5月27日(日)

 人間は生涯に何度か、歴史として語り継がれるような名場面を偶然見る
ことがある。
 きょうTVで見た名場面もまた一生涯忘れることのできない名場面だ。

 もちろん、貴乃花―武蔵丸の優勝決定戦のことだ!

 立っているのさえつらい足で、優勝決定戦で勝った。
 本割りでは、1秒も持たずにつんのめるように倒れた貴乃花を見て、誰
が優勝決定戦で勝つことを想像しただろうか。
「ファンのために土俵に立ちたい」という言葉だけでも、すごいと思った
のに、それ以上のことを成し遂げてしまうなんて、人間はどこまでその身
体のなかに可能性を秘めているのだろう。

 貴乃花には、「快男児!」という、ワードでは、変換してくれない古き
良き言葉を送って、快哉を叫びたい! 

 午前11時30分。嫁と、新宿伊勢丹デパート2F「JUICE+」へ。
 オムライス風そば粉のクレープ包みという不思議な食べ物を食べた。
 そば粉のクレープなので、玉子ではない。
 チキンライスではある。
 しかもシチューをそこにかけて食べる。
 お店の人には申し訳ないが、デビュー当時、ハウスのクリームシチュー をご飯にかけて食べていた生活を思い出した。  午後12時。カメラのさくらやパソコン館や、高島屋のHMVなどに寄 る。  雨の日は、身体がだるくなって、長時間は歩けなくなるので、喫茶店で 休み、休みしなら、買い物などする。  午後3時。自宅へ。  本日のオードリー・ヘップバーンの上映映画は『おしゃれ泥棒』。  私はやっぱりこの『おしゃれ泥棒』がオードリー・ヘップバーンのなか では、いちばん好きだったみたいだなあ。  昔書いた漫画の原作がほとんど、この映画のなかにあるもんなあ。  ジャガーEタイプを欲しいと思ったのは、この映画のせいだったのかあ!  どうやら白い洋服の女性に弱いのも、この映画のせいだったような気が する。  昔好きだった映画をもう一度見ると、自分という人間を再発見できるも んだなあ。「温故知新」とは、うまいこというもんだ。  午後5時30分。大相撲を見る。  内閣総理大臣賞の授与で、小泉純一郎さんが来た。この人、本当に運が いいねえ。こんな歴史的な場面に遭遇できてしまうんだもん。しかも表彰 状を棒読みしたあげくに、「痛みに耐えて、よくがんばった! 感動した!」 と自分の言葉で語って、拍手を浴びてしまうだもん。ずるい人だ。  午後8時。今夜はひさしぶりに、すぎやまこういち先生ご夫妻と、広尾 の「プティ・ポワン」でお食事。
なんと北岡シェフのお手製!
 すぎやまこういち先生に、『桃鉄ファン』をお渡ししていなかったのだ から、かなり長いこと、ごいっしょに食事していなかったのが、よくわか る。
 例によって、「プティ・ポワン」の絶品料理をいただきながら、あのお 店の味がよかった、このお店の味は、ダメだったと情報交換。  すぎやまこういち先生がすごいのは、何万円もするような料理店だろう が、ファミリーレストランだろうが、味で同等に評価されるところだ。  きょうも、「バーミアン」のチャーハンを絶賛されていた。本当に守備 範囲が広い。  うちの家族からは、「桃太郎電鉄人形焼」をプレゼント。 「プティ・ポワン」のオーナー北岡さんにも「桃太郎電鉄人形焼」をプレ ゼントしたら、さっそく食べていただいて「美味しい!」とお墨付きをい ただく。別に私と土居ちゃん(土居孝幸)が作ったわけではないのだが、 北岡さんにホメていただけると、何だか製品のランクが、1ランクも2ラ ンクも上がったような気がする。  しかも北岡さんが、「桃太郎電鉄人形焼」の生地が、なんとかという理 由で、非常にいいと専門的にホメてくれた。すまん。専門的で、文章にで きない。ははは。  それとなにより、白あんから、カスタード味に変更したことをホメてく れたのが、うれしかった。  浅草の人形焼と、お土産用の人形焼は、おのずと作り方を変えないとい けないから、今回の作り方は最善だったそうだ。…といわれても、私には よくわからかったんだけどね。  人形焼の話題から、2年前にこのメンバーで行った高松旅行の思い出話 に花が咲く。そして私が高松で計画中の突拍子もない企画が、実現の暁に は、すぎやまこういち先生ご夫妻、北岡ご夫妻もいっしょに、高松に行っ てくださると約束してくださった。これは是が非でも、今は言えない馬鹿 げた企画を実現させねば!  さらに、うちの嫁が買った最新式のJフォンをみんなで見て、携帯電話 談義。  私も最近はかなりメールが打てるようになったと、自慢する。  調子に乗って、私のメールアドレスには、横浜ベイスターズの文字が入 っていることを自慢したら、そこから「最近のベイは、かわいそうですね!」 と同情されて、やぶへびになってしまった。はっはっは。 「でも、すぎやまこういち先生が応援する阪神と、横浜ベイスターズは、 5位、6位のお友だちだから、2球団は合併して、監督野村さん、ヘッド コーチ・森さんのほうがいいような気がする」と言ったら、すぎやまこう いち先生に「それでも4番打者がいないよ!」といわれる。  そ、そ、その通りだ。  すぎやまこういち先生は、出会い系のメールばかり来るので、メールア ドレスを変えたとおっしゃったのだが、どうも変更が完了してなかったよ うだ。  気がつけば、お店の営業時間はとうにすぎて、午後11時30分になっ ていた。  やっぱり一流の人たちとの会話は楽しすぎて、ついつい長居してしまう。  後ろ髪を引かれつつ、オマール海老のピラフが絶品だったなあなどと思 い出しながら、帰り仕度。  午前0時。帰宅。  貴乃花の優勝シーンをもう一度見てから、寝ようっと。  最後に私信を。 「柴尾英令くん! 君は貴乃花とおなじぐらい、快男児だ!」  深くは語れない内容だけど、どうしてもひとことだけ言っておきたい。  こういう友人がいてくれたら、うれしいとずっと思っていたけど、こん なに近くにいたなんて、私はとても幸せだ。 「天ぷらの近藤」を3日連続ごちそうして、5〜6キロ体重を増やしてあ げたいぐらい感謝してます。  
 

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