6月24日(日)

 福岡は、朝からばしゃばしゃ叩きつけるような雨。

 午前8時。嫁とホテル・ハイアット・リージェンシー1Fのバイキング
で朝食。
 娘はぎりぎりまで寝ていたいようだ。
 
 午前9時30分。博多駅へ。
 山本耕一から電話が入る。
「早く着きすぎてしまいました。もうホームにいます。まだ電車のドアが
開いていませんので、ごゆっくり来てください!」
 あいかわらず律儀とおっちょこちょいが同居する可笑しいやつだ。
 博多駅構内のお土産品をチェック。
 ダイエー・ホークス関係のグッズが増えているなあ。
 優勝も2年連続すると違うなあ。

 おっと。博多駅に来たら、忘れずやらなければいけないことがあった!
 焼き立ての松露(しょうろ)饅頭を食べることだ!
 しかし、電車の発車時刻まであと5分だ。
 私の足では、間に合いそうもない。
 映画『マーズ・アタック』走法と呼ばれる嫁が、行って来てくれるとい
う。ありがたいことだ。

 私と娘は改札口に向う。
 あっ、アシモ走法の柴尾英令くんが改札口をかしゃーん、かしゃーんと
姿勢よく通っている。
 あとからついて行く。
 階段を登る。
 嫌な予感がする。
 チケットの座席は1号車。どうも柴尾英令くんは正反対の6号車に向っ
ているような気がする。あれ? 6号車を越えて、さらにホームの奥に向
って行く。何だ! タバコを買いに行っただけかい! くそっ! 

 必死に6号車の位置から、1号車に向って歩く。
 まあ、時間になったら電車に飛び込めばいいのだが、いずれにしても長
い。案の定、途中で松露饅頭を買って来た嫁に追い抜かれる。
 嫁は本当に足が速い。

 午前10時2分。長崎本線かもめ9号。
 真っ白い新型車輌だ。
 先頭が、丸くて、芋虫のようだ。
 だから、かもめというより、白いモスラだな、これは。
 昨日、全員一致で、グリーン車に乗ることを決定した。

 床が白木のフローリングで、まるで山荘のロッジみたいだ。
 1×2席の横3席なのだが、2席のイスのひとつひとつが独立している。
まるでIT産業のおしゃれなイスのようだ。
「これは気持ちいいねえ!」
「広々としていていいなあ!」
「ナイトバーみたいですね」
 1号車と運転席の間のドアは、全面半透明ガラスで仕切られている。  列車が走り始めた瞬間、この半透明ガラスが、サッと透明になって、運 転席が丸見えになる。 「うわ〜! かっちょいい!」 「SFだ、これは!」  博学な柴尾英令くんが、この仕掛けは液晶だと教えてくれる。  へ〜、液晶というのはこういうのにもつかうのか。  運転席の脇は、カウンターバーみたいなサイド・テーブルが置かれてい る。  JRもやるもんだなあ。  こういうことの積み重ねを続けていれば、JR利用客も増えて行くだろ うなあ。
 昨夜、山本耕一がキャナルシティで、先行レイトショーの『A・I』を 観て来たという話を熱心に、柴尾英令くんに話している。  スピルバーグの話題作だ。  映画が好きというキーワードで、山本耕一は柴尾英令くんとすっかり なかよくなっている。 「柴尾さん、『A・I』のパンフレット見ますか?」 「見ないよ〜! 映画観るまで見ない!」  吉野ヶ里遺跡だ。  歴史的価値はあまり無いようだというので、取材に行っていないのだが、 毎回ここを通る度に、施設が充実して来たり、敷地が広がっているのがわ かる。一度は行っておかないといけないかな?  雨もすっかりあがっている。  この天気が昨日だったらよかったのにねえ、梶野竜太郎くん。  しかも今朝、梶野竜太郎くんは札幌で会議があるというので、博多から 飛行機で札幌に向ったのだが、会議は月曜日、東京に変更になったそうだ。 「まるでサミットカードで呼び戻されているみたいだ!」と言っていたと か。  晴れるわけだ。きょう長崎で、『桃太郎電鉄X(仮)』の調べ残しを調 査する仕事が残っている。  やっぱり私は、仕事晴れ男なのかもしれない。  午前11時53分。長崎駅着。  電車を降りると、目が眩むようなカンカン照り。  ぶはっ!と汗が吹き出る。  昨日は、雨でびしゃびしゃ、きょうは、汗でびっしょりになりそうだ。  おお! プラットホームに、山本耕一の過ぎたる嫁・由美子さんが迎え に来ているではないか。  なんだかわけもなく、かもめ号の先頭車両をバックに記念撮影。
 午後12時30分。出島(でじま)ワーフへ。  最近流行りのフィッシャーマンズ・ワーフというやつだ。  海が気持ちいい。  私はとくにこういうタンカーが浮かんでいる海が好きだ。
 ここにある「大気圏」のあごだしラーメンを食べるのが、今回の旅の重 要なお仕事。  実は、『桃太郎電鉄X(仮)』の九州マップ部分(まだ言い張っている!) に、拉麺(らーめん)ラリーカードというのが、登場する。  このなかのひとつにこのお店のあごだしラーメンが登場するのだ。  ほかのラーメンは、買ってからのお楽しみね。  このあごだしラーメンを推薦してくれたのが、山本耕一だったのだ。  とりあえず、この拉麺ラリーカードのひとつに入れておいたが、どうに も私は『桃太郎電鉄』シリーズで、自分で食べて納得した美味しいものだ けを紹介して行きたい。  だからどうしても、このお店のあごだしラーメンを食べておきたかった のだ。  長崎県も地元の名産として今後、あごだしラーメンを盛り立てて行こう といっているのに、私が食べていないというのは、どうにも具合が悪い。  でも、この暑さで、ラーメンとはいかがなものか。もし美味しくなかっ たら、困るなあ。お店に入る。  おばちゃんが、山本耕一を見て「いつもTVで見てますよ〜!」。  山本耕一は、テレビ長崎で月〜金の午後5時から、『TVみゅ〜で』と いう番組の司会をしているから、長崎ではとてつもない有名人なのだ。  昨日のスペースワールドでも、お客さんに声をかけられたくらいだ。
 お店は冷房が効いているものの、陽射しを浴びまくった身体は急には冷 えない。  何はともあれ、あごだしラーメンを注文する。  あごだしラーメンの「あご」とは、飛魚(トビウオ)の長崎での方言だ。  飛魚ラーメンとネーミングしたほうが、インパクトあるような気がする。    ついでに、平戸イカの一夜干しまるごと炭火焼を注文する。  気温30度を越えるというのに、イカを七輪で焼くメニューを誰も否定 しない。 「熱いより、やっぱり美味しいが大切でしょう」  こういう人たちとの旅がいちばん楽しい。
 あごだしラーメン。 「美味しい〜〜〜!」  いちばん早く、うちの嫁が叫ぶ。  ただでさえ、「あごの煮干」が大好きで、長崎物産展では必ず買う 「あごマニア」だけに、当然の叫ぶ。 「おいしい〜!」 「あぢぢ、あぢぢ。おいしい〜!」 「ちゅるる、ちゅるる。こりゃあ、おいしい!」  次々に声があがる。  この暑さのなかで食べて、これだけの歓声があがる、あごだしラーメン とは!  すっきりして、コクのある出汁が抜群だ。  私の大好きな黄色い縮れ麺だ。  心配していた魚臭さがまったくない!  これは、なるほど美味しい!  七輪で焼く平戸イカがまた、おいしいのなんの!  日本人なら、イカに醤油だよ、やっぱり! 「あはははは! あはははは!」  日本一ビールを握る姿が似合う柴尾英令くんが、イカをつまんでは、う れしそうに笑っている。  食後、炎天下のなか、出島和蘭(オランダ)商館跡に向う。       午後1時。出島史跡。あぢいよ〜〜〜! あぢいよ〜〜〜!  私は前回も来ているので…ありゃ、あれからもっとたくさん施設ができ ているではないか! すごいなあ! 増えてる! 増えてる!  修学旅行で、一度出島史跡を訪れたことがあるという人は、もう一度こ こに来たほうがいい。昔の面影はまったくない!  江戸時代の出島をそっくりそのままの大きさで、復元しようとしている のだ。  いまのところ、60%ぐらいが完成している。  あれだけ歴史の教科書で広いスペースを取っていた出島だもん。  このぐらいの施設があっても当然なのにと、長崎に来る度におもってい た。
 施設には、ヘトル部屋、料理部屋、一番船船頭部屋、一番蔵、二番蔵、 出島シアター、ケンペル・ツュンベリー記念碑、ミニ出島、出島資料館本 館、旧内外クラブ記念館、出島資料館分館…といったものがある。  どれも出来たてなので、白木の香りがするし、フォログラフィでの歴史 解説など実に楽しい。  それとこの出島史跡で売っているグッズは、観光地の売り物として、出 色の出来だ。異国情緒たっぷりの醤油さしのデザインがいんだなあ。 「あれ? この醤油さし、ここで買ったんだあ」と、うちの娘。 「いや、前回ここに来たとき、山本耕一がお土産にどうぞ!と、私に買っ てくれたんだよ!」 「えらいなあ!」  娘は、気配り人間マニアなので、山本耕一に対する好感度がますますア ップ!  あれ? 山本耕一が買ってくれたのは、懐中時計だったような気もする。 失礼な記憶だな。
 もっと、じっくりここを見ていたいのだが、時間がない。  長崎での大事な取材その2が、待っている!  午後2時。山の斜面にフジツボのようにこびりついた家々。  その斜面を足をがくがく言わせながら、伊良林地区まで、長崎名物の石 段を降りて行く。あぢいよ〜!  さて、歴史マニアなら、必ず「おっ!」と叫ぶ場所に到着です。  最近、司馬遼太郎さんの小説を読みまくっている菅沼真理(通称:すが ねまチャン)さん! 「き〜〜〜!」と叫ぶ準備はいいですか?  あの「亀山社中(かめやましゃちゅう)」についに来たのです!  そうです。あの坂本竜馬が開設した、日本最初の株式会社、カムパニー なのでありま〜す!
なんと佐久間商店が!?
 来たかったのよ! 来たかったのよ!  ぎゅっと! ぎゅっと!  この10年間で、二度、門前まで来たのに、二回とも開いていなかった のよ!  開館時間としては、土日祝の10:00〜12:00、13:00〜 15:00と表記されているのだが、ボランティアの人たちの尽力で維持 されているので、上記の開館時間に行っても、休みの場合が多いのだ。  ついに来た!  学生の頃に司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』を読んで、亀山社中を知り、 株式会社を作りたいとおもった人は、数多いだろう。もちろん、私もそん なひとりだ。
 その亀山社中についに来た。  またひとつ念願がかなった。  念願はいつも念じていると、必ず叶うものだ。  玄関を上がる。  狭い8畳ほどの部屋がふたつあるぐらいの小さな家だ。  こんな狭い部屋で、坂本竜馬はあれほど大きいことを思い描いていたの か。  おお! いきなり入ってすぐ、司馬遼太郎さんのお写真が多数張り出さ れているではないか。長崎を取材したときの写真を始め、海外取材、パー ティなどでのスナップ写真だ。  明治維新の英傑たちの写真も貼ってある。  こっちのほうは、歴史の本で、何百辺となく見慣れているので、新鮮味 はない。
 するするっと、山本耕一が、ボランティアの方に近づいて行って、質問 を始める。えらいなあ、耕一!  これが、15年ぐらい前、新宿歌舞伎町のソープ街のおっさんに「お兄 ちゃん! お兄ちゃん!」と声をかけられただけで、ブルブル震えて、私 の後ろに隠れた男と、同一人物とはおもえない。  歳月は、人を変えるというけれど、山本耕一のように、向上心と気配り を忘れない者だけが、歳月によって変わることができるのだろう。  何年たっても、進歩しない人間もたくさんいる。  退化している人間すらいる。  耕一のおかげで、私たちはとっても興味深い話を聞くことが出来た。  この亀山社中は、江戸時代高田酒店という酒屋さんの別荘だったそうだ。  その別荘を人づてに、買ったのか、借りたのが、坂本竜馬たちだったの だ。  この家には、隠し部屋があって、隣りの家に通じるようになっていたの が、最近になって発見されたというではないか。  明治維新から、すでに150年ぐらい経ているのに、まだこういった歴 史の新事実が発見されるのだから、不思議だ。  しかし、ここの場所を選んだのは、いかにも坂本竜馬らしいなあ。  湾が一望できて、オランダ商船や、薩摩藩の船が入港してくるのが、す ぐわかる場所だ。幕府の役所の動向もすぐわかるような位置だとも、ボラ ンティアの方が教えてくれた。  あ〜〜〜、暑くなければ、このままずっとここに座り続けて、明治維新 の夢を追い続けたいものだ。  しかし、デブには、新撰組の追っ手よりも、暑さが苦手だ。  亀山社中を後にする。  また近いうちに『竜馬がゆく』を読み直さないといけないなあ。  文庫本で8巻もあるから、読み直すにに勇気がいるんだよなあ。  最近『街道をゆく』全43巻を読み直し始めたばかりだからなあ。でも やっぱりそういう時間を持たないと。仕入れの少ない商店になってしまう。    亀山社中から、竜馬通りの道…といっても、急な坂道の石段だらけなの だが、下っていく。ところどこりに、休み石と呼ばれる、腰を降ろせる石 が置いてあるのが、親切。 「『竜馬がゆく道』散策の小径」というらしい。  日本で最初にブーツを履いたといわれる坂本竜馬のブーツを模した小さ な公園にも寄る。
 あとは、あぢあぢ…、じりじり言わせながら、カンカン照りの石段を下 る。  ひいひい、はあはあ…。  デブに暑さは、応えまする。  途中、山本耕一の奥さん・由美子さんと話す。 「耕一は、まだやさしいですか?」 「はい! やさしいです!」  ふたつ返事で返ってくるところがいいなあ。  いい奥さんだ。  午後3時。有名なメガネ橋のある川を渡って、カステラで有名な「松翁 軒(しょうおうけん)」へ。  長崎には、この「松翁軒(しょうおうけん)」よりも有名な「福砂屋 (ふくさや)」もある。  「福砂屋(ふくさや)」のほうは、創業1624年。徳川家光の時代だ。  その眩(まばゆ)いばかりの黄色。  カステラの底にこびりついた、ざらめ(双目と書くらしい)が絶品だ。  ただ最近は、「松翁軒(しょうおうけん)」のチョコラーテが美味しい ので、ついこっちのお店のほうに来てしまうことが増えた。  デブは、どっちも好き!…というより、カステラなら、基本的にどこの お店のも好き!
 2Fの喫茶室で、涼みながら、カステラを食べる。  カステラにはやっぱり、牛乳が合う。  でも牛乳を飲みすぎると、すぐお腹を壊すので、少しだけ飲む。  お腹壊してもいいから、そのうち自宅で、カステラと牛乳を心行くまで 食べ尽くしてみたいなあ!  午後4時11分。長崎駅から、シーサイドライナー16号に乗る。  わずか2輌の電車なので、超満員。  山本耕一夫妻が隣りの車輌で、立ち席になってしまった。  申し訳ない。  なのに、耕一は海が見える場所になると、こっちの車輌にやって来て、 「海が見えるようになりましたよ!」と報告しに来る。太ってるわりに、 マメなやつだ。  午後5時28分。ハウステンボス駅に到着。  ハウステンボス駅という名前の駅舎があるのは、知っていたけど、着い たら、まったくの拍子抜け。  ふつうのローカル線の駅。島式プラットホームが1本あるだけ。  ホームの両側に2本、線路があるだけでも、特別にしたつもりなのだろ う。  私はもっと豪華な終着駅を想像していた。  エスカレーターもない。  駅から、はるか彼方に、ハウステンボスが見える。  でかい! 広い! 果てしない!  まるでお台場のゆりかもめの駅に降り立ったときみたいな気分だ。
 橋を渡る。  どこからどこまでがハウステンボスなのか、さっぱりわからない。  大きな建物があるから、もうハウステンボスなのかとおもったら、こ れがJR九州全日空ホテルだそうだ。  ハウステンボスの場合、場外にもいくつかホテルがあるそうだ。    入国カウンターみたいなところに行く。  入国とはまた、大仰な。  でもこの広さからいったら、たしかにひとつの国だよなあ。  何たって、本家オランダの国土より広いそうだからね。  へっへっへ。いかにも一度も海外に行ったことのない人間の知識でし ょ?  うちの家族と柴尾英令くんは、ハウステンボスのなかでもいちばん豪 勢なホテル・ヨーロッパに宿泊するので、山本耕一夫妻とは、先ほどの JR九州全日空ホテルで午後7時に待ち合わせることに。  さて、私たちはホテルへ…とおもったら、嫁が「クラシックバスがい い? それとも船にする?」とわけのわからないことを言い出す。  げっ!? 歩いて行けないの? そんな遠いの?  そんな遠いところらしい。  ギャッフーーーーーンンンンンッ!  おもしろいからと、遊覧船で向うことにした。  おいおい! 本当に広いなあ。  どのくらい広いの?  東京ドーム30個分の広さ?   それだけ大きいと、たとえられても想像がつかないなあ。  えっ? 東京ディズニーランドの2倍の広さ? わかりやすいじゃな いの〜! すごい広さだなあ。
 しかしまあ、オランダ風の建物が並んで、本当に外国に来たみたいだ。  水辺に、3億円の一戸建ての家が並ぶ。  優雅そうだ。  えっ? この家を買えって? もう家は買わないよ。  第一、ここに家を買って、私はどうするのよ。  電車で来ないといけないんだから!  最短でも、8時間はかかるぞ!  む? 8時間かかる函館に家を持っていたことがあったっけなあ。  こういう情報は、あまり家族に知らさないようにしよう…って、もう 読んじゃってるよ!  船から下りて、ホテル・ヨーロッパへ。  映画『ミンボーの女』のロケ地につかわれているので、このホテル自 体に見覚えはあるんだけど、とにかく豪華、豪勢、豪壮!  ロビーだけで、民宿1軒営業できちゃうぞ!ってくらい広い。
 部屋も広いよ!  マリー・アントワネットがつかってた部屋じゃないの〜?  だんだん世界史に弱いことをぽろぽろさらけ出すギャグが増えて来た なあ。  大きなベッドは、横になっても足が出ない。  横たわってじゃないよ!  ふつうにベッドに横たわるでしょ?  でもって、身体を90度回転させるわけ。  こうすると、ふつうシングルベッドだと、ベッドを横切ることになっ て、身体がはみ出るよね。それがはみ出ないわけよ〜! 広すぎて〜!  いまどきギャフン!の連続!   ついでに「アジャパー!」もいっておくか! 「ガチョーーーン!」もだ。  最近びっくりしたときの流行語って、無くなったね〜〜〜!  長崎市内の暑さで、汗びっしょりになっていたので、シャワーのひと つも浴びてから行きたいのに、入国受付からホテル・ヨーロッパまで、 遊覧船に乗ってと、時間がかかってしまったので、そのま山本耕一夫妻 が待つ、JR九州全日空ホテルへ向うことにした。  今度はクラシックバスで。  広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い!   広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い!   広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い!   広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い! 広い!  午後7時15分。ハウステンボス場外のJR九州全日空ホテル3Fの 中華料理のお店「花梨(かりん)」へ。  このお店にしたのは、山本耕一の番組『TVみゅ〜で』に毎週月曜日 レギュラー出演をしている浦田修(うらたおさむ)さんが、ここの料理 長を務めているからだ。
花梨(かりん)」からハウステンボスを望む
 おまかせのコース料理を注文する。  すると、浦田修さんは、無料(ただ)でいいと言い出す。 「いやあ、いつも山本耕一さんには、お世話になりっぱなしですから!」 「それは困ります、浦田さん! えっ、あっ、はっ!」  恐縮し出したら止まらなくなる山本耕一が本気で困っている。  けっきょくわずかばかりの料金と、お酒代は取ってもらうことに。  お酒代さえ取ってもらえば、きょうも酔っ払い要員のエースがひとり 来ている。大丈夫だ!  さて、山本耕一の顔で、安くしてもらったから言うわけでは無いが、 こんな美味しい中華料理は、食べたことがない!     味からいえば、「SHEF‘S(シェフズ)」に似ているかな? いや、もっと似ているお店があったはずだ。どこだったかなあ。あっ!  思い出した! 伊勢丹7Fの「正月屋吉兆」の味にそっくりなのだ。  中華料理が、和食の吉兆の味に似ている?  そんな馬鹿なとおもうかもしれないが、一品一品のやさしさ、奇をて らわずに、正攻法で出してくるあたり、吉兆にそっくりだ。前菜なんか、 ほとんどおなじだし。  浦田修さんに解説してもらったんだけど、広東(かんとん)料理に出 会って、広東料理の魅力にとりつかれたそうだ。  とにかく私が苦手な、ボテッとした中華ではなくて、あっさりしてい るのに、味が深い。最高の美味しさだ。 「耕一、お手柄だよ! こんな美味しいお店を耕一から紹介してもらえ るとおもってなかったよ!」 「いやあ、じつは番組では毎週ごいっしょさせていただいていたんです が、このお店に来るのは初めてなもんで…」 「正直なやつだなあ!」  柴尾英令くんは、この日寝る寸前まで、「蟹爪が美味しかったですね え!」と何度も何度もつぶやいていたほどだ。
 食べ終わる頃には、ハウステンボスに花火が上がり、部屋を暗くして、 みんなで見る。  美味しいものを食べて、美しいものを見る。  これに勝る人生がありや?  午後10時。山本耕一夫妻は、長崎市内へ。  うちの家族と柴尾英令くんは、ホテル・ヨーロッパのラウンジで、お 酒とおしゃべり。  本当に私は今回の旅で、遊びモードになっている時間が長いようだ。    最近読書量の多い人、人生経験豊富な人との会話のほうが無防備です むということを発見した。知識のある人は、こっちの言葉をストライク ゾーン広く受け止めてくれる。  ところが、知識のない人、読書量の少ない人は、こっちの言うことを 曲げて取る、いわゆる曲解するので、かえって言葉に気をつけないとい けないのだ。  そんなわけで、読書量が豊富で、人生下品欲が旺盛な柴尾英令くんと のおしゃべりは楽チンなのであった。  午後11時。ホテル・ヨーロッパの部屋に戻って、NHK『北条時宗』 を衛星第2で見て、バタンキュー!  こんな値段の高い部屋で、すぐ寝入ってしまってはもったいない気が するよ。
 

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