12月1日(金)

 とうとう12月に入ってしまった。…と、どの日記でも書いているだろうけど、
やっぱり師走に突入である。師走になったとたん、何だかあわてないといけない雰囲気
になってくるのは、なぜなんだろうねえ。

 午前10時。喫茶店「らぴす」サンで、工務店の人と、鎌倉の家の内装について打ち
合わせ。あれほど鎌倉の家がほしいと駄々をこねた私だが、いざ購入してしまうと、家
のことは嫁におまかせである。大体「なんでそこまで!」というくらい嫁は、インテリ
アに知識があるので、私なんぞ、出る幕がない。トイレはウォシュレットにして! 本
棚多くして!と言って、お終いである。

 午後11時30分。嫁と原宿界隈を散歩。ちょっと旅行している間に原宿はすぐお店
が潰れて、新しいお店になっているから、見飽きない町だ。20年以上営業しているお
店なんて、50軒に満たないのでは? 30軒にも満たないか?

 午後12時30分。さくにまにあの馬場ダイくんが教えてくれた竹下通りのなかの、
コロちゃんコロッケに行ってみる。
 コロちゃんコロッケ、50円。十勝牛コロッケ100円を食べてみる。値段半額のコ
ロちゃんコロッケのほうが、圧倒的に美味しいのは、い〜かがなものか!
 今度コロちゃんメンチを食べてみよっと。
 コロッケの買い食いというのは、子どもの頃の風習だから、なつかしくていいやね。 杉浦茂さんの漫画に、コロッケ5円の助というキャラがいたのを思い出す。5円から 50円。40年間でやっと、10倍になったわけだ。高くなったのか、ほかの物に比べ て上昇率が低いのか、よくわからん。  午後1時。帰宅。iモード・ゲームの原稿がようやく終了する。 『さくま式西遊記』のほうでは、『エノケンの孫悟空』について書いてみた。そろそろ 昔のお笑いについて、書いてもいい年恰好になっきたような気もする。
 午後3時。柴尾英令くんが来て、『桃太郎大全集(仮)』の打ち合わせ。柴尾英令く ん担当のシナリオ部分を検討する。  ふんふん。ほうほう…。 「柴尾くん、おもしろいじゃないか!」 「ええっ? そ、そうですか。うれしいなあ!」 「いいよ、いいよ。で、なになに? えーと…。酒呑と私に何があったのか…。  このあと、桃太郎の家から、物語は再開する…、おい! 柴尾くん! ここで終わりか い! この先はどーした!」 「この先は、10日後くらいには…」 「連載漫画の次号につづくみたいなことするなよな、ゲームシナリオで!」  う〜む。なんて大胆素敵なやつだ。 「で、ここの鬼切り丸がさ…」  お〜っとっとっと。ぎりぎりセーフ!  いかん、いかん。自分からネタをばらしてはいかん!  あとは、共通のマップや…、お〜っとっと。これも言ったらいかんじゃないか! 書き づらいなあ。『桃太郎電鉄』の場合は、いくらネタバレしても、ゲームをやる人間が変わ れば、ゲーム展開も変わるから、実はいくらバレても平気だけど、RPGの場合、シナリ オとシステムを知ることは、ゲームの90%を知ってしまうことになるから、ミスターぽ ろりの私も自重しないとな。シャレにならん。  というわけで、このあと楽しく、敵キャラについて、ああでもない、こうでもないと、 笑いながら議論。 「柴尾くんが、爆笑するような敵キャラ作ってやるからなあ!」 「さくまサンの仕事のやり方がよくわからないですよ。いきなり猛スピードで、最後のほ うをやっていたかと思うと、また最初のほうやってるし!」 「いや、実は私にもよくわからないのだ。たぶんスイッチバック方式なのだと思う! 頭 のなかで考えていても、実際に作ってみると、勝手がわからないから、とにかくマラソン・ コースを一度、走ってみるタイプなのだと思う。それをほかの人が見ると、もう全力で走 り出してしまったのかと勘違いする。敵キャラの数値まで決め始めてるのは、コースを完 走してみただけ! 柴尾くんは、柴尾くんで、マイペースでやってくれ!」  というあたりが、本日の会議のぎりぎりラインかな。えっ? けっこうオーバーランし てるって? そりゃ失礼しました。って誰に謝ってるんだ、おい!  このゲーム、本当にまだハドソンと契約していないので、本当は何を書いてもいいのだ。  午後7時30分。家族3人+柴尾英令くんの4人で、渋谷の東急百貨店「なだ万孝明」 へ。中華なのに、和食テイストで食べやすい料理ばかりだ。
 娘の高校受験をめぐって、4人で大議論。ああでもない、こうでもないと、言い合う。 「娘よ! わかったか! これだけの大人がバラバラなことをいうということは、正解は 無いのじゃ、好きなようにせい! わっはっは!」 「そうだとは思うけど、なんという親だ!」  午後10時。柴尾英令くんはこのあと、ヤングサンデー編集部へ。私たちは自宅へ。 「柴尾くんが一生懸命働いている間に、私は担当部分のシナリオを完成させて、プレッシ ャーかけてあげるからね〜!」 「ひどい〜! むごい〜!」 「わっはっは!」  そんなわけで、私は『桃太郎大全集(仮)』の仕様書執筆中。システムに関して、きょ うも柴尾英令くんとの間で、討議する部分はまったくなかったので、あとはシナリオを完 成させるだけだ。  ふっふっふ。ウサギとカメのウサギは、寝ませんぜいっ! でもあっちのカメさんは、 ターボエンジンがついてるからな。  いやはや、非常におもしろいスタンスで、柴尾英令くんとコラボレーションしてる様を、 もっと肉声全開で公開したいくらいだよ。 現在のところまで、お互い非常にいいペースなり。  それではまた私は仕事に戻る!
 

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