8月11日(土)

 昨日までのあらすじ。
 昨夜、午後10時30分から、鎌倉長谷の家で、『桃太郎電鉄X(仮)』
のテスト・プレイを始めた、さくまあきらと井沢どんすけは、午前2時に、
さくまあきらがリタイア。その続きは、井沢どんすけがひとりで始めたの
であった。

 午前8時。嫁の弟家族が起床して、リビングで、タオルケットもかけず、
座布団ひとつを抱きしめている、色白の男がソファーで寝ているのを発見
する。

 午前9時。嫁が二階から降りてくるも、ソファーベッドで寝ている、
色白の男は、まったく目が覚めない。
 嫁の弟家族の赤ん坊が、『ガオレンジャー』のビデオを見始めても、
この色白の男は、まったく微動だにしない。
 寝返りひとつしない。
 座布団をひとつ、ぎゅっと抱きしめている。
 足の指も動かない。
 赤ん坊が「へ〜んし〜〜〜ん!」と、『仮面ライダーアギト』を真似て、
奇声をあげても、色白の男は動かない。死んだか?

 午前10時。私が「腹減った」と、リビングに行く。嫁、嫁の弟家族。
全員そろって、色白の男の寝顔を見る。色が白いだけに、死化粧をほどこ
したようである。動かない。
 寝息すら聞こえない。
 やっぱり死んだか…?

 やっと起きた…。

「どんちゃん、昨日『桃太郎電鉄X(仮)』、何時までやったの? また
午前4時まで?」
「え〜と。午前6時を過ぎたところまでは、覚えているんですけど…」
 どおりで、起きなかったわけだ。

 午前11時。井沢どんすけ、嫁と、長谷の「ヴェルグフェルド」で、ス
ープ&パンセットにコーヒー。冷製カボチャのスープがなかなか美味。
 午後12時30分。長谷の家に戻り、さっそく『桃太郎電鉄X(仮)』 のテスト・プレイ。  井沢どんすけが、ついに「九州マップ部分」で、とっておきの新キャラ を見てしまうっ!  いずれも、井沢どんすけの叫び声から。 「こ、こ、これは!」 「えへえへえへっ。こいつ、おもしろい!」 「え〜〜〜!? こいつ、こ、こ、こんなことするんですか〜〜〜!?」 「○○○○〜〜〜! こいつ、好きだあ!」  とにかく、井沢どんすけ、興奮しまくる。  一昨年、このキャラが浮かんだとき、おそらく井沢どんすけが見たら、 喜ぶだろうなあと予測はしていたが、こんなに喜んでくれると思わなか った。 「どんちゃん、こいつ、もうちょっとゆっくり回転したほうがいい?」 「えへえへえへっ。いや、このままでいいですよ。えへえへえへっ。 おかし〜〜〜! えへえへえへっ!」  午後2時。嫁の弟夫婦が帰る。この3日間、ほとんど相手をしてあげ ることができなくて、申し訳ない。しかも仕事中で相手ができないとい っても、仕事中の私の姿は『桃太郎電鉄X(仮)』をやっていて、井沢 どんすけにキングボンビーがつくと、爆笑してるだけである。  私ほど、仕事中が様にならない職業もあるまい。  午後4時。井沢どんすけが、東京で夜、打ち合わせがあるというので、 帰る。  もし今夜も井沢どんすけが朝までテスト・プレイされたら、本当に私 が倒れてしまう。  井沢どんすけ。敵に回すと恐いが、味方にすると、もっと恐い。  午後5時30分。嫁と、和食の「U」に行く。  どの料理雑誌を見ても、評判のお店だっただけに、期待したのだが…。  一品目から、二品目までが来るのに、20分。  その後も、次の料理が届くまでに、10〜20分。  気がつけば、午後7時30分。おいおい、もう2時間だよ!  ダメ〜〜〜! 初めてのお客さんには、料理を早く出さなきゃ!  ゲームだって、初めてのお客さんが、早くゲーム開始できるように、 死に物狂いで、コマンドをひとつ減らすことができないものかと、侃侃 諤諤(かんかんがくがく)、胃がきりきり傷むような、会議を繰り返し てるんだからあ!  あまにもヒマなので、食事中、あっちこっちに携帯メールを送る。  ついでに、横浜ベイスターズ情報を見たら、0対7で、広島に負けて いる。あじゃぷわわわわわ〜〜〜! 大敗中!  午後8時。味も凡庸な和食屋さんから、長谷の家に戻ってくる。  しばらく、私はひとりで『桃太郎電鉄X(仮)』をテスト・プレイ。  気になる場面をセーブして、TVのリモコンを動かしたら、横浜対広 島戦が写っている。いやだあ、さっき、0対7で、大量リードされてい た試合じゃないか!  えっ? 5対10?  あれ、いつのまに。5対10。最近の横浜ベイスターズはよく粘るな あ。でも5点差じゃ、ちょっとなあ。  などといいながら、ついつい中継を見てしまう私であった。  すると、いつのまにか、8対10に。ええっ? 2点差? うひょ〜!  さらに、8回裏、9対10!  えらいぞ、1点差まで追い上げた!  でもまあ、これで終わりだろう。  9回裏。ああ〜、広島は佐々岡を登板させちゃったよ。  ひ〜、佐々岡の球、速い〜!  ズーバー一塁手、投手ゴロ! ダメだ、こりゃ! 1アウト!  続く、代打、中根!  おお! ショート強襲のヒットだあっ!  中根が帰ってくれば、同点だ! 一時は0対7だった試合が、9対 10まで。  どうせここまで来たなら、せめて同点に!  ところが!!!!! 「ここで、テレビ神奈川をごらんの皆様には、大変もうしわけないので すが、あと40秒ほどでみなさまとはお別れに…」  ぎょえ〜〜〜、谷繁、40秒で打て! どうせならホームラン打っち ゃえ! ホームランなら、逆転さよならだ!  き〜〜〜、TV中継がロングからになっちゃった。 さらに球場全体を映し出して、KIRINとか、スポンサー・テロップ が流れ始めちゃったよ〜、ありゃあ。中継終了だ…。  あっ、あっ、あっ。スポンサーのテロップがジャマだよ、えっ? 谷 繁の打球は低い弾道でレフトへ! えっ、えっ、えっ、入った、入った、 入った。さよならホームランだよ、お〜〜〜い! あ〜〜〜、画面消え ちゃったよ〜! 画面続けろ、テレビ神奈川!    でも、うれしいよ〜! えへえへえへっ。  しまった。笑い声が、井沢どんすけになってしまった。えへえへえへっ。  12対11!  あまりにも信じられないさよなら劇だったので、iモードで、確認する。  ホントだ、うれしい!  ひ〜、これから『桃太郎電鉄X(仮)』のテスト・プレイで出た問題 点をまとめる仕事をしなきゃいけないんだけど、プロ野球速報も見たい し、困った!
 

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