9月22日(土)

 う〜ん。京都だとよく眠れる。
 私は典型的な、枕が変わると眠れない神経質デブである。
 だから、京都のマンションの枕は、原宿の家の枕とおなじやつだ。
 どうだ。ここまで神経質だと、呆れるだろ。私も呆れている。

 京都もすっかり秋めいて来て、外に出ると、肌寒い。
 とてもTシャツ1枚では、効き過ぎたクーラーの部屋にいるように、
寒い。

 午後12時。四国高松駅の「マクドナルド」で、松茸バーガーのポ
スターを見たので、こういう際物こそ食べねばと、河原町三条の「マ
クド」へ。
 ところが、松茸の「ま」の字もない。高松市内限定だったのかなあ。
 てりやきハンバーガーのセットで朝食。
 例によって、口のまわりがマヨネーズだらけになる。

 食後、木屋町から、夷川(えびすがわ)へ。
 夷川の家具屋さん街をふらふら、ぶらぶら、見て回るのが好きだ。
 一軒の店先に出ていた、ちゃぶ台というか、文机が気に入って買う。
 京都のマンションで、ベッドの上でお弁当を食べながら、プロ野球
中継を見るための横着家具だ。

 文机を片手に、京都御所のほうまで歩いて行き、しこたまへばる。
 家具を持ちながらの遠出は、まだ時期尚早だったようだ。
 
 午後1時。高倉通り竹屋町の喫茶店「BRUN BRUN」で休む。
このお店はハートビートの小林千尋くんに教えてもらったお店だ。
 へばって休んでも、ガトーショコラを食べることは忘れない。
 しかし、中途半端な場所まで歩いてしまったものだ。
 バスで帰れず、タクシーで帰るには、近すぎる。
 と、そこへ、電話が…。
「さくまサ〜ン! 京都に来てはるゆう情報を入手したんやけど…」
「あっ。ヤサカタクシーの宮本さん! いいところに電話かけてくれ
た〜! 喫茶店でへばっているから、来て〜!」
 渡りに舟とはこのことだ。
 迎えに来てもらって、何か所か買い物に付き合ってもらった。

「えっ? きょうこれから、すぎやまこういち先生ご夫妻が京都に来
るんですか? 夕方4時10分に到着? それはこっそり行って驚か
せるしかないなあ!」
「先生は、さくまサンがきょう東京に帰られるゆう情報をお持ちのよ
うですよ!」
「本当はきょう、東京に帰る予定だったんですけど、昨日、一昨日と、
あまりにもぐっすり眠れるので、1日伸ばすことにしたんですよ!」
「じゃあ、ふたりで京都駅に行きましょう!」

 午後4時10分。私はいったんマンションに戻ってから、バスで京
都駅へ。
 八条口で、宮本さんの車の助手席に座り、宮本さんは、すぎやま
こういち先生ご夫妻を迎えに行く。
「カチャ!」
 おっ。車のドアが開く音だ。
「こんにちは〜!」
「えっ? あっ、さくまサ〜〜〜ン! あ〜〜〜、驚いたあっ!」と
奥様が盛大に驚いてくださる。
「あれ〜〜〜、さくまクンだあ!」
 よしよし! すぎやま先生も驚いてくださったぞ!
「車に乗ったら、さくまサンは東京に帰られたかどうか、宮本さんの
お聞きしようと思っていたんですのよ!」と、奥様。
 すぎやまこういち先生ご夫妻が、私がきょう東京に帰るという情報
は、なんと金曜日に、朝枝信彦さんのコンサートを見に行った、うち
の娘から入手したそうだ。宮本さんは、きょう「ALZA(あるざ)」
で、私たちが金曜日、京都にいたという情報を入手したそうな。
 意外とアナログな情報が集まって、この偶然を生むことができたよ
うだ。

 けっきょく私は本日、たいした用事もないのでそのまま、すぎやま
こういち先生ご夫妻のお仕事にごいっしょさせていただく。

 午後5時30分。京都洛星(らくせい)高校へ。
 この高校で、明日すぎやまこういち先生は講演をなさるそうなんだ
けど、この洛星高校の交響楽団が『ドラクエ』のオーバーチュアを演
奏する。そのリハーサルをすぎやまこういち先生が指導するというで
はないか。
 こんな美味しい場面はなかなかないので、いっしょについて来てし
まった。

 いやあ。来てよかったよ〜!
 高校生のオーケストラが、すぎやまこういち先生のちょっとしたア
ドバイスを聞いただけで、急に演奏が上手くなってしまうのだ。
「演奏が遅れることより、やってはいけないのは、気後れ! もっと
堂々と吹きなさい!」とホルンの子たちに言ったとたん、ホルンが
しゃきっとする。
「やってはいけないのは、気後れ!」
 この言葉は、音楽のみならず、すべてのジャンルに通じる金言です
な。

 それにしても、高校生たち、茶髪も、金髪もひとりもいない。
 どの子も真面目で、ちょっと感動する。
 生徒会長の子は、私なんかよりよっぽどものおじせずに、すぎやま
こういち先生としゃべっているし、ちゃんと敬語をつかっている。
 渋谷のどうしようもない高校生を見慣れているせいか、なんだかう
れしくなって来る。

 午後7時。仕事を終えた、すぎやまこういち先生ご夫妻の夕食まで
ごいっしょさせていただく。
 なんと! 京都ホテル最上階17Fのステーキハウス「ときわ」だ!
 しかもここの料理長さんが、「プティ・ポワン」の北岡さんと懇意
なことから、ステーキは、ステーキでも、お肉の肌つやのいいものが
出て来て、鉄板の上で、じゅ〜〜〜!と、いい音を立ててしまう。
 こんなにやわらかいお肉を食べるのは、初めてかもしれない。
 松阪牛、仙台牛、前沢牛、近江牛…いろいろあれど、本当に美味し
いのは、牛の美味しい部位と、腕のいい料理人で決まるということを、
まざまざと教えられた! 北岡さんの後光は、別格ね。

 午後9時。マンションに戻って、少しだけお仕事。
 きょうの美味しいお肉のあとは、あまり根を詰めた仕事はしたくな
いものだ。
 倉木麻衣の爽健美茶ライブ・ビデオを見て、寝る。
 

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