11月3日(土)

 午前11時。嫁と、高円寺の整体さんへ。
「あれ? 最近歩いてる?」
「うん。大井川とかね…」
「はっはっは! 読んだ、読んだ!」
「昨日の湯河原も相当歩いたんだ!」
「あそこは海まで遠いでしょ?」
「遠かったんだよ〜!」
 すごいもんだよ。背中の右の部分が広範囲に腫れているのは、歩きすぎ たときの症状だというのだ。まさにその通り!  午後12時30分。吉祥寺の「梅香亭」で、毎年恒例の栗むしようかん を買う。ここの栗むしようかんを食べないと、どうも秋が来た気がしない。
 きょうは栗饅頭が出来たてで、本当に湯気が出ている状態だったので、 ついこっちも買ってその場で食べる。  美味しい! 皮がカリカリッとしてて、さくさくしていながら、やわら かい。玉子の香りがぷんと鼻に甘ったるい。  こんな美味しい栗饅頭は初めてだよ。  焼きたて、打ち立て、出来たてに勝るものはない。  午後1時。吉祥寺の「唐子家」で、チンジャオロースーの定食。  雨がひどくなって来たので、パルコB2の本屋さんに寄って帰る。気が つけば、ふたりで20冊ぐらいの本を買っていた。  午後3時。帰宅。  このところ、ずっとDVDでジェームス・キャメロン監督の『ダーク・ エンジェル』を観ている。  シナリオというのは、主人公がつねにピンチに追い込まれて、観客が予 想もつかないようなピンチの切り抜け方をすると、おもしろい。  そういう意味では、『ダーク・エンジェル』の世界の警察は、極悪非道 の限りを尽くして、主人公は助かっても、助かっても、またピンチに陥る。 しかも超人のはずの女性ヒロインには弱点がたくさんある。弱点の多い主 人公というのも、ヒット作の基本だ。  これほどまでにヒットの要素が揃った作品も珍しいのだが、そのピンチ に追い込まれる様や、弱点に苦しむ様が、ちょっと痛々しくて、回を重ね るごとに、ちょっと観ていてつらくなって来た。  強いはずのヒロインが大活躍する時間(尺)が短いので、爽快感に欠け るのだ。  スティーブン・セガールや、ジャッキー・チェンは無敵すぎて、映画の なかでピンチに陥っても、緊迫感が無いんだけど、この映画は観ているこ っちの身体が気持ち悪くなるくらい、ドラマ展開がぴりぴり切実で、痛い。  まるで昔、読んだ漫画『ワイルド7』(望月三起也)に通じる痛さだ。  物書きである私の視点から見れば、素晴らしい作品であることは疑いも ないのだが、ここまで痛みが伝わりすぎる作品というのは、初めて観た。 『ダーク・エンジェル4』まで鑑賞。  午後6時。先月10月28日、松茸ツアーの日に、実はすぎやまこういち 先生が、笑福亭鶴瓶の番組フジ『平成日本のよふけ』に出ていらっしゃっ た。京都では、放映日が違うかもと思って、留守録しておいたので、ビデ オを見る。  案の定、京都では放送していなかったので、当日は見ることができなか った。  見た上で、すぎやまこういち先生も当日は、京都だったからビデオを お届けしようと電話する。  すると、TV局のほうから、ビデオを届いたとのこと。へ〜、いまどき ちゃんとしたTV局だなあ!と思ったら、すぎやまこういち先生は元々、 フジテレビのディレクターで、TVの創生期の番組をたくさん作った方な のだから、ビデオをお届けしないなんて失礼なことができるわけがなかっ た。  ちなみに、『ザ・ヒットパレード』、『新春かくし芸大会』、『おとな の漫画』といった番組が、すぎやまこういち先生が作られた番組である。  なかでも『おとなの漫画』というのは、毎日新聞で見たニュースを、朝 ギャグにして、お昼に放送するという画期的な番組だった。この番組でギ ャグを演じていたのが、クレージーキャッツで、コントを書いていたのが、 青島幸男さんだ。  この番組を必死に見ていて、のちの人生が定まったのが、私だ。  けっきょくビデオをお届けにしに行かなくてよくなってしまったのだが、 ちゃっかり、夕食をごいっしょさせていただくことに。  午後7時30分。嫁と渋谷橋へ。  予定していた「ラ・ボエーム」が満員で、先生の車で、あちこち探すも、 満員だったり、お休みだったり。きょうは土曜日だけど、文化の日で、祝 日だったんだねえ。どうも自由業には、祝日の意識が薄い。  午後8時。四の橋のフランス料理のお店「ラビラント」へ。  ここには以前、「プティ・ポワン」にいた、榎吉さんが最近入ったとい うので行ってみることに。  ああ! 覚えてる。覚えてる。あの人だ。  実はこのお店も満員だったんだけど、すぎやまこういち先生の顔と、榎吉 さんのおかげで、いちばん奥の特別室に入れていただいた。食べ物屋さん では、どこでも常連になっておくべきですなあ。  仔牛のステーキが、青海苔風味で、実に美味しかった。  パンの美味しいお店は、料理も美味しい。  きょうも楽しく、すぎやまこういち先生ご夫妻とお話をさせていただい た上に、ここの料理をごちそうになって帰って来てしまった。  私と嫁は、押しかけ強盗みたいなもんですな。  午後10時。帰宅。 『ダーク・エンジェル』の続きを観るのは、ちょっと気が重い。
 

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