8月2日(金)

 午前6時に目が覚めてしまったので、さっそく『桃太郎電鉄11(仮)』の手直
し作業。
 農林物件の収益率を全面的に、やり直す。
 といっても、いつもの収益率に戻ったに、近い。

『桃太郎電鉄』シリーズは、本当にたくさんのお客さんの意見を反映してきてい
るので、今までの収益率のパターンを大幅に変えると、そのせいで、ゲーム・バ
ランスが、ガッタガタに崩れてしまうことのほうが多い。
 ウルトラマンが、スペシウム光線を使わなかったり、水戸黄門が印籠を見せず
に終わったら、絶賛するのは、マニアだけである。
 伝統は、守らなければいけないが、つねにチャレンジも怠ってはいけない。
 難しいものだ。

 午前10時30分。ようやく、『桃太郎電鉄11(仮)』の手直し作業が一段落
する。何だか、喉が痛い。夏風邪のせいだ。
 テスト・プレイは、体力をつかうので、一度風邪を引いたら、期間中は直らな
くなる。なんとか1日でも、休養日を作らないといかんなあ…。

 午前11時30分。嫁と、銀座の「煙事(えんじ)」へ。
 キャベツとひき肉のカレー。
 あいかわらず、ここのカレーは美味しい。
 京都『M』のシーフードカレーの次は、ここの仙台牛カレーだなあ。3番手
が、オーベルジーヌのカレーかな。
 そうそう。このお店にずっといた美人のお姉さんが、今月いっぱいで、お店を
やめて、実家に帰ってしまうそうだ。うちの日記を見て、「煙事(えんじ)」に
行くようになったみなさんは、ぜひ今月中に一度でも「煙事(えんじ)」に行っ
てあげてください!
 
 午後12時。昨日より、暑さは和らいだというものの、まだまだむわ〜と暑い。
 薬を買いに、晴海通りのマツモトキヨシに、向かう途中、暑さに耐えられなく
て、三笠会館に、ピットイン! コーヒー・ブレイク!
 こんな暑い日には、100メートル置きに、喫茶店があってほしいものだ。

 午後12時30分。築地のハドソンへ。
 きょうのテスト・プレイのメンバーは、読売広告の岩崎誠。電通勤務の特に名
を秘すKQZくん。ストロウ・ドッグスのすとろう小泉くんと石川キンテツくん。
アスキー系の雑誌で、記事を書いているライターのいちかわみほサン。

 解説席は、土居ちゃん(土居孝幸)、ハドソン宣伝部の石崎仁英くん。

 さて、テスト・プレイ開始となったのだが、電通勤務のKQZくんがまだ来な
い。電話を入れると、午後2時試合開始だと勘違いしていたようだ。

 午後1時。岩崎誠、ストロウ・ドッグスのすとろう小泉くんと石川キンテツく
ん、いちかわみほサンの4人で、試合開始することに!
 桃太郎チーム関係者としては古株の岩崎誠が「ストロウ・ドッグスのふたりに は負けたくないなあ! だって、井沢どんすけさんに負けたんでしょ!」 「はっはっは。ほら、ストロウ・ドッグスのふたり! 井沢どんすけに負けると いうことが、どういうことかわかったか!」 「いやもう、だから、きょうは絶対、負けられませんよ!」  試合前から、すごい闘志だ。  初対面のいちかわみほサンも、うちの日記をよく読んでいるので、ストロウ・ ドッグスのふたりに負けると、福本リーグに転落というギャグをよく知っていた。  私は、日記に、ギャグのつもりで、「あまりにも『桃鉄』が下手な人は、放送 作家の福本岳史くんに対戦してもらうよ!」といったのだが、みんなの意識は相 当なものだ。  しかも、うっかりヘマをしようものなら、この日記に書かれてしまうと、戦々 恐々なのだ。  難しいもんだねえ。  うっかり、新しいイベントや、新しいシステムを日記に書いてはいけないので、 せめて珍プレーぐらいは、書いて、日記を読んでいるみなさんに楽しんでもらお うと思ったのだが、珍プレーが、テスト・プレイ参加者のプレッシャーになって いるとは! でも、きょうも書きますよ! はっはっは。  試合開始!  試合展開は、静かな幕開け。  どうも貧乏神が、ゲスト怪獣や、キングボンビーに変身してくれないので、大 差がつかない。  わずかに、すとろう小泉くんが、リード。    いつもは、ギャグを飛ばしまくる岩崎誠が、きょうはまったく静かだ。  いや、静かなのではなく、真剣そのものなのだ。 「だって、負けたら、福本リーグ入りでしょ?」 「はっはっは!」  本当に気にしているんだ。  福ちゃん、早くテスト・プレイに来ないと、いちばん下手な人として、定着し ちゃうよ!    午後2時。電通勤務のKQZくんが到着。  首位を行く、すとろう小泉くんと交代する。  しかし、このKQZくん。日記で写真で出てもかまわないというのだけれど、 見ればほとんどの人が、わかってしまうような気がするんだが…。 「まあ、わかる人に、わかってしまう分には…」  でも、最近KQZくんは、けっこう日記に何度も登場しているから、会ったこ とのない人でもわかってしまうのでは。
 とにかく、KQZくんが、すとろう小泉くんのデータを引き継いで、参戦。  この交代で、ますます石川キンテツくんにプレッシャーがかかる。  石川キンテツくんの敗北は、ストロウ・ドッグスの敗北と受け取られてしまう からだ。  しかも現在最下位のいちかわみほサンとの差は、わずか。 「石川キンテツくん、大変だねえ!」 「石川キンテツくん! このなかではいちばん君が『桃太郎電鉄11(仮)』をテ スト・プレイしているんだから、本来は君が独走でも当たり前なんだからね!」 「石川キンテツくんだけが、さっきからちっとも変身していない、黒っぽいやつ がどのくらい恐ろしいのかを知っているんだから、有利なはずなんだよ!」 「ううっ!」  実は、石川キンテツくんには、このゲスト怪獣については、いっさい言っては いけないと命じてあるのだ。テスト・プレイヤーのみなさんが、ゲスト怪獣に出 会ったときに、どういう反応を示すか、どういう対処の仕方を思いつくかという データを、こっちとしてはほしいのだ。  石川キンテツくんの口が、もぐもぐ動く。  言いたい衝動を必死に抑えている。  KQZくんが加わって、しばらくすると、初対面同士の人も、打ち解けてきて、 だんだん言いたい放題になってくる。  稚内が目的地なのに、東北地方にいる人に向かって「北へ!カードをつかうと いいですよ!」といいかげんなことをいう。  この風潮が伝染して、終いには、大流行してしまった。    いちばんひどかったのは、やっぱり岩崎誠だった。  こんな場面だ。    □札幌    │         │    │         │    黄ーー青ーーーーーー□ーー    │          トマム    │    ◎    │    │    上の図をよく見ながら、下の文章を読んでほしい。  いちかわみほサンは、トマムにいた。  いちかわみほサンは、サイコロをふって、3を出した。  トマムから右の方向へ行こうとしたとき…。  岩崎誠が「ワープ駅に入れますよ!」 「えっ? あっ、ほんとだ。ありがとうございます!」  いちかわみほサンは、「◎」の印のワープ駅に入ったのだ!  まあ、当然のアドバイスである。  次の目的地は、伊勢だったしね。  でも、「黄」には、岩崎誠がいたのである。  貧乏神付きの岩崎誠がね!  はっはっは。そうなのだ、いちかわみほサンは、まんまと岩崎誠の誘いに乗っ てしまったのだった。  しかも、気が動転したいちかわみほサンは、思わず館山にワープ!  貧乏神をつれたままで!  館山から、伊勢は遠いぞ!  室戸からでも、伊勢は遠い!  この爆笑ネタで、さらに封印を解かれた孫悟空たちのように、悪さの連発が始 まる。遠慮無しで、いじわる系のカードをお互いがつかい出す。  そのうち、いちかわみほサンが、苫小牧からワープする場面になると、もうう るさい、うるさい! 「館山だ、館山だ!」 「室戸だ! 室戸だ!」 「え〜〜〜!」  次の目的地は、湯布院なのに、違うところばかりいう。  さすがに、いちかわみほサンも、慎重になる。 「誰もいわないところにします」。 「何だよ〜〜〜!」  何だよでは、ないよね〜〜〜! 「わたしだって、阿蘇がどこか知ってますよ!」と、いちかわみほサン。  わあわあ、ぎゃあぎゃあ、うるさいゲーム運びになってきたのだが、首位をひ た走るのは、KQZくん。 「KQZくん、華やかさがないね〜!」 「ええ? 勝ってるじゃないですか!」 「ふつう、首位を行くプレイヤーは、新幹線カードなんかをつかって、<いける かな>で、颯爽と目的地に入るもんだよ!」 「ああ、そういえば。新幹線カードなんて、見たこともないですね!」  このあと、KQZくんは、華のないプレイヤーというありがたくない称号をち ょうだいすることになった。  午後3時。ついに、貧乏神が、キングボンビーに変身!  このキングボンビーに変身したときの、阿鼻叫喚の様は、描くことができない のだが、言いたいのは、外の景色!  東京地方は、きょうはものすごい雷雨だったでしょ?  築地のハドソンの会議室は、8Fにあるので、外の雷が、モロに見える。  外で、バリバリバリ〜〜〜ッ!  テレビ画面でも、キングボンビーがバリバリバリ〜〜〜ッ!  天然の演出が味方についてしまったものだ。
 午後4時。東上線が雷で、停まってしまって、足止めをくらった柴尾英令くん が、ようやく到着。 「えっ? まだ<ゲスト怪獣>が登場してないんですか?」 「まだなんだよ〜! 早く見てもらいたいんだけどね〜!」 「どうですか、きょうのメンバーは!」 「いやあ、きょうのメンバーぐらい、目的地の回りに前にみんなが集合している のに、誰も入れないというのは、珍しいよ!」 「カードは、つかわないんですか?」 「いつも目的地のそばで、次に3が出れば目的地に入れる、5が出れば目的地に 入れるというのを繰り返しているもんだから、みんなカードを買いに行くヒマも ないんだよ!」 「いい試合ですね〜!」  午後5時。ついに、ゲスト怪獣が出現!  石川キンテツくんが、ものすごい形相で、特急カードを2回連続でつかってま で、遠くへ逃げる戦法を岩崎誠が見逃さなかった! 「このメンバーで、唯一ゲスト怪獣の怖さを知ってる石川キンテツくんの逃げ方 は尋常じゃないですよ。ケタはずれにすごいんでしょ、さくまサン!」 「はっはっは、バレたかあ! 石川キンテツくんには、絶対ゲスト怪獣について しゃべってはいけないといったけど、対抗策を講じるなとはいえないしなあ!」 「す、す、すみません!」 「別にいいよ、石川キンテツくん!」 「だって、本当にゲスト怪獣は…」  どうも本当にすごいみたいですよ、みなさん。  あの敵に回すと恐いが、味方にするともっと恐い男・井沢どんすけが、ゲスト 怪獣はキングボンビーより怖いといっているぐらいだからねえ!    プレイヤーには、ナイショで、柴尾英令くんと、こっそりしゃべる。 「これだけ好評だと、次回作で、こいつが登場しないというわけにはいかなくな って来たね〜!」 「登場しなければ、文句くるでしょ、絶対!」 「う〜ん。『桃太郎電鉄12(仮)〜地方編』の構想をちょっと変えなちゃくだな あ…!」
 午後6時。ゲーム終了。  大爆笑のエンディングを見て、岩崎誠の優勝をみんなで、確認。
 岩崎誠の勝因をここで書かなかったのは、勝因になったイベントを、ちょっと これから変更するから。 「あっ、ひでえ!」という岩崎誠の声が聞こえてくるようだ。  岩崎誠よ、これはテスト・プレイなのだよ!  手直しを入れるために、みんなにテスト・プレイしてもらっているんだから、 当然でしょう。  とにかくテンポがよくて、まったくバグらないんだから、テスト・プレイヤー たちは、まったくテスト・ロムをプレイしている意識が、ま〜ったくない! 「すごいですよね、この時期でまったくバグが出ないのは!」と、何本もゲーム を作ったことのあるKQZくん。  私たちも実際驚いている。    午後7時。築地のお寿司屋さん「竹若」で食事。  メンバーは、土居ちゃん(土居孝幸)、柴尾英令くん、ハドソン宣伝部の石崎 仁英くん、ストロウ・ドッグスのふたり、いちかわみほサン。  あれこれ、業界話。  もちろん、最下位に終わった石川キンテツくんの弾劾裁判も行われた。 「さくまサン! お願いですから、井沢どんすけサンと、もう一度対戦させてく ださい!」 「いいけど、今度負けたら、どんな評価を受けるか知らないよ! はっはっは」  午後8時30分。自宅へ。私はまだ体調不良が続いているので、先に帰らせて もらう。  家に帰っても、きょう出た問題点と、次回作用のアイデアをメモらなければな らない。この作業のほうが、テスト・プレイより大変だ。  さらに手直しする場所を早くまとめて、札幌のスタッフにメールしないといけ ない。  明日、明後日は、休養しつつ、ひとりで最新ロムをチェックする予定。  無理をすると、ちゃんと倒れる年齢になってしまったので、休養を取るのも仕 事のうちと考えるようになった。まだついガマンしてしまうけど。  せっかくここまで評判がいいのだから、ここで私が倒れたら、スタッフ全員の 夢を壊してしまう。 「休むぞ〜〜〜!」と、自己暗示をかける。
 
さくまNEWS

●9月21日(土)午後7時開演 浜離宮朝日ホール(築地)全席指定6000円
アマデウス・アンサンブル東京--バッハを弾くよろこび、聴くたのしみ--」


※業界の方で鑑賞希望の方は、うちの嫁まで、8月31日(土)までにご連絡ください。
 メールはこちら→sakumacb@za2.so-net.ne.jp

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