4月21日(土)

 午前5時起き。非常事態宣言。
『桃太郎02(仮)』のメッセージ直し。

 午前10時30分。嫁と高円寺の整体さんへ。
 
 午後12時。高円寺の旭川ラーメン専門店「旭龍(きょくりゅう)」
で、醤油チャーシュー。嫁は海鮮塩ラーメン。
 いかにも旭川風のどろっとした醤油味で、けっこう私には好みだっ たのだが、嫁は塩味に透明感がなく、ぬるいのが気に入らなかったよ うだ。  私の場合、北海道の黄色い麺というだけで、採点が甘くなるから、 ちょっと高く評価し過ぎかも。  私には味よりも、お店の人の覇気のなさのほうが気になった。  店員も厨房の人も、まったく微笑んでいない。  覇気のないお店というのは、味がいいお店に、年に5回ぐらい行く としたら、無意識に2回に減ると思う。この3回分の差は、お店の繁 盛に相当影響すると思うのだが。  午後1時30分。帰宅。  整体さんに行くと、スポーツジムに行ったあとのように、疲れるの で、仮眠。  午後3時。起きて、さっそく『桃太郎02(仮)』のメッセージ直し。  最近年齢のせいか、作るゲームの数が多すぎるせいか、作品のなか に埋没して、没頭するまでに、ものすごく時間がかかる。  いわゆる役者さんの役作りみたいなものだけど、この作品のなかに 入り込むエネルギーというのが、ロケットの大気圏突破のように、苦 しいものだ。いったん突破してしまえば、それこそ軌道に乗った宇宙 船のように、楽な展開になる。  今朝ほどから、この『桃太郎02(仮)』に入り込むことができた ので、ハイピッチで原稿が進む。しかし膨大なメッセージ量の前に、 書けども、書けども、仕事終わらず。  午後6時。嫁と娘は、先日大当たりの美味しいお店「よしひろ」に 向った。私の日記を見たグルメ娘が、「行きたい! 行きたい!」と 言い続けていたらしい。相変わらず恐ろしいグルメ・センサーだ。  寒いから、おでんが美味しそうだ。  午後6時30分。渋谷の郷土料理のお店「九州」へ。  今年の1月だったか、記録的な雪で中止になった、放送作家・福本 岳史プレゼンツの異業種交流会「招福会」のリベンジが、やっと開催 された。  しかし、前回は大雪、きょうは昨日との温度差16度という、めち ゃくちゃ寒い日。どうして福ちゃんは、寒波を呼ぶのだ、自分は太っ ているから、関係ないのだろうが。  私は『桃太郎02(仮)』の原稿がピンチなので、挨拶をしたら、 そそくさと家に帰って、仕事をしようと思っていたのだが、世の中そ ういつもいつも自分の思い通りに進まないものだ。  結果的には、思い通りに進んだといったほうが、正しいのだが…。    ちなみに、この異業種交流会。2系統ある。  ひとつは私が主催する「笑止会」。  友だちの友だちを呼んで、通常では知り合うことのないまま人生を 送りそうな人同士を友だちにしようという趣旨で始めたのだが、会を 追うごとに、20人、30人、50人と増えて行き、とうとう昨年 9月、70人近くにまで膨れ上がり、次回「笑止会」を開催したいも のの、どうしたらいいかわからない状態なのだ。  次回は、間違いなく、100人になってしまうだろう。  100人が、2時間の間に、友だちになれるほどの会話ができるだ ろうか。ひとり当たり、0.8分はきつい。  ましてや、この「笑止会」。毎回業界の大物が続々、気軽に参加す るものだから、若者たちが、どうもビビってしまって、会話らしい会 話ができないという不満が出てきた。  いわゆるマスコミ業界で生きて行きたいなら、大物とも無理してで も、しゃべれ!というのだが、私だって、元大洋ホエールズの新治投 手に、思いがけずお会いしたときに、しどろもどろになった。わから ないでもない。  そういう若者たちの声から、生まれたのが、福本岳史くんの「招福 会」。  一応、20歳台の若者を中心に、気軽にしゃべって、自民党の若手 議員みたいに、橋本龍太郎に楯つけるまでの勢力になろうというものだ。  それじゃ、あたしは、橋本龍太郎かい? いや、中曽根康弘だって?  誰だ? そんなことを言ってるやつは!  何だ、前回の「招福会」で、年齢制限で呼ばれずに、すねていた酒 飲みおじさん、似顔絵を全部○だけで、描けそうな、柴尾英令くんで はないかい!  福ちゃん、柴尾英令くんも、OKなの?  あれ? 『桃太郎電鉄』の音楽担当・宮路一昭くんも来てるじゃな いか! おいおい! ふたりとも、20歳台ではなく、40歳が目の 前だぞ。  しかも、若く見えるが4コマ漫画家・なかむら治彦くんも、30歳 台後半だぞ。  なんだか、どんどん、年齢層が上がっていないか?  おお、古川知子が来た。 「さくまサン、柴尾さんに、あたし、24歳ぐらい?って言われたん ですよ〜!」 「そうか、柴尾くん、もう酔っ払っているか! 順調! 順調!」  さて、本当に20歳台の若手もたくさん来ていたので、まとめて紹 介。女性のなかには、30歳台の人もいるけど、やっぱりここは、 20歳台のコーナーで紹介するのが、礼儀ってもんでしょう。 (順不同、敬称あったりなかったり!) ・市川邦泰くん。音楽製作会社アイテム代表。 ・大友貴司くん。ゲーム制作会社グローバル・Aエンタテインメント代表。 ・岩瀬耕造さん。ラジオ・ディレクター。 ・江口貴博くん。編集プロダクション。プロスペック代表。 ・片柳由貴子さん。ジャパン・デジタル・コンテンツ。 ・門谷祥子。ナムコ・グラフィック・デザイナー。 ・小林千尋くん。ハートビート。 ・駒田健吾くん。TBSアナウンサー。 ・小山善紀さん。広告代理店ドリームキューブ。 ・佐々木浩材さん。毎日新聞記者。 ・真銅努くん。竹書房ドキ編集部。 ・清正まなつチャン。放送作家。 ・高内優向。イラストレーター。 ・友清哲くん。フリーライター。 ・豊福陽一郎くん。ファッションデザイナー。 ・中野渡昌平くん。ナムコ。ゲーム・プランナー。 ・西永聡くん。雑誌ペントハウス編集者。 ・原あき子さん。スタイリスト。 ・古川知子。イラストレーター。 ・前田文さん。ゲーム系ライター。 ・丸堀彩文さん。アリtoキリギリス漫画作者。 ・わたなべヨシコさん。ラジオ・パーソナリティ。 ・杉岡芳樹さん。ラジオ・パーソナリティ。 ・岩崎誠。読売広告。岩崎誠を若手のとこに書いちゃいけないなあ! ・高橋秀幸くん。旅行会社JTB勤務。  なんだい。柴尾英令くん、私、宮路一昭くん、なかむら治彦くん、 主催者の福本岳史くんを加えたら、すでに30人もいるではないか。  ほとんど「笑止会」の規模と変わらないじゃないか。  しかも、まだまだ参加者は、このあともじわりじわりと増えて行く のであった。  さて、ここでうれしいエピソード。っと言ってもうれしいのは、私 だけなんだけどね。  ナムコのゲーム・プランナー中野渡昌平くんと挨拶をしたときのこと。 「へ〜〜〜、中野渡っていうの。すごくいい名前だねえ! 今年横浜 ベイスターズで活躍してる選手に、中野渡っていう投手がいてね!」 「あっ、それ、うちの親戚です!」 「な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、  な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、  な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、  な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、  な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、な、  な、なんだとォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜!」 「去年、横浜ベイスターズに入団して、今年けっこう登板…」 「そういうデータは、全部知ってる、知ってる! 中野渡くん、きょ うはゆっくり話そう!」 「さくまサン、そろそろ乾杯の挨拶を…」と、福ちゃんがおそるおそ る。なんという間の悪いときに、私に乾杯の音頭を頼むやつだ。 「え〜、きょうはここで乾杯の挨拶をしたら、仕事しに帰ろうと思っ ていたのですが、中野渡くんとちょっとじっくりしゃべることに専念 したいと思います。はい、かんぱーーーい!」  ほら、いいかげんな挨拶になってしまった。  ふむふむ。ほうほう。中野渡投手のエピソードをいくつか教えても らったぞ。 「今度、ぜひ彼とさくまサンが会う機会を…」 「ちょ、ちょ、ちょっと待って、それには心の準備が…」 「さくまサンって、芸能人に会っても、全然あがらないのに…」 「うん。芸能人は全然OKなんだけど、横浜ベイスターズだけはダメ!  本当にファンなんだもん!」 「きょうの試合は見なくていいんですか?」 「う〜ん。どうせ負けてるからなあ!」とかいいながら、やっぱり気に なって、iモードのベイスターズ情報を見てしまう私であった。  2対3。やっぱりまた負けてる。  横浜ベイスターズの投手は…、「おおっ! 中野渡だ!」 「中野渡くん、いま、中野渡が投げているぞっ!」 「あっ、ほんとだ! いいですねえ!」    横浜ベイスターズ中野渡投手ネタで、ひとり盛り上がったあとに、私 よりも舞い上がってしまったのが、アリtoキリギリス漫画を描いてい る丸堀彩文さん。つねにアリtoキリギリスのライブを追いかけて、出 待ちもして、漫画でレポートしている、丸堀彩文さん。  なんと、ひょっこり、アリtoキリギリスの石井正則くんが、この宴 会に来たのである。しかも私を見て、挨拶したあと、どこか空いてる席 はないかと探した石井正則くんが、何気なく座ったのが、丸堀彩文さん の隣り。  丸堀彩文さん。「はっ!」と、小さく叫んだあと、目が泳ぎ始める。  あとはもう大変。うれしいやら、顔がこわばるやら、うっとりしてい るやら、恥ずかしそうにしているやら、七色のカクテル光線状態。  しかもちょうど壁の横にいたために、まさに将棋で石井正則くんとい う駒に、詰まれる寸前のような位置に、丸堀彩文さんは座っている。こ の様をみんなで見て、大笑い。 「逃げようにも、逃げられない場所だねえ。逃げたくはないだろうしな あ!」 「はい!」  そんな丸堀彩文さんに、一生懸命自分から話してあげる、石井正則く んは、えらい!
 午後10時。二次会へ。とてもまだまだ全員と話しきれないので、私 も二次会に行くことにした。一次会で、中野渡くんとばかり話しすぎた。 はっはっは。でも中野渡くん、近々、別の宴席をもうけて、じっくり話 そうではないか。中野渡投手を無理して呼ばなくていいからね。現役の 選手にシーズン中に会ってはいけないからね。  二次会は「九州」の近くの「東京市場」。  この二次会に、美容室「ル・アンジェ」の佐藤志靖さんと、プロボク サーの日高和彦くんが参加。  日高くんは、都城の出身なので、おなじ都城の出身の宮路一昭くんと 会話したら、なんと、高校の学科までおなじ、先輩、後輩の関係だった ので、大笑い。どうもいつもこの会は、偶然昔の知り合いにあったり、 戦国時代の先祖が主従関係だったとか、おもしろい因縁が勃発しやすい。  フリーライターの友清哲くんは、自称・ペーパー・プロボクサーらし いんだけど、日高くんの試合を見たことがあるそうだ。ボクシングの話 まで出てくるこの会は、本当におもしろいなあ。  さらに、なんと漫画家・みずしな孝之くんと、おなじく漫画家のあっ きうサンも来て、ますます百花繚乱、多士済々、わけのわからい盛り上 がりに、狂喜する人、続出。  午後11時30分。私がいちばん早く、退席することに。 「さくまサン、帰っちゃうんですかあ?」 「うん。実はめったに見られない横浜ベイスターズの勝ち試合を見に帰 らないといけないんで! それじゃ!」  なんとあのあと、珍しいことに、横浜ベイスターズが4対3で、逆転 勝ちしたのだ。やっぱり中野渡投手の親戚に会うような素敵な夜に、横 浜ベイスターズは勝利してしまうのでしょう。  石井正則くんが、わざわざ私を見送るために、ビルの下までついて来 てくれて、タクシーまでひろってくれようとする。 「石井くん、いいよ、そこまでしなくても。ほら、まわりの人がそろそ ろ気づき始めちゃったよ。戻ったほうがいい!」 「はい、失礼します」  道行く人たちが「あ、あれ!」「あの人!」と、続々気づき出したの だ。本当に知名度が高くなったなあ。しみじみ。  午前0時。帰宅。  必死に、裏番組をビデオ録画しながら、日テレ、TBS、テレビ朝日、 フジともれなく、スポーツ・ニュースを見て、ご満悦。  でもおかげで、すっかり夜更かししてしまった。  いよいよ『桃太郎02(仮)』のメッセージ直しがピンチ!
 

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