太郎電鉄ジャパンカップテレビ」スカパー・CSファミリー劇場
   平成14年11月2日より毎週土曜日
   午前0時〜午前0時30分放送。
   詳しくは→http://www.fami-geki.com/


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