7月29日(日)


 48回目の誕生日。
 メールがたくさん来た以外、特別なことはない。メールをくれたみんな、
ありがとね!

 午前9時。ハドソン桃太郎事業部の梶野竜太郎くんから電話! こんな朝
早くに。さらに土曜日だというのに!
 すわ、緊急電話かと思ったら、たったいま富士山の登頂に成功したという。
何をやってるんだか! 行った理由とか、仕事なのか? プライベートなの
かを聞きたかったのだが、さすが富士山の頂上! 携帯電話がすぐに切れて
しまって、残念!
 いずれにしても、こういうアホなことを真剣にやるハドソン桃太郎事業部
のメンバーはおもしろ痛快野郎だ!

 午前11時。京都相互タクシーの宮本さんに来てもらって、北野神社近く
の「おひるや豆魂(とうこん)」へ行く。
豆魂 豆魂 豆魂 豆魂
   きょうはおぼろ豆腐の出来もよく、ほかのお豆腐料理も味がしっかりして いた。好不調の波が激しいのが、このお店の難点。美味しいときは、ホレボ レするのだが。以前すぎやまこういち先生ご夫妻をお連れしたときは、スト ライクが入らなくなったときの横浜ベイスターズの斎藤隆投手みたいで、最 悪の味だった。  午後12時30分。上賀茂神社へ。 「御手洗(みたらし)祭り」というのをやっている。 「さくちゃん、この御手洗(みたらし)って、みたらし団子のみたらしとお なじなの?」とグルメ・バカ娘。 「そうだよ。ここのきれいな池の水にあやかって、みたらし団子なんだよ。 いつも行ってた、あの美味しいみたらし団子の本店はこの近くにあるぞ」 「ふうん。御手洗団子って、書くと何だかトイレ団子って言ってるみたいだ と思わない?」 「無い! おまえの『もしも』は、いつも絶対無い!」  中学生のベタ・ギャグである。    きょうは土用の丑の日で、上賀茂神社にある池に、この時期になると、清 水が湧き出るそうで、それで汚れを払う神事としたのが、「足つけ神事」で ある。  神社の池の端で、ローソクに火をつけてもらい、ゆっくりゆっくり池のな かを歩いて行って、10メートル先ぐらいまで消さずに持っていって、奉納 すると、風邪を引かなくなる、疳の虫にいいといったご利益があるそうだ。
みたらし祭り みたらし祭り みたらし祭り みたらし祭り
   グルメ・バカ娘がうれしそうに、池を歩いている。  池は、膝までの深さがあって、けっこう見た目より大変そう。  まるでスプーンレースを見ているようだ。  グルメ・バカ娘のローソクがほとんど消えかけては、また燃え出すという ハラハラするような展開を見せるので、けっこうおもしろい。ミニゲームに するとおもしろそうなので、メモする。 『桃太郎まつり(仮)』のミニゲームにはもう間に合わないかなあ?  ちなみに、ローソクはやっぱりカメヤマローソクであった。何だかホッと する。ローソクといえば、太古の昔より、カメヤマである。  引き続き、「京野菜市」を見る。
京野菜市
   有名な料亭「下鴨茶寮(しもかもさりょう)」の駐車場を使って、京野菜 の即売会をやっている。午前の部の品物がほとんど売り切れになっているく らいの大盛況だ。京都新聞も取材に来ていたそうだ。  つねづね真っ直ぐでは無いキュウリが食べたかったので、ここでキュウリ とトマトを買う。  キュウリを買ったとなれば、もろみが欲しくなる。  宮本さんが「もろみなら、先生はいつも松野醤油ですよ!」  宮本さんのいう先生とは、もちろんすぎやまこういち先生である。 「さくちゃん、それはおいしそうだ! 行こう!」  何が、行こうだ、グルメ・バカ娘! すぎやまこういち先生と聞いて色め きたつな、食い意地のはった餓鬼そのものよ!
松野醤油
     午後1時30分。松野醤油。すぎやまこういち先生お墨付きと聞いて、先 頭に立って、きびきびと店内に入っていくグルメ・バカ娘。しかし、グルメ・ バカ娘は、超のつくほど「鼻がいい」。あいつの鼻のよさは警察犬並みであ る。  その警察犬並みの鼻に、松野醤油の強烈な醤油の匂いが激突!   はっはっは。頭が痛くなってしまったようだ。私はむしろ子どもの頃から 蓄膿症だったせいで、松野醤油の強烈な匂いが、ちょうどほどよい香り。ず っとここにいたいくらいだ。  さて、これからが我が家らしい経路。  聖護院の近くにあるお店に行く。ほぼ5年ぶりの「中井冷菓」だ。ソフト クリームの美味しいお店なのだが、その値段なんと1500円! 間違いで はない! 1個1500円。くりかえすが、1個のお値段が1500円である!  10年ほど前に、初めて食べたときに、1000円だった。  毎年100円ずつ値段を上げて行くといっていたが、さすがにこの値段で 止まったようだ。あの調子だときょうは2000円くらいになったかなと思 っていた。  このお店には、大正4年だか、5年生まれの変人なおじいちゃんがいる。 『バック・トゥ・ザ・フィーチュア』のクリストファー・ロイドよりも変人 だと思う。何でも日本中を回って、究極のソフトクリームを作った…と、本 人が豪語する。  ちなみにこのソフトクリームの名前「究極のソフトクリーム」という名前 である。尊大なり。  そのソフトクリームが本当はどのくらいのレベルなのかを知りたくて、グ ルメ・バカ娘と嫁を連れて来た。ふたりともまだ食べたことがなかったのだ。  とにかくここのソフトクリームを店内で食べると、マッド・サイエンティ ストのおじいちゃんの1時間近い講釈を聞かないといけない。ソフトクリー ム1個で、1時間、歯の抜けた、黒澤映画みたいにも聞きづらい音声のトー ク・ショーを聞くのは、難行である。戦前、戦後の話と日本中を食い歩いた 話を延々とされる。  その苦痛のあまり、ずっとふたりを連れて来なかったのだ。  営業時間が午後2時から、夕方までといういいかげんさも、何回も来れな かった要因でもある。
中井冷菓
    きょうは私とグルメ・バカ娘が買いに行って、テイクアウトで持ち帰り、 おじいちゃんの話を聞かずに速攻で帰ろうと思っている。  おや? おじいちゃんがいない。 「ソフトクリームはいま、1本しかないんですけど。あと10分したら次の ソフトクリームがちょうどいい硬さになるけど、待ちますか?」  10分も待っていて、あのおじいちゃんにつかまったら大変だ。  味をたしかめたいだけだから、1個でいい。  1個だけ買って、逃げるように、宮本さんの車に戻る。  どうせこってりしてるから、家族3人で1個で十分なはずだ。  グルメ・バカ娘の反応。 「何これ! バターみたいだよ!」   おそらくかつてこれほどまで、こってりしたソフトクリームというのは食 べたことが無いだろうなあ。不二家のミルキーをそのままソフトクリームに したようなこってりだ。  そういえば、恒例不二家のケーキで、私の誕生日を祝う風習を忘れてしま った。  とにかくグルメ・バカ娘にとっては、まずくはないが、無理して食べるほ どのものではないそうだ。 「1500円? 500円なら次も食べてもいいけどなあ!」  「いつもおまえはそういう言い方をするが、1500円だろうが、500円 だろうが、お金を出すのは私だろうが!」 「そうだよ!」  言い訳をする人間に絶対なるな!という教育をしているので、こやつは絶 対事実を否定しない。潔いが、ふてぶてしくもある。  さらにこの家族は不可思議な行動を取る。  宮本さんのお勧めで、銀閣寺近くの「銀閣寺キャンデー店」に行く。アイ スのはしごかい!?  ここのキャンデーのなかに、餡子(あんこ)が入った、アンマックという のが、宮本さんが子どもの頃からずっと食べてる美味しいキャンデーなのだ そうだ。
銀閣寺キャンデー店
 アンマック。なんだかアイマック、iMacのようだ。  このアンマックもまた大人気のせいか、2本しかない。ほかにも買って、 宮本さんの車のなかで食べる。  きょうはアイスクリーム買い食いツアーだ。  なるほどアンマックは美味しい。私が食べたバニラ・キャンデーも良質 でさわやか。  グルメ・バカ娘にいわせると、アンマックのほうが、究極のソフトクリ ームより美味しかったそうだから、こっちのほうが究極かもしれない。何 度もまた食べたいと言っていた。  午後3時。京都のマンションに戻り、宮本さんと途中で買った、今出川 と河原町通りのぶつかったあたりにある「ふたば」の豆餅を食べる。まだ 食べるんかい! 食べるんだ〜〜〜い!  以前私は、この日記で、大福餅の美味しいお店だけで、ベストテンをつ けることができると書いて、「そんなに大福餅を食うのか!」とさんざん 各所で、顰蹙を買ってしまった。  デブ軍団のみんななら、ベストテンは無理でも、ベスト3くらいすぐに 言えるよな? 世間の甘味レベルがわからな〜いデ〜ス!  まあ、笑うなら笑ってくだされ!  その大福餅ランキング、不動の1位がこのお店の「豆餅」なのだ!  見るからに、甘そうなのに、食べると餡があっさりしていて、くどくな い。豆の硬さがほどよい。硬すぎず柔らかすぎず。  暑い夏に食べても、この美味しさ! 「大福餅ランキング1位」は不動なり〜!  午後4時。食べすぎて、『風雲児たち』21巻を読みながら、仮眠。  午後6時。祇園のなかにある懐石料理のお店「さゝ木」に初挑戦。誕生 日のこの日に、なぜこのお店を選んだかというと、お店の名前! 「さゝ木」とくれば、元横浜ベイスターズの佐々木主浩(ささき・かずひ ろ)投手である。意地でも現マリナーズ投手と書かない馬鹿。  もともと「佐々木」という名前だけでも、ひいきしてしまうのに、この お店のご主人の名前を雑誌で読んで驚いた!  佐々木浩さんである。元横浜ベイスターズのほうの佐々木さんは、佐々 木主浩(ささき・かずひろ)である。  こりゃあもう行くっきゃないのである。  何て単純なファン心理。  そんなわけで、祇園の小さなお店が建ち並ぶ路地から路地を迷いながら、 やっと「さゝ木」にたどりつく。
さゝ木
 残念ながら、カウンター席が満員で、2階の部屋へ。カウンターも5席 しかない。  いきなりカボチャと海老のジュレのよううな物が出て、一瞬デザートか ら逆走するのかと思った。  なかなかどの料理も、ありがちなメニューをボールひとつズラすコント ロールで、きわどいコースを突くピッチング。いわゆるコントロールのい い料理だ。ただ京都には、どの料理もうまくまとまっているけど、もうひ とつ個性に乏しいお店というのは、けっこう多い。  と思ったら、いきなり大皿に大トロが運ばれて来た! なんじゃこりゃ あ! 大トロがいい色してる。そのトロの上にどっさり、ワサビが!  こんなにワサビが多いのは食べられないよ〜!  え? この大トロは脂が乗ってるから、このまま食べられるって?  そうかいなあ? 添えられた刷毛で、醤油を大トロにぺたぺた塗って食べ るの? へ〜! おもしろい趣向だなあ。  大トロを食す。  うお! うお! うおっ! こりゃおいしい! ワサビもそのまんま大 量に盛ったまま食べても、つーんと来ないぞ!  これは豪快な趣向でいいなあ!    まさに、キレのいい直球で、ストライクを取っておいて、伝家の宝刀で あるストライクのコースから、ボールになる佐々木様のフォークボールを 投げ込んでくる配球そのものではないか!  これはうまい! 実にうまい!    このあとあまりにも大トロの印象が強くて、あとの料理の印象がちょっ と薄くなってしまったのだが、最後のご飯を「氷見の冷やしうどん」にし てくれて、これがまたさっぱりとして美味しい。大好きな温泉玉子まで乗 っていて、うれしい味。  デザートも豪快な桃が出て、桃で締めとは、偶然にしても出来すぎな誕 生日料理となった。ちょっと量が多くて、食べ過ぎた!
さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木 さゝ木
   午後8時30分。帰宅。  お腹が苦しくて、動けない。  今夜も『風雲児たち』を読むぞいっ! 横浜ベイスターズが勝った!  3位をキープ。なによりの誕生日プレゼントだ!
 

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