2月25日(月)

 午前7時。iモード・ゲーム『さくま式奥の細道』で、毎月募集して
いる俳句の選定。投稿ネタを選べる唯一の仕事だけに、思い入れは深い。
 どんな俳句を毎月採用しているか、ちょっとだけ転載してみる。
 まずは正統派のまじめな俳句から。


 雪が降る 昔喜び 今憂い

 外へ出て  朝日に溶ける  雪景色

 廃校の  声なき庭にも  さくら咲き


 けっこう、じんわりくる、いい俳句でしょ。
 季語もちゃんと入っている。
 昨年の1〜4月に採用した作品のなかから選んでみました。
 このシリーズ、かれこれ2年間続いているのが、すごい。
 もちろん私が募集しているコーナーですから、川柳の募集もある。

 コタツから きょうも出ない 家内かな

 カラオケに 行くとあだなが ジャイアンに

 目は一重 あごは二重に 腹は三重

 できるなら  女房初期化  してみたい

 愛情も おかずも 子供の余りもの

 「買わない」と  言ったゲームに  親はまり

 ポークカレー  金が入ると  カツカレー

 春の匂い   嗅ぎたいけれど   マスクする

 春スキー  板は滑らず  ギャグすべる

 茶髪だめ  言うなあんたも  白髪染め

 いつ見ても  部長のパソコン  初期画面

 けっこうサラリーマン川柳みたいでしょ?
 よかったら投稿してくださいって言っても、iモード持ってないと、
加入できない。iアプリでも大丈夫なんだよね? フォーマは? 機種
が増えるとよくわからなくなるなあ。
 iモードを作り始めて、まだ3年なのに、日進月歩について行けない。

 午前9時。『桃太郎電鉄11(仮)』の手直しとか、追加仕様書。
 さらに昨日、電車のなかで浮かんだアイデアをまとめる作業。
『桃太郎電鉄』の九州編に続くローカル編のMAP作りをちょぼちょぼ
と。どこを作っているかは、ナイショ! 

 午前11時30分。おおっ。もうこんな時間か。
 仕事していると、時のたつのを忘れてしまう。

 午後12時。河原町四条の「神戸屋キッチン」で、ローストビーフサ
ンドに、ゴボウサラダ。コーヒー。

 午後12時28分。阪急河原町駅から、特急に乗る。
 きょうはこれから、おもしろい名前の博物館に行く。
「インスタントラーメン発明記念館」。
 ねっ。おもしろでしょ。

『プロジェクトX』だったか、『そのとき歴史が動いた』だったか、エン
ディングのテロップに、いきなりこの名前が出て来たとき、必死に名前を
メモって、インターネットで場所を調べた。
 大阪池田市に、「インスタントラーメン発明記念館」はある。
 大阪は複雑でわかりづらいので、車中、ずっと大阪の地図を眺める。
 学生さんが英単語を覚えるように、ここ数年ずっと大阪近辺の地図を暗
記している。実際に行ったほうが覚えるので、こうして梅田行きの電車に
乗っている。
「英単語は、書いて覚えろ!」ですなっ。

 午後1時10分。十三(じゅうそう)駅で、阪急宝塚線に乗り換える。

 午後1時30分。池田駅に着く。
 いきなり、ダイエーの前に立ち、呆然とする。
 駅に降りれば、「インスタントラーメン発明記念館」までの道順が書か
れた案内板があると思ったのだが、まったくない。
 駅を降りたら、日清食品の大きなビルでもあるのかと思っていた。
 よく考えれば、日清食品の本社は、新宿にあった。
 うちの近所だ。

 おおっ。ここは自動車のダイハツの城下町なのか。
 へ〜、ダイハツ町ってあるの?
 いいねえ。

 じゃなかった。「インスタントラーメン発明記念館」までの道のりがわ
からない。住所はメモって来た。
 池田市満寿美町8の25 07227(52)0825

 電話するしかない。
「ダイエーの前にいるんですけど…」
「でしたら、ガストの道をまっすぐ行って、信号を左に曲がってくださ
い。尼崎信用金庫の交差点を右に曲がってください。しばらく行くと、
右側に見えてきます。そこからだと5分で着きます!」
 よかった。遠くなくて。
 午後1時45分。「インスタントラーメン発明記念館」。  きれいで、大きな建物だなあ。  入場無料だ。  いきなりカップヌードルの匂いがする。  へ〜。お金を出せば、東京と関西の両方のうどんどん兵衛を食べ比べ たりすることができるのか。この間私が調査したやつだな。へ〜、焼き そばUFOも、東西で味を変えているのか、それは知らなかったなあ。  たまに、発売前の新製品をここで食べることができるらしい。  展示室に入ると、カップヌードルの歴史を知ることができる。  私は、日清食品の社長の安藤百福さんの本を何冊も読んでいて、ファ ンなので、ほとんどおさらいをしに来たようなもの。  一応、みんなのために解説しましょう。  安藤百福さんは、1910年生まれというから、明治43年生まれ。 「百福(ももふく)」っていう名前が、縁起のいい名前だよねえ。  1958年。 安藤百福さんは、戦後の焼け跡を見ていて、貧しい日 本人が、安くて、おいしい物を手軽に食べられるようにと、チキンラー メンを発明した。  このチキンラーメンは、天ぷらをヒントに、麺を揚げる製法を、自宅 の家を改造して、作り上げた。その家の復元が展示されている。  驚くべきは、このチキンラーメンを発明したときの、安藤百福さんの 年齢は、48歳。ほとんどいまの私とおなじ年齢だよ。いまから私が転 職するようなものだ。まだまだ私もこんな大発明をできってことだな。  ダイエーの中内さんも、43歳から大型スーパーを始めたというし、 伊能忠敬は、49歳から、全国測量を始めている。  がんばれ、壮年期! …などいうこと自体、老いてる!    さっき、「インスタントラーメン発明記念館」の建物の前の家の表札 が、「安藤」だったから、社長の安藤百福さんの家かもしれないな。  で、カップヌードルを発売したのが、1971年。  わりと近年なんだねえ。 『ヤングOH!OH!』っていう関西の番組のイントロで、必ずカップ ヌードルを食べるシーンからスタートしていたのを覚えている。一社提 供のなせる技だな。  このとき安藤百福さん、61歳。  翌年だったか、「あさま山荘」事件で、警官隊の人たちが、カップヌ ードルを食べているのが、TVに映って、市民権を得る。  ここに至たるまでは、もちろん紆余曲折あったわけだけどねえ。  安藤百福さんの信念が素晴らしいんだ。   1、おいしい。   2、安全。   3、かんたん。   4、安い。   5、長期保存。  この言葉を、信念に、インスタントラーメンを作り上げた。 安藤百 福さんの本を読んで、この言葉を、ゲームに置き換えて、作ったことを 思い出す。  けっこういろんな本から、刺激(インスパイア)されながら、作って いるのですよ、『桃太郎電鉄』は。 「食が足りて初めて、人は争いをやめ、平和になる」という「食足世平」 が安藤百福さんの理念だ。
 駆け足でパネルを見て行けば、30分ぐらいで見終わってしまうよう な展示物だけど、その偉大なる発明は、ノーベル賞よりも、オリンピッ クの金メダルよりも、素晴らしいと思っている。  インスタントラーメンだけに、自動車の博物館ほどスペースもいらな いしね。  きょうは、展示物の見学だけの日だけど、毎週水曜日から日曜日まで は、1週間以上前に、予約すれば、インスタントラーメンの手作り体験 ができるそうだ。  そのうち、娘を連れて来ようかな。こういうの大好きだからな、あい つは。  午後2時30分。池田駅に戻る。  う〜む。池田駅からは、どこかに寄り道して行けないなあ。  しいていうなら、この「インスタントラーメン発明記念館」を見て、 宝塚の手塚治虫記念館を見るのが、無駄の無いコースかな。  午後3時32分。寄り道せずに、京都の河原町まで戻って来た。  どこかでご飯を食べて、速攻、仕事しに帰ろうとおもって、あちこち お店を探し始めて、彷徨するとおもわなかった。  まずは四条河原町界隈で、お店を探す。  どうしても、オムライスの「ルフ」が頭にある。  ほかにどこか、新しいところはないか。  そうだ。行きたい帳を見よう。  雑誌で読んだお店とか、人から聞いたお店をメモした手帳を持ってい る、現在これを携帯に全部移し変えようとしているのだけれど、ちっと も進まない。携帯を打ち込む速度が遅いのだ。  タクシーで、鹿ケ谷(ししがたに)まで。  うそっ! 予定していたカレー屋さんは、定休日。このお店、以前も 来て、お休みだった。まだ一度も食べていない。  とぼとぼと、坂道を降りて、広い道で、タクシーに乗る。  今度は、清水寺(きよみずでら)の二年坂へ。  有名な洋食屋さんをメモっていたので、探す。なかなか見つからない。 手がかりが、二年坂とお店の名前だけだからなあ。  見つけた。う〜ん。路地を入ったところにあって、ちょっとひとりで 入るのに勇気がいるような玄関だなあ。和風建築なのに、洋食屋さんと いうのがね。まったく内が覗けない。  おじけ虫が湧いてきた。  二年坂から、高台寺まで歩く。  かなり足がへろへろになって来た。  きょうは「インスタントラーメン発明記念館」だけだから、そんなに 疲れないと思ったんだけどなあ。  ああっ。とうとう祇園まで、歩いちゃったよ。  歩けた自分の脚力に驚く。  でも、もうふくらはぎが破裂しそうだ!  こういうときに、初挑戦のお店は絶対失敗する。てがたく味のわかっ ているお店にしよう。先日行って美味しかった、炭火焼ハンバーグの 「グリルミヤタ」にしよう。  ビルの階段を降りるのは、つらいなあ…。  げげっ! 休みだよ! ここも、定休日?  こうなったら、にしんそばが有名な「松葉(まつば)」にしよう。  げげっ! ここも休みかい!  もう歩けない。  かれこれ3時間歩いている。私は途中、15分、15分。合計30分 ほどタクシーに乗っているけど、マラソンの選手は、この時間をずっと 走り続けているのか、すごいなあ。  もう本当にダメ!   足があがらない。敷石のわずかな段差につまづく。  それでも、必死に四条大橋を渡る。  なんのことはない。ふりだしの位置に戻らんとしているではないか!  おおっ! 四条大橋から、洋食の「開陽亭」の明かりがついているの が、見える。定休日ではないようだ。頼む。満員でないことを祈る。  もつれる足を急がせて、先斗(ぽんと)町を入る。 「開いててよかったあ!」って、何のCMコピーだったっけ!?  もう何でもいいや。座れた! 座れた!   いまなら、クレーン車が来ても、動かないぞ!  お腹も減った。  このお店で必ず食べる、洋食弁当を食べる。  美味しい! 砂漠で水のように、美味しいッ!  やっと空腹も満たされたので、先斗町を歩いて、家路を急ごうと思う のだが、足は予想以上に、回復せず、歩くのが、つらい。 「タナカコーヒ」にピットイン!    ひたすら、コーヒーをゆっくり飲み、疲労回復を待つ。  再び、よろよろと歩き出す。  午後7時30分。京都のマンションに着く。  鍵を開けるのも、もどかしい。  倒れこむように、ベッドにひっくり返る。  疲労しすぎて、眠くならない。  かといって、何も出来ない。  ひたすらTVを眺めて、体力の回復を待つ。  明日は、おとなしくしよう…。
 

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