8月7日(月)


 午前10時30分。家族3人で、銀座「渡辺内科クリニック」へ。
 血圧138―90。ちょっと下の値が高い。
 でも私にしてはいいほうだろう。

 午前11時。病院の帰り道に「若菜」というお漬物専門店を見つけ、家族3人
吸い込まれるようにお店に入ってしまう。
「泉州水茄子」の文字に引かれたのだ。
 さらにお店の美味しそうなお漬物に目を奪われ、気がつくと、伊勢たくわん、
梅干、キムチ、水茄子などを買っていた。
若菜
   かなり気合の入ったお漬物屋さん。  お漬物マニアには、絶対お勧めのお店だ。  お漬物屋さんの近くのスモーク料理のお店「煙事(えんじ)」へ。  それぞれ仙台牛のカレー、仙台牛のハヤシライス、仙台牛のシチューを注文す るが、初めてこのお店に来たグルメ・バカ娘が注文した仙台牛のハヤシライスが 格別に美味しいのは、いかがなものか!  何だか割り切れないものを感じる。  さらに燻製のたくわんも食べてみたが、甘くて美味しい。いぶりがっこみたい なものを想像していただけに、うれしい誤算。
煙事 煙事
   やっぱり銀座の裏通りっていうのは、隠れた名店が多いなあ。昔から全国の商 店街が「銀座」の名前をほしがったのは、こういう底知れない名店の数々のせい なんだろうなあ。  午後12時。築地のハドソンへ。きょうは新作『桃太郎電鉄』の会議。いきな り新作『桃太郎電鉄』の試作マップを何種類か見せてもらう。そのうちのひとつ に、一同、驚愕、狼狽、吃驚(きつよう)、驚涯(きょうがい)、驚嘆する。  おっと、一同の名前を記載するのを忘れていた。相当うろたえているぞ! お なじみ土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭くん、梶野竜太郎くん、石崎仁英くん、 武田学くん、ディレクターの国政修くん、放送作家の福本岳史くん、あとから、 ひろたたけし(アートディレクター予定)。  とにかく、今度の新作『桃太郎電鉄』の作業の8割以上が完成してしまったの ではないかというくらい、斬新なマップである。今までのマップを想像している と、腰砕けになるほどである。  実際不覚にも私は、きょうの会議にまったく力が入らなくなってしまった。思 い切り油断。危ない、危ない。  もちろんこの斬新な画面を見せてあげることはできないが、こっそりデジカメ して、このホームページに載せて、ハドソン桃太郎事業部の梶野竜太郎くんを脱 糞させちゃおう!と悪巧みを考えたほど、出来がいい!
マップ モザイクしてみました
   うれしさのあまり、何だかわからないけど、頭の奥底のほうで私は「ざまあみ ろ…、ざまあみろ…」とつぶやいていたような気がする。誰に向かっての「ざま あみろ…」なのかは、自分にもわからない。この感覚はクリエーターにしか無い 感覚だろうなあ。  ただあまりにも斬新なので、このまま最後までこのマップで不都合が出ないこ とを祈りたい。膨大な『桃太郎電鉄』シリーズの仕様は、かつていくつもの果敢 かつ、先進のチャレンジをピンピンいとも簡単にはねのけてきただけに、安心す ると怖い。  とはいうものの、自然に顔がほころんだまま元に戻らない。  今回の最大目標である「フルモデル・チェンジ」にふさわしい一撃であること は間違いない。  午後2時。私だけ別室で「64ドリーム」の取材。
取材
   珍しく私のことを事前に調べ上げてから、インタビューしてくれたうれしい 取材。こんなことは週刊誌の編集さん、記者ならあたりまえのことだが、ゲー ム雑誌の人がそうだとびっくりする。  ひさびさに出版業界の人と仕事をしている気分になれて、うれしかった。活 字の匂いのする人と、会話したいなあ。  午後3時30分。みんなで「青森ねぶた祭り」に参加したキングボンビーの ビデオを見る。キングボンビーの着ぐるみに入っているのは石崎仁英くん。あ の暑いなか、2時間ぶっ通しで、踊りながら練り歩くキングボンビー(石崎仁 英くん)に感動する。  8月18日午後5時。渋谷「Qフロント」での『有限会社 桃太郎商店』の 公開録音でこのビデオを流すそうだから、このビデオを目当てに見にきてほし い。さんざん笑ったあげくに、感動するよ、これは! 「キングボンビーがあなたの町のお祭りに参加する!」シリーズ第1弾が、こ れほどまでに感動的だとは思わなかった。さっそく次回作の「99年ありがと うイベント」の候補に、このビデオを入れた。  このあと今後の『桃太郎』シリーズのラインナップの会議。  伝言、伝言! いよいよ柴尾英令くんには、9月中旬から参加してもらうこ とにしたので、よろしくね! はっはっは。ちょっと早くなっちまった!   おおまかに再来年まで、ゲームを何本作るといったことを決める。  おおまかというわりに、けっこう具体的に何本も作ることが次々に決定して しまったような気がする。    午後6時30分。土居ちゃん、宮路一昭くん、ひろたたけし、私の4人で、 西麻布「たぬき」まで行く。  お店に着いたとたん、ライオンの咆哮のような音の雷が鳴って、アスファル トを白く叩く雨が降って来た。バシャバシャ…! 「雨があがるまで、ここで食べ続けましょうか?」とひろたたけし。ひろたた けしの口から言われると、本当に食べ続けそうな気がして怖い。  実際、ひろたたけしは、このお店でご飯を4杯食べた。  驚いてはいけない。宮路一昭くんも、土居ちゃんも3杯食べた。  しかも「このお店のお茶碗、小さいもんねえ!」と土居ちゃん。  デブらしい言い訳である。私はもちろん1膳でやめる。優等生だなあ!  3人とも、このあと悪魔のケーキを売っている「ドゥリエール」へ行くこと を望んでいるが、雷鳴轟く豪雨はまったくやみそうにない。誰も傘を持ってい ない。  店先にタクシーが来たので、乗ってそのまま帰ることにした。  午後7時。帰宅。タクシーから玄関まで、わずか5〜6歩なのに、びっしょ り濡れる。  昨日から、しゃべり続けで、へばっていたので、仮眠。 『美味しんぼ』(原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ・小学館)75巻の第1話 を読んだだけで、熟睡。相当疲れていたようだ。    午後8時。新作『桃太郎電鉄』の手直し作業。  ちょっとまだぼ〜っとしている。今夜はソローペースで仕事して、明日に備 えよう。明日もちょっと派手な動きの予定だから。
 

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