10月10日(火)

 横浜ベイスターズ・ローズ選手の退団が決定した。
 ほかの球団でプレーする気はないといっていたが、本当だろうか?
 過去のローズ選手の言動からだと、信じられるのだが、大金を積んで獲得に乗り出
す球団があれば、わからないものだ。
 かといって、それを否定することもできない。
 誰でも自分を高く評価する球団で働きたいものだ。

 いっそ、選手はファンが寄付金で養うというのはどうだろう?
 今回みたいに、ローズ選手が提示した金額が払えない場合は、ファンが寄付金を出
す。これなら本当にファンのために、働く気がするだろうに。それでたいした金額が
集まらなければ、選手も納得が行くだろう。
 ローズ選手なら、私は100万円の寄付金を出してもいい。
 ニュースで見た、「この8年間は素晴らしいものだったから、ほかの球団でプレー
する気は無い」といって、涙を流した姿を信じたい。

 と同時に、森祗晶(もり・まさあき)さんの横浜ベイスターズ新監督就任が正式に
決まった。
 私がいちばん好きな監督なだけに、もっとうれしいがずなのに、森祗晶さんの緻密
が野球理論が、自由奔放な横浜ベイスターズの選手に通用するのだろうか? 
 そっちのほうが心配で、心配で、喜ぶことができない。
 
 まず波留選手が出場できなくなるのでは?というのは、横浜ベイスターズ・ファン
にだけ通用するギャグだろう。ギャグで終わらないでほしい。
 
 さて、先週土曜日、嫁に留守録してもらった、NHK連続テレビ小説『オードリー』
を見る。
 アリtoキリギリスの石井正則くんが、テロップ4番目に抜擢されて、奮闘してい
る。

 このドラマは、昭和28年2月が最初の舞台。
 私が生まれたのが、昭和27年だから、私がいちばん楽しめる年齢なだけに、今後
が楽しみ。登場人物のモデルになった俳優が誰かを当てるのも楽しい。
 ただ、豪華俳優を集めすぎて、まだ混ざっていない感じがする。
 大竹しのぶサンが出てくる場面だと、大竹しのぶサンのドラマ。
 藤山直美さんが出てくると、藤山直美さん主演のドラマ。
 前半の主演のはずの賀来千賀子さんが、どうも昭和28年の頃の人間に見えない。
まだ本当の主人公が登場してこないというのも大胆だな。

 そのうち、出演者がひとつになって、独特の色を見せ始めるのだろうが、石井正則
くんは相変わらず勉強できる俳優さんたちに恵まれている。
 ヅカッチ(石塚義之)も最近『ナースのお仕事3』以降、いい顔になって来ている。
 そのうち隠居して、ふたりの活躍を見て楽しむ生活というのもいいな。

 午前中、ようやく『桃鉄研究所』の原稿に着手。
 この1ヶ月間、『ドラゴンクエストVII』月間になって、いろいろなことが延び延
びになってすまぬ。いましばらく待たれよ!

 午前11時。渋谷「唐(とう)そば」に初挑戦。
 グルメ評論家の山本益博さんが絶賛し、柴尾英令くんのホームページでもよく登場
するお店だっただけに、早いこと行きたかったのだが、いつも行列で入ることができ
なかった。
 きょうは開店と同時を狙ったので、私と嫁の前にはただひとり。なんなく入ること
ができた。
 メニューに「ラーメン」としかないのがいいねえ。
 ラーメンの美味しいお店とかいって入ると、やたらと何10種類も名前が並んでい
ると、なんか失敗しそうな気がして嫌になる。
 正しくは「ラーメン」「大盛りラーメン」「おにぎり」「ゆで玉子」
の4種類である。嫁とラーメン2杯、おにぎり1個を注文する。
 ちゅるちゅる。悪くない味である。  チャーシューも好きなタイプだ。  熱すぎないスープがいい。  ただ麻薬性があるかというと、首をかしげる。  美味しいのである。麺もいいし、スープもいい。  近所にあったら、間違いなく通うだろうが、遠路はるばる勢い込んで来るほどの店 かどうかは、まだ1回目ではわからない。  きょうもラーメン・マニアとおぼしき人たちが、おなじみのディパックをかついで 何人かやって来ていた。  もう何回か来てみるかな。    食後、血圧を下げるには散歩がいちばんなので、渋谷から原宿まで歩く。  けっこうきつい。20分も歩くと、恐怖心から左腕、左足が固まり始めて、その収 縮でバランスが悪くなって歩きづらくなる。  午後12時。表参道のオープンカフェで、へたる。  表参道の並木道の緑がきれいだ。
 午後1時。帰宅。  再び『桃鉄研究所』の原稿。  頭がRPGのほうに移っているせいで、『桃太郎電鉄』のほうに戻るのが、なかな か大変。  午後2時。嫁と自宅を出て、新宿で用事をひとつふたつすませて、渋谷へ。  東横線で、桜木町へ。  桜木町から、関内へ。  午後4時。関内駅前セルテ2Fの「ザ・ベイスターズ・ショップ」へ。  昨日の予告どおり、横浜ベイスターズ権藤監督の最終試合を見届けるためにやって 来た。とはいえ横浜ベイスターズ・ファンの聖地である、ベイスターズ・ショップに 寄らないわけにいかない。  おお! 私と同意見のベイスターズ・ファンでお店はいっぱいではないか! 妙に うれしいぞ!
 もうすでにこのお店の商品の90%以上を買ってしまっているので、今さら見ても 買うものがない…というわけで、きょうの買い物は約1万円ですます。おい、そんだ け買えば、十分だろが!  そうはいうが、このお店での過去最低金額を樹立だ。  ぎりぎりまで石井琢朗のフィギュア人形買うか買うまいか悩んだのだ。ちょっと顔 が似ていないので断念した。  しばらくして、霊能者兼漫画家の岩崎摂さんが、娘のなお(七音)チャンを連れて 到着。
 なおチャンがお店のなかを見たいと言い出すので、私は目を細めて、「おお、そう か、そうか! ベイスターズ・グッズなら、おじさんがいくらでも買ってあげるよ!」 と言ったのだが、「ホッシーはもう飽きたあ!」と言われてしまった。  ええい、くそっ! 親の教育がなってないぞ! 洗脳不足なり!  午後5時。伊勢崎町まで歩いて、漫画家ヒサクニヒコさん推薦の中華料理屋さん 「龍鳳」へ行く。『ポポロクロイス物語』の田森庸介さんのホームページでここの餃 子の話を読んでからずっと来て見たかったのだ。  岩崎摂さんが勧める、カニチャーハン、シューマイ、鶏ねぎそば、秋の中華サラダ など頼みまくる。しいたけ煮も頼んだな。  評判の餃子は、本当に美味しい。  表がカリカリッのパリパリッに焼き上げられているのに、裏面は、皮がもっちもち のお餅みたいな美味しさ。具はなにやら懐かしい味。  シューマイもまた、昭和30年代の懐かしさを思い出すような味だ。
 決して、超一流の中華料理店の味ではないのだが、どの料理も家庭料理の雰囲気が 漂っていて、実に美味しいお店だ。横浜に来たら、ついこのお店に寄ってしまいそう だ。  なおチャンの食べっぷりもいい。  うちのグルメ・バカ娘が「グルメ・バカ娘」の名前を返上したから、なおチャンを 「2代目グルメ・バカ娘」と呼んであげようかな。なおチャンはやたらと、うちの娘 を気に入っている。  午後6時。思い切り食べすぎたお腹を苦しそうにかかえながら、私と嫁は岩崎摂さ んたちと別れて、横浜球場へ。  試合のほうは、午後6時ぴったりにもう始まっていた。  昨夜引退を表明したローズ選手は、さっさとアメリカに帰って行ってしまった。毎 年チームの順位が確定すると、翌日帰ってしまう人なので驚くことはないのだが、あ と1試合なんだし、今年は引退なんだから、ファンに「さよなら!」を言ってほしか ったなあ。  昨日、横浜ベイスターズの3位が決まったので、球場は横浜ベイスターズ・ファン のみ。悲しいくらいヤクルト側にはまったくお客さんがいない。そりゃそうだろな。 それにしても横浜ベイスターズ側のお客さんの多さは一体何なんだ!?
 で、きょうの四番には、いよいよ鈴木尚典が座るのかと思ったら、なんと戦力外通 告の駒田選手であった。う〜む。鈴木尚典は、四番に座れば、もっと成長すると思っ たのだが…。最終戦は引退選手最優先だからなあ。  でも、1回裏、駒田選手がヒットを打ったら、もうお役御免でベンチへ。だったら、 代打で登場でもよかったんじゃない?  しかしまあ、大観衆の横浜ベイスターズ側応援席は、かつての優勝当時を思わすよ うな、誰かがヒットを打つだけで、叫び、歌い、万歳を繰り返す。一体どうしたんだ?  私も気分がだんだん優勝したときのテンションになっていく。  2回裏だったか、グルメ・バカ娘…、おっと、うちの娘が球場に到着。  何たって、うちの娘は横浜ベイスターズが優勝した年のオープン戦を見に、嫁と沖 縄まで行って、セレモニーの代表として、権藤さんに花束を渡す役をやって、サイン をいただいるだけに、娘もどうしても権藤さん最後の試合は見届けたいと、学校から 直行して来た。    3回裏のときだったか、ウェブ・デザイナーのすがねま(菅沼真理)チャンが挨拶に 来る。知り合いの横浜ベイスターズ・ファンといっしょに来たようだ。  試合のほうは、横浜ベイスターズが小刻みに点を取って、7回裏までに、5−0と リード。三浦投手も完封ペースで楽勝ムード。  こういう試合展開は最高に気分がいい。  試合がリードしたときには必ず食べるアイスクリームを食べる。  勝ってるときのアイスクリームは格別な味だぞ。
 横浜ベイスターズの荒井選手、川端選手と、今シーズンかぎりで、引退の選手が次 々に登場する。スタンドから惜しみない拍手が送られる。  凡打しても、拍手、拍手の連続である。  横浜ベイスターズのファンは選手にやさしいからねえ。  …と思ったら、8回表、ヤクルトに連打を浴び、池山選手のスリーランで、5−4 まで追い上げられる。おいおい! ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれい!  ふうっ。9回表。リリーフに、木塚投手が登板。次期佐々木2世候補の筆頭だけに、 これでひと安心。有終の美を権藤さんにプレゼントできるぞ!と、思う間もなく、い きなり副島選手にホームランを喰らって、5−5の同点。  あいやー! 何だよ、この展開は〜!  ヤクルトも先発要員のハッカミーを出してきて、勝つ気十分!  もういいじゃない! 順位決まったんだからあ!  まいったなあ!   9回裏、横浜ベイスターズの攻撃。ひとりランナーが出たけど、2アウトで打者・ 万永選手。打率0割5分3厘という素晴らしい成績。こりゃ延長戦だわいと思った瞬 間、打球はセンターオーバー!   なんと劇的なさよなら勝ちとなった!  え〜、万永選手がさよなら安打〜! すごいものを見てしまった!  とにかく勝ちは、勝ちだ!  権藤さんに最高のプレゼントだ! よくやった、万永選手!
 一応、監督、コーチ、選手がマウンド上に一列に並んで、ファンに挨拶。  オーロラビジョンに、ローズ選手のビデオ・メッセージが流れる。  悲しい挨拶だ。そんなところから挨拶しないで、球場で挨拶してよ〜!    権藤さんは、「究極のええかっこしい」のニックネームそのまま、 「4年間本当にありがとうございました!」だけ! 胴上げも無し。  このあと、選手たちが外野のほうまで行って、今シーズンかぎりで引退する選手た ちを次々に胴上げする。あまり高く飛ばないので、誰が胴上げされたかよくわからな い。阿波野投手もいたような気がする。  2年前の優勝当時の選手たちが少しずつ消えて行く。  あたりまえのことだけど、寂寥感でいっぱいになる。  ローズ選手のように、最高の状態のまま引退できるのは、恵まれすぎだと思うのと 同時に、こういう引退の仕方はいいなあと思う。  最後に、選手たちが、引退する荒井幸雄選手に対して、ヤクルト側の外野席に挨拶 に行け! 行け!と勧める。荒井選手は、かつてヤクルトのドラフト1位選手だった のだ。荒井選手が照れくさそうに、ヤクルト側の外野席に走って行くと、ヤクルト・ ファンから盛大な拍手が起き、次第に球場全体から大きな拍手が送られる。  この心やさしき選手たちとお客さんのやさしさが、横浜ベイスターズの魅力なんだ なあ。
「権藤さん! 奇跡的な38年ぶりの優勝をありがとう!」とつぶやいて、球場を後 にする。  きょうは権藤さんの最終試合、さらに、さよならゲームという最高の喜びに、あの セ・リーグ優勝のときを思い出して、帰りはタクシーだ! 奮発! 奮発!   凱旋! 凱旋! 頭のなかを、キャロルの『ファンキー・モンキー・ベイビー』の イントロが流れる。本当は『ヘイ! タクシー』のはずだったのに!  高速道路から見える景色がすべて、キラキラ美しく見えるぜっ!  家族3人、「よかった! よかった! 勝ってよかった!」をくりかえす。  本当に目標に向って、結束の固い家族である。    えっ? 横浜球場から、家まで、30分で着いてしまうの?  もうちょっと楽しみたかったぞいっ。  午後9時30分。帰宅。早すぎる。  明日は笑える大事件が待っているので、早めに寝る。  もちろんプロ野球ニュース関係のTVは全部見るけどね。  さすがに権藤さん最後の試合くらい取り上げてくれるだろう。ちょっと心配だが…。
 

-(c)2000/SAKUMA-