8月28日(火)

 午前中、以前からある人物の一生を漫画原作しようと思っていた構
想があって、その作品の準備にいよいよエンジンがかかって来た。
 もうかれこれこの作品を思いついてから、丸2年になる。あと1年
寝かすといい味になるかな?

 午後12時。嫁と、原宿2丁目の「月光茶房」へ。
 茄子とひき肉のキーマ・カレー。

 午後1時。新宿に出て、カメラのさくらやで、京都用のVAIOを
買うかどうかで悩む。スペックを見ても、どのくらいの差があるのか
わからない。テキストしか書かない自分には、どの機種もあまり差が
ない気がする。

 午後2時20分。東映パラスで『赤影〜レッドシャドウ〜』を観る。
 自宅でビデオとDVDでばかり映画を観ている私が、わざわざこの
作品を劇場で見ようと思ったのは、『サムライ・フィクション』の映
画監督が撮った作品だから。

 でも、見た感じは、ちょっとがっくり。
 非常に力のある監督だし、映像表現の素晴らしい人なのだから、変
なギャグを入れずに、後半の真面目な部分だけにして、『ニンジャ・
フィクション』という名前にすれば、大傑作だったと思うし、海外で
も大ヒットしたと思うなあ。

 とにかくロケ現場がどこだか全部知りたいぐらい、美しい場所ばか
りなのだ。
 しかも、根津甚八さん、津川雅彦さん、陣内孝則さん、竹中直人さ
んといった放っておいても、素晴らしい演技達者な人たちが揃ってい
るし、藤井フミヤくんや、布袋寅泰さんや、元小結だったかな、舞の
海関の演技も非常によかった。
 キャスティングは抜群だよ。
 奥菜恵ちゃんじゃないほうがよかったけど。演技力ではなく、作品
に合っていなかったとおもう。
 音楽は、前作『サムライ・フィクション』に続き、作品の高級感を
アップさせるいい曲揃いだ。

 も〜〜〜、なんて、もったない作品なんだ。
 前半のお城に忍び込んだときに、先客の忍者がたくさんいたという
安っぽいギャグをカットするだけで、3倍ぐらいおもしろくなったと
思うなあ。
 ギャグは調味料の量を間違えると、せっかくの素晴らしい作品も
ぶち壊しにしてしまうという典型だ。
 前半で失敗することの怖さを、まざまざと見せつけられた気がする。
 ゲームも映画も最初の30分が大切!

 お客さんというのは正直で、場内はガラガラ。冷房の寒さが染みる。
 でもこの映画監督には、もう一本作ってほしいなあ。
 こういう才能を持った映画監督に、チャンスを与えてあげてほしい。
センスのある人間を発掘するのは、遺跡を発掘するより難しいのだから。

 午後4時30分。ハドソン桃太郎事業部の梶野竜太郎くんが、わざ
わざ映画終了の時間に合わせて、外で待っていてくれた。
 そのまま「新宿追分本舗」で、お団子を食べながら、仕事の打ち合
わせをするという間抜けな構図。
 緊張感のある打ち合わせなのに、お団子で、のほほん。

 午後7時。嫁と、天現寺へ。昨夜、すぎやまこういち先生から電話
をいただいて、「プティ・ポワンがデミグラスソースの料理をメニュー
に出すそうだから、明日行かない?」という粋なお誘いを受ける。
 プティ・ポワンのドミグラスソース!
 そりゃあ、行くっきゃないでしょう。

 というわけで、嫁といそいそとでかける。
 バカ娘は、友だちの家に遊びに行っていて、連絡を寄越さないから、
へっへっへ。ドミグラスソースは、おあずけじゃい!
 仕事でも、食い道楽でも、連絡第一だ!
 うほほほほほっ。さすがに「プティ・ポワン」のドミグラス・ソー スは上品な味だなあ。ハヤシ・ライスと、牛フィレ肉にドミグラス・ ソースをつかったんだけど、ハヤシ・ライスという庶民的ではない名 前をつけてほしいほど、味わいが全然違う。  ハヤシ・ライスじゃなくて、フォレスト・ライスという名前にして ほしいなあ。  おっと。英語をつかったあまりにもベタベタなだじゃれなので、ひ っかけの部分を公表しないことにしようっと。恥。  料理も素晴らしいけど、きょうはひさびさにすぎやまこういち先生 ご夫妻と、北岡シェフから、プロフェッショナルな仕事の仕方を学ぶ。 「素晴らしい人ほど、基本を大切にする」  当たり前の言葉だけど、心に染みる。  すぎやまこういち先生ご夫妻とは本当にいつも食事に誘っていただ いたあげくに、ちょっちょっと、素晴らしい言葉を教えていただく。  以前も、「才能というのは、資質×努力ですよ!」と奥様に教えて いただいて、いたく感動して、放送作家の福本岳史くんにも教えてあ げたことがある。  ところが、そのときの私の言葉は「福ちゃん、すぎやまこういち先 生の奥様から素晴らしい言葉を聞いたから、教えてあげるよ! 人間 ってえのはな、いいか? 『才能+資質』だよ。いい言葉だよなあ!」 「えっ? さくまサン!」 「ん? どうした?」 「才能+資質だと、実もふたもなくなったちゃうんですけど…」 「おお! 才能+資質じゃ、努力しても無駄ってことだもんな。悪い!  悪い!」  付け焼刃はいかんという、ありがたい教訓ですな。  さらに、北岡シェフから、新メニューの決め方の極意も教えていた だく。  この極意が、ゲーム作りにも通じる素晴らしい部分だった。  その極意はもちろん、内緒だ。  私は了見が狭いぞ。はっはっは。  結果的には「基本が大切」に尽きるんだけどね。  午後10時30分。帰宅。  むむ。また負けかい。7連敗? いいかげんにせいよ。  もちろん横浜ベイスターズのことなんだけどね。10連敗以上する と、私は本当に発狂するので、いいかげん連敗を止めてほしい。明日 は広島球場か。影のオーナーはお尻がむずむずする。新幹線に乗りたい!
 

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