2月28日(木)

 ずっしりと、気が重くなった1日だった。

 午前10時30分。嫁と北白川のベーカリーレストラン「DONQ」
へ行く。
 たしかこのお店は、午前8時から営業しているのだった。
 ところが、午前8時からやっているのは、モーニングのみ。モーニン
グも、お店で売っているパンの代金に、400円足すと、コーヒー、ジ
ュースが飲み放題になるというと、お寒いメニュー。
 前回ここに来て美味しかったメニューは、ランチセットで、午前11
時30分からのものだった。

 そんなわけで、冷えたカレーパンに、ぶどうパン、コーヒー、オレン
ジジュースで朝食。かなりがっくり。
 気が重くなったのは、このことではない。

 ぽつぽつ小雨降る中、北白川と、三条富小路界隈を散歩。
「イノダコーヒ三条店」で、コーヒー。
 落ち着くなあ、ここのコーヒーを飲むと。

 午後1時。マンションに戻り、2日前、死闘を繰り広げた、フレッツ
ADSLとの第2ラウンド開始。

 きょうのやりとりの85%は、私にはちんぷんかんぷんであった。

 私の希望は、こうだ。
 京都で、マックも、VAIOも、フレッツADSLで、早く画像やイ
ンターネットが見たい!

 ところが、まずVAIOには、フレッツADSLに対応するソフトが
見あたらないというのだ。一昨年買ったばかりなのに、もう古いの?
 いつのまに、世間は変わっていたのだ!?
 OSが、9だの、10だの、いろいろ言っている。
 10は「X」だって? 「X(ばってん)と読まないのか?という
ギャグがそのとき浮かぶ余裕すら無し!

 次に、マックをフレッツADSLにして、VAIOもフレッツADS
Lにすると、VAIOのPHSカードがつかえないかもしれないという
のだ。
 それは困る。VAIOはつねにPHSカードで、全国どこからでも原
稿を遅れるから重宝していたのだ。
 むしろ、今回は京都のマンションで、インターネットを見るときに、
VAIOで見やすくならないか?というのが、主目的だったのだ。それ
と、マンションのいで、PHSが繋がりにくいという弊害を、フレッツ
ADSLで一挙に解消しよいうというところから、フレッツADSLに
切り替えを思い立った。

 ここから先のことは、もう完全に説明できない。
 フレッツADSLにすると、前のフレッツISDNがつかえなくなる
とか、お客さん番号がどうの、パスワードがどうの、ダイアルアップが
どうの、とにかく、認証、認証、認証、何につけても、認証がどうした
という会話である。

 きょう来てくれた人は、ふたりとも、非常に応対がよかったので、腹
も立たないし、むしろ熱心さに申し訳ないと思った。
 だって、東京と京都で、少なくとも、10台ほどのコンピュータが可
動している家だからね、うちは。
 しかも、いくらコンピュータの調子が悪くなっても、コンピュータの
せいにできないのが、この業界。全部をフレッツADSLに替えるわけ
には行かない。どうしてもひとつは、ケーブル回線にして、2通りにつ
かえるようにしておきたい。
 これは危機管理である。

 正直言って、私が東京と京都に家を持った本当の理由は、この危機管
理である。
 もし関東大震災が起きて、東京が壊滅状態になったとき、東京の機能
を担うのは、関西である。そのもしものときに、関西で仕事を続けられ
るようにと思って、購入したのである。
 まさか、その後、阪神大震災が起きようとは、見当違いの結果になっ
てしまったが、関西を拠点にしていた場合、少なくとも東京で、仕事を
続行できたという点においては、間違っていない選択であった。

 話が大いに、それた。
 結論からいうと、マックだけ、フレッツADSLにした。
 VAIOは、そのまま、PHSカード専用機(この表現もちょっと変
なのは百も承知!)としてつかうことにした。

 とにかく、説明を聞いているだけで、頭が痛くなってしまった。
 
 日記ネタとしては、マックにフレッツADSLを接続してくれた人が、
日産のカルロス・ゴーン社長に、そっくりな日本人で、実にていねいで、
敬語も見事で、専門用語以外は、いまどういう問題に直面しているのか
を、わかりやすく教えてくれた。
 もう少し、私がコンピュータにくわしければ、なかよしになって、和
製カルロス・ゴーン社長をデジカメして、みなさんにご紹介してあげっ
たかった。とてもそこまで友好的になるほど、気持ちの余裕というもの
がなかったのが残念。

 いっとき、もうこんなに面倒なら、仕事のほうを全部やめて、引退し
てしまったほうが楽だなと思ったくらいだ。
 柴尾英令くん曰く、「さくまサンの場合、最先端の技術に頼った仕事
内容ですから、仕方ないですよねえ!(この表現も正しかったかどうか
不安)」とのことだ。

 午後4時。工事終了。
 マックだけ、快適に動くようになった。
 
 あわてて荷造りをして、東京に帰る準備。このフレッツADSLのた
めに、滞在を1日伸ばしたのだ。
 でも、こんなことなら、私だけきょうも近隣諸国探索の旅にでかけて
くればよかった。役に立たないんだもん、私は。嫁が全部、和製カルロ
ス・ゴーン社長と会話して、答えを出していただけだからね。

 午後5時07分。京都駅。のぞみ22号。
車中、京都の伊勢丹デパートで買った「はつだ」の特選和牛弁当を食べ
ながら、『美味しんぼ』(雁屋哲・花咲アキラ・小学館)の81巻を読
んで、熟睡。
 何もしなかったのに、へとへと。

 午後7時26分。東京駅着。京都も寒かったけど、東京も寒いね。
 
 午後8時。帰宅。
 いやあ、疲れた。疲れた。
 
 きょうはおとなしく、本読んで寝ますわい。
 

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