3月25日(月)

 人間の贅沢とわがままは、本当に果てしが無い。
 家の天井に窓があって、そこから差し込む陽射しの明るさで目覚めたい
と、誰もが一度は思ったことがあると思う。
 私の鎌倉長谷の家は、そんな海辺の天窓のある湘南スタイルの家なので
ある。
 昼間、本当に照明がいらないほど明るい。
 天窓から差し込む陽射しで、きょうは午前6時に目が覚めた。
 ゆっくり寝ていてもいいのに、早く目が覚めてしまうのだ。天窓のせい
で!
 しかも明るすぎて、二度寝ができない。

 眠いまま、仕事を始める。
 iモード・ゲーム『さくま式奥の細道』の俳句募集の選定。

 引き続き、『桃太郎電鉄11(仮)』の手直し作業。
 
 午前8時。ようやく睡魔が襲って来たので、ベッドに横たわる。
 しばらくして、携帯電話にメールが入る。
 誰だ? こんな朝早くから…。あれ? 柴尾英令くんだ。
「もし起きていたら、電話をください」
 何だ? 緊急の用事かな。きょう会うのに。
「もしもし…」
「あっ。柴尾です! 『桃太郎電鉄11(仮)』の仕様書のことで聞きた
いんですが、まずは貧乏神についてなんですけど…」
「貧乏神って、きょうこれから打ち合わせすればいいんじゃない?」
「えっ? あれ? 今度の打ち合わせって、水曜日じゃなかったでしたっ
け? ええ? きょう!? あっ。そういえば! 忘れてた〜〜〜ッ!」
 桁外れのCPUを搭載する人間コンピュータと呼ばれる頭脳明晰なる男
なのだが、どうも「約束」といった言葉がときどき文字化けるようだ。

 午前11時30分。家族3人、昨日食べることができなかった鎌倉小町
通りの「ラ・ルナ」の絶品ショートケーキを食べに行く。
 しかし、な、な、なんと! 定休日!
 ひえ〜〜〜! 定休日を調べてから、来るんだったあっ!
 きえ〜い! これで今年はこのお店のショートケーキは、冬までおあず
けか。このお店はイチゴの季節にしか、ショートケーキをメニューに出さ
ないのだ。

 さらに、鎌倉の有名な玉子焼きのお店「おざわ」を捜し歩き、やっと見
つけたが、行列しているので、断念する。
 昨年、見つけて美味しかった、焼き魚のお店「尾崎」へ行く。
 ブリカマ焼きに、マグロとブリのお刺身定食、1000円。
 ついでに、鯵の刺身も一皿注文する。
 う、う、う、うまい!  絶対、ここの焼き魚は、美味しい!  西麻布「たぬき」よりも美味しいかも。  その証拠に、ひっきりなしにお客さんが入って来る。  満員になれば、外に行列ができる。
 見た目は、単なる居酒屋さんで、地味な店舗なんだけど、お客さんは見 過ごさないんだねえ。  午後1時。鎌倉駅前の不二家で、おすわりポコちゃんシリーズ最後のフ ィギュアを購入して、鎌倉駅へ。そんな寄り道をするなっ!  午後1時08分。ちょうど来た電車が、新宿行きの湘南ライナーが来た ので、乗ってみる。  昨年暮れから、横須賀線から貨物線を通って、新宿を往復する新路線・ 湘南新宿ラインが開通した。新宿―横浜間を29分で結ぶというのが、売 り文句。  でも大船―新宿間の折り返し運転が多いので、乗ることもないだろうと 思っていた。品川駅より、我が家は新宿から帰ったほうが便利なので、乗 ってみる。単に新しい好きのせいでもある。だって、全車両2階建ての列 車というだけで、乗ってみたいじゃない。  乗り心地のほうは、背もたれが、けっこう垂直なので、疲れる。  座席のクッションは、格段にいいんだけどね。  午後2時05分。新宿駅着。  午後2時15分。ちょっと打ち合わせの時間に遅れた。「らぴす」サン で待ってもらっていた土居ちゃん(土居孝幸)と柴尾英令くんといっしょ に、コーヒーを飲んでから、自宅へ。  さっそく、『桃太郎電鉄11(仮)』の打ち合わせ。  札幌から問い合わせのあった、メッセージの疑問点など、その場で直し て行く。 「さくまサンの仕様書は、本当に何年も漬け込んだ、糠(ぬか)どこみた いですねえ!」と、柴尾英令くん。  基本的に毎回、前につかった仕様書に次の仕様書をつけ加えて行くので、 本当に漬物のような仕様書なのだ。  そんなわけで、けっこう前のメッセージを下記のように消し忘れること が多い。    ナレーション:    ○○○○社長の 持ち金は    **億****万円に なった! 現在、上記のメッセージは、以下の通りだ。    ナレーション:    ○○○○社長の 持ち金    **億****万円!   けっこうシンプルになっている。古いほうのメッセージはすべて削除し 終わったと思っていたのだが、まだまだひょっこり残っているようだ。  今回、札幌スタッフの川田くんが、こういう残骸をすべて、丹念に見つ け出して教えてくれるので、非常に助かる。  ひさしぶりに、私の仕様書の壺がきれいになって行く気分だ。  この際、しっかり直したいものだ。ちょうど今回の作品から、柴尾英令 くんが本格的に参加するのだから、いい機会だ。  土居ちゃん(土居孝幸)とは、イラストの打ち合わせ。 「土居ちゃん! 下書きの絵のほうがかわいかったなあ!」と、毒舌を吐 いてあげる。土居ちゃんもすっかり巨匠扱いされることが増えてしまって、 土居ちゃんの絵に文句をつけられる人が少なくなってきた。私がいうしか ない。  きょうだけで、かなり『桃太郎電鉄11(仮)』が前進する。 「あと、ひと山、ふた山で、正確な仕様書が完成しそうですね!」と、柴 尾英令くん。うん。そうあってほしいものだ。  午後6時30分。家族3人+土居ちゃん、柴尾英令くんの5人で、新宿 伊勢丹会館8Fの「歌行燈(うたあんどん)」へ。  桑名料理のお店なので、焼きはまぐりに、うどんなど。  食後、「カメラのさくらや」へ。  デスク・トップ・タイプの新しいVAIOって、売り切れで現品が無い ようだ。  土居ちゃんがVAIOをほしがっている。 「土居ちゃん、何で、VAIOほしいの? マックはやめるの?」 「いや、マックはやめない。VAIOはね…、みんなが持っているから…」  若者みたいな言い方するなっ!  午後8時。帰宅。  今夜も『桃太郎電鉄11(仮)』の手直し作業。  今朝、早く起きてしまったので、眠い!
 

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