4月8日(土)


 朝は、iモードゲーム『さくま式奥の細道』の追加原稿の執筆。
 きょうは花粉が大量に発生しているらしいのだが、私は鼻がちょ
っと湿ってきた程度。
 グルメ・バカ娘は、朝からずっとくしゃみの連発だ。
 嫁はすでに花粉症のための病院に行っている。
 うちの家族は三者三様の花粉症のようだ。

 午前11時。嫁と青山通りのアンデルセンで食事。
 地鶏とキノコ・パスタのスープに、コーヒー。

 食後、桜が見たいので、タクシーで椿山荘(ちんざんそう)に向
かう。沿道各地で、桜を見ることができるからだ。
 神宮外苑あたりの桜から、権田原のこんもりとしたしだれ桜。河
田町の桜。神田川沿いの桜。
     どこも満開だ。このコースがいちばんゴザで宴会の光景を見るこ となく、桜を楽しむことができる。  午後12時30分。椿山荘に着く。  きょうは大安なのかな。まるで夕方の新宿駅構内のような大混雑 だ。礼服を着た、おじいちゃん、おbさちゃんたちが、忙しそうに 歩いている。  椿山荘敷地内のフォーシーズン・ホテルを見ていく。  ここのプールが広くてきれいらしいので、夏に泊りがけで来るか と、バカな考え。病気してからもう5年も泳いでいないので、そろ そろ泳いでみたい。  プールが探せず、ホテル内で道に迷う。しかもこのホテルのふか ふかしたジュータンのせいで、足首が思い切り痛くなる。  地下2階あたりから、椿山荘の庭に出る。  椿山荘の庭というと、かつてベンチャーズとか、外国アーティス トが訪れて、写真に収まるという場所であった。  そのベンチャーズやスプートニクスといったアーティストたちが、 来日記念盤といって、来日しただけで当時LPレコードが出てしま ったのだから、いかに当時来日ということが大変なことだったかを 今知ることができる。  椿山荘から、神田川に出る。  桜が満開というより、桜のなかを歩いているみたいだ。  晴れとか、曇りとかいうのではなくて、天気が桜というくらい、 桜に取り囲まれながら、神田川沿いを歩く。
     早稲田方向に向かって歩いていく。  本当は、すぐ早稲田通りに出て、そのまま帰る予定だったんだけ ど、ついつい神田川の桜が途切れないので、ずっとそのまま川沿い に歩いていってしまった。  面影橋を通って、ついには、明治通りまで出た。  もちろん、足はへろへろ。  おもいきり足が膨らんで、靴からはみ出てしまいそうだ。  川沿いのごつごつした石畳風の道は、不自由な私の足をとことん 疲労させる。  明治通りを高田馬場方向へさらに登る。  必死に登る。    午後1時30分。高田馬場のデニーズに入る。  1時間ぶっ通しで、歩いていたのかあ…。  完全に歩きすぎ。  天気がよかったせいもあって、額に思い切り汗をかいた。  もちろん疲れたので、デニーズ名物ミニチョコサンデーを食べた のだが、はあはあ言いながら、やっと食べられる状態。  足はじんじん、目が回る。    午後2時30分。自宅に戻り、そのまま死語のような、バタンキ キューで、ベッドに倒れこむ。間髪入れず、熟睡。  午後4時。起きる。だるい。  インターネットで、横浜ベイスターズ対中日戦をチェック。途中 経過で6対3。よしよし。昨日の後遺症は無いみたいだな。  だるい。どうにもだるい。  あまりにもだるすぎるので、映画『トラ!トラ!トラ!』を観る。  何で観たくなったかのかもよくわからん。  もともと第二次世界大戦は、あまりにもアホな日本の時代なので、 好きではない。たまたまビデオ屋さんで、値段安いから買ってしま ったのだ。  ほとんどもったいなくて観るといった感じ。  黒澤監督が降板したのは、なぜかの興味のほうが大きかったよう な気がする。  恐ろしいことに、この映画、とてつもなく大長編だった。  午後7時すぎても、まだ終わらない。  中座して、ご飯を食べに行くことに。  午後8時。家族3人で、柴尾英令くんのホームページで話題の唐 そばを食べに渋谷に向かう。  唐そばは、「からそば」でなく「とうそば」と発音するらしい。  いつも行列ができていると書いてあったとおり、はんぱじゃない ほどの長蛇の列。  行列に並ぶことが大嫌いな家族は、並木橋の山頭火ラーメンに、 目標を変更する。  さらに、山頭火ラーメンに向かう途中で、牛丼の「なか卯」を見 つける。おお! これは最古のさくまにあ、ニッポンの係長・戸田 圭祐の日記によく出て来るお店じゃないか!  無性に牛丼が食べたくなる。  私は牛丼を、もう5年も食べていない。まだ丼を左手で持つこと ができないからだ。  もともとあまり牛丼が好きでない嫁は、もう6年も牛丼を食べて いない。いちばん最近食べたのは、グルメ・バカ娘で、いつも私は らんぷ亭で、牛丼を食べたというのを自慢している。さらにいつも らんぷ亭の50円割引券を後生大事に持ち歩いている。  できるいことなら今後もグルメ・バカ娘には、一生牛丼を食べ続 けてほしいものだ。  それにしても牛丼を食べたことが自慢になる変な家族である。  というわけで、5年ぶりに牛丼を食べる!  もともと牛丼が大好きな私は、なにやらわくわくする。  もちろん、玉子にお新香も注文する。  おお! ひさしぶりだよ、牛丼さん!  このくすんだ色のお肉。醤油をいっぱい含んだ、玉ねぎ。  何もかもなつかしい(アニメ世代の人は、沖田艦長の口調でお読 みください)…。    うお〜。お・い・し・い!  おいしいなあ!   牛丼はやっぱり、おいしいなあ!  ばくばく、ばくばく…。  ばくばく、ばくばく…。  おっと。こんなに急いで食べる必要なんかなかった。  うわああ。このお肉と玉子のからみ具合がなつかしいなあ。  あ〜、早く左手を直して、丼を持って、牛丼をかきこみたいなあ。  きょうは、お店の人に借りた、レンゲで食べているのだ。  おっとっと。ひさしぶりなんで、紅しょうがを入れるのを忘れて いた。もうほとんどご飯ないけど、いまからでも入れよう!  この味、この味、口の中まで赤くなりそうな、この紅しょうがの 味、これもなつかしいなあ。  あっ、もう食べきっちゃった。  あ〜、もっとずっと食べ続けていたかったあ!  午後8時30分。帰宅。  牛丼を食べて、妙にうれしい私であった。
 

-(c)2000/SAKUMA-