8月3日(金)

 朝になっても、まだ左腕が痛い。
 腱鞘炎というのは聞いたことがあるけど、コンピュータ腱鞘炎って
いうのもあるのんだろうなあ。

 午前10時30分。ヤサカタクシーの宮本さんが迎えに来てくれる。
 きょうは、貴船(きふね)まで、川床(かわどこ)料理を食べに行く。
 川床(かわどこ)料理というのは、川の上に、床机(しょうぎ)を
敷いて、お座敷にした夏だけの臨時料理屋さん。
 いわば海の家、川ヴァージョンだ。

 有名なのは、京都鴨川に突き出た、川床で、ビヤホールになったり、
割烹料理屋になったりする。夏の風物詩として、TVで一度くらい見
たことのある光景だろう。
 きょう、これから行く、貴船(きふね)は、京都の北、鞍馬(くら ま)に近いところ、鴨川の上流、賀茂川にある。  鴨(かも)川に、賀茂(かも)川というのも、不思議でしょ。 京都を流れる「Yの字」型の川の下半分が、よくTVに映し出される 鴨川で、「Y」の左上のほうが、賀茂(かも)川で、「Y」の右上の ほうが、高野川になっている。  まぎらわしいことに、鴨川、賀茂のそばに、加茂という地名まである。  午前11時。賀茂川の上流に、何軒も並ぶ川床料理のお店を行き過 ごして、「鳥居茶屋」へ。  まずは「鳥居茶屋」の玄関でお茶が出て、しばらくするとお店の人 の案内で、道路を越えて、川床に降りて行く。  川床のほうの名前が「真々庵(しんしんあん)」ということらしい。
 京都市内は、35度の温度だというのに、ここの温度は、30度を 切っている。しかも川の清流と風と、岩肌で、体感温度は、ちょうど クーラーがほどよく効いた27度ほどである。  ここの川床に座ると、いかに京都市内の鴨川の川床料理が、観光用 の形式だけなのかというのがよくわかる。鴨川のほうの川床料理の お店に、2〜3軒入ったことがあるが、川に突き出ただけで、暑い。 風ひとつ吹いてこない。  そんなわけで、一度、本格的な川床料理を食べてみたかったのだ。
 川のせせらぎの音が意外なほど大きい。  午後12時になるころには、40人ほどのおばちゃん軍団が入って 来た。  ところが、川のせせらぎの音が大きいので、下卑たおばちゃんたち の嬌声がかき消されて、気にならない。  というように、この貴船(きふね)の川床も、基本的には観光目的 で作られている。  だから料理のほうは。あまり期待していなかったのが…。  次から次へと運ばれてくる料理の美味しいこと!
 ハモおとしに、角煮…。  味もしっかりしている。  鮎も頭から食べられた。  ちょうどお腹がいっぱいになりかけたところで、メロンが出てきた ので、これはランチとして、ほどよい量でいいなと思ったら、「これ は箸休めです」というではないか! 「って、ことはまだまだ出るってこと?」 「はい、あといくつか!」  本当に出た。
 温泉玉子付きのソーメン、おいしいけど、お腹が苦しい!  湯葉の茶碗蒸し。おいしいけど、きっつい!  鯛茶漬け、これは一流料亭の味だぞ。う〜、ぐるぢい!  青桃のシャーベット。こんな手間のかかったデザートは初めて見た ぞっ!  いやあ、川床のお座敷でこのまま、寝てしまいたいくらい、満喫!  満腹! 大満足! 風情だけでもじゅうぶんだったのに、味がいいの には驚いた。ちょっと夕食みたいな量だったけど。  午後1時。京都のマンションに戻って、帰り仕度。  午後3時7分。のぞみ58号で、東京へ。  昨日、9連勝の横浜ベイスターズに興奮しすぎて、また寝不足にな ってしまったので、車中『竜馬がゆく』を読みながら、熟睡。  午後5時21分。東京駅。  思ったほど、東京のほうが暑くない。  京都の暑さは、一種独特だ。  午後6時。原宿の家に帰宅。    午後7時。晩御飯は、なんと! 京都「M」でいただいたゴージャス・ シーフード・カレーを冷凍して持って来たのを食べる。んま〜ぅい!  これで、横浜ベイスターズの10連勝が見られれば、この世の天国だ ったんだけど、世の中そこまで都合よく行かない。  最後に1点差まで追い上げた集中力をホメたたえよう!  今夜は、早く休もう。  旅の疲れはやっぱり、自宅がいちばんよく取れる。
 

-(c)2001/SAKUMA-