3月25日(土)


 ぴゅるるるるるっ〜〜〜!
 京都は風が吹くと、寒い。比叡おろしと呼ばれる突風が吹くと、
骨にまで届くような冷たさに、苦しめられる。
 きょうはこれから東京に帰らないといけないというのに、薄着な
のがつらい。
 コート着てくればよかった。
 これじゃ風邪も引くよな。

 その風邪は、ことのほかひどくて、風邪と花粉症のダブル・パン
チで、ティッシュペーパーの山を築いている。
 ユンケルも飲んだけど、鼻水ちゅるちゅるが止まらない。
 鼻詰まりのまま、しゃべるはとてもつらい。
 
 午前10時。土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭くんのラーメン夜
食兄弟と、放送作家の福本岳史(デブ、0、1t)くんが来る。

 そのまま京都駅へ。
 うおおおおおっ! 寒い。
 おまけに小雨までぱらつき始めた。
 このまま東京に帰りたけど、この1週間、仕事の合間にみんなで
NHK『葵・徳川三代』の話ばかりしていたので、やっぱり大垣に
行きたくなる。

 きょうから大垣城公園で、NHK主催の「大垣博覧会」が始まる
のだ。デブ4人で、大河ドラマ完全タイアップのイベント、しかも
初日に行くのは恥ずかしい気もするけど、おもしろがりのメンバー
揃いだけに、何の疑問もなく、大垣に向かう。

 ちょうどいま関が原の合戦をテレビでやっているところで、先週、
先々週と、この大垣城がメイン舞台なだけに、行きたい気持ちは満
点である。

 まず京都駅のみどりの窓口で、キップを買う。
 土曜日に、春休みの初日が重なって、新幹線は軒並み、満員の「×」
マークが並んでいる。
 ところが行き先が、岐阜羽島駅なので、ちょうど席が空いている。
 福岡方面から来た、お客さんは新大阪か、京都で降りる。
 京都から名古屋までは空席が目立つが、名古屋からまた東京まで
はぎっしり席が埋まる。
 
 岐阜羽島駅は、京都と名古屋の間にあるので、こうして4人の席
が取れてしまうのだ。
 
 キップを買ったら、伊勢丹デパートB2へ。
 みんなのリクエストで「はつだ」の特選和牛弁当を買うのだ。
 昨日一足先に帰った、カズ坊(関口和之)も、国政修くんも、こ
の「はつだ」の特選和牛弁当のお弁当を買って行った。

 午前10時57分。ひかり230号。
 新幹線に乗って、さっそく「はつだ」の特選和牛弁当を食べる。
 実は早く食べないと、岐阜羽島駅にすぐ着いてしまうのだ。
 乗車時間は、わずか36分間しかない。

 福ちゃんが、「はつだ」の特選和牛弁当を口にしたとたん、箸を持
つ手が止まる!
「こ、こ、これは…!」
「これって、むちゃくちゃデブが好きになる食べ物ですよね! お
肉がお弁当全部に敷き詰められていて、しかも、甘い! 肉が甘い
って、いいですよねえ!」

 早い! 土居ちゃん(土居孝幸)、お弁当食べるの、早い!
 10分ぐらいで食べ終わって、さっさと週刊モーニングを読んで
いる。
「何でそんなに早いの?」
「昔から業界人は、早飯、早糞、芸のうちと言われてきたから!」
 そういえば、最近この言葉を聞かないなあ。
 私などもこの業界に入ったばかりのときは、必ず先輩からこの言
葉を教えられた。

 そう思うと、最近の人は、堂々と先輩より遅く、食べ終わるもん
なあ!

 午前11時33分。岐阜羽島駅。
 みんな、口々に「この駅降りるの初めてだなあ!」とつぶやく。
 私も2年前にこの駅から、新幹線に乗ったことあるけど、二度と
乗ることないかもなあと思いながら、乗ったおぼえがある。

 タクシーで、大垣に向かう。

 午後12時。あっというまに大垣城公園に着く。
 おお! やってる! やってる!
 入り口で、ただの観光好きのおっさんたちを演じるために、わざ
わざコンパニオンのお姉さんたちといっしょに写真に収まる。
 こういうイベントのときは、下品なふるまいこそ、楽しい。
     火縄銃を持っている、地元の火縄銃保存会の人とも、楽しく談笑 する。火縄銃を持たせてもらう。重い! 「これでも軽いほうなんだよ〜」と、甲冑を着た人たちに笑われる。
     イベントのほうは、公園が小さいわりには、けっこう充実してい る。  NHK『葵・徳川三代』の先週の放送が見えるパビリオンがあっ たかと思うと、東芝が作った「関が原」のドキュメントDVDを見 せてくれる建物もある。
     特設会場では、地元の放送局の公開録音をやっている。  『雨』の三善英史がゲスト。ちょっと腰砕けになりそうになった。 なつかしすぎる。♪雨に濡れながら〜、たたずむ人がいる〜.どう して昔覚えた歌って、30年ぐらいたっても歌えるんだろう? し かも当時、レコード買っていないのに。不思議だ。
     三層の小さい天守閣の大垣城は、ゲームのコーエーのブース。P S2の『決戦』のデモ画面などを流している。 『信長の野望』まで、展示している。 『信長の野望』も、PS2で新発売かと思ってしまうぞ。まあ、P S2対応ではある。  こういうタイアップの方法もおもしろいなあ。  岡山で、『桃太郎電鉄』フェアでもやってくれないかなあ?  お土産物を売ってる屋台ブースを見て回る。  例によって、『桃太郎電鉄』の作者としては、ここがいちばんの取 材どころである。  大垣といえば、柿ようかんである。  ほかにも飛騨牛のステーキを売っていたり、きしめん、味噌煮込 みうどんとか売っていて、大垣が、名古屋圏であることが、お土産 屋さんブースから読み取ることができる。  福ちゃんが『桃太郎電鉄』シリーズで、高山駅に登場する、さる ぼぼが売られているのを見て、感動している。   ふと、ラーメン夜食兄弟(土居ちゃん、宮路一昭くん)が、行く 手に「高山ラーメン」ののぼりを見つける。  1時間前にお弁当を食べたばかりだ。  さすがに食べないだろうと…と思ったのが、甘かった。 「高山ラーメンですよ、さくまサン!」 「まさか食べる気じゃないだろな?」 「せっかく来たんですから!」 「うそだろ〜〜〜!」  おいおい、本当に食べるつもりだぞ! 
     恐ろしい人たちだ。余談だが、ラーメン夜食兄弟の写真を取り終 えるや、福ちゃんも高山ラーメンを注文していたことを付け加えて おこう。      さて、なかなかおもしろいイベントだったのだが、どうも他県か ら見にきた人がほとんどいないのが気になる。 「いっとりゃあすか!」「どえりゃ〜」 「とろくせぇ〜でかんわ!  ほとんどが地元の人である。  せっかくの大河ドラマなのだから、日本中から来てほしいものだ。  このあと、関が原を見に行こうと思ったのだが、私の風邪の状態 があまりにもひどいので、このまま帰ることにする。  鼻をかみすぎて、鼻がひりひりする。  2時03分。大垣駅から、東海道本線に乗る。  電車のなかでまたまた新作『桃太郎電鉄』の打ち合わせ。    2時50分。名古屋駅に着く。  ここで私は、以下の3つの提案をする。 1、このまますぐ新幹線に乗って、東京に帰る。 2、このまま新幹線のキップを買って、喫茶店でお茶を飲んでか ら東京に帰る。 3、このままタクシーに乗って、みそかつ定食を食べて、名古屋に 戻って、東京に帰る。  さて、ラーメン夜食兄弟が選んだのは、どれ?    全員正解! そうなのだよ、もちろん、3なんだよ〜!  恐ろしすぎるよ、この人たちは!  もう1回おさらいするよ!  午前11時に、お弁当。午後1時に、ラーメン。午後3時に、み そかつだよ! ラーメンのあとに、みたらしだんごを食べているこ とを伝え忘れた!  午後3時。大須の「矢場とん」に行く。
     私は、お弁当のあと、ラーメンを食べなかったので、みそかつを 食べることができたが、量が多いので、残した。  土居ちゃん(土居孝幸)は、おいしい! おいしい!と言いなが ら、わらじみそかつを残らずたいらげているではないか!  わらじという名前からも想像できるだろうが、大盛りである。  この人たちの恐ろしさは、底知れない。  名古屋駅に戻り、新幹線のキップを買うが、満員が多くて、1時 間後ののぞみ号しか空いていない。それもおなじ列でなく、2人は 1号車、もう2人は、2号車と、バラバラに座ることに。  新幹線を待つ間、喫茶店で、新作『桃太郎電鉄』の打ち合わせ。 このチームは、いつでもどこで、急にゲームの打ち合わせを始める。  出たアイデアを何度も何度も煮込むのだ。  ちなみに、土居ちゃん(土居孝幸)は、このお店で、コーヒーと、 ティラミスを食べたことを付け加えておこう。 「うっ。こんなの食べたら(ティラミス)、また日記に書かれちゃな あ!」  お望みどおり、書いたよ、土居ちゃん(土居孝幸)!  午後4時48分。のぞみ20号。  私は、福ちゃんと並ぶ。  福ちゃんとゲームの打ち合わせをしながら、東京に向かうが、福 ちゃんが太っているので、私がノートにメモするのが、窮屈である。 「すみません! すみません!」を連発されてもなあ! 0、1tだもん、仕方ないよ。  100キロと書くより、0、1トンと書くほうが、迫力あるなあ。  午後6時24分。東京駅着。  午後7時。自宅に戻る。  風邪は少しよくなったが、ベッドに倒れこむ。  いやあ、自宅のベッドは心地いいなあ。  それにしても、今回の桃太郎チームの合宿は充実していた。ほと んど24時間ぶっ通しで仕事していたような気がする。アイデアも たくさん出たし、長年気になっていた部分も解消できるようだし、 カズ坊(関口和之)も加わって、ひさしぶりに桃太郎チーム勢ぞろ いで、士気も上がったし、いうことなし。  あとは、ここで安心しないで、仕様書を書き上げないと!  でもまずは、風邪を治さないと!
 

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