6月4日(火)

『Zカー』(片山豊 財部誠一・光文社新書)という本を読んで、腹が立
った。

 本に対してではない。本のなかに出てくる日産自動車の経営者たちに、
腹が立った。
 Zカーというのは、フェアレディZのことだ。
 この全米で大ヒットした車が、カルロス・ゴーンが来る前の日産では発
売されなくなって久しいなあ!と思っていたら、なんと! 全米でフェア
レディZを売りまくった日産の社員が憎くて、生産中止にしたというでは
ないか。
 カルロス・ゴーンについて書かれた本のなかにも、腐りきった日産の体
質が何度も登場したけど、本当にいかにも日本的な陰湿な仕打ちに、腹が
たつ。
 まるで『課長島耕作』を読んでいるようだよ。
 私の父が、日産自動車に勤務していたから、おぼろげながらわかる箇所
もあって、よけいに腹が立つ。

 単なる日産自動車の本としてではなく、ほとんどの日本企業が抱えてい
る問題点がここにあるといっても過言ではない。恐ろしい本だ。

 午前11時。西武新宿線上井草駅前の「細見デンタルクリニック」へ。
 きょうこそ、歯の治療は最後と思ったのだが、あと1回といわれてしま
った。きょうも歯石を取っただけで、次回も歯石取りと言われて、うーー
ん。また最後まで歯医者さんに通い切るという悲願(たいした悲願ではな
いが…)が崩れそうだ。

 午後12時。新宿の「TOPS」で、トースト&ソーセージに、コーヒ
ー。
 食後、「カメラのさくらやホビー館」で、『黄金の七人』のDVDボッ
クス・コレクションと、『ゴジラ2000』を買う。『黄金の七人』は、
『007』シリーズ、『ファントマ』シリーズと並んで、中学生時代のベ
スト3映画だ。
『ゴジラ2000』は、『ゴジラ』シリーズをすべて見たいという塗りつ
ぶしのゲームに入っている。まだ平成版の『ゴジラ』シリーズが全部発売
されたわけではないようだ。

 午後2時。自宅に戻り、蔵人総合研究所の赤根豊くんと、遠山くんが来
る。
 おなじみ、月に一度の難しい経営のお話。
 まあ、昨年『桃太郎電鉄X(ばってん)』があれだけ売れたのだから、
「うちも景気が悪くてね〜!」という白々しいことをいう気はない。

 でも困ったことに、新規事業に乗り出すという気にもないし、「株式会
社にするといいんですけどねえ!」といわれても、もう会社経営はこりご
りである。
 社員を雇うと、また新たな気苦労を背負うのは、もうわかりきっている。
 お店なんか出しても、芸能人がスナックを作って金策に追われるような
ドラマになることは、目に見えている。クリエイターは絶対、接客業に向
いていないという確信がある。

「何かほしいものはありませんか?」といわれても、1万円レベルのもの
しかほしいものはない。コンピュータを買えばいいのだろうが、柴尾英令
くんとすがねまチャンが2台とも使えるように治してくれちゃったので、
新しいものを買う気がない。
 ないどころか、新しいコンピュータを買ったら、また柴尾英令くんとす
がねまチャンを呼んで、あれこれインストールやら、設定してもらうこと
を考えたら、おいそれと買う気にもなれない。OSが変わると、また「終
了」が「シャットダウン」のように、名前が変わるから嫌だ。

 株式なんて、ひとつも持っていないしなあ。自動車はおろか、自転車も
ない。酒も飲まなきゃ、タバコも吸わぬ。気がつくと、ずいぶんと平凡な
生活になったものだ。
 タバコを1日3箱吸って、睡眠3時間だった頃が、嘘のようだ。
 蔵人総合研究所の赤根豊くんにとって、いつも野心のない面倒なお客で
申し訳ない。
 
 午後4時。土居ちゃん(土居孝幸)が描いた『桃太郎電鉄11(仮)』
用のイラストをファイルにまとめる作業。
 土居ちゃんは、自分が描いた絵は、全部どこかに突っ込んでしまって、
いざというときに、「あの絵が必要だから、送ってくれない!」といって
も「どこかにはある!」の一点張りで、どこにしまったのか忘れてしまう。
 そのうち、家に原稿があふれるだろうから、そのとき、自分でちゃんと
ファイルさせようと思ったら、広い家に引っ越した。
 だから、けっきょく、こっちが管理したほうが早いのだ。
 
 ふう。土居ちゃんの絵を片付けていたら、1時間もかかってしまったじ
ゃないか!

 午後5時30分。家族3人で、渋谷の「TAKE OFF7」へ。
 3月に引き続き、ここで「アリtoキリギリスのコント1000円♯2」
ライブがある。
 W杯の「日本対ベルギー」戦があるというのに、会場は超満員。
 こういう日にも来てくれるファンというのは、ありがたい人たちですな
あ。
 七色の全身タイツを着て「アンブレラマン」という妙なキャラに扮した 石井正則くんと、おなじみ「意味わかんないッすよ〜!」「わけわかんな いこと、しないでくださよ〜!」を叫びまくる石塚義之くんのコントが冴 える。  ふたりのコントが、以前よりさらに上手くなった分、今回初登場の新人 さんたちが、ちょっとふたりについて行けていないような気がした。    途中のショートコントは、ふたりだけで完結するので、おもしろかった。  9月4日にも、ここで1000円という安い値段のライブをやる。  TVのイメージだけの、アリtoキリギリスと思ったら、大間違い。  一度、ライブを見て、ふたりがかく汗を見てほしい。  ライブ終了後、今回も見に来ていた、堀井雄二といっしょに、楽屋を訪 ねる。  後ろから、石塚義之(ヅカッチ)くんのわき腹をくすぐってあげたら、 プリンを食べていた。 「何すん…、あっ。さくまサ〜〜〜ン!」 「あはははは! ヅカッチー! アンブレラマン、よかったよ〜!」 「アンブレラマンは、石井くんのほうですよ〜!」 「あはははは。わざとボケたんだよ〜!」
 楽屋で、近いうちいっしょに食事しようと言って、楽屋をあとにする。  午後6時30分。渋谷の「宇和島」で食事。  メンバーは、うちの家族3人に、堀井くん、堀井くんのマネージャーの 岡田香織さん。放送作家の福本岳史くん。  美味しい鯛めしを食べている間も、外で「うわ〜〜〜!」「うお〜〜 〜!」という歓声があがる。お店の人が「ここは二重窓になっているのに、 すごい歓声ですねえ!」。 「気になっちゃうなあ〜!」と、堀井雄二。 「おっちゃん、点数知りたいか?」と、私。 「知りたいなあ!」 「じゃあ、私が調べる!」といって、携帯電話を取り出す。 「さくまサン! iモードで調べるんすか! 使いこなしてますね!」と、 福ちゃん。 「iモードではなく、doiモードって、やつだけど…」 「えっ!?」 「あっ。土居ちゃん、いま何対何?」 「1対1。鈴木が点入れた!」  へ〜! 日本、がんばってるなあ!    しかし、私の世代は、オリンピックも、東京で開かれたし、万国博覧会 も大阪で開かれた。  そういう意味では、1970年以来、日本で開かれる国民をあげての大 イベントって、30歳以下の若い人たちにとっては、生まれて初めて経験 なんだね。  それは、熱狂すべきだねえ。  これから何10年と、この日、どこで何をしていたって話題を言い合う んだからね。  また、すごい歓声があがったので、土居ちゃんに電話する。 「2対2。今の歓声は、1点取れたかと思ったけど、オフサイドだった歓 声!」 「土居ちゃんって、部屋でひとりで見てるの?」と堀井くん。 「土居ちゃん、堀井くんがひとりで見ているのかって!」 「うん! ははは!」  でも、すごいねえ。  日本が2点も取るなんて!  0対2ぐらいで、負けると思っていたからなあ。  いい結果だね。日本にとっては。  大敗したら、意地の悪いマスコミがてぐすね引いて待っていただろうか らね。  よかった。よかった。  あとは、福ちゃんが現在、110.5キログラムもあるってことを肴に、 大いに、飲み、食べ、残ったものは、全部、福ちゃんに食べてもらう。 「大変だね?! 太っているのを維持するのは!」 「別に、維持してないっすよ!」 「過去最高なんじゃないの?」 「いえ。115キロまで行ったことあるんで…」 「ええっ? これ以上太ってた時期あるの?」  午後9時30分。帰宅。 「日本対ベルギー」戦は、ビデオ録画していたけど、どのスポーツ番組も 30分ぐらいに渡って  特集を組んでるから、あらためて見るほどじゃないね。  今夜も『桃太郎電鉄13(仮)?地方編』のお仕事。  物件を決定して行く作業だから、何も語れない…。
 

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