11月17日(日)

 午前7時。京都の仕事場にて起床。
 さっそく昨日までの日記を書く。
 正確には、一昨日の日記だ。

 ときどき、何でこうまでして日記を書き続けるんだろうと思うときがある。 
 ひとつには、ホームページ日記を書き始めたことで知り合えた人があまりにも
多いこと。
 ひとつには地方にいて、ふだん会えない人でも、ひさしぶりに会ったときに、
空白なく話せる。これは東京にいる人の場合もおなじだ。

 それと、かつてインターネットでの東芝のクレーム事件の影響は大きい。
 個人が大企業と戦うには、民衆を味方につける以外、方法はない。
 こうして日記を書き続けることで、万が一の有事が発生した場合、開戦前夜、
開戦後を克明に報道を続けることができることだろう。
 これがいちばん大きいかもしれない。
 仕事相手とのもろもろを記録して行くことで、「言った!」「言わない!」の
どっちが正しいかを満天下に知らしめることができる。この日記を読んでいる人
すべてが証人になる。
 その分、誠実な生活と日記を書き続けないといけないのが、けっこうつらい。
ははは。

 午前11時。嫁と、嵐山へ。
 紅葉のピークなので、嵐山の紅葉が美しい。

『おいしい桃鉄』(小学館)用の写真素材として、「嵐山吉兆」の門の写真がほ しいと、成沢大輔くんにいわれたので、撮りに来た。  嵐山はものすごい人出だ。  ただでさえ、紅葉の時期なのに、交通対策緩和のための調査と、交通規制をし ているものだから、よけい混雑している。 「京都市では昨秋より、嵐山・嵯峨野地区の観光シーズンの交通問題の解消に向 けた取り組みを行っています」ということらしい。  そのためには、この時期に交通調査をしなければならないわけだ。

 まあ、嵐山の観光シーズンの渋滞は、尋常じゃないことは何10年にもわたっ て言われ続けてきたことだから、こっちも協力するしかない。  いちばん簡単なのは、嵐山の名物・渡月橋を広げることだろうけど、京都の人 は昔からあるものを、近代的にすることを嫌うからなあ。  嵐山吉兆の前で、デジカメ。  予想以上に、「嵐山吉兆」の前で、記念撮影するおばちゃんがあまりにも多い ので、けっこう撮影は面倒だった。  一組が去ったあとに、次の組が門の前に立つ前に、盗み撮りするようなものだ。  こっちは門の前に人がいなくなると、シャッターチャンス。  おばちゃんたちは、門の前に人がいなくなると、あたしの番!

 帰り道、「小督庵(おごうあん)」の紅葉があまりにも美しいので、抹茶と和 菓子だけでも食べて行こうとなった。  毛氈を敷いた縁台に座って、紅葉をデジカメする。 「すみません!」 「あっ、少々お待ちください!」  どうも若いお姉ちゃんの目がうつろだ。  あまりの人出にへとへとになっているのだろう。

「すみません!」 「あっ、少々お待ちください!」  これはちょっと危険だ。  1時間くらいここで待たされる危険性がある。  まだ注文を取りに来ていないので、キャンセルしよう。  …と思って、出口に向かうと、お店のおばあちゃんが、金魚がぱくぱく口を開 けるように、見るからにうろたえて、私たちに何か話し掛けようとしている。 「あの…、その…、5にん…、あわわ…人、あわわわ…、用意が…」  どうも、本当は私たちの前に5組の人が待っていたようなのだ。  門のところに何の表示もなかったぞ。  かなり広い庭なので、いつもは混乱することはなかったのだろう。  まあ、こっちとしては、庭の写真も撮らせてもらっちゃったし、ここに1時間 以上いたら、待ち合わせ時間に遅れてしまうので、かえって好都合。  おばちゃんは「あの…、すいません… ありがとうございます…」というのが やっとであった。  いや、こっちも「ありがとうございます!」だ。  午前11時30分。京福嵐山駅。  嵐山駅がリニューアルされて、きれいに大きくなっていた。  駅員さんに聞くと、10月26日に改装したとのこと。  京都のお漬物屋さんが巨大になったようなちょっと趣味の悪いデザインだけ ど、こうして駅が大きくなることはいいことだ。  プラスチック製の竹を天井に敷き詰めるなど、一生懸命京都らしさを出そうと している姿は、えらい。  駅構内にもお店がたくさん入っていて、「はんなりほっこりスクエア」という んだそうだ。

 午前11時34分。京福嵐山電鉄で、四条大宮まで。  かつて四条大宮に仕事場を構えていたので、この京福電車は、故郷の電車に乗 るようななつかしさがある。  江ノ電とか、どうもこういう市電っぽい乗り物が好きだ。

 午前11時56分。四条大宮駅。  駅を降りると、ちゃんとヤサカタクシーの宮本さんが待っていてくれる。  昔、漫画の『鉄腕アトム』の時代に、『スーパージェッター』というアニメに もなった大ヒット漫画があった。  腕時計型の携帯電話で「流星号応答せよっ! 流星号応答せよっ!」という と、ぎゅわーーーん!と、流星号というエアカーが飛んでくるという設定があっ た。 ヤサカタクシーの宮本さんは、流星号だ。  京福嵐山駅で「午前11時56分に四条大宮に着きます!」といっただけで、 「ほな、その時間にお待ちしております!」と来てくれる。  しかも絶対時間に遅れることがない。  そのまま、京都駅へ。  午後12時37分。京都駅に、すぎやまこういち先生の奥様が到着。きょうは 奥様おひとり。  なんと、奥様はうちのホームページ日記を見て、紅葉の美しさに、いてもたっ てもいられず、京都まで日帰りで来てしまったそうなのだ。京都に家があるのだ から、明日帰ればいいのにと思うのだが、明日は東京でお仕事がある様子。  この思い切りのいい行動力、まだまだ私たちは、学ばねば。  午後1時。ヤサカタクシーの宮本さんの車で移動。  というわけで、奥様といっしょに、きょうは紅葉を楽しむことに。  その前に私のお仕事をひとつ。  聖護院の「西尾老舗」へ行く。  ここは創業300年。八つ橋発祥のお店だ。  このお店が伝統にあぐらをかくことなく、つねに新しいチャレンジを試みてい る。今も青りんご味、焼き芋味、栗味、みかん味、ラムネ味、いちご味、桃 味、さくら味…と新製品を開発して、そのどれもがおいしい。  とくに季節限定の焼き芋味は、本来、成沢大輔くんに頼まれて、『おいしい桃 鉄』(小学館)のために買いに来たんだけど、うちのグルメ娘のイチ押し生八つ 橋である。

 ここはお店に入るなり、お茶と生八つ橋饅頭とも呼ぶべき「おまん」を出して くれる。さらに生八つ橋の新製品をいくらでも試食させてくれる。  これは味に自信がなければ、できないことだ。

 生八つ橋で有名なお店は、4〜5軒あるけれど、私はこの「西尾老舗」の生八 つ橋がイチ押し!  生八つ橋をつかったクランチ・チョコレートも私は大好きだ。 <本家八ツ橋西尾株式会社> 住所:京都市左京区聖護院西町七 電話:075-761-0131  午後1時30分。浄土寺の「真如堂」へ。 この「真如堂」は、紅葉が美しい ことで有名なお寺。  おお! 門が朱塗りで赤いのに、その後ろの紅葉のほうが、もっと鮮やかだ。  これは紅葉で有名になるお寺だけのことはある!

 えっ? 駐車場が無料?  えええっ? 拝観料も無料?  そ、そ、そんなもったいないことを!  観光寺が多いなかにあって、なんでそんなに良心的、いや自己犠牲を払ってま で人に尽くすんだろう! 資本主義の泥沼に生きる私には理解できない。  ヤサカタクシーの宮本さんに聞いたところによると、このお寺には四方八方か ら入る道が多いので、いちいち料金所を設けたら、その人件費のほうが高くつく というんだけど、これだけ美しい紅葉を持っているなら、どんなに値段を高くし ても、いくらでも観光客は来るでしょう。  永観堂なんか、拝観料1000円らしいですぞ。  しかも、お寺の人が、交通整理をしたり、来た人の質問に答えている。  思わず私は、小銭をバラバラと、5〜600円ほど、お賽銭箱に投げ込んで来 ましたよ。誰もお賽銭すらあげないんだもん。  茶店も、お土産品売り場もないし。  私は、この「真如堂」を気に入ってしまった。  3日前に行った南禅寺は、広い境内に美しい紅葉の木々が生い茂っていたけ ど、ここは狭い敷地に、びっしりの紅葉だ。  しかも黄色いイチョウもきれいだ。

 この「真如堂」は、12月初旬にもお寺の裏のほうに紅葉が生い茂る二毛作、 二期作のようなお寺らしいので、私は絶対、もう一度12月初旬に行くぞ!  午後2時30分。車は大徳寺の前の「いちま」へ。  創業70年のお寿司屋さんというより、割烹料理屋といったほうがいいのかな。   みんなで小さな丼に入った、蒸し寿し 1500円を食べる。  甘くておいしい。

 この蒸し寿し、蒸すのに時間がかかるとは聞いていたけど、お店が混んでいる こともあって、出てきたのが、20分後。  すぎやまこういち先生の奥様、ヤサカタクシーの宮本さんと楽しく談笑してい たし、味もよかったので、別に気にならなかったのだが、私と嫁の東京へ戻る時 間のほうが心配になって来た。  そんなわけで、このお店で、すぎやまこういち先生の奥様とはお別れして、私 たちは京都の仕事場へ。奥様はもう少し、紅葉をご見物。  駐車場でご挨拶していると、お店の人がやって来て「さくまあきらサンですか?」 というようなことを嫁に聞いているようだ。  きれいなお姉さんが、私を知っているのは光栄だなと思ったら、お店で隣りに いた男性のお客さんが、私のファンだというので、確認しに来たらしい。すぐ後 に、そのお客さんがやって来た。  名前とか聞くのを忘れたけど、30歳半ばくらいの男の人だ。 「ホームページ見てるんで、さくまサンかと思って!」 「おや! ホームページ見ている人と、いっしょのお店になるなんて、すごい偶 然だねえ!」 「いやあ。びっくりしました。たぶん間違いないと思ったんですけど、料理の写 真を撮られていないようなので、違うのかなあ?と思って…」  おお! そういえば、私の日記に載っている写真はすべて私が撮っていると思 う人が多いようだが、すべて嫁である。  嫁は最近、報道カメラマンとまで呼ばれている。  人よりも料理のほうを熱心に撮るカメラマンだが。  しかし、この日記を読んでいる人と、お店で遭遇してしまうなんて、インター ネットは、ラジオ番組以上の影響力があるってことなんだろうなあ。  そう思うと、ちょっとここまで克明に私生活を暴露しまくるのは、少し考えな いといかん。思いつかないけど。はっはっは。  この私のホームページを読んでいる男の人に、「この人は宮本さんだよ!」っ て言ったら、「ああ! ヤサカタクシーの…!」という言葉が返って来た。  私のホームページ日記をよく読んでいる証拠だ。  彼は大阪の人だそうだ。  いやはや、インターネットは私の想像以上に普及して、ちょっとどう対処して いいのかわからなくなって来ている。  午後3時30分。京都の仕事場に戻り、帰り支度。  午後4時43分。京都駅から、のぞみ80号に乗車。  連休の日曜日だから、京都駅のホームは、おばちゃん、おばちゃん、人、おば ちゃん、人、おばちゃん、おばちゃん!  ちょっと手を伸ばせば、おばちゃんのひとりやふたり、簡単にホームから転落 させることができそうだ。  女性のツアーコンダクターの声がうるさい。  この女が、私たちの耳元で「私たちが乗る新幹線は、2本あとでーーーす。そ れまでは自由に待機していてくださーーーい!」と怒鳴る。  まわりを見てから、でかい声を出せよ!  若いときだったら、絶対あの女の耳元で、でかい声を出し返してやったがなあ …。  本来、こんな大混雑する新幹線に乗るはずがない私なのだが、明日「ジャパン カップTV」の撮りがあるので、きょうじゅうに帰らないといけない。  わずか10分ほどの撮影のために帰るのは、ちょっとなあ…と思うのだが、 『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!』発売直前の週の収録だという ので、帰らねば。  もうひとつ気が重いのが、私はいつも新幹線を2人座席(D席、E席)を取る ようにしているんだけど、11月14日に京都駅でキップを買ったにもかかわら ず、2人座席といったにもかかわらず、午後4時過ぎののぞみ号なら、どの列車 でもいいからといったにもかかわらず、3人席(A席、B席、C席)のチケット を発券されてしまったのだ。  あれだけ、念を押して言ったので、つい2日間チケットを確認しなかったこっ ちも悪いのだが。  おかげで、VAIOを広げて、仕事を始めるも、早々に電源を切るはめになっ てしまった。3人席だと、3人目の人が、横から覗けてしまうのだ。 『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』とか『桃太郎電鉄U(仮)』と書かれたフォ ルダは、ちょっと他人には魅力的すぎる。  疲れも出て来たので、寝る。  午後7時。東京駅着。  午後7時30分。ずっとうどんばかり食べていた気がするのと、うちの娘を置 きっぱなしにして、一週間の出張だったので、娘の機嫌をよくするために、焼き 肉の王者「第一神宮」へ。 「タン塩も食べていい〜?」 「シイタケも頼んでいい〜?」 「オイキムチ、もう1回頼んでいい〜?」 「松阪牛のステーキ、おいしいよね〜!」  娘の機嫌は必要以上によくなり過ぎてしまった。  午後8時30分。ほぼ1週間ぶりに、原宿の自宅に戻る。  秋は毎年、東京の家にいることが少ない。  冬になると、取材に行く気力と体力がないので、どうしても今のうちに取材を しておこうという気持ちになる。  冬の雪に閉ざされて、天下を狙えなかった上杉謙信や、柴田勝家の気持ちがわ かるなあ。 『ビートルズ・アンソロジーVOL.7』を観ながら、就眠。

 
さくまNEWS

●『桃momoko娘のホームページ』ができました。
 みんなの日記も読めるよ! 応援してね!

●『桃太郎電鉄11-ブラックボンビー出現!の巻-』のHPです! 

さくまNEWS

●『おいしい桃鉄』(小学館)12月中旬発売!          
 ついに『桃太郎電鉄』の美味しい物件をすべて公開する!     

●CD『桃太郎電鉄11〜ゴールド・サウンズ』、          
『ベリー・ベスト・オブ・桃太郎伝説&電鉄(仮)』12月中旬発売!

●『桃太郎電鉄』携帯着メロ、近日配信開始!           

●『桃太郎電鉄さぬきうどん』が「めりけんや」サンのHPで    
 通販できることになりました! ぜひ食べてみてね!
 めりけんや http://www.merikenya.com/

●「桃いろ」瀬戸内海放送
   平成14年10月5日より毎週土曜日 
   午前10時50分〜午前11時30分放送。岡山・高松地区。

●「桃太郎電鉄ジャパンカップテレビ」スカパー・CSファミリー劇場
   平成14年11月2日より毎週土曜日
   午前0時〜午前0時30分放送。
   詳しくは→http://www.fami-geki.com/

●『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!
   平成14年12月5日発売!
   プレイステーション2、ゲームキューブ同時発売!
   「桃鉄ジャパンカップ」や公開収録の予定は、こちら!

-(c)2002/SAKUMA-