10月4日(金)

 ああ、主よ! 罪多き私をお許しください!
 私はきょう、取り返しのつかないような散財をしてしまいました。
 それは…。

 午前7時。『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の仕様書作り。
 きょうも昨日の続きで、物件の再チェック。
 物件の選定は、大好きな仕事なので、ついついインターネットであれこれ調べ
て、どんどん脱線していく。

 午後12時。嫁と、東京駅の「地中海キッチン」へ。
 最近、東京駅の充実度はめざましいものがある。
 この「地中海キッチン」も、以前は喫茶店だったはず。
 回転寿司と、パン屋と、この「地中海キッチン」の3種類のお店に分かれた。
「松本シェフ自慢の野菜たっぷりビックリハンバーグステーキ」という風変わり
な名前の料理に、コーヒー。
 特筆するほどの美味しさではないが、「駅ビルの飲食店は、まずい!」の鉄則
からすると、見違えるような美味しさだ。

 午後1時03分。東京駅から、ひかり125号に乗車。
 日帰り旅行にでかけるのではない。
 きょうは鎌倉に行くのだ。
 鎌倉に行くのに、新幹線に乗ってることが変なのだ。

 午後1時20分。新横浜駅で下車。

 午後2時。横浜市都筑区というところの「フレックスオートレビュー」へ。
 このお店は日本の古い自動車をレストアして売っている。
 今週の火曜日だったか、テレビ東京の深夜、小倉智昭さんと高田純次さんが出
演している番組で、このお店が出てきた。
 
 日本の古い自動車が、いくらで買えるかという場面で登場したのだ。
 このとき、私が北陸の自動車博物館で見るだけで興奮した、初代ニッサン・シ
ルビアがテレビ画面に登場した。
 ぐへっ。まだ本物が残っていたのか!
 何たって、昭和41年(1966年)に製造されて以来、わずか544台しか
作られなかった幻の名車なのだ。
 しかも、売っている!?

 もうこれだけで、私はいてもたってもいられなくなって、嫁にテレビ東京に電
話をかけてもらった。テレビ東京でも、さすがにわからないらしく、テレビ制作
会社の電話番号を教えてもらって、このフレックスオートレビューさんの名前を
聞き出した。
 あとはインターネットで調べれば、アクセスは簡単にわかる。
 だから簡単に来てしまった。
 おお! 本当に初代ニッサン・シルビアだよ〜!  子どもの頃にも、この色(シャンパン・グリーン)にあこがれたんだけど、本 当に美しい。  昔、ダイキャスト製のミニカーでこのニッサン・シルビアを買ったものだ。  その後、室内サーキットで、レーシングカーなる模型が流行したときも、私は このニッサン・シルビアを買った。  小学生の頃、粗末なわら半紙に、何回このシルビアの模写をしたか数え切れな い。私が最初になりたいと思った職業が、カーデザイナーなのだ。  このニッサン・シルビアは、当時ドイツ人がデザインした。  そのヨーロッパ風のデザインに、心を奪われたものだ。  たしかニッサン・フェアレディのエンジンを積み込んでいたように記憶してい る。思い出話ならいくらでもできるぞ。  昭和41年の発売当初も、この車は120万円という、今の価格で言えば、 1200万円に匹敵するような値段だ。  当時、欲しいとさえ思わなったような車だ。 「ええっ!? 運転席に乗りますか?」だって〜〜〜!  お店の人が、車のキーを取りに走る。  ちょ、ちょ、ちょっと、そんなこと!  本物をこんなに間近に見ることができただけでも、うれしいのに!  2000年の3月4日の私の日記を見ていただくと、私が北陸の自動車博物館 でニッサン・シルビアの前で、だらしくなく微笑んでいる写真を見ることができ る。そのくらい私は、このニッサン・シルビアが好きなのだ。  運転席に座る。  うおおおっ。この細いステアリング!  クラッチを踏んだときの感触!  短いギア・シフト。やっぱり車はオートマじゃなくて、マニュアルじゃなくち ゃね〜!  血圧が急上昇して行くのがわかる。  嫌なことで血圧が上がるのではなく、うれしいことで血圧が上がるのなんて、 1998年の横浜ベイスターズの優勝のとき以来だ。  おお! ボンネットまで開けてもらった。  うむむむっ。 「うーーむ。何もかも、なつかしい…」  嫁の顔を、チラッと見る。 「買えば?」  な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、 な、な、な、なんということを言い出すだあああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああっ!  実際、最近話題の新型ニッサン・フェアレディZに比べると、はるかに安い値 段なのだ。いや、値段が問題なのではない。  私の左半身はかなり回復した。  ギア・チェンジはできるかも知れないけど、サイド・ブレーキは、まだ引くこ とができないと思う。  しかも2人乗りだぞ。家族3人で乗ることすらできない。  私の代わりに誰かに運転してもらったら、あとひとりしか乗れないのだ。  運転できないのに買うか?  ミニカーの1分の1モデルを買えってか? 「もう2度と会えないかもしれないわよ!」  むぐぐぐぐぐっ。  そのひとことは効いた。  昭和40年代、わずか544台しか生産されなかった車だ。  現代残っている車は、100台を切っているはずだろう。いや、50台もない かもしれない。ああ! そんなことを考えちゃいけない。  でも、もう本当に会えないかもしれない。  オードリー・ヘップバーンが「私と付き合ってください!」と懇願しているの に、断るようなものだぞ!  汗をびっしょりかいている。  暑さのせいばかりではない。  かろうじて、次の言葉を嫁にいうのが、やっとだった。 「あんたも何か値段の高い物、欲しくないか?」  嫁を共犯者に仕立て上げるしかない。 「別に、ほしいものはないわね…」  そ、そ、そんな…。 「買う…」  子どもの頃、買うのが夢だった以上の車だ。 「買います…」  ああ、言ってしまった…。  あとはもう何をしたかもよく覚えていない。  プロ野球の投手が生まれて初めて、1軍入りして、東京ドームのマウンドに上 ったときの気持ちは、こんな感じだったのだろう。  契約書に判子を押したり、車庫証明の説明を聞いたような気がする。  夢うつつの海をあてもなく泳いでいるみたいだ。  午後3時30分。横浜駅まで行き、駅前のホテル(名前すら忘れた…)3Fの カフェレストランで、コーヒーを飲んで、気を静める。  まだ興奮している。  午後4時25分。横浜駅から、横須賀線に乗車。  何度も「 ああ、主よ! 罪多き私をお許しください! 私は取り返しのつか ないような散財をしてしまいました!」とつぶやく。  でも、もうこの年だしなあ。  叶う夢なら、ひとつずつ実現させてもいい頃かも。  むしろ、こういうバカげたことをした反動で、仕事に熱が入ることのほうが大 事かもしれない。夢が叶ったうれしい顔を、人に見せたほうが、世のため人のた めかもしれない。  いつもうつむいて、しかめっ面を他人に見せることが、いちばんいけないこと だと私は思っている。  午後4時50分。鎌倉駅で下車。  午後5時。鎌倉駅前の不二家へ。  ここで、超売れっ子漫画原作者・井沢どんすけと、『週刊少年サンデー』で、 読者ページ『青春学園』を連載中の売れっ子フリーライター・ストロウ・ドッグ スのすとろう小泉くんと石川キンテツくんと待ち合わせ。    またこのメンバーで、きょうから泊り込みで、『桃太郎電鉄11〜ブラックボン ビー出現の巻!』のリプレイをする。 「もうすぐ『ジャパンカップ2002』が始まりますけど、きょうから僕たちの もうひとつの『ジャパンカップ』が始まります」と、石川キンテツくん。  この3人、『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!』の実力が伯仲して いて、テスト・プレイの間じゅう、順位がコロコロ変わる。  その決着をつけようというわけだ。 「きょうは鉄道を買いますよ!」と井沢どんすけ。 「井沢〜! 最初の四国路鉄道でも5億円するんだぞ! 勝ってるというのが、 絶対条件になってしまうぞ!」 「だから、きょうは勝つんですよ!」 「ボクは、友だちの弟の中学生と特訓をつんで来ましたから!」と、すとろう小 泉くん。 「とにかく勝ちますよ!」と、根拠のない自信に満ち溢れている、実力どっこい どっこいの、どっこいズの3人であった。
決意も固く、ケーキは甘く
 午後7時。鎌倉長谷の仕事場にて、さっそく試合開始!  いつも通り、井沢どんすけが、最初の目的地、松山に一番乗り! 「きょうは勝ちますよ〜!」  2年目。 「あれ? 井沢どんすけ? その後ろについているのは?」 「貧乏神です!」 「えっ!? もう凋落しているの?」 「ええ! 何でなんでしょうねえ!」  早い。3日天下か?
 はたして、このもうひとつの『ジャパンカップ』の行方は?  明日か、明後日、決着の予定。
 
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 通販できることになりました! ぜひ食べてみてね!
 めりけんや http://www.merikenya.com/
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●「桃いろ」瀬戸内海放送
   平成14年10月5日より毎週土曜日 
   午前10時50分〜午前11時30分放送。岡山・高松地区。

●「桃太郎電鉄ジャパンカップテレビ」スカパー・CSファミリー劇場
   平成14年11月2日より毎週土曜日
   午前0時〜午前0時30分放送。
   詳しくは→http://www.fami-geki.com/

●『桃太郎電鉄11〜ブラックボンビー出現の巻!』
   平成14年12月5日発売!
   プレイステーション2、ゲームキューブ同時発売!

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