4月28日(土)

 午前10時。京都に来て、ここに寄らずに帰るのは、忘れ物をしたよう
な気がするので行く。もちろん「イノダコーヒ本店」だ。
 フルーツサンドに、コーヒーを飲んで、スポーツ紙に目を通せば、京都
の朝を満喫した気分になれる。

 午後12時30分。京都駅で、お土産品を物色。昨年の夏、ラムネ味と
いう生八つ橋の傑作を生んだ聖護院が、今度は、桃味と、桜味を出したの
で買う。冬場は焼き芋味と、この会社は、生八つ橋の新作を続々発売して、
そのどれもが美味しい! そろそろ雑誌や、TVが気づいて、特集を組ん
でもよいと思うのだが。
 クランチ・タイプの八つ橋チョレート味を発売しているのも、この会社
である。

 午後1時7分。のぞみ54号で、東京に向う。
 ところが、座席についてしばらくすると、おばちゃんが来て、「私もこ
の席みたいなんですけど…」という。チケットを見ると、7号車7番D。
ありゃ、まったくおなじだ。たまにコンピュータがタッチの差で、同時に
発券してしまうことがあるから、あとで車掌さんに聞いてみましょうとい
うことになった。

 と思ったら、私の隣りのE席の若者が、「その券、1時10分のほうの
券じゃないですか?」
「へ?」
 ありゃ。のぞみ14号・7号車7番Dと書いてある。私が間違えたんじ
ゃないかあ! 7号車7番をすっかり、1時7分発と勘違いしていたよう
だ。むむむっ。
 とにかく、7号車7番Dの券を持っていたおばちゃんに謝る。
 ゴールデンウィークの初日だし、のぞみは全席指定だから、満員になっ
たら、完全に席がなくなってしまう。
 車掌さんに相談すると、「名古屋で、次ののぞみに乗り換えればいいで
すよ!」という返事。 
「へ?」「ん?」「そうか。先発ののぞみに乗ってしまったわけだから、
次ののぞみ号には、私の本来の座席があるわけだ。名古屋で降りて、その
のぞみを待ったって、わずか3分後に来る。さすが車掌さん、頭がいいと
いうか、私みたいなヘマをするお客さんが多いのだろう。

 間違えておいて、文句をいってはいかんとは思うのだが、のぞみ号の出
発時間が、1時07分と1時10分にあるというのは、紛らわしくないか?
 どうせなら、1時07分と、1時37分にでもしてくれれば、30分お
きに、のぞみ号に乗れて、さらに便利ではないか?

 それにしても、高松駅で「1時すぎの新幹線の特急券を…」といったと
きに、何で1時07分のほうを売ってくれなかったのだろう? ちょっと
不思議。

 そんなわけで、名古屋駅で下車。
 3分後に来るのではなくは、3分後に名古屋駅を出発しないといけない
わけだから、ホームに下りたとたん、「○番線に、のぞみ14号が到着し
ます」とアナウンスされて、のぞみ14号が入線してきた。

 さっきの新幹線も、こっちの新幹線もゴールデンウィークの初日だとい
うのに、まったくガラガラ。これはいったいどうしたことだろう。
 指定席は、半分弱。グリーン車は、2割程度の乗車率だ。
 日本人は、みんな海外に行っちまったのかな?

 本来の私の席に座って、読書。
『鎌倉謎とき散歩〜史都のロマン編〜』(湯本和夫・廣済堂文庫)を読み
終える。
 これはいい本だ。鎌倉の地図が巻頭についているので、地名が出てくる
たびに、地図を見ながら読めるので、頭に入りやすい。
 しかも、鎌倉時代のことが、ダイジェストでわかりやすく読める。
 私は鎌倉時代が苦手なので、いまは砂漠に水をまくような吸収力だ。

 引き続き『オンリー・ミー 私だけを』(三谷幸喜・幻冬社)を読み始
める。
 三谷幸喜という人は、どうしていつも考えうる最悪の事態に陥ってしま
うのだろう。こんなことが書いてあった。
 友だちから電話がかかってきて、飲みに行くことになったけど、ちょう
どパンツを全部洗ってしまったばかりだった。仕方ないので、ノーパンに
ズボンをはいて行くことにした。ジーパンだと、うっかりチャックにあそ
こを挟んでしまうのが恐くて、パジャマをはいて行く。
 パジャマをはいて行って、パジャマのゴムがゆるんで、ずり落ちて行く。
 さらに、雨が降ってきて、おしりの線がくっきりになって行く。
 コンビニで、パンツを買い、ファミレスのトイレで履き替えるも、パン
ツを便器に落とす。

 三谷幸喜さんのことだから、このエッセイは、全部フィクション、作り
話なのかなと思ってしまう。あと30ページほどで読み終えるのだが、あ
とがきのところに、全部フィクションですと書かれているような気がする。
もし本当のエッセイだとしたら、おもしろすぎる。しかもピンチに対する
対応の仕方がまさしく作家的である。ご一読あれ!

 午後3時28分。東京駅着。

 午後4時01分。横須賀線東京駅から、鎌倉に向う。
 電車のなかから、嫁に午後5時に鎌倉に着くと、携帯メールを送る。
携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。
携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。
土居ちゃん(土居孝幸)には不可能な携帯メールを送る。携帯メールを送る。
携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。
携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。携帯メールを送る。
そろそろしつこいだろな。
 携帯メールひとつで、えばりすぎであるが、おっさんにとっては携帯メー
ルが送れるようになることは、運転免許を取得した以来の感動である。ただ
右手の指がつりそうになる。連合反応で、不自由な左腕まで猛烈に痛くなる。
 自由につかいこなすには、相当時間がかかりそうだ。

 午後4時56分。鎌倉駅着。
 改札口を出たところに、嫁と娘がいた。
 横浜で、岩崎摂さんと会っていたそうだ。

 小町通りを散歩ののち、和食の「星月(ほしづき)」に初挑戦。
 和食料理のコースは、3500円から1万円までの幅があるという。
 値段は、高くなるにつれて、品数が増える。素材はおなじだそうだ。だっ
たら、少食のわが家族は、3500円の料理でじゅうぶん。
 いちばん量が少ないコースを選んだのに、じゅうぶん食べ出があったし、 焼き里芋は、絶品だった。  これはまたいいお店を発見してしまったものだ。シアトル・マリナーズの 7連勝ぐらい、このところ鎌倉で入るお店、全部美味しい。3500円で、 これだけの和食が食べられるお店は珍しいよ。  大食漢で、あまりお金をかけたくない人は、この3500円のコースを食 べて、食後、すぐ近くの紫いもソフトでも食べるといいですな。これってや っぱりデブの発想ですな。  午後7時。鎌倉長谷の家に到着。  まだ旅の途中の気分が抜けないかと思ったけど、かなり、気分がくつろぐ。 慣れ方が早いようだ。京都のマンションのときのほうが、慣れるまでに1年 以上かかった気がする。  本日、デイゲームにて、横浜ベイスターズが中日ドラゴンズに勝利! 今 期初の2連勝…って、遅すぎるわいっ! ううっ。2連勝でこんなにうれし いチームになってしまうなんて…。  明日も、鎌倉。
 

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