10月26日(木)

 最近やたらと、「さくまサン、いま何のゲームが完成していて、何が発売中で、
本当は何のゲームをいま作ってるんですか?」
「次回作の『桃太郎電鉄』作ってるって、ずっと日記に書いてあったけど、あれは
どこに行ってしまったんですか?」
「よく日記に出てくる『桃太郎大全集(仮)』って何ですか?」などと聞かれる。

 本来こういうことを言うこと自体、守秘義務に抵触するのだが、たまに頭のなか
を整理しないと、わけがわからなくなるので、いま、自分でおさらいしてみる。

 とりあえず、現在iモード・ゲーム関係は、三部作が完結しているので、iモー
ド・ゲーム関係の新作は作っていない。企画はあるが。

 で、桃太郎関係!

 2001年元旦に発売されるのが、ゲームボーイ版『桃太郎伝説1→2』。私が
CM出演するゲームだ。これはもうちょいで、デバックが終了する? 国政修くん
が最終チェックに入っているので、私の手は離れている。

 2001年春の発売をめざしているのが、ゲームボーイアドバンス版『桃太郎ま
つり』。これは今週、テストプレイ真っ只中。しかもテストプレイというと、数値
の直ししかできないものだが、イベントを増やそうとか、シナリオ・チェンジのき
っかけになるイベントを大幅変更しようといった、贅沢な作りを今しているところ。
 本来こういう風に、ほぼ完成ヴァージョンを見ながら、ここのシナリオをもっと
ふくらまそうよ!と、みんなで会話しながら、改良できるように作りたいものだ。
 おかげで新生桃太郎チームとして、チーム一丸となって作品を作っている気がし
ていい。実に出来のいいゲームだ!

 真夏に、連日京都にこもって、必死に黙々…、黙々…、黙々…、黙々…、黙々…、
黙々…、黙々…と書きまくっていた次回作『桃太郎電鉄』は、現在プログラマーの
ほうに、私のシナリオが渡って、マップやら、イベントを検討中。
 ゲーム・シナリオと、プログラムというのは、漫画の原作者と、作画家の関係に
似ている。
 だから次回作『桃太郎電鉄』は、原作(ゲーム・シナリオ)が完成して、漫画家
(プログラマー)さんがいま必死に下書きをしている段階。
 一応、次回作の『桃太郎電鉄』は、通算10本目になるので、今後この日記では
『桃太郎電鉄X(仮)』と表記していく。残念ながら、発売時期、ハードは何かを
発表することはできない。

 しかし、多いなあ。
 もうすでに、3本出てきたぞ。まだあるのだ。

 このところ、この日記を賑わしている『桃太郎大全集(仮)』は、RPGである。
 しかし、このゲームはまだハドソンと契約書も交わしていないので、作るかどう
かもまだ決定していない。
 どうしても私がシナリオを完成させてから、RPGを作ってみたいわがままから、
こうなっている。作るかどうかわからないのに、シナリオを書いているのは恐ろし
いことだ。でも本当にちゃんとした作り方で、納得のいくRPGというものを作っ
てみたいのだ。
 人生の残り時間、体力を考えても、ここ数年が最後のチャンスだ。

 さらに、『桃太郎電鉄』シリーズの別ヴァージョンが、静かに始動を開始してい
る。う〜む。これはあまり言えないな。

 それと、私がもうひとつ『桃太郎電鉄』を作り始めている。
 これはベスト・アルバムっていったほうがいいのかな? PSの『ザ・ベスト』
とは違う。これ以上詳しくはいえない。墓穴掘る前に、次の話題に移ろう。

 さ〜て、これが全部かな?
 いや、もう1本、すでに始まっている作品がある。ことあるごとに、会議でちょ
びちょび話題にしているが、この作品のことだけは、絶対に口にすることができな
い。今後も作ってる最中でも、言えないかもしれない。

 あ、そうそう、まだ『伊吹童子(仮)』があった。
 これはかなりシナリオが完成に近づいているんだけど、発売時期が定まらないの
と、これ以上働くと、私もさすがに身体が持たないので、順番待ち。

 これで全部だ! ふうっ!
 一体何本?
 5本か、6本? 多いなあ!
 これじゃ、あいかわらずメーカーのリリース・ペースと変わらないじゃないか! 
 私は個人営業だぞ〜! 下手なメーカーよりよっぽど作品数が多い。
 そういえば、2001年元旦発売の『桃太郎伝説1→2』は、桃太郎シリーズ通
算30本になるらしい。
 桃太郎シリーズ以外も何本か作っている。
 この15年間で、35、6本か。毎年2本以上作っている計算になる。
 恐ろしい数だ。


 午前11時30分。嫁と、喫茶店「らぴす」サンでモーニング・セット。

 午後12時。家に戻って、『桃太郎まつり』のメッセージの直し。オープング・
シーンのメッセージを大幅に変更する。

 午後2時。嫁とTBSへ。放送作家の福本岳史くんと、玄関で待ち合わせ。

 きょうは『有限会社 桃太郎商店』の録音ではなくて、
『デジタル解決頭巾 デジ虫』というラジオ番組への出演である。
福ちゃんがブッキングしてくれた番組だ。
 TBSの美人アナウンサー・進藤晶子(しんどう・まさこ)さん、駒田健吾さん、
週刊アスキー編集長・福岡俊弘さんがパーソナリティで、全国10局ネット、土曜
深夜午前3〜4時の番組で、この録音は早くも今週の土曜日オン・エアーされるそ
うだ。
 ひさびさに地方の人でも、私の声を聞くことができるよ。

 本来初めて出演する番組だし、パーソナリティの方々とも、初対面なので緊張す
るはずなのに、いつも『有限会社 桃太郎商店』を録音することの多い、第6スタ
ジオだというので、まず気が楽になる。

 しかも第6スタジオに入るために控え室を通り抜けようとすると、『有限会社 
桃太郎商店』の田中ディレクターが座っているではないか。はっはっは。連絡が入
っていて、待ち伏せしていたようだ。こういうギャグはとっても大好きである。
 
 田中ディレクターと大笑いしていると、「元・有限会社 桃太郎商店プロデュー
サーの牧でーーーす!」と、牧さんが登場するではないか!
 牧さんまで、ギャグを!
 もうほとんど、『有限会社 桃太郎商店』の録音で来たみたい。

 スタジオに入って、パーソナリティのみなさんとご挨拶。
 ここからいつもならアリtoキリギリスと堀越のりチャンと雑談に入るのだが、
いきなり録音開始。ありゃ、と思うが、完全にリラックスしてしまっているので、
違和感なく入れる。
さくま、進藤アナ、福岡さん、駒田アナ
 だいたい、もともと私は進藤晶子アナのファンだし、駒田健吾アナは、中学生時代 に『ジャンプ放送局』真っ只中世代だそうで、駒田アナのほうがよっぽど緊張してい たそうだ。  しかも「進藤」「駒田」という名前が続くと、横浜ベイスターズ・ファンの私は思 わずウキウキしてしまった。横浜ベイスターズの選手と同姓の人には、好感度がつい つい高くなってしまう。  おまけに、進藤晶子アナは、食い道楽だというので、いきなり食べ物の話で盛り上 がってしまった。 「京都の和食だと、どこがいちばん美味しいですか?」 「たぶん知らないと思いますけど、『M』というお店が…」 「やっぱり、『M』っていいますねえ!」 「ええっ? 有名じゃない一見さんお断りのお店ですよ!」 「先日、糸井重里さんも『M』と言っていました!」 「あははは! 糸井さんなら言うなあ!」  おっと、番組のほうの話題がまったくない。  一応、私の経歴などが話題になって、iモード・ゲームの三部作、『桃太郎伝説1 →2』などの話をちょこっと。  駒田アナが本当に『ジャンプ放送局』のフリークだったみたいなので、『ジャンプ 放送局』の話題が多かったかな。  この辺のことは、みんなに聴いてもらったほうがいいもんね。    番組が終了したあとも、進藤晶子アナと、和食の話題。  進藤さんの地元・大阪の美味しいお店を1軒紹介してもらったので、うちは開店早 々の『樋口』を紹介した。まだどこの雑誌にも載っていない、穴場中の穴場だもんね!  午後3時。録音終了。  福ちゃんと嫁の3人で、築地のハドソンに向う。  福ちゃんが「番組どうでしたか?」と聞くので、「進藤さんと食い道楽の話ができ るなら、レギュラー出演でもいいぞ!」と答えて、笑われる。  嫁と福ちゃんの録音に対する感想がおもしろかった。 「いつも『有限会社 桃太郎商店』を録音してるスタジオとおなじとは思えなかった!」 というのだ。 「え? 何で? 先週も録音したスタジオだったから、まるで『有限会社 桃太郎商 店』みたいだなと思ったけど?」 「おなじスタジオでも、出演者が違うと、こんなにおしゃれな番組になるのかと思っ たわよ!」 「そうです! そうです! さくまサンの声もゆったり聞こえましたよ!」 「地名の雰囲気でいうと、浅草と青山くらいの差があったわね」  はっはっは。『有限会社 桃太郎商店』は、下町の設定だし、こてこてのギャグを 連発だからなあ。そういう風に違って聞こえるもんなのかあ。  午後3時30分。築地のハドソンへ。  すでに、土居ちゃん(土居孝幸)、国政修くん、柴尾英令くんが来ていて、テスト・ プレイ中。おや? きょうのテスト・プレイヤーは、土居ちゃん!?
土居ちゃん、國政くん
「はっはっは。おもしろいよ! これ!」  土居ちゃんらしいや!  おやおや? いつも『桃太郎電鉄』では、とっちらかったゲーム展開を演出するこ とで有名な土居ちゃんが、やけに慎重にゲームをやっているではないか! 「ははは。パズルっぽいゲームとかって、けっこう好きなんですよ!」  土居ちゃんが苦しみまくるだろうと思っていたミニゲームも、ちっとも引っかから ないので、みんなで拍子抜けする。  う〜む。何だか悔しいなあ!  午後7時。土居ちゃんが全然ゲームをやめる気配が無いので、福ちゃんにお弁当を 買いに行ってもらって、そのままテスト・プレイを続行!  土居ちゃんが日本シリーズを見に帰りたいと言い出さないのだから、 『桃太郎まつり』は相当おもしろいんだぞ!  おかげで、こっちは連日のテスト・プレイで、目がしょぼしょぼなのに、土居ちゃ んに付き合わされるはめになってしまった。  午後9時。とうとう、後半のシナリオから、エンディングのイベントまで、チェッ クすることができてしまった。 「おもしろい!」 「これなら十分すぎるボリュームだ!」 「でも、まだここと、あそこと、あの辺に、ゲームを加える予定ですよ!」 「豪華だねえ! いいねえ!」 「すごいよなあ!」 「おもしろいけど、もう目がしょぼしょぼ!」 「あ、ボクも目が痛くなった!」と土居ちゃん。  午後10時。帰宅。  疲れた…。  日記書いて、風呂入って、寝る。  巨人が日本シリーズに勝ったので、今週の土曜日も『有限会社 桃太郎商店』の放 送は中止だ。その分、午前3時まで夜更かして、 『デジタル解決頭巾 デジ虫』を聴いてねえ!  夜中までちょっと大変かな?   明日もまたハドソン!
 

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